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半沢直樹

はんざわなおき

池井戸潤による企業エンターテインメント小説のシリーズ名、及びその主人公。
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「やられたら、やり返す。倍返しだ!」


概要編集

小説家池井戸潤が原作を書いているエンターテイメントシリーズ。

元々は小説第一作目のオレたちバブル入行組から取って、オレバブシリーズと呼ばれていたが、後述するドラマ化の影響でシリーズ名が変更され、半沢直樹シリーズと呼称される。


内容としては、銀行員である半沢直樹が上司に理不尽な仕事を押し付けられ、それを乗り越えて出世する。と言うのが大きなパターンとなる。

ドラマ版は2013年に第一期が、2020年に第二期が制作された。


小説(原作)編集

池井戸潤による企業エンターテインメント小説シリーズ。

までが単行本化されているほか、2020年9月17日に第5作『アルルカンと道化師』が講談社より刊行された。


テレビドラマ編集

『半沢直樹』にタイトルを改題し、2013年7月7日よりTBS系日曜劇場」枠にて放送。

主演は堺雅人

バブル期に大手都市銀行「産業中央銀行」に入行した銀行員、半沢直樹が産業中央銀行が「東京第一銀行」と合併して誕生したメガバンク「東京中央銀行」において銀行内外の人間や組織による数々の圧力や逆境と戦う姿を描き、『オレたちバブル入行組』をベースとする第一部と、『オレたち花のバブル組』をベースとする第二部の前後編二部構成となっている。

キャッチコピーは「クソ上司め、覚えていやがれ!」


「倍返し」が2013年の流行語大賞を受賞する程の人気を博し、シーズン2の制作が期待されたが、主演の堺が2016年NHK大河ドラマ真田丸」にて主役の真田幸村を演じるためスケジュール調整がつかないなど、諸々の事情によりしばらく間が空く事になる。


そして2019年5月、翌2020年4月からの続編放送が正式発表。2020年1月3日には本作の前日談となる「半沢直樹イヤー記念・エピソードゼロ」が放送された。

COVID-19の影響で撮影が遅れたため4月開始が延期され、原作者が同じ「下町ロケット」の総集編などに差し変わり、放送開始は7月19日までずれ込んだが、『ロスジェネの逆襲』と『銀翼のイカロス』をベースとした第二期が開始された。

2020年9月6日に放送を予定していた第8話は、新型肺炎(COVID-19)の影響による撮影の遅れのため急遽休止し、9月6日は代替番組として「半沢直樹」のキャスト・スタッフによる異例の“1時間の生放送トークバラエティー『生放送!!半沢直樹の恩返し』”に差し替えられた。


余談になるが第二期では下町ロケットで重要な役割を果たした企業「帝国重工」の名が出たりするなど、下町ロケットを知っているファンが思わずニヤリとするようなファンサービスが用意されている。


ストーリー(2013年版)編集

第一部編集

2002年に産業中央銀行東京第一銀行と合併して、世界第三位のメガバンクとなった東京中央銀行で働く、旧産業中央出身で大阪西支店融資課課長の半沢直樹は「上を目指す」と公言する有能な銀行マン。

彼がバンカーとして頭取を目指すことには、ある理由があった。かつて、両親の経営する工場が傾いた際、産業中央銀行が融資を引き揚げたがために、父親が自殺をした過去を持つ半沢は、その産業中央銀行に入行してのし上がり、銀行を変えてみせるという決意を持っていたのである。


ある日、半沢の勤める大阪西支店に、西大阪スチールという年収50億の大手企業への融資話が持ちかけられる。半沢は警戒したが、支店長・浅野の鶴の一声で「無担保で5億の融資」が決まり、大阪西支店は最優良店舗に選ばれた。しかし、半沢が懸念したように、粉飾決算で騙され西大阪スチールは倒産してしまい、融資金5億円の回収が困難な事態に陥る。同期入社で東京本店で勤務している情報通と同時に、親友の渡真利から、支店長は本店上層部に根回しを行い、半沢に全ての責任を負わせることで、事態を穏便に終わらせようと画策している事を知らされる。1週間後の聞き取り調査までに、雲隠れした元社長・東田を見つけないと、半沢は地方へ島流しにされてしまう。


そして、本店での聞き取り調査の日…。

支店長の息のかかった人事部長・小木曾らに責任を追及される直樹は、葛藤の末にケンカ腰で応対したあげく、啖呵を切って言い放つ。


「私は必ず、5億を回収する!二度と邪魔をしないで頂きたい!!」


第二部編集

西大阪スチールの案件での活躍により、半沢が東京本部の営業第二部次長に栄転して約1年。半沢は数十人の部下達を現場で取り仕切りながら、営業第二部のエースとして最前線で活躍していた。


