ヴォルグ・ザンギエフ
ゔぉるぐざんぎえふ
フルネームはアレクサンドル・ヴォルグ・ザンギエフ。
ロシア人。
元日本フェザー級2位、元WBC・WBA世界ジュニアライト級1位、現IBF世界ジュニアライト級王者。
元フェザー級アマチュア世界王者。
リングの上では獰猛なほどの闘争心を見せるが、普段は少し抜けたところのある温厚な心優しい青年で、境遇・性格が似ている一歩と個人的に友情を築く。自信家で負けず嫌いな一面もある。
作中途中からアメリカに渡っているため、あまり出番は多くないが、ファンからの人気は非常に高い。
旧ソ連の貧しい母子家庭に生まれたヴォルグは”母を守れるような強い男になる”ことを胸に秘めボクシングを始めた。名伯楽と言われたルスラン・ラムダの指導の下めきめきと才能を開花し、プロ入りする前からアマチュアボクシングの世界王者に輝いていた。
日本にラムダとともに移住し、期待の輸入新人ボクサーとして音羽ジムと契約。なお、作中世界は1990年代という設定で、まだソ連が崩壊してから間もない時期のため、ソ連を「今は亡き祖国」と呼んでいる。
アマ時代の戦績は200戦にも上り、その豊富な戦闘経験からプロ入り後も快進撃を続けたが、A級ボクサー賞金トーナメント決勝戦にて一歩と対戦した際、スタミナ切れを狙った戦法にはまり逆転KO負けを喫した。
その後伊達英二が返上したフェザー級日本王者の座を巡って千堂武士と対戦するも、審判のホームタウンディシジョン(いわゆる地元びいき)ともとれる判定によって判定負けとなった。
二連敗という結果で商品価値がなくなったため、音羽ジムとの契約は解消となり、ロシアに帰国したが、最愛の母と死別したことを契機にボクシング界に復帰を決意。日本の一歩を頼りに来日し、鴨川ジムにて再起のための練習に明け暮れた。後に鴨川の旧知のトレーナーである浜団吉を頼ってアメリカに移住し、瞬く間に勝ち進んでWBA・WBC・IBFの三団体で世界ランキング1位を獲得する。しかしその強さからチャンピオン・プロモーター側から敬遠され続け、暫くは"無冠の帝王"と呼ばれる日々を過ごしていた。
そんな折、防衛戦の相手が急遽負傷辞退する事になり、対戦相手がいなくなった当時のIBFジュニアライト級世界チャンピオンであるマイク・エリオット陣営から代理選手として試合の申込を受ける。僅か1週間の調整期間という無茶苦茶な状況ながら、舞い込んできたチャンスをものにするために承諾。タイトルマッチでは、調整不足の差を覆すため初手から『白い牙』で倒しに行くも万全の対策をされていてカウンターで窮地に陥りながら、飛燕で立て直して超高度な技術戦に持ち込み、隠し球の燕返しからの『白い牙』でダウンを取り返したものの、相手セコンドの(チャンピオンを無視した)審判の買収行為という想定外のアクシデントに見舞われながらも、執念の殴り合いの末に勝利。念願の栄光を勝ち取った。
世界でも屈指の洗練された技術を持ったボクサーである。加えて「野生」と形容されるほどの獰猛なファイティングスタイルも武器であり、相手に半端ではない威圧感を与えている。
日本ランキングにいた時代はアウトボクシングを使いつつもインファイトを主体に戦っていたが、これは日本に来る際に急ピッチでインファイターとして改造したもの。(アウトボクシングは玄人好みになりやすく集客力に難ありとされるので、派手なKOを取りに行くため、客寄せの意味でインパクトのあるインファイターとなっていた。)その状態でも地力で言えば一歩を完全に上回っていた。
本領はアウトボクシング寄りの万能型ボクサーであり、もし日本でもそのスタイルを維持していた場合、あの伊達英二にすら勝利していたかもしれないと鴨川会長は評している。渡米前の一歩とのスパーリングでは長期間のブランクがあるにもかかわらず、スタミナ切れを起こすまでは本来のスタイルで一歩を圧倒していた。
得意技は左アッパーとチョッピング・ライトを高速でたたき付けるコンビネーション「白い牙(ホワイトファング)」。ほぼ同時とすら言える上下の連携は、鴨川会長をして「見たことがない」と言わしめる。
浜団吉に師事して以降は団吉考案のパンチである軌道を変化させる変則ジャブ「飛燕」と、通常+拳を縦に立てて放ち相手のガードをすり抜けるダブルアッパー「燕返し」もマスターした。(この2つはタイトルマッチまでは「使うほど苦戦した事が無かった」という事で秘密兵器的なものになっていた。)
数少ない弱点としてスタミナに難があり、優勢に試合を進めてもそこを突かれ、窮地に立たされることもしばしば。
他にもまだ実戦での習熟度が完全でないため(そもそも事前の調整期間が得られずにマッチメイクされたせいもあるが)か、飛燕・燕返しを打ち込む際に軸足を深く入れる癖があり、タイトルマッチではそこを見抜かれて反撃を受けたこともある。
そして何より、環境に恵まれていないために完成する前に強者とのマッチされてしまうこと(ただし、逆境ばかりのため、メンタルの磨きは作中屈指)。
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