概要
実写映画『るろうに剣心』の公開に際し、ジャンプSQで原作者の和月伸宏自身が書き下ろしたセルフリメイク漫画。上下巻で刊行されてあり、上巻には本家版のプロローグである「第零幕」が収録されている(ちなみにこの第零幕は当時既に完結していた「GUN・BLAZE・WEST」「武装錬金」や連載中の「エンバーミング」などに繋がる要素も見受けられ、新アニメ版にて初めて映像化する事となった)。
内容は東京編を題材としているが、映画の忠実なコミカライズではなく、和月が提出した脚本の没案(その草案は「30週打ち切りになった場合」を想定して執筆していた連載初期のプロット)をリメイクしたものになっているため、映画や本家版とは設定が大きく異なる。
単行本化された際に、「特筆版」と改題されている。
主な登場人物及び本家との差異
るろうに剣心完全版のカバー裏に掲載されていた再筆の設定が反映されたキャラが多い。
神谷道場
- 緋村剣心:白いマフラーを巻いているのが特徴。飛天御剣流はわざと技名の表記を原作から変えている他、天翔龍閃が九頭龍閃より格下にされ、呼称のしかたも逆になっているなど設定も異なる。
- 抜刀斎:頬の十字傷が黒ベタになっているのが特徴。
- 神谷薫:本家版よりお淑やかで大人っぽくなっている。
- 明神弥彦:本作においては観柳の元小間使いだったが、剣心に味方する。容姿が再筆寄り。
- 相楽左之助:観柳に雇われ、くじ引きの結果「1」を引き真っ先に剣心に挑む。既に諏訪山中で謎の僧侶と出会っているため、二重の極みを最初から使える(しかも左手でも使える)。したがって斬馬刀は登場しない。最初は観柳配下として登場する。
- 高荷恵:観柳とは全く無関係でほとんどカメオ出演(一緒に浦村署長も登場)。映画では最重要人物だったんだけどなあ…。
- 三条燕:弥彦の幼馴染に設定変更。
- その他関係者:剣心は既に奥義を会得している(喧嘩別れする前に会得した?)が、剣心の師匠は存命である事が剣心の口から明かされている。また、かつて剣心にとって一番大切だった人は幕末の動乱の中で失くしてしまったと剣心が回想している。左之助が尊敬している人は左之助の回想で後ろ姿だけ登場。
明治政府
- 斎藤一:制服のデザインが当時の時代に沿ったものに変更され、刀の鎺にお馴染みである彼の信念が彫り込まれている。観柳に雇われたフリをして潜入捜査を行い、終盤では外印と戦う。幕末時代から紙巻のタバコ(舶来品で、『赤べこ』の前身『赤鼈甲』で売られていた品)を愛飲しているが、抜刀斎にスパスパ斬られて怒るなど原作では見られない一面も。
観柳一派
- 武田観柳:キチガイ。本家版以上に変態じみたキャラクターになっている。実写版の香川照之氏の演技の影響を受けた結果、弾けたとの事。第1話で悪事を剣心に暴かれ警察に捕えられるが、賄賂を積んで仮出獄。神谷道場を手に入れるために権謀術数を展開する。そして「金の力」を思いっきり履き違えている。
- 鵜堂刃衛:もっとキチガイ。再筆の設定が一部反映された結果、手の穴に直接刃を挿して戦い、本家版以上に狂気じみた変態に(しかし作者に言わせれば「最初から自分の意志を以て剣心に挑む分、原作より狂気の度合いが低い」「原作が完全で究極」との事)。ちなみに作者は実写でもこれをやってくれと頼んだら「エグ過ぎて無理です」と却下された。残当。
- 闇乃武:本家ではとっくに死んでるがどういうわけか登場。左之助が負けた後に剣心に戦いを挑もうとするがあっさり刃衛に殺された。
- 戌亥番神:本家より更にバカ。闇乃武とは無関係の模様。再筆版の設定が反映された結果、液体金属に手を突っ込んで敵を殴り倒す。
- 外印:本作では本家版と違い再筆版準拠のイケメンの暗器使い(元隠密御庭番衆「黒子」)となっている。番神と共に神谷道場を襲撃する。ヘタレ。ちなみに御庭番衆の皆様も1コマだけ登場している。
- 石動雷十太:再筆版のデザインで偽抜刀斎として登場。名前が出てこないので知らない人はまず気付かない。
- その他関係者:斎藤の口から「反政府派武装勢力」「大陸系犯罪結社」が語られている。