プロフィール
経歴
歌舞伎役者であった父と、女優の母の元に生まれる。両親が1968年(香川が3歳のとき)に離婚し、母に引き取られた。
大学卒業後、特にやりたいこともなかったため、「親の七光りを利用しない手はない」と半ば消去法的に俳優の道に進む。デビュー後はテレビドラマを中心に活動。2000年代からは映画にも多数出演するようになり、『半沢直樹』の大和田暁や『カイジ』の利根川幸雄を筆頭に、悪役やクセの強い人物を演じる俳優として独特の存在感を発揮した。
2011年に突如市川中車を襲名して、歌舞伎界に進出することを発表した。長年確執のあった父との和解や、息子の政明(五代目市川團子)の誕生などがきっかけとなったとしている。
2012年6月の「六月大歌舞伎」で、歌舞伎役者としての初舞台を踏む。以降は、テレビや映画では「香川照之」、歌舞伎の舞台では「市川中車」と名義を分けて活動している。
なお、本来であれば歌舞伎の世界は襲名制のため、本名での活動は認められていないが、香川については経歴や家庭の事情、また、俳優としてすでに十分な知名度があることなどを考慮して特別に使い分けることを許可されているという。
私生活では、1995年に結婚。團子を含む一男一女に恵まれたが2016年に離婚。その後、2022年に年下の女性と再婚し、一男を設けていたことが2023年8月に公表された。
従兄弟の四代目市川猿之助とは、普段やテレビなどの現場では、香川が年上で先輩ということから猿之助が敬語を使っているが、歌舞伎の現場では猿之助の方が先輩のため香川が敬語を使っている。
2024年4月、前月の名題試験審査に合格し名題適任証を授与された。名題について簡単に説明すると、江戸時代の歌舞伎の役者名入りの広告看板(名題看板)に由来する、一定以上の役者に与えられる地位のことである(平たく言えば日本舞踊等の名取や、落語の真打などに近い)。即ちこれにより事実上一人前の歌舞伎役者として認められた形となる(いわゆる「梨園」に属する幹部クラスの役者はその大半が名題または名題資格保有者である、なお披露を行わなければ正式な名題とはならないが、元から役付で優位な幹部クラスではあまり関係無いとされる)。
主な出演作
映画
- 『静かなるドン』 近藤静也
- 『鬼が来た!』 花屋小三郎
- 『フリック』 村田一夫
- 『鉄人28号』 宅見零児
- 『嫌われ松子の一生』 川尻紀夫
- 『キサラギ』 イチゴ娘
- 『HERO』 黛雄作
- 『ザ・マジックアワー』 江桐潤
- 『20世紀少年』 ヨシツネ
- 『トウキョウソナタ』 佐々木竜平
- 『カイジ』シリーズ 利根川幸雄
- 『沈まぬ太陽』 八木和夫
- 『ゴールデンスランバー』 佐々木一太郎
- 『SP THE MOTION PICTURE』 伊達國雄
- 『あしたのジョー』 丹下段平
- 『るろうに剣心』 武田観柳
- 『鍵泥棒のメソッド』 コンドウ/山崎信一郎
- 『クリーピー偽りの隣人』 西野
- 『七つの会議』 北川誠
テレビドラマ
- 『春日局』 小早川秀秋
- 『渡る世間は鬼ばかり』 遠山昌之
- 『八代将軍吉宗』 松平武元
- 『葵徳川三代』 宇喜多秀家
- 『利家とまつ』 豊臣秀吉
- 『彼女が死んじゃった。』 吉川良夫
- 『天花』 佐藤信夫
- 『アンフェア』 佐藤和夫
- 『功名が辻』 六平太
- 『坂の上の雲』 正岡子規
- 『新参者』 田倉慎一
- 『龍馬伝』 岩崎弥太郎
- 『南極大陸』 星野英太郎
- 『ダブルフェイス』 高山亮介
- 『半沢直樹』 大和田暁
- 『MOZU』 大杉良太
- 『流星ワゴン』 永田忠雄
- 『99.9-刑事専門弁護士-』 佐田篤弘
- 『小さな巨人』 小野田義信
- 『日本沈没-希望のひと-』 田所雄介
- 『六本木クラス』 長屋茂
劇場版アニメ
- 『ゲド戦記』 ウサギ
- 『コクリコ坂から』 徳丸理事長
- 『ONE PIECE FILM Z』 ビンズ
- 『ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021』 ギルモア
昆虫を熱く語る香川照之
2016年10月10日にNHK Eテレで、彼がカマキリの着ぐるみを着て昆虫を熱く語る番組「香川照之の昆虫すごいぜ!」が放送され反響を呼んだ。
それは今年5月のことだった。俳優・香川照之はTBSの『櫻井・有吉THE夜会』に出演し、熱い思いを訴えた。「Eテレで昆虫番組をやりたい!!」
さっそく香川に会いに行くと、香川は専門家顔負けの知識とディテールあふれる昆虫体験をもつ“超”がつくほどの昆虫マニアだった。「自分は単に昆虫の変な生態が好きなんじゃないんです!本能のままにまっすぐに生きる昆虫の姿に生の本質を見るんです!」香川の熱い語りは止まらない。「ケータイまみれで時に自分を偽って生きねばならない子どもたちや、軟弱になったとか草食系とか言われる男子たちにそんな昆虫の姿を見せたい。自分はいつも昆虫から生きるヒントをもらっています。」…Eテレはそんな香川に、着ぐるみで昆虫のすごさと面白さを伝える番組を依頼した。(NHKのサイトより引用)
なんと、カマキリの着ぐるみに身を包み昆虫を熱く語る彼の姿が公共放送に現れたのである。
チョアー!!