ある日、200億円の融資をしていた伊勢島ホテルが運用失敗により、120億円の損失を出したことが判明する。海外渡航中だった伊勢島ホテル社長の湯浅は、かつて自分が勤務していたホテルの経営再建を担当していた半沢に白羽の矢を立て、中野渡頭取を介して半沢に今回の損失補填とホテルの経営再建を依頼した。この仕事は、金融庁監査を二週間後に控えていた東京中央銀行にとって非常に重要な案件であり、もし200億円を回収できなければ、金融庁からの命令で1000億円以上の莫大な保証金を収める事になり、それによる信用失墜から起きる株価暴落で銀行の破綻と頭取の解任を招く可能性があった。


しかし、200億円を回収すると伊勢島ホテルは経営破綻することが予想されるため、取締役会にて200億円の回収は諦め、伊勢島ホテルの経営再建のみで、金融庁検査を乗り切る決断をする。しかし、運用損失を出した伊勢島ホテル専務の羽根は、なぜか東京中央銀行へ非協力的であり、不正を告発した経理課長の戸越を解雇し、社長をも追放してトップの座を奪おうと暗躍していた。一方、帰国した湯浅は直樹と面会し、経営改善と戸越の復職を約束する。


そんな中、戸越の東京中央銀行へのリークを揉み消したのが、京橋支店支店長の貝瀬であることが判明し、京橋支店の歴代の支店長には、大和田常務と側近の岸川といった旧産業中央派が歴任していた。不正の疑いの濃い大和田に対して、半沢はバンカーの誇りを持って言い放つ。


「私は担当として、どんな事をしてでも伊勢島ホテルを守ります!」


ストーリー(2020年版)編集

エピソードゼロ〜狙われた半沢直樹のパスワード〜編集

半沢が出向した東京中央銀行の子会社、東京セントラル証券では、証券取引システムの大規模リニューアルを行うためのコンペが実施され、新興IT企業スパイラルと実績があるワールドビッグデータが共同でシステムの開発を行うことになった。


この開発が成功すれば数億の売上に繋がるスパイラルでは、手際よくトラブルの処理をした実績のある新人プログラマーの高坂圭がプロジェクトリーダーに抜擢される。

高坂は東京セントラル証券の担当である城崎勝也や浜村瞳らと折衝を重ねシステム導入までこぎつけるが、暫くしてセントラル証券で旧型システムへのブルートフォースアタックによる不正アクセスが発生し、スパイラルでは共有クラウド上にトロイの木馬が仕掛けられる。

立て続けに外部からのシステム攻撃を受けたある日、浜村が身に覚えのないインサイダー取引を行ったとして謹慎処分を課せられる。

そんな中で迎えたシステム移行日当日、新システム稼働のデモンストレーションにおいて使用した直樹のパスワードが、何者かのハッキングにより盗み出され、顧客口座から300億円が不正送金される事件が発生する。


第一部編集

東京中央銀行内での数々の不正を明らかにするも、子会社である東京セントラル証券へ営業企画部長として出向を命じられた半沢は、その処遇に腐ることなく部長として毅然とした態度で仕事に邁進していた。


ある日、東京セントラル証券は大手IT企業である電脳雑伎集団から新興IT企業スパイラルの買収に関するアドバイザー業務を委託される。株式取得に掛かる費用は1500億円以上と見積もられており、東京セントラル証券にとってかつてない大型案件であるが、敵対的買収になることは明らかであり、半沢は電脳が巨額買収に経験の浅いセントラル証券に買収業務を委託したことを不審に感じる。


セントラル証券では半沢の部下で東京中央銀行からの出向者である諸田祥一が、買収プロジェクトチームを編成してスパイラル買収のスキームを練らせる。

それまで電脳の営業担当であったプロパー社員の森山雅弘は経験不足を理由にチームから外され納得がいかなかったが、買収スキームは一向にまとまらず、ようやく決定した内容を報告しに電脳へ赴くも、電脳社長の平山一正から返答が遅れたことを理由に契約破棄を突き付けられる。


電脳の一方的な契約破棄に森山は食らいつき、独自に準備していた買収スキームの提案に赴くが、その際に図らずも電脳の財務担当の玉置克夫との会話から電脳がスパイラルの買収案件のアドバイザーを他社へ乗り換えた事実を知る。

半沢はこれまでの電脳の不可解な言動から、買収契約を横取りしたのは親会社である東京中央銀行ではないかと疑念を抱くが、それはセントラル証券内部に電脳による巨額買収の情報をリークした人物がいるということを意味していた。


