戌亥番神
いぬいばんじん
身長178cm、体重75kg。1853年(嘉永6年)4月生まれ。血液型B。初登場25歳。
剣心に復讐を誓う六人の同志の1人。
二つ名は『無敵鉄甲』。ドレッドヘアーにバンダナ、非常にテンションの高い筋肉バカ。仲間の乙和瓢湖(メイン画像奥)からも「君は腕は立つが頭は悪い」と言われている。初の激突時には前川道場の師範と門下生を半殺しにした挙げ句、踏み躙って爆走する等を平然と行う粗暴な性格。「ハッハー」とよく笑い、掛け声にも使われる。
師匠は闇乃武首領の辰巳で、抜刀斎に殺されており、これが番神が剣心を付け狙う動機となっている。しかし、番神はそれを全く恨んでおらず、それどころか「負けたようなヤツに敬意など要らん」と吐き捨てている。剣心を狙うのは、師の仇討ちという訳ではなく、「師匠が負けたから弟子も弱いと思われるのは我慢ならない(だから剣心を倒し、師を超えている事実を知らしめる)」とする、非常に自己中心的な考えから来ている。
実は六人の中で唯一緋村剣心と戦えなかった人物である。
外印には「バカ丸出しで攻め一辺倒」と分析されている。
また、両腕に装着した鋼鉄製のガントレット・無敵鉄甲はいかなる名刀の太刀筋をも反らし、更に番神の技量なら拳銃の弾丸もたやすく叩き落としてしまう。
左之助との再戦では斬馬刀による渾身の一撃で無敵鉄甲と斬馬刀双方が破壊されたが実はその下に新・無敵鉄甲を装着。こちらは無敵鉄甲より丸みを帯びた形状をしている。(なお、たまに勘違いされるが「斬馬刀が新・無敵鉄甲に通じず斬馬刀だけが壊れた」のではない。)
プロレスやマーシャルアーツのような極・投・打を混ぜ合わせた格闘術。頭の悪い名前の武術だが、番神が名付けたものではなく師から継いだ物。ちなみに格闘術ではないが、現実には杖術の「無比無敵流」や剣術の「平常無敵流」等の流派が実在する。
- 轟斧爆(ごうふばく)
- 雷神車(らいじんぐるま)
- 上空から回転しながら落下し、手甲を叩きつける技。神谷道場の門を破壊する際に使用した。薫たちには「意味不明な技」と酷評された。
- PSPゲーム版では飛び上がってから回転落下しつつ突撃する技として描写された。
- 阿修羅砕(あしゅらさい)
- 絞・極・投を全て兼ね備えた三種複合技。反転しながら飛び上がって相手の頸動脈を両手で締め、そのまま首を掴んだまま極め、最後に投げ飛ばして大ダメージを与える。
- PSPゲーム版では、ムービー中にターゲットが表示されないため技の動作のみが再現されている。このため原作を知らないと何をやっているのかわかりにくい。
剣心を討つ為に雪代縁に力を貸し、六人の同志の1人となり、「人誅」の始まりとして前川道場を襲撃。そこで同じく筋肉バカの相楽左之助と打ち合い、自慢の鉄甲に傷を付けられる。同時に「もう無敵じゃない」と指摘されプライドまで傷をつけられた。
その後、同志達と共に神谷道場を奇襲。乙和と共に気球から降り立ち、左之助と対峙する。
当初、左之助は番神に「『復讐(怨み)』を理由とするなら剣心がケリをつけるべき」と考えていた。しかし、上記の動機を聞くや否や剣心に任せる必要はないとして拳を交える。
左之助が持ち出した斬馬刀に対し無敵鉄甲を捨て駒にして攻略すると、一気呵成に攻め立て流れを完全に引き寄せる。しかしどれだけ打っても左之助を倒せず、しかも次第に動きを見切られ始め反撃を入れられるようになる。
そこで三種複合技「阿修羅砕」で大ダメージを与え優位に立つ。
そのまま戦えば左之助を倒せたが、以前に二重の極みで無敵鉄甲に傷をつけられた雪辱の為、敢えて二重の極みを打たせる機会を与える。それを無敵鉄甲で受け止め破った事実を持って、勝利を完全なものにしようとしていた。だが番神の目論見とは裏腹に左右の新・無敵鉄甲を砕かれてしまい、慌てて反撃に出るも両の拳までダメージが伝播。腕の皮膚と血管が破裂してその激痛に怯んだ直後、左之助の頭突きを額に受け敗北した。
勝敗に納得いかなかったが、左之助から「打たれ弱さを鉄甲で誤魔化している奴に何度闘りあっても負ける気はしない」「鉄甲に頼って自惚れる前に、自分そのものを本当に極めてから出直して来な」と告げられる。文字通り返す言葉もなく沈黙し、不本意ながらも敗北と敗因を認めた。
自惚れの強い言動から左之助には「命を懸けて戦ったことはなく、自分より弱い奴としか戦って来なかった」と指摘される。更には剣心と戦わずその左之助に負けた為、噛ませ犬のイメージが強い。
