「ねぇお母さん 肉って表面は硬いのに、中はこんなに軟らかいんだねェ」(幼少期の台詞)
「次からはもっと殴り甲斐のある肉をくれよ」
「ボクサーの拳が凶器で、訴えれば勝てるってか? じゃあ訴えられないようにしてやるだけだ…」
解説
CV:三木眞一郎
鬼槍留(キャリル)ボクシングジム所属の元プロボクサー。元日本ジュニアライト級チャンピオン、および元日本フェザー級3位。名古屋市出身であることとその名前になぞらえて『尾張の竜』の異名を取った。ちなみにこの異名はボクシングを始める前の不良時代からのもの。身長170cm。最終成績は14戦11勝5KO3敗。
宮田一郎と並んで国内最高のカウンターパンチャーと称される。ハイレベルな攻撃・防御技術や、カウンターパンチを成立させるための戦略を駆使する。鷹村守からは宮田を超える天賦の才だと言わしめている。
幼少時、母を守るために家庭内暴力を振るう義父を刺したが、肝心の守った母から怯えられて養護施設に預けるという形で捨てられてしまう。母に裏切られたことを理解し、中学では手がつけられないほどの悪童となっていた。しかし、唯一教諭であった河辺には心を許していた。人間性は幼少期のトラウマから極めて残忍・凶悪な性格になってしまっており、千堂武士の下にまで名が轟くほどの不良として名を馳せていた。狂気に満ちた目は、千堂ですらゾクリとするほどと評している。千堂とは僅かに拳を交わしただけだったが、河辺の仲介によってプロボクサー同士になってから交流が出来たらしく、千堂の復帰戦のスパークリングパートナーを務めていた。
中学卒業と同時に河辺にジムに連れて行って貰ったことでボクシングを始める。プロデビュー後も問題を起こすことが多く、夜の街でチンピラ狩りを行うのは日常茶飯事、実力のかけ離れた相手をカウンターでなぶりものにするだけでなく、反則技すら当たり前のように用いる。また、勝利の味に対する執着心は凄まじく、ブライアン・ホークとは異なり練習や研究に妥協はない。一歩との対戦前は2度の敗北を喫しているが、そのどちらも反則負けであり、対戦相手はいずれも重傷を負っていた。素行の悪さからジム側から1年の謹慎を申し出たことで、悪名が広まるのを防いでいる。
幕之内一歩の5度目の防衛戦となるタイトルマッチに登場。この時点では11戦9勝4KO2敗。この時に一歩は4枚の挑戦状を受け取っていたが、沢村がカウンターパンチャーとして優れていると知り、仮想宮田として敢えて選んでいる。一歩の4度目の防衛戦相手であった島袋岩男とは西日本新人王2回戦で対戦しており、打たれ強い島袋がわずか4Rの間に2度もダウンを喫する一方的な試合運びをされていたことが描写されている。
一歩との試合では相打ちではない完全なデンプシーロール破りを敢行し、一歩を倒す直前まで行ったが、余裕を見せた結果勝機を逃してしまう。後に鷹村はこの時に攻めていればベルトを取っていたと語っている。その後、復活した一歩からデンプシーロール破り破りを受けて敗北。左眼眼底骨折、肋骨3本、前歯4本が折れるほどの重傷で病院送りにされた。特に眼底骨折は手術が必要なほどの重傷だった。
激闘を経て、尖った性格には若干の変化が見られるようになり、鳶職で働くことになる。対戦した一歩からは悪魔のような強さだったと言われている。
また、ジュニアライト級に階級を上げてからは、凶悪さでは作品中一二を争う間柴了とジュニアライト級タイトルマッチで死闘を演じる。一歩とのタイトルマッチの前日に、間柴の妹である久美を傷つけ、間柴を激怒させていたことから、タイトルマッチの対戦相手に指名される。序盤は高度な技術戦から始まったものの途中からとてもボクシングとは言えない反則だらけの殺し合いの様相を呈し、最後は間柴の決定的な反則(ダウン後のレフェリーによる再開合図前の打撃)により間柴の反則負けで、ジュニアライト級日本王座となる。この際にリングアウトされるほどのパンチを浴びた。後にこの事件は「水道橋の惨劇」と語られている。
ベルトを奪取した昂揚感の中でバイクを運転してそのまま事故を起こし、一命は取り留めたもののボクサーとしては再起不能の重傷を負い、引退となった。顔がフランケンシュタインのようになるなど、更に威圧感が増しているが、言動は少し丸くなっている。引退後は「どつくリスト」の旅に出た千堂と合流し、宮田一郎VSランディ・ボーイJrの世紀の一戦を見学・解説する。現在はトレーナーになっているが、見た目のせいもあって選手が付いて来てくれないのが悩み。
余談だが、引退後に千堂にバイクの運転を任せた際、出発すると同時にバイクがウィリーし、爆発炎上した、結果「あんなに怖いモノだと初めて知った」と発言し、バイクはもう止めると言っている。
ファイトスタイル
普段は構えない。相手のパンチの出鼻に自在にパンチを合わせられる驚異のハンドスピードを誇るためであり、そのハンドスピードによりダメージそのものよりも「何を打っても合わせられる」という恐怖感で相手を追い詰めていく。
一方、相手を強敵と認めた場合、極端な半身のスタンスをとり右手をあごのあたりに、左手を大きく前に突き出す独特の「構え」を取る。そこから、簡単な操作ながら貫通力抜群のコークスクリュー式ジャブ「弾丸(バレット)」、目にもとまらぬ高速の右「閃光(センコー)」でより攻撃的に相手を追い詰めていく。