そして半沢の仕掛けた策略により、諸田が銀行への復帰を見返りに東京中央銀行証券営業部・部長の伊佐山泰二に電脳との買収契約の情報をリークし、東京中央銀行が強引に子会社のセントラル証券の仕事を横取りしていた事実を掴むが、あと一歩のところで伊佐山の息のかかったシステム部の行員により証拠となる情報リークのメールをサーバーから削除されてしまう。

証拠を揉み消し勝ち誇った顔をする黒幕の伊佐山に対し、半沢は啖呵を切って言い放つ。


「私はこのまま終わらせるつもりはありません。この借りは、必ず返します!」


第二部編集

スパイラル買収をめぐり、電脳雑伎集団の粉飾を突き止め、不良債権となる恐れのあった500億円の追加融資を阻止し銀行を救った半沢は、東京中央銀行本部・営業第二部次長に復帰し、着任早々、大和田からの推薦で経営破綻寸前の大手航空会社・帝国航空の再建という困難な超大型案件を中野渡頭取から任される。

時を同じくしてニューヨーク支店から本部に復帰した紀本平八が債権管理担当常務に就任し、直樹は紀本の管轄の元、帝国航空の再建に取り組むこととなる。

直樹は早速帝国航空に赴くが、社長の神谷巌夫以下経営陣は公共交通機関として利益よりも路線を維持する社会的意義を尊重し、前任の再建担当である審査部次長の曽根崎雄也もその考えに同調しており、経営危機への危機感が希薄であった。

直樹は経営陣に毅然とした態度で赤字路線の撤廃、リストラなどの抜本的な改革を訴える中、支持率が低迷する進政党・的場一郎内閣が内閣改造を行い、サプライズ人事として元アナウンサーの女性議員・白井亜希子が国土交通大臣に任命される。

白井は目玉政策として帝国航空の改革を挙げ、再生タスクフォースの立ち上げと銀行への債権放棄の検討を発表。帝国航空に700億円の債権を保有する東京中央銀行もその7割に当たる500億円もの債権を放棄せねばならず、半沢は大和田から政策実行前に帝国航空を再建し、債権を回収するよう命じられる。


政府からの理不尽な要求をはねつける為、半沢は帝国航空のメインバンクである開発投資銀行との共闘による債権放棄の拒否を目指し、帝国航空の再建案を立案する。

途中、架空請求で資金を横領していた東京中央銀行から帝国航空への出向者・永田宏から妨害を受けるがそれを乗り越え、OBをはじめとする帝国航空からの再建案の支持を取り付け、開投銀で帝国航空を担当するの谷川幸代との共闘の道に一縷の望みを繋ぐ。

その後、直樹は再建タスクフォースリーダーの弁護士・乃原正太との面談で「企業再生ノウハウのない銀行は、黙ってタスクフォースに任せておけばいい」と「国民の総意」を根拠に高圧的な態度で債権放棄を迫られるが、横暴な政府の要請には「法的根拠」がないと論破し放棄を拒否する旨を伝える。


しかし、政府に楯突く半沢に圧力をかけるため、白井は進政党幹事長・箕部啓治に依頼し金融庁に圧力をかけ帝国航空再建計画の与信判断を実施させ、自らは大臣の権限を用い帝国航空の整備士の受け入れ先であったスカイホープ航空の新規路線認可を却下するなど、敵対行為を繰り返す。政府の脅威を感じる中、中野渡は銀行として進むべき正しい道を判断し、前の追加融資150億円を通すため説明に虚偽があったことを金融庁に報告し、業務改善命令を受け入れ謝罪する。

それは直樹や東京中央銀行のバンカー全員にとって屈辱的な瞬間であった。

業務改善命令受け入れの報道を見て、半沢は傲慢な政府に怒り心頭に発し言い放つ。


「俺は必ず帝国航空を再建してみせる。やられたらやり返す、倍返しだ!」


主な登場人物編集

半沢家編集

半沢直樹

半沢直樹堺雅人、中島凱斗(少年期)

本作の主人公。東京中央銀行 営業第二部 次長。東京セントラル証券へ出向していた際、スパイラルの買収を目論んでいた電脳雑伎集団の粉飾を暴いた功績が認められ、本店の営業第二部・次長へと復帰した。辞令を受けて早々、巨額の負債を抱えている帝国航空の再建を、頭取直々に託される。


上戸彩

半沢花/上戸彩

直樹の妻。専業主婦。

夫を家庭面で支える良妻で、直樹が唯一頭が上がらない人物である。

思ったことをすぐ口にするが、その口うるささが直樹の心の救いとなっている。時々近所との井戸端会議で直樹に役立つ情報を仕入れ、仕事面でも直樹を支える事も。元はフラワーアレンジメントの仕事をしていたが、夫を支えるため諦めている。