しかしながら劇中の敵では数少ない「防御の技術」に優れている。
又、左之助との戦闘も「打撃技だけでは効果が薄い」と判断するや、首等の急所狙いの極め技を織り混ぜ呼吸がおかしくなる程のダメージを与える事に成功と、戦略眼も決して悪くない(ただし左之助の方もすぐに調子を整えており、勝敗を決した後でもそこまで疲弊した様子はない。呼吸がおかしくなったのもこの時だけである)。
仮に「新・無敵鉄甲対二重の極み」をせず、猛攻に徹していれば勝利を掴めた可能性は決して低くない。
以上の考察から、番神の敗因は「左之助への主人公補正=シナリオの都合」による所が大きく、正当に実力が判断されない、不遇な実力者とも評価が出来るだろう。
但し、番神がここまで左之助を苦戦させたのは、変則ながら洗練された未知の技術体系の無敵流の技で翻弄し、頑丈さに任せて打たせてくれる左之助との相性が嚙み合ったこと、何より左之助が志々雄戦の後遺症で右手を故障してしまい、二重の極みを気軽に撃てる状態ではなかったからのも大きく、仮に左之助が万全の状態だと初戦であっさり敗北していた可能性も高いので、実際の所番神の方がシナリオの都合に助けられている見方も出来る。
また、初戦で鉄甲を砕かれた際は動揺を露わにしており、更に二重の極みの反動で腕を痛めた左之助に追撃どころか素手で砕いたのは無謀だったと煽り、後に訪れた警官隊の銃撃を弾くことで性能を試したりと、まず鉄甲ありきで詰めが甘い。
更に番神が戦ったのが防御が甘い左之助だけなので、ある程度防御がしっかりした相手との相性が不明なせいで無敵流の強さが曖昧な点があり(師匠の辰巳は、いくら消耗していたとはいえ剣を持つ剣心相手に、フットワークと体の末端に絞って堅実に当てていく戦法で素手と言うハンデを埋めていた)、番神は自分の強さをどこまでが自身の力量と無敵流の技術、無敵鉄甲の領分なのか線引きが甘く、敵と戦う戦術眼に反して自分自身を把握する能力は養われていない面が見え隠れしている。
そのため、自身の誇示にこだわりながら、鉄甲に依存しつつ鉄甲と自分の強さが曖昧なことに気付いていないが故の甘さを垣間見せている。
折角シナリオが有利に働いて勝てる可能性があったのに、それ潰したのは番神が二重の極みとの決着に拘った為なので、その点は自業自得であろう。
ちなみに左之助の記事にもあるが、彼は『劣勢からの逆転劇』の様式を実行するのが難しいキャラクターでもあり、穿った見方をすれば事前のアクシデントがないとお約束の流れに持って行けない左之助と、左之助をそう作った作者にも多少の問題がある。
キネマ版だと原作とは違い、無敵装甲(液体金属によるもので原作の無敵鉄甲とは完全に別物)は二重の極みに対して有利に働く代物となっているが、これを腕に使うと液体金属が固まり、殴打しか出来ず、原作のような極め技が使えず、逆に無敵装甲を使ったが為に、左之助に対して有利な攻撃が出来ない状態に陥ってしまう。
結果、左之助が無敵装甲の特性を見切って二重の極みで貫通させる手段を考えつく、時間的余裕を作ってしまった。最後は全身に液体金属を浴びて対抗しようとするが、当然全身が固まって即敗北すると、左之助に「馬鹿扱い」されても仕方がないマヌケ過ぎるオチを迎えた。
るろうに剣心 無敵鉄甲 戦闘狂 脳筋 バンダナ ドレッドヘアー
魚沼宇水:こちらは亀甲の盾による防御に秀でた敵幹部。
GUN・BLAZE・WEST・武装錬金:似たような奴が出てくる。
アドン:色々と共通点を持つ武闘家。
ヒム:同じく主人公の仲間をライバル視する拳闘士。こちらは手甲どころか全身が非常に頑丈。初の激突時には港町の人達を蹂躙し、わざわざ追い打ちをかけている。敗因も似ている。(ただし戦闘スタイルは左之助似である。)
ラルフ・ジョーンズ:デザインや性格のモデルと言われている人物。
風間火月:こちらもデザインや性格が似通っておりモデルと噂されている人物。
幕張:登場作品と同じ掲載誌で連載されていたギャグ漫画。駅で大声で独り言を言っているのを通行人に奇異な目で見られている場面を頭の可哀想な人のイメージとして描写された事がある。
真・大魔王バーン、沢村竜平、ガロニュート:普通に勝てていた戦いにおいて、挑発に乗って奥義を破られたり、遊び心を優先して甚振ったことで反撃を喰らうなど、過信と詰めの甘さが敗因となったキャラ繋がり。ガロニュートに至っては、ライバルの掌で踊らされていた。