演:香川照之
「施されたら施し返す。恩返しだよ」
概要
ドラマおよび小説『半沢直樹』シリーズの登場人物。
小説版では第二巻『俺たち花のバブル組』にのみに登場する単なる悪役だったのだが、ドラマ版では主役である半沢直樹の宿敵ともいえる立ち位置に変更され、演者である香川の熱演もあって人気も非常に高い存在となり、シーズン1ではラスボスを務め、シーズン2では準主役的な扱いをされるキャラクターになった。
ドラマ版ではシーズン1の後半から、シーズン2では全編に渡って登場する。
役職
代表取締役常務→取締役降格→辞職
活躍
第一シーズン
後半戦で直樹と衝突する巨悪の1人。ドラマ版では半沢の父親が自殺するきっかけとなった工場への融資を拒否した張本人であり、それ故に半沢にとっては絶対に許すことのできない宿敵になった。
史上最年少で常務に上り詰めた産業中央銀行出身者の出世頭で、昔ながらの派閥を重んじる。気に入った部下は可愛がるが、一度でも失敗や問題があれば容赦なく切り捨てる。
タミヤ電機に依頼し、妻が経営するアパレルメーカー「ラフィット」に迂回融資させたうえ、伊勢島ホテルが資金運用に失敗し、多額の負債を抱えていたのを知りながら東京中央銀行が出資させるよう仕向けていたことが取締役会で半沢によって明らかになり、取締役たちの前で半沢に土下座させられた。出向や取締役解任を覚悟していたが、結果は平の取締役降格という穏便なものだった。但し、これは敢えて処分を軽くすることで、自分の勢力に抱き込んで二度と反旗を翻させないようにする中野渡謙の狙いも含まれており、第二シーズンへの伏線となった。
第二シーズン
二期では半沢の出向後、一転して敵対していた中野渡派に加わり、作品全体を通して中野渡に対する忠実な手足として働く。
一方で、自身の部下である伊佐山泰二を利用しての半沢つぶしを目論むが、伊佐山に利用された上に裏切りにあい、利害関係が一致したことで宿敵である半沢と組んで伊佐山と、その裏にいた黒幕である三笠副頭取を潰す。
作品後半では破綻寸前の超大型案件である帝国航空の再建担当に半沢を推薦する。
債権放棄を訴えかける常務の紀本に反対する半沢に同調し、紀本を常務の座から追い落とそうとするも、紀本に同調する旧T系の役員たちの反対にあい頓挫する。
紀本の裏には、更に政権与党である進政党の幹事長である箕部が存在しており、箕部からの圧力により中野渡頭取の身が危なくなったことで再び半沢と手を組むことになるが、箕部が故人である牧野副頭取の不正融資の証拠となる書類を見せたことで一度は箕部から距離を取る。
その後、半沢は紀本と箕部の繋がりを暴くために奔走し、紀本が管理していた箕部の不正の証拠となる伊勢志摩ステートから箕部への入金の流れが記されたクレジットファイルを探し出すが、それを半沢に先んじて入手すると、中野渡とともに箕部と会食を行い、証拠の書類を箕部に渡す。
そのことに納得のいかない半沢に対して、箕部は土下座を要求し、大和田も箕部に従う形で半沢に土下座を強制させようとするが、逆に半沢に振り払われ、「三人まとめて1000倍返し」を宣言される。
しかし、実は大和田が手に入れた書類だけでは箕部の不正に対する決定的な証拠にはなっておらず、中野渡頭取の真の狙いは、あえて箕部に証拠の書類を渡して信用させ、大和田を箕部の懐に入り込ませる事だった。そして目論見通り、大和田は確たる不正の証拠を手に入れる事に成功する。
その後、帝国航空の再建事業に対するTV生中継の記者会見を箕部が行った際に、中野渡頭取に委任されて銀行代表として出席した半沢は、箕部が東京中央銀行と共に行った過去の不正を暴露する。そして大和田は黒崎検査官が入手した不正の証拠書類を持って山久部長と共に堂々と会見場に登場し、「やめろ大和田!」と叫ぶ箕部に、今までの意趣返しとばかりに「はあー!?すみません、最近ちょっと耳が遠くて」と言って見せた。(また、半沢に不正の証拠を渡す際に、前述の半沢の宣戦布告にかけて「はい1000倍」と言っている。場の雰囲気に反した、かなりあっさりとした渡し方もあってかここもよくネタにされる)
不正の公開により、箕部は失脚し逮捕されたものの、東京中央銀行の受けたダメージも大きく、中野渡は辞職することになった。
一連の責任を取って退職願を提出した半沢を呼び出し、大和田は自分も辞職する事を告げるが、かつて目先の欲に駆られて半沢の父を自殺に追いやったことに対する謝罪を行う一方で、「半沢の実家に対する融資を打ち切ったことはバンカーとして正しい判断であった」と言い切った上で、東京中央銀行はこのままでは潰れると、半沢を挑発するかのように言い放つ。
売り言葉に買い言葉で「そんな事はない、必ず立ち直る」と反論する半沢に対して、「だったら責任を取って、逃げずに東京中央銀行を再建して見せろ。お前の正義を貫くためには頭取になるしかない。もしもなれたら土下座してやる。だが、なれなかったらお前が土下座しろ。受けて立て!」と手荒い檄を飛ばし、半沢が辞意を翻して銀行員を続ける決意をしたのを聞き届けた上で、半沢の退職願をビリビリに破き、「やれるもんならやってみな!あばよ!」と、叱咤激励ともとれる捨て台詞を残して去って行った。
余談
前述の通り、原作ではドラマ第二シーズンに映像化された部分である「ロスジェネの逆襲」「銀翼のイカロス」には登場しない。では何故第二シーズン全編に渡って登場するのかというと、作中において半沢に唯一協力的だった役員内藤寛の演者である吉田鋼太郎氏が大河ドラマ「麒麟がくる」に出演する為にドラマの撮影に参加が出来なくなってしまった。その為に内藤の代わりとなる登場人物を作らなければならなくなり、そこで大和田に白羽の矢が立ったわけのである。
ドラマにおいて半沢は大和田に頼る場面は原作では内藤に頼っていたというわけである。
ただ原作で半沢と内藤はもともと協力関係にあったため、あっさり行っていた案件も敵対関係にある大和田を通すことになったため、毎回漫才になったり喧嘩になったりと拗れたがいくつものパワーワードを生んだ。
一歩間違えたら原作レイプにもなりかねなかったが香川と堺雅人両氏の怪演とそれを引き出す脚本が相まってドラマの展開を面白くしたのは怪我の功名か。
関連タグ
大和屋暁:一字違い
利根川幸雄:実写版における演者繋がりで主人公の宿敵という共通点もある。
カマキリ先生:「香川照之の昆虫すごいぜ!」での香川の姿。放送時期が被っていた時は大和田常務の休日とネタにされていた上に、香川本人もネタにしていた。