半沢慎之助/笑福亭鶴瓶

直樹の父。半沢ネジ工場の社長。故人(ドラマオリジナルの設定。原作では健在)。

直樹の人生に大きな影響を与えた人物。直樹が中学生の時、工場が得意先の倒産による煽りを受けて倒産の危機に陥り、頼りにしていた産業中央銀行の融資も当時の担当だった大和田により拒否され、追い詰められた末に首吊り自殺した。商売で人間関係を非常に重んじており、直樹にも常日頃から「ロボットみたいな仕事はするな」と教えていた。


主人公の同期編集

結局いい人だった渡真利さん

渡真利忍/及川光博

東京中央銀行東京本部融資部調査役→東京本部融資部企画グループ次長。

直樹と同じ慶應義塾大学出身で、入行当時はプロジェクト・ファイナンス志望だった。

「人事が全て」と公言するほど、人事を重要視している情報通で、本部から情報提供や働きかけにより直樹のサポートをしたり、行内の動向や情報をちょくちょく教えている。

近藤が半沢と自分を裏切って、大和田との取引に応じたことを知った当初は、時折嫌悪感を示していたが、半沢から「お前も近藤も、俺にとっては一生大事な同期の友だ」と聞かされてからは考えを改め、負い目を感じながら銀行に戻ってきた近藤を、直樹と共に笑顔で出迎えた。


半沢直樹〜タミヤ電機の近藤さん

近藤直弼/滝藤賢一

東京中央銀行大阪本店システム課→東京本部人事部扱い→タミヤ電機へ経理課長として出向→東京本部広報部→東京本部広報部次長。

慶応義塾大学商学部出身で、直樹とは大学時代からの剣道仲間。

元は同期3人の中で最速で出世街道を走っていたが、上司のパワハラにより心を病み休職してしまった。この休職がきっかけで出世街道から窓際に転落し、マイホームも手放し家族諸共転勤する羽目になる。出向先でも当初は銀行の融資を得るための道具として扱われ、再び精神を病みそうになったが、直樹との剣道の手合わせなどを通じ本来の自分を取り戻し、職場での自分の地位を確立に成功した。しかし、やっと安住の地を見つけたと思ったのもつかの間、今度は業務の過程で会社の粉飾に気付いてしまい、会社の浄化のため社長や部下の経理課長と対立する事になる。このため、一時は会社中から疎まれた挙げ句、別の会社へ出向させられる危機を迎えたが、粘り強く社長と経理課長を説得させた末、本部の大和田常務指導による迂回融資を突き止めて会社の浄化に成功し、大和田と対決中だった直樹に大和田への強力な攻撃材料を与える事になった。だが、今度はそれを阻止しようとする大和田の「本部復帰を条件に迂回融資に関するタミヤ電機社長の証言などの資料を破棄する」という提案に家族などの事を考えた末に受け入れてしまい、資料を大和田に渡してしまった。翌日、近藤は直樹に泣いて詫び、直樹達も家族の事を考えた行動に理解を示し近藤を許した。

その後は大和田の失脚を狙う直樹と渡真利と共に大和田を攻撃する資料集めに奔走する。

しかし、続編では、シンガポールに長期出張中で日本国内を離れている。


東京中央銀行東京本部編集

中野渡謙北大路欣也

頭取。

東京中央銀行 頭取。“人”を大事にし、いまだ派閥意識がはびこる行内で“行内融和”を目指し尽力している。

半沢の仕事ぶりにも目をかけ、高く評価し信頼しているからこそ、銀行の命運をかけた難しい案件を半沢に任せてきた。そしてこの度、営業二部次長へ戻ってきた半沢に、行内の肝いり案件である帝国航空の再建を託した。


大和田常務

大和田暁香川照之

常務取締役→取締役。

半沢に不正を暴かれバンカー生命を絶たれそうになるが、平取締役への降格という軽い処分で済んだ後中野渡頭取派へと華麗に鞍替えし、行内融和を掲げる中野渡を盛り立てる形で銀行に居残った。

行内最年少で常務に抜擢されるほどの切れ者で、駆け引きや人心掌握術に長けている一方、自分の意に反する部下は容赦なく切り捨てるドライな性格。

東京中央銀行へと戻った半沢を帝国航空再建の担当者に推薦する。


岸川慎吾/森田順平

取締役業務統括部長→出向

産業中央銀行出身の大和田派筆頭格で、大和田が取り巻きを連れて現れるシーンではほぼ必ず大和田の横を歩いている。大和田の不正に加担させられたうえ、娘が黒崎検査官と結婚することが決まり、黒崎から情報提供を求められ、良心の呵責に苦しんでいた。そこに結婚の話を嗅ぎ付けた半沢に、取締役会で大和田の不正を証言するよう要請された。

