ロケ地:三井本館、学士会館、東京国立博物館、さいたまスーパーアリーナなど
概要
池井戸潤の小説及びそれを原作としたテレビドラマ「半沢直樹」シリーズで主人公の半沢直樹が勤める架空の銀行。
国内では最大手、世界でも第三位の地位に君臨するメガバンクであり、2002年(当初。第2シーズンでは2008年に変更)に東京第一銀行と産業中央銀行の大手都市銀行同士の合併によって誕生した。
配下には「東京セントラル証券」(中堅規模の証券会社)や「東京中央信用金庫」(半沢直樹ドラマ第10話で存在を確認)など多数の金融機関を従えており、「東京中央」の名は、池井戸氏の作品の中で一定のブランドを確立していることを窺わせる。
なお、テレビドラマ化に当たっては東京第一銀行・産業中央銀行の設定が逆になっている部分が存在する。例えばテレビドラマ版では巨額の不良債権を抱えた産業中央銀行が生き残りをかけて東京第一銀行との合併を実行したという設定だが、原作では逆に東京第一銀行の方が巨額の不良債権を抱えているという設定である。
派閥争い
上述したとおり、東京中央銀行は「産業中央銀行」と「東京第一銀行」が2002年に合併したことで成立した銀行であり、「東京中央銀行」としての歴史はまだ浅い。
取締役初め主要経営陣は、合併前の二つの銀行から続投で採用しているが、両行の合併に至るまでの状況の影響もあり(これについては後述)、旧東京第一の経営陣と、旧産業中央の経営陣の間で派閥が構成され対立状態にある。
頭取には、東京第一(ドラマ版。原作では産業中央)出身の中野渡謙が就任しており、その下には同じく東京第一派の高木専務と、東京第一派の取締役経営陣が犇いている。
対して産業中央派閥は、そのトップの大和田暁さえも役職は常務止まりであり、No.2に位置していると思われる岸川に至っては「事業統括部長」の肩書きは有れど、役職のつかない平の取締役という劣勢状態にある。このことから大和田は自分と自分の率いる産業中央派が「東京中央銀行」の経営(そして人事)主導権を握るべく、東京第一派とその筆頭の中野渡に対して下克上を画策、これが後のドラマ本編に繋がっていくこととなる。
なお原作では中野渡は産業中央出身で、逆に大和田は東京第一出身とされている。
産業中央派は冷遇されている?
1990年代初頭、日本経済を沸かせたバブルは崩壊し、史実でも四大証券の一角の山一證券や、都市銀行の北海道拓殖銀行の経営破綻など、日本の金融業界は不況の極みに達していた。
話を半沢直樹に戻すと、バブル崩壊の嵐は勿論当時の旧産業中央銀行にも達しており、産業中央銀行は実に1兆円を超える不渡り(不良債権)を計上し、経営の危機を迎えていた。
その起死回生の策として実行されたのが東京第一銀行との合併であったのである。なお東京第一側には、産業中央のような経営危機の描写はなかったことから、当時のあの合併は、表向きは五分五分の条件での合併を装っておきながらも、実は東京第一が産業中央を救済する形での合併だったのではないかと思われる。その為、救済される側の産業中央が、救済する側の東京第一に譲歩し(その逆の可能性も有り)それが人事に色濃く出て、あのような経営体制になってしまったものと考察される。
モデル
世界有数のメガバンクであるということ、またかつて著者である池井戸氏が勤めていた「三菱銀行」つまり現在の三菱UFJ銀行ではないのかと思われる。
実際に元行員であった人物の証言によると、旧東京銀行出身者に対する意味で「旧T」(旧東京の略)という隠語が存在したのだという(ちなみに旧三菱銀行出身者は「旧M」、旧東海銀行出身者は「旧K」【「T」だと旧東銀に被る為】、旧三和銀行出身者は「旧S」という隠語が使われていた)。
また、上述した「東京セントラル証券」や「東京中央信金」など、配下に多数の金融機関を従え、金融業界に「東京中央」というブランドを確立している東京中央銀行は、戦前に三井、住友と共に三大財閥の一角を構成し、戦後も、「三菱重工業」「三菱商事」と共に、三菱グループの御三家として君臨し、配下に「三菱UFJモルガンスタンレー証券」などの金融機関を従える三菱UFJ銀行と共通している。
しかしながらその三菱も落日の日を迎えてしまう状態となっている。
なお余談であるがライバル関係にある三井グループの「三井本館」が”東京中央銀行本店”としてロケが行われている。
ちなみに
この「東京中央銀行」という架空名称は、「半沢~」の1年前にも別のテレビドラマで使用されており、この時は主人公が所長を務める弁護士事務所のメインバンクという設定であった。更に言うとどちらのドラマも主人公の演者は同じ人物である。