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宝塚歌劇団

たからづかかげきだん

宝塚歌劇団とは、阪急電鉄が運営する、現在出演者が全員女性の歌劇団。
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概要編集

兵庫県宝塚市を本拠とする、未婚の女性のみからなる日本の歌劇団

略称は「ヅカ」もしくは「宝塚」。

阪急電鉄株式会社の直轄組織となっており、同社の社内部署「創遊事業本部歌劇事業部」が事業運営を行っている。


創設の当初から「老若男女誰もが楽しめる国民劇」を目指し、日本で初めてレヴューを上演した劇団として、一躍有名になった。

現在も、健全かつどの世代の人が見ても楽しめる演目を中心に、芝居ミュージカル)やレヴューを上演し続けている。ジャンルは古今東西を問わず、歴史劇ファンタジー、そしてSFまで多岐にわたる。

1970年代以降はるろうに剣心戦国BASARAなど、漫画やアニメ、ゲーム作品を(もちろん原作者などの権利者に許可を取って)「宝塚歌劇の演目」として上演することもある(「ベルサイユのばら」の逆輸入、という前例はあるが)。

故に*2.5次元ミュージカル発祥の劇団*と呼ばれることも。

変わった所では、ご当地漫画家である手塚治虫の名作と言うこともありブラック・ジャックを上演したことも。もちろん顔の縫合跡とかは特殊メイク。


1914年4月1日に初の公演『ドンブラコ』を行って以来、今日も人気を集める女性歌劇(少女歌劇)の劇団である。現在は『(はな)』・『(つき)』・『(ゆき)』・『(ほし)』・『(そら)』の5組と、いずれの組にも所属せず一芸に秀でた団員たちが集う『専科』に分かれている。

拠点は保有劇場である宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)と、東京宝塚劇場(東京都千代田区)。また、宝塚大劇場のすぐ隣には中劇場の宝塚バウホールも所有しており、こちらはトップスター以外のスターや若手を中心とした演目を上演することが多い。


実は世界的にも珍しい「未婚女性だけの大型劇団」とあって、近年では海外からの注目もアツい。

欧米では長らく異性装を宗教的に蔑視する風俗があったため、大企業が公に異性装を是とする劇団を運営すること自体が稀有といえる。


昔は宝塚歌劇の舞台を中継するTV番組が関西ローカルで放送されていた。現在はNHK BSプレミアムにて録画映像が不定期で放送されており、こちらで視聴することが可能。

2002年7月より、劇場中継や公演案内を中心とした専門チャンネル「TAKARAZUKA SKY STAGE」の東経110度CS放送が行われており、この他にもひかりTVやAmazon Prime Videoなどの各種プラットフォームに向けた動画配信サービス「タカラヅカ・オン・デマンド」が提供されている。


沿革編集

阪急電鉄の前身にあたる箕面有馬電気軌道の創始者の小林一三は、鉄道利用者を増やすために不動産事業やレジャー事業を興していた。

宝塚新温泉(後の宝塚ファミリーランド。2003年閉園)のプールがあまりにも不人気だったため、プールに蓋をする形で劇場化した。

そこで余興として歌を披露するために1913年に結成された宝塚唱歌隊が前身である。

構成員は尋常小学校を卒業した少女たちであり、給与は大卒並みの厚待遇だった。


1918年に帝国劇場で公演して以来、東京にも進出する。

公式機関紙「歌劇」が発売されたのもこのころから。

翌年1919年に宝塚音楽学校の前身である宝塚音楽歌劇学校が設立される。


1923年に拠点としていた劇場が焼失したことをきっかけに、宝塚大劇場が竣工され、1924年に完成した。大劇場オープンと同時に、雪組が新しく追加される。


1927年よりレヴューを上演。

大階段やロケットが登場したのも同時期である。

しかし高度経済成長期を迎えるにつれて娯楽の多様化やテレビの普及によりレヴューが衰退。

そこで上演されたのがベルサイユのばらであり、空前の宝塚ブームを引き起こすことになった。


近年はライブビューイングや一部公演のネット配信を実施する等新しい試みも行われている一方、長年劇団理事を務めていた松本悠里や轟悠の退団等、変革期を迎えている。


劇団員編集

舞台に出演するのは劇団併設の宝塚音楽学校の卒業生であり、全員が未婚女性である。

宝塚音楽学校の入学条件は当該項目を参照のこと。

劇団員は同社の社員扱いとなっており、鉄道事業を主とする同社においては、初詣などの広告モデルとして劇団員が起用される事もある。


団員たちの通称は「タカラジェンヌ」。これはパリジェンヌのもじりで、「ヅカ・ガール」の呼称を嫌った小林一三の発案による。


退団後の再入団は認められておらず、劇団四季とは異なり外部の俳優が本公演に出演することもない。

また団員が在団中に外部の舞台・テレビドラマなどに出演することは少ない。

音楽学校所属時からインタビュー等を受ける際は宝塚歌劇団からの許可が必要になる。また近年はFNS歌謡祭でDA PUMPを始め有名歌手グループとコラボ出演したり、有名企業のCM出演したりする事もあるがそれらも劇団から許可を得て出演してるがそれらも大人の事情とも言える。