そして、取締役会当日。大和田の不正を追及した半沢の報告書の事実を認め、結果大和田の詰め腹を切らされる形で出向させられる羽目となった。


小木曽

小木曽忠生緋田康人

人事部次長。

浅野の元部下で、浅野による直樹への損失責任転嫁も見て見ぬふりをし、それどころか東京本部に呼びつけ直樹を半ば脅すように追及した。性格はかなり劣悪であり、刃向かう者には大声での叱責や机を強く叩きながら叱り続けるなど、かなりの粘着質である。直樹の同期である近藤にパワハラを行い心の病に陥れた張本人である。大阪西支店への抜き打ち調査(裁量臨店)を浅野と画策し、融資の不備により直樹が左遷されるよう支店の倉庫から重要資料を盗み出すなどしたが、裁量臨店最終日にそれが明らかになり、自身が出向する事となった。


証券営業部編集

伊佐山泰二市川猿之助

証券営業部長。周囲から「大和田の愛弟子」と呼ばれており、いずれ頭取にまで出世し自分を引き上げてくれると期待を寄せていた大和田を失脚させた半沢に恨みを抱き、彼を敵対視する。

それ以来彼に対して大人気ない嫌がらせや煽り立てる発言を繰り返し、半沢を潰そうと画策するなど、その憎悪と敵愾心は最早異常の領域に達している。

伊佐山の右腕の野崎三男はかつてロンドンで企業買収を手掛けており、その分野では国内屈指のバンカーである。


三笠洋一郎/古田新太

副頭取で反中野渡派の筆頭格、証券営業部長を務めた証券部門出身者。

反中野渡派の筆頭格で、頭取派に鞍替えした大和田にも強い対抗心を燃やし、虎視眈々と中野渡頭取の失脚を狙っている。

伊佐山が大和田を裏切って電脳のスパイラル買収案件を手土産に接近してきた際には、彼を自派に受け入れる。伊佐山の要請でスパイラル株買収の融資増額の後押しを引き受け、スパイラル株を所有する元役員の加納と清田に揺さぶりをかけて、時間外取引によりスパイラル株の30%を取得する。

半沢がスパイラルとのアドバイザー契約締結で東京中央銀行への対立姿勢を明確に打ち出すと怒りを顕わにし、自らもスパイラルがフォックスを逆買収しようとする動きがあることを証券取引等監視委員会に密告し、セントラル証券に監視委員会の監査が入ったことをマスコミにリークすることでスパイラルの株価を落とし、スパイラル株が容易に買い占められるよう仕掛けるが、半沢たちの尽力でスパイラルによるフォックスの逆買収が成功してスパイラルの株価が急激に上昇し、逆にスパイラル株の過半数取得に500億円の追加融資が必要となる状況に追い込まれる。

スパイラルの買収が暗礁に乗り上げ、自身の面目を潰されそうになった三笠は役員会で追加融資の決済の合意を取り付けるため、常務のポストに推薦することを持ち掛け敵対する大和田に頭を下げ協力を願い出る。

役員会ではスパイラル買収への融資増額の意義を熱弁し、大半が融資の方向に傾いたが、大和田の手引きで役員会に単身乗り込んできた半沢によって、証券営業部が電脳雑伎集団の粉飾決算を見落としていたことを報告される。

三笠は粉飾決算を見抜けなかった責任を伊佐山になすりつけ自身は責任を逃れようとするが、三笠の妨害により伊佐山が粉飾決算を調査する機会を握りつぶされたこと、さらに平山夫妻からスパイラル買収を穏便に済ませる見返りに賄賂を受け取っていた証拠を半沢に突きつけられ、言い逃れのできない状況に陥り、伊佐山と共に電脳に出向させられる。


東京中央銀行大阪西支店編集

はんざわー!

浅野匡/石丸幹二

支店長。

第一期で直樹の宿敵と言える人物。元は紳士的で家族愛に満ちた良きエリート銀行員だったが、株取引の失敗を機に巨額の借金を抱え、中学時代の同級生である東田満の計画倒産に手を貸してしまう。

その一件により負った銀行の損害を全て、融資課長の直樹1人に押しつけようとしたが、直樹の執念の回収作業により失敗。逆に自分が刑事告訴されそうになった為、それを免れるための条件として直樹を希望する東京本部に転勤させた。その後、直樹が本来行くはずだったマニラ出向を自分が命じられる羽目となり、家族と共にマニラへ移住した。


江島浩/宮川一朗太

副支店長。

浅野の腰巾着として散々直樹をいびり倒していた。浅野が転勤となった際、自分が支店長になると期待していたが、別の人間が赴任する事となり、大きく落胆した。


垣内

角田周/モロ師岡、垣内努(画像の人物)/須田邦裕、中西英治/中島裕翔(Hey!Say!JUMP)