様々なインパクトある役柄を演じてきた彼だったが、まさかのNHKからのオファー・・・今回はNHKの本気に乗り攻めてきたのだった。カマキリとして。
そして番組では・・・
「草むらを見るとムラムラする」
「私はカマキリ!しかもメスだ!今日はお母さんと呼びなさい!」
「チョアー!」
「俳優生活 苦節28年」「本当にやりたかった仕事!」
スタッフ「香川さん休憩は」→香川「カマキリに休憩はない!」
・・・と、まさに攻めの名言(迷言?)まで飛び出す始末。
そして視聴者からは、「どうしてこうなった」「香川さん攻めすぎw」「香川照之の今後が不安になる番組」と反響を呼ぶのであった。
これがきっかけで、「キンチョール」のCMのオファーがきたという。
昆虫好きは生物学界隈の耳にも轟いており、カマキリに似た特徴を持つ古代種の昆虫に「クジベローサ・テルユキイ」という名前が付けられ、後の仮面ライダーゼロワン第1話の怪人ベローサマギアのモチーフにもなった。
そして、彼は昆虫と同じぐらい昭和ウルトラシリーズの大ファンである。「香川照之の昆虫すごいぜ!」では昆虫の話題そっちのけでウルトラセブンの話題にシフトしたり、クビキリギスをメトロン星人みたいな顔と例えたり、クマバチの飛行を「マットジャイロ」のようだと関心したりとそのトークは留まることを知らない。
2022年4月からは自ら執筆した絵本を原作としたアニメ『インセクトランド』が放送開始した。が・・・
不祥事
2022年8月24日、週刊新潮によって、3年前の2019年7月に銀座のクラブでホステスに対して性加害に及び、被害女性がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患っていたと報じられた。
よりにもよって、当該事件が報じられた時に使われた事件発生時の写真は「サイコパス的な役を演じる事が多い俳優が、サイコパス的な笑みを浮かべて、サイコパス的な行為を行なっているように見える」という色々と洒落にならないものだった。
翌日の25日、所属事務所がコメントを発表。「本人の至らなさで当該女性に不快の念を与えてしまったことは事実です。ご指摘いただいたことを本人は深く反省し、今現在も自らの戒めとしております。」と事実関係を認めた。そして、「お相手の方には、本人から深い反省と謝罪の気持ちをお伝えし、ご理解とお許しをいただいております。この度のご報告の文面も、あらためてお相手の方のご了承を得て発信させていただいている次第です。」と相手女性と既に話し合いが行われ、示談が成立していることもコメントした。
その影響はすぐさま起こっており、トヨタ自動車は出演中のCMの契約更新をしないこととCMの放映中断を発表。それに続き、金曜日にMCを担当しているTBS系列の朝の情報番組「THETIME,」も降板を発表、アリナミン製薬も出演中のCMの契約更新をしないこととCMの放映中断を発表した。さらに、10月期の日曜劇場『アトムの童』への出演予定も白紙となり、既に撮影した部分についてはオダギリジョーを代役に立てて再度撮り直すことが明らかとなった。『インセクトランド』も22話をもって放送中断となった。同じく性的加害が発覚し無期限活動休止を発表した木下ほうかはもっぱら悪役役者として活動していたのに対し、香川は悪役ではない脇役や主役も演じ文化人としても活躍していたので、イメージ的な傷はより深いと思われる。
ただし、歌手の美川憲一は香川がやった事はよくないとしつつも、銀座という世界のお店がスキャンダルをマスコミに売るような事は銀座の夜のお店としては信用を失う可能性と、香川は何者かによってスキャンダルとして嵌められた可能性を指摘していた。
現在は地上波・映画等の場から去り、あくまで「歌舞伎俳優・市川中車」としての活動を主としている。