団員の育成が、大きな特徴の一つであり、本公演の稽古期間は公演日数とほぼ同期間

また入団7年以内の若手スターの勉強の場として新人公演が開催されたり、団員向けの劇団レッスン(無料)等も開講されている。

故に劇団員は「研究科生徒」もしくは「専科生徒」(単に「生徒」とも)と呼ばれ、研究科生が入団何年目かを示す際は一般的に「研○」(○に数字が入る)と表現する。

また入団前の宝塚音楽学校においては、1年生を「予科生徒」、2年生を「本科生徒」と呼ぶことに対応している。


女性だけの劇団であるため、男性役も女性が演じる。男性の役を「男役」・女性の役を「娘役」と呼ぶ。

身長を目安に宝塚音楽学校にどちらかを優先的に希望することになっているが、公式に定められてはいない。

入団後、男役→娘役への転向は多数の例があるが、娘役→男役の転向例は極めてまれである。

創設初期の頃は娘役に人気が集まったが、第二次世界大戦によって女性ファンが増加したことにより現在は男役の方がファンの人気が高い。

舞台構成なども男役を中心に作られるが、極稀に娘役が中心となった演目が上演されることも。


各組の顔的存在であるトップスター(男役の1番手)は概ね就任後2,3年で退団となる(過去には8年以上のトップスターや2年未満の短い者もおり絶対ではない)が、明確な基準が公表されているわけではなく退団のタイミングはトップでないものもあまり明確でない部分もある。

ちなみにトップ娘役を含めると、最長期間は12年3か月である。

トップスターの選考基準は組の代表になれるかどうか

真矢みき紅ゆずるのように入団時成績が芳しくない者もいれば、蘭寿とむ礼真琴のように優秀な成績を修めた者もおり、実力にはブレがある。

一方で「トップ娘役」はある程度トップスターとの相性が絡む。


また「トップスター」「トップ娘役」などの番手とは別に「組長」「副組長」が存在しており、普段は公私に渡って組子たちの面倒を見たり、初日・千秋楽での舞台挨拶などを行う事になる。

男役・娘役問わず、基本的には組の中で最も影響力の強い最上級生が就任する事になっている。


退団後の進路も人それぞれ。編集

俳優やタレント、お笑い芸人(吉本新喜劇芸人)として芸能活動を行う場合もあれば、一般人に戻ったり、政治家になったり、音楽学校の教員やスタッフとして宝塚歌劇団に携わったりする等様々。

数は少ないが森なな子を始め声優になった生徒もいて寧ろ子役と同様、そのまま人気声優になるパターンが多い。

退団後タレントや俳優に転向する場合、在籍時の芸名を使うか本名に戻すか、新たな芸名をつけるかは自由。

尚、在団中に結婚が決まると「寿退団」となる。


かつては男子部が設立されていたものの、女子劇団員やファンからの猛反対により1954年に完全に廃止されてしまった。

1947年に女子劇団員1名を加えてバウ公演を行ったものの、本公演の出演は終ぞ叶わなかった。

在籍者の1人に西野バレエ団の創始者である西野皓三がいる。

これを基にした演目『宝塚BOYS』が東宝製作で2018年まで上演されていた。



テーマソング編集

劇団のシンボルソングのようになっている「すみれの花咲く頃」は、戦前のドイツ映画主題歌リラ(またはライラック、ニワトコ)の花咲く頃」をフランスシャンソン化して歌われているのを聴いた白井鐵造が持ち帰って詞をつけたもの(原曲のドイツ語版のCDなども発売されている)。