融資課に所属する直樹の部下達。

直樹を心底信頼しており、浅野の謀略で直樹が窮地に陥った際も直樹を全力でサポートした。直樹が東京本部に栄転してからは、角田は直樹の後任に、垣内と中西は別の店舗に栄転した。


東京中央銀行京橋支店編集

旧S出身者が歴代支店長に名を連ねる支店であり、戸越曰く「東京中央銀行の闇の中枢」。

貝瀬支店長

貝瀬郁夫/川原和久

支店長。見栄とプライドの塊のような男。

大和田、岸川と産業中央銀行出身者が脈々と受け継いできた京橋支店の支店長を務める大和田派の銀行員。

大和田の根回しで、伊勢島ホテル経理課長からの経営損失に関するリークをもみ消し、銀行に200億円の大損害を与える原因を作った。

報告書のコピーを入手した半沢と渡真利にその事を追及されて協力を求められるが、自身の証言が簡単に揉み消される事や金融庁検査の最中である事を理由に拒否した。

後にその件を大和田に密告するが、「君が勝手にやった事だろう」と切り捨てられる。その後は恐らく左遷or出向になったと思われる。


古里

古里則夫/手塚とおる

融資課課長代理。

貝瀬の腰巾着で、伊勢島ホテルの経営損失に関するリークを貝瀬が揉み消した際も黙認した。また、融資交渉などで現れる顧客などには悪態を吐きまくり、出向先の融資交渉のため現れた近藤も精神的に追い詰められた。だが、直樹や近藤達によりリークの揉み消しを黙認した事が暴かれ、リークの報告書を探しに金庫の解錠を手伝わされた。

西大阪スチールの関係者編集

東田満/宇梶剛士

中堅の鉄鋼会社「西大阪スチール」の社長。

本作の第1部で浅野と並び直樹と敵対した巨悪の1人。浅野とはかつて同じ中学の同級生で、「ターちゃん」と呼んでいる。周囲にはヤクザと相違ない悪態を吐きまくり、行方を突き止め追って来た直樹に対してゴルフクラブなどを用いて襲いかかるなど、非常に粗暴な一面も持っている。

粉飾決算を続けた挙げ句に自社を計画倒産させ東京中央銀行から5億円を騙し取った。表向きは自己破産したにもかかわらず、隠し財産で贅沢な暮らしをしており、愛人の美樹が勤務するクラブで豪遊していた。

東田の目的は金銭そのものではなく、巻き上げたカネで再び一旗上げることであり、急速な経済成長が進むベトナムでの特殊鋼事業の立ち上げを目論んでいた。要はジャイアニズムの塊のような極悪人である。

しかし最後は美樹の裏切りにより、隠し財産を直樹に差し押さえられ、無一文となる。

その後は警察に逮捕されたと思われ、詐欺・粉飾決算などの罪で懲役2年2カ月の実刑判決を受けた。


藤沢美樹/壇蜜

ホステス。東田の愛人。

ネイルサロンを持つため東田に寄り添い、銀行や国税局から逃れるための逃避行にも同行した。

東田が直樹に初めて捕まりかけた際は、空き缶の入ったゴミ袋で直樹を背後から殴打し、

東田を助けた。しかし、最後は直樹の懸命な説得により、隠し口座の通帳をバイク便で直樹に手渡した。


竹下清彦/赤井英和

竹下金属社長。

東田の計画倒産の煽りで自分の会社が倒産してしまい、首吊り自殺を図ったところを直樹に止められた。

以後は直樹と協力して東田を追跡し、5億円回収作戦の功労者となった。


伊勢志摩ホテル関係者編集

羽根夏子/倍賞美津子

伊勢島ホテル専務。

本作の第2部で直樹と敵対する巨悪の1人。

傲慢かつ狡猾な野心家だが、25年以上も財務関連に携わっている仕事柄、ホテルマンとしての技量は一級品で、一度会った人の顔と名前は忘れない技量を持つ。

ワンマンだった先代社長の尻拭いをさせられてきた自分こそが伊勢島ホテルの社長にふさわしいと考え、社長の座を獲得するべく、大和田と結託して自身が株運営の失敗で発生させた120億円の運営損失を使い、社長の湯浅を退陣に追い込もうとした。しかし、湯浅の依頼により現れた直樹のタッグで様々な新しい経営戦略や奇策を前に乗っ取りは失敗し、自身がホテルを追放される。

