演者
CV
俳優
- 村田充(実写映画)
プロフィール
概要
「ティンベー(亀甲の盾)」と「ローチン(石突に小型の鉄球が付いた槍)」を用いた、琉球王家秘伝武術の使い手。
性格は非常に残忍でプライドが高い。志々雄に見せつけるためだけに一派の雑兵を大量に殺すという作中でもかなりの残虐性を見せている。
遠目から見た明神弥彦には「全身殺気の塊で目ン玉だらけの服を着たイカレたオッさん」と危険人物として評価を受けている。
しかし、弟弟子の伊差川糸魚は、後述の通り宇水が斎藤との戦いでは本来の実力を発揮できなかったと主張した際には涙を流して悔しがっているため、どの様な経緯があるかは不明だが、宇水を尊敬していると言えよう。また、後述の通り新京都編では性格にフォローがされており、本編とは異なり正々堂々と勝負を挑んだとされている。
かつては幕府方の対人斬り用暗殺者として剣腕を振るっていたが、ある日遭遇した志々雄真実に両眼を斬り裂かれて失明・あっさりと幕府に見限られて解雇される。
その後、山中を彷徨い死の淵に立たされた時、剣術における究極の型の一つとされる「心眼」を開いた。
その後、「隙あらば志々雄を殺していい」という条件付きで十本刀に加わった。
十本刀の中では瀬田宗次郎と一二を争う腕前と言われているが、本条鎌足は十本刀最強は宗次郎と独白している。
当初こそ上述のように志々雄の命を狙っていたのだが、内心では自分の想像以上に強くなっていた志々雄には勝てないと悟り、実は既に復讐を諦めていた。
ちなみに斎藤の言では「戦う前から敗北を悟っていた」とあるが、実際のところ本編中で志々雄の元に現れて剣を合わせた時「"また"腕を上げたな」と志々雄が発言しているので十本刀に加わってから本編に登場するまでの間に一度以上は志々雄と剣を合わせていると思われる。
斎藤の指摘については、「志々雄には勝てないと悟っていた」という点以外は特に否定も肯定もしていないので、宇水が「戦わずして復讐を諦めた」のか「幾度か手合わせしていくうちに勝てない事を悟った」のかは実は判然としていない。
- 初登場の際に志々雄に襲い掛かっているので、こういった「暗殺する振り」を何度かやって、それで志々雄に腕を上げたと評価されていったと思われる。
なお、現実の出来事かは定かではないが、佐渡島方治が今わの際に見た地獄の光景では、駒形由美が「宇水も多分こっちに来てると思うから 今度は本当の仲間にしてあげましょうよ」と志々雄に提案して「そうだな 考えておくか」と了承されている。
ストーリー
原作
初登場時には志々雄一派のアジトを強襲し雑兵たちを何十人も殺害した。そして警戒網を掻い潜り志々雄の部屋まで容易く乗り込むと一合交え、十本刀として合流する。
このことを方治に責められた際には「雑兵などいくらでも替えが効く、そもそも私が1000人分働けばいいだけのこと」と嘯いている。
アジトに乗り込む前に軍や警察から選び抜かれた精鋭部隊50人を一夜にして壊滅させており、このことから斎藤に目を付けられることとなった。
京都大火の際は火の手が上がらないことから不審に思い、原因が巻町操にあると知ると隙を突いて殺しに掛かる。しかし悠久山安慈の横槍で止められ引き下がった。
その後、志々雄の命を受けた宗次郎から十本刀たちが一堂に集まり、その際に今回の作戦が東京砲撃のための目くらましだったとことを口にし「捨て駒同然の扱いを受けた」と不平を口にする。
- この時は嗤っていたので、志々雄を糾弾するというよりは嫌がらせ程度のつもりだったようである。
そこで志々雄から「方治が勝手に作戦を変更した」と告げられ、方治もまたその通りだと頭を下げるが信じるはずがなく。手始めに方治の手指の爪を剥がして自白を迫るが、方治は(宇水に剥がされた1枚に加えて)更に6枚の爪を自ら引っ剥がすことで償いの証とする。