歌劇団のみならず、阪急百貨店の開店時に演奏されたり、阪急宝塚線宝塚駅の発車メロディーとして流れるなど、阪急阪神東宝グループの象徴的なテーマ曲である。


余談編集

  • 本劇団のように、「未婚女性から構成される劇団」のことを少女歌劇と呼ぶ。近年は少子化やレヴューの衰退によりその数を減らしている。現役の少女歌劇として、OSK日本歌劇団が挙げられる。ハウステンボス歌劇団のように、宝塚のOGが劇団を設立することも。
  • 宝塚ファンは地名としての宝塚を「ムラ」と呼ぶ。これは、単に「宝塚」という言葉を挙げた場合、宝塚ファンにとってはまず間違いなく「宝塚歌劇団」のことを指すからである。
  • 劇場の舞台裏には「ブスの25ヶ条」という標語がある。劇団員への戒めとして掲示しているものだが、その項目は心の不細工さを指摘したものが連なっている。
    • 「笑顔がない」「おいしいと言わない」「お礼を言わない」といった普段何気ない所作から、「他人をうらむ」「責任転嫁がうまい」「自分が最も正しいと信じている」など性格への指摘、「いつも周囲が悪いと思っている」「問題意識を持っていない」「人のアドバイスや忠告を受け入れない」などの対人関係や仕事に対する姿勢、さらには「自分がブスであることを知らない」という痛烈な質問に至るまで、誰しもが陥りがちな『ブス』な行為と心理をストレートに問いかけている。
    • 超!A&Gの番組『天才軍師』(現番組名は『neu 天才軍師』)のコーナーの一つに「天才軍師ブスの25箇条!」という「ブスの25ヶ条」に感銘を受けてできた、リスナーからこれはブスだという条件を送ってもらい番組なりの25ヶ条を作るというコーナーがある。
  • 退団後の元団員は男役だった者は「髪を伸ばす」、娘役だった者は「ショートカット」にする傾向があるという。これはどちらも役故に髪型が厳格に決まっている事で「男役は短髪から解放される」「娘役は長髪から解放される」からだとか。
  • 2023年に劇団員急死のニュースが報じられたのをキッカケに劇団でのパワハラ疑惑が浮上するようになった。こちらを参照

関連タグ編集

宝塚 歌劇団 少女歌劇 阪急電鉄 東宝

花組 月組 雪組 星組 宙組

雪月花 帝国華撃団




関連作品編集

オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ - 『ベルサイユのばら』の主人公。宝塚歌劇の男役がルーツとなっている。後に作品丸ごと逆輸入され大ヒット、現在に至るまで定期的に上演されている。


リボンの騎士 - 宝塚市育ちの漫画家手塚治虫が、宝塚歌劇から着想した男装姫騎士物語。オスカルと違い、サファイア王子は男役が演じるには少女的すぎるという理由から、宝塚での舞台化は難しいとされている。


地帝王子イガム - 『光戦隊マスクマン』に登場した、宝塚歌劇の男役な素面女性敵幹部。


シャーマンキング - ハオ組の各班の名前の由来になっている。


ツナシ・タクト - 銀河美少年時のコスチュームは宝塚歌劇の男役の衣装をモチーフにしたらしい。


デ・ジ・キャラットにょ - 劇中にて華麗田さんという宝塚歌劇の男役モチーフのキャラが登場する。


白鐘直斗 - P4Gに出てくるコロネットアーマーの上半身の部分は宝塚歌劇の男役の衣装がモチーフらしい。


雪風真弥 - Amebaのソーシャルゲーム『ガールフレンド(仮)』に登場するキャラクター。容姿や振る舞いなど、宝塚歌劇の男役を連想させる部分がキャラクター設定の随所に見て取れる。


松風 - ブラウザゲーム『艦隊これくしょん』に登場する、宝塚っぽいと呼び声の高い艦娘


福本豊 - NPBにおける最多通算盗塁、最多シーズン盗塁、最多連続盗塁王の記録を持つ元韋駄天の、現おもろいオッサン。「オレに会いたければ劇場の前で待ち構えてれば良い」と公言するほど、宝塚歌劇団の大ファン。


小林一三 - 実業家、政治家。阪急電鉄・宝塚歌劇団・阪急百貨店・東宝をはじめとする阪急東宝グループ(現・阪急阪神東宝グループ)の創業者。2017年に玄孫曾孫松岡修造の娘)の男役・稀惺かずと宝塚音楽学校に入学、2019年3月に宝塚歌劇団(星組)に入団している。


ジャックジャンヌ - 設定が真逆(男性が男役、女役共に演じる)の学園が舞台のゲーム。


かげきしょうじょ!! - 歌劇団を舞台とした漫画作品でこの作品に出てくる「紅華歌劇団」は宝塚歌劇団が元ネタとされている。また、アニメ版の声優には、実際に宝塚歌劇団の元劇団員だった者が若干名起用されている。


アイカツスターズ! - 四ツ星学園のクラス名4つの元ネタではないかと言われている。

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