なお、彼女はドラマオリジナルの登場人物であり、原作で該当する人物は「羽根夏」である。


湯浅威/駿河太郎

伊勢島ホテル社長。

一族代々が経営していたホテルをワンマン経営で有名だった父親から受け継いだ若手経営者。しかし、父親のようなワンマン経営は行わず、積極的な経営方針の変更によりホテルの経営再建を行おうする優秀な経営者。

かつて修業時代に務めていたホテルが経営危機に陥った時に直樹と出会っており、ホテルの建て直しのため奔走する直樹が印象に残り、その時の名刺をずっと持っていた。

そして、自身のホテルが経営危機に瀕した今回、直樹を頼ろうと根回しをし、頭取を経由して直樹を担当に指名した。その後、直樹と共にホテルの経営再建に奔走し、直樹の提案により大手の外資系ホテルの傘下に入ることでホテルを急場から救う事に成功する。

なお演じた駿河は、半沢慎之助を演じた笑福亭鶴瓶の実子である。


戸越茂則/小林隆

伊勢島ホテル経理課長→廃品回収会社社員→伊勢島ホテル社員。

ホテルが取引している銀行に経営損失の事をリークした人物。しかし、善意のつもりのリークを東京中央銀行に揉み消された挙げ句、逆にホテル側にこの事を知らされ解雇された。

後日、廃品回収会社に再就職したが、再就職後に事情を聞くため現れた直樹に協力した事で状況が代わり、直樹に依頼された湯浅(湯浅は戸越の本当の解雇理由は知らなかったと思われる)により謝罪と伊勢島ホテルへの再雇用が決まった。


その他編集

黒崎検査官

黒崎駿一片岡愛之助

金融庁検査官→大阪国税局査察部統括官→金融庁検査局主任検査官→証券取引等監視委員会事務局証券検査課統括検査官→金融庁監督局主任統括検査官→国税庁。

「銀行はしょせん金貸し」との考えを持ち、何かと銀行を目の敵にしている。過去の担当案件では数度にわたり半沢と深く対立し、幾度となく立ちはだかったが、今では半沢に共鳴し手を貸すことも。

プライドが高く高圧的な性格で、気に入らない相手を独特の口調で徹底的に追い詰める。

箕部幹事長の不正を暴こうと極秘裏に捜査をしていたが、そのことが箕部に知られ、国税庁へ異動させられてしまう。


来生卓治/ダンカン

フリーのルポライター。第1部では西大阪スチールの5億円融資事故を調べている。

小村武彦の家族捜索の見返りに西大阪スチールに対する5億円の融資失敗の情報を半沢から貰い、その情報を『週刊ファスト』にスクープする。第2部では「金融庁も気付いてないだろうがナルセンは裏で暴力団と関係している。」と半沢に伝える。


油山哲也/木下隆行

白水銀行本店融資部次長。あだ名は「アブ」。半沢と渡真利の慶應義塾大学経済学部時代の同期。大学時代はラグビー部所属。

伊勢島ホテルの戸越による120億円特別損失の内部告発を受け入れた白水銀行がホテルへの100億円融資計画を中止し損失を出さずに済んだので、油山は戸越に感謝している。

電脳のスパイラル買収案件では、スパイラルによるフォックスの逆買収のためにフォックスの経営状況のデータを半沢に提供している。


棚橋貴子/相築あきこ

アパレル会社・ラフィット社長。大和田の妻。

ラフィットが大赤字のため5年前に経営困窮した際に一等地の南青山からの店舗移転を検討さえせず、改善の無いまま資金を調達するために複数の金融機関から借金を重ねた挙句、大和田が気付いた頃には借金は1億円を超えるほど膨れ上がっていた。その返済のために大和田も経済的に困窮しており、タミヤ電機を利用しての不正融資に手を染めるまでに追い込まれていた。

罪悪感は希薄どころか皆無で、取締役会の前夜に「新作の買い付けにミラノに行くため100万円いる」として「また用立ててくれる?」と悪びれもせず言ってのけるなど大和田に頻繁に無心していた。


新山智美/井川遥

半沢や渡真利が情報交換する行きつけの小料理屋「上越やすだ」の女将。東京中央銀行の個人株主であると同時に銀行の内部事情に詳しい。

かつて東京第一銀行の行員(1999年度入行)で、自殺した牧野副頭取の秘書を務めており、牧野の部下であった中野渡とも仕事上で関わることがあった。

実は牧野の自殺の第一発見者であり、牧野は彼女に宛てた遺書を残していた。牧野の葬儀後、当時ニューヨーク支店長だった中野渡から牧野の死の真相を究明するための人材を探すよう依頼され、中野渡から提示された条件に合致する人物として旧S出身の富岡を探し当てる。

半沢たちの活躍で、牧野が不正融資先の企業からリベートを受け取っていた口座記録は、箕部が不正融資を公表されることを恐れて彼を陥れ口封じさせる目的で捏造されたものであることが紀本の口から語られ、その様子を半沢のスマートフォン越しに聞き、牧野が無実であったことが証明され涙を流す。


反響編集

“敵”を追い詰める攻撃的な顔と、部下や家族への優しい顔の両面を持つサラリーマンのヒーローとも言える存在で、自らの信念を貫き、時として上層部に盾突くことも厭わない半沢の男気に“スカッ”とする視聴者が続出している。番組のフェイスブックなどには、20代後半から50代のサラリーマンやOLから「私も倍返ししたい」「月曜日からの仕事を頑張れそう」など、多くの意見が寄せられている。 また、オネエ口調の国税局統括官など、個性的なキャラクター達も支持を集めている。

第一期最終話は関東で42.2%、関西で45.5%を記録し、1977年以降の民放のテレビドラマ史上第1位の視聴率となった。瞬間最高視聴率は関東で46.7%、関西では50.4%も記録した。


ブームは様々な所に起きていて、番組関係者によると、原作の小説がビジネス書籍コーナーに陳列されていたり、1、2話では半沢が鞄を右手に持ち、歩道橋を駆けるシーンが多くあったため、それを見た小学生が「半沢走り!」と言いながら、鞄を持ってダッシュする遊びが流行っているらしい。

第一部で登場した東京中央銀行大阪西支店の建物外観は、大阪駅前の梅田阪急ビルがモデルとして使用されている。


関西地区では第5話の瞬間最高視聴率が32.6%を記録するなど特に人気を得ていることから、ヒルトンプラザ大阪、阪急百貨店うめだ本店、梅田スカイビル、芦有ドライブウェイなど、一連のロケ地が観光名所化している。

その後も人気は衰えず、ロケ地の1つである道頓堀では飲食店に「倍返し」にちなんだ新商品が登場したり、ロケ地目当ての観光客も増えている。


また、オフィシャル商品として2013年8月中旬からTBSストアで発売された『半沢直樹 倍返し饅頭』は、営業が上手くいくと言うことで、それを買い求める会社員などで長蛇の列になり、ネット通販でも1か月待ちになるほどの人気を博している。

さらに人気は海外にも広がり、台湾では2013年10月からケーブルテレビで「半澤直樹 王牌銀行員(半沢直樹 エース銀行員)」のタイトルで放送が開始。現地では名台詞である「倍返し」を意味する「加倍奉還」が流行語になりつつある。

ドラマ終了に前後して、ソフトバンクモバイルのCMにも半沢を演じた堺雅人、笑福亭鶴瓶(堺より若干早い段階で登場。ただし「白戸家」メンバーと共演)も出演している。なお、同社のCMにはすでに「白戸家」の一員として上戸と北大路(声のみ)が出演しており、更に及川も上戸と共演したことがある。


本作の直後のクールに放送された『リーガル・ハイ』第2期第1話では、半沢と同じ堺雅人演じる古美門研介による「やられてなくてもやり返す、身に覚えのない奴にもやり返す、誰彼構わず、八つ当たりだ!」というセルフパロディが放送された。


第二期もCOVID-19の影響で変則的な番組構成となったが、平均視聴率は20%以上をキープするなど人気はいまだ健在である。

ネットでは本作のキーキャラクター大和田を演じる香川照之が各話の感想を述べたり、彼が奇抜な姿で出演する番組が公式Twitterで大和田を彷彿させるようなツイートを行ったりして本編とはまた別の盛り上がりを見せている。

主役を含め、目力強めの俳優や歌舞伎役者を多く起用している事から半沢歌舞伎と呼ばれたり、オーバーリアクション気味の表情により顔芸ドラマと言われる事も。

2時間で描いた半沢直樹「半沢直樹」第7話!大和田の迷台詞!お・し・ま・い・death!伊佐山

主要メンバーの他にも黒崎の部下として声優の宮野真守が出演していることも話題に上がっている。

声優でありながら台詞はほとんどなく、表情と身体で演技力を見せつけたことから、顔の存在感を見込まれて起用されたのでは?」」という憶測まで飛び交っている。

宮野さん半沢直樹出演記念



最終回の最高視聴率は35.8%、平均視聴率も30%超えで、数値としては前回の42.2%よりも下がったものの平成以降の記録では第一期に続いて二位につけ、有終の美を飾った

半沢直樹お疲れ様でした!





関連タグ編集

倍返しだ! 倍返し

花咲舞が黙ってない:同じく池井戸潤原作のドラマ。女版半沢直樹とも呼ばれる。

梨泰院クラス:主人公達による逆襲ぶりから、日本では韓国版半沢直樹と呼ばれている。

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