直後に志々雄からの命令によりアジトにて待機し、緋村抜刀斎らを迎え討つ任を授かる。
一番手として出た明王の安慈は相楽左之助に敗れ、続けて自身は斎藤一と対決。
斎藤が50人殺しの件で自分を怨んでいると気づくと嘲笑い、牙突を容易く捌いて優位を確信する。だが牙突を受け止めた際にローチンの鉄球を砕かれたことに気づかなかった。
そして「心眼」の原理について語り、同時に志々雄に対する恨みつらみも語った。
だがこの時に笑みを浮かべていたため「復讐を考えている奴の顔ではない」として斎藤から「志々雄への復讐を諦めている」という本心をズバリ指摘され、しかも、「志々雄から体よく利用されている」と告げられ、ついに激昂。
ティンベーとローチンを使った密着戦法で斎藤に手傷を与えるが、トドメを刺そうとしたところを牙突零式で亀甲の盾を砕かれた上に胴体を真っ二つに千切り飛ばされるという悲惨な最期を遂げた。
- アニメでは、後方の壁に吹っ飛ばされてセルフ磔刑に処されただけで、真っ二つにはなっていない。
志々雄ならまだしも斎藤に……と無念を語るが、斎藤には「志々雄に戦わずして負けてしまった時点で暗殺者としての剣を捨てるべきだったのに、くだらん虚勢を張ったのが間違いであり、身に付けた異常聴覚は別の道に生かすべきだった」と容赦なく告げられる。
余りの容赦のなさに苦笑しながら、斎藤の信念である「悪・即・斬」をどこまで貫けるか見ものだと口にしながら息を引き取った。
新京都編
こちらでは、念願が叶って(?)志々雄真実と激闘を繰り広げる。その結果は……お察しください。
- もっとも、諦めて虚栄を張っていた原作に比べて最後まで自分の信念を貫いた分、遥かにマシな結末と言えるだろう。
この様に、正面からの真っ向勝負を要求し、正々堂々と戦い、互いに全力を出した勝負の上で敗北しているなど、原作とは印象がかなり異なっている。
実写版
「京都大火編」から登場しており、外見がかなり若々しい印象になった。
煉獄に単身乗り込んだ剣心を他の十本刀と挟撃。他にも政府高官らを虐殺するなど原作同様に暗躍し、最後は斉藤と対峙する……の、だが原作と異なり牙突一発で瞬殺されてしまった。
あまりに呆気ない退場ゆえ、地上波で放送された時はその醜態をみたファンから、彼の名言でもある「何が可笑しい!」が Twitter 上にてトレンド入りする程に賑わった。
また、煉獄戦後も何故か浜辺で倒れたままカットに映り込み続けており、シュールな笑いを誘った。
原作や新京都編と比較すると「不遇」の一言で片付けられてしまうが、他の十本刀がモブ同然だったり、容姿も大幅に異なったり、出番すら無い者もいる中でかなり際立った存在感を見せつけているので、そんな状況で宇水を不遇とするか優遇とするかに関しては意見が分かれると言えよう。
映画公開と同時に刊行された小説版では台詞と出番が大幅に増えており、斎藤との戦いでもそれなりに善戦した末に破れるという流れになっているため、映画本編よりは多少扱いが良くなっている。
しかし原作との一番の違いとして、強い側について勝利の愉悦を味わうために志々雄一派に加わったとされており、復讐というテーマと全く関係ないキャラクターになった。そのため小物感が増した一方で、恥をさらす場面もなくなっている。
実力
後年になって連載された北海道編に登場する弟弟子の伊差川糸魚によって、宇水の使用する流派は「眼力琉球武術(ガンリュウリュウキュウブジュツ)」という名前のものである事が判明している。
その実力は十本刀最強の瀬田宗次郎と肩を並べるほどと言われており、軍や警察から選び抜かれた精鋭部隊50人を一夜にして壊滅させた。
- 1 - 2時間という時間制限付きであれば、精鋭50人を全滅させられるのは宗次郎と宇水の二人だけである、と沢下条張に断言されている。
かなりの重量があると描写されているローチンを高速で繊細に操れるので、筋力もかなりのものと思われる。
沢下条張は「剣心や斎藤より強い」と評し、斎藤との剣の戦いでは初見の牙突にも完璧に対処して見せた。しかし、序盤では一見斎藤を圧倒するかのように攻めるも、実際の斎藤には洞察力で本質を見抜かれてしまい、心理的駆け引きで冷静さを失ったあげく、斎藤より実力が下である事を思い知らされてしまった。
とはいえ、方治の「剣心が抜刀斎が覚醒したら国盗りの脅威になる」という言に対して、志々雄が「宗次郎と宇水が居れば万に一つもそんなことはねえ」と返しており、志々雄にとって宇水は宗次郎と並ぶ切札であったことは事実である。もっとも、安慈の心境を見抜いて切り札として信用していなかった可能性もあるが。
一方、斎藤や志々雄との戦闘でも自身の得意とする暗闇で戦ったことは一度もないため、宇水が本来のポテンシャルを活かせなかった可能性もあるし、自らそうしなかった理由は不明だが、少なくとも斎藤戦では自ら部屋を用意していたので暗闇を用意できるチャンスはいくらでもあった。
よって、「余程舐めてかかっていた」のか「武人としての誇りがあった」のか、または「味方が本人に黙って明かりをつけた」のかは不明となっている。
- 大量の雑兵を無意味に殺戮したり、普段から志々雄の命を狙う振りをして現場を混乱させるなどの勝手な行動が目立っていたので、味方側から何らかの反感を買っていた可能性は否定できない。実際に、由美と方治からは快く思われておらず、安慈からは「お主と話すのは時間の無駄」とまで言われてしまっている。
- 初代アニメ版では、宇水の能力を鑑みてか、斎藤と宇水の戦いは「暗い室内」で行われている。志々雄のアジトが洞穴の中に築かれていたことを考えれば、暗闇は簡単に作り出せる。
- ただし、抜刀斎の襲撃をはじめ、夜の闇に紛れた不意討ちや暗殺が横行していた幕末を生き抜き、逆に自身も夜中に敵を襲撃することもあった斎藤相手には、仮に宇水と暗闇で戦ってもそこまでハンディキャップにはならないのではないかという指摘もある。
- また、自身の異常聴覚をもってすれば蝋燭の燃焼音も感知できる筈なので明かりが点いていることは承知しているのだろう。自分の実力に絶対の自信がある事や自己顕示欲の高さから考えて「明るい場所で盲目の奴に負けた」という屈辱を与えたいのではという説もある。
北海道編で登場した弟弟子・伊差川糸魚は、当時の宇水は、琉球眼力武術において最強の使い手に受け継がれる「黄金玄武(クガニゲンブ)」を、何らかの理由で所持していなかったため、本来の実力が発揮できなかったと主張している。
心眼
「心眼」の正体は、数キロ先の小川のせせらぎすら聞きつける程の異常聴覚である。
この異常聴覚にかかれば人間など音の塊も同然で、筋肉の収縮音や骨の摩擦音で相手の動きを、心臓の鼓動で相手の心理状態を手に取るように把握することが出来、盲目のハンデを全く感じさせない。ただし、流石に相手の思考までは読むことが出来ない。
また、巻町操を殺そうとした際に悠久山安慈に止められており、しかも(おそらくは)屋根瓦の上にいたにもかかわらず安慈の接近または武器破壊の意図にも気付かなかったので、例えば気分が高揚していたりすると心眼も限定的になるのかもしれない。
なお、操が小娘なので見落としがちになるが、町民を扇動・指揮して京都放火を引き止めていたのは御庭番衆暫定頭領の操であり、状況的に志々雄の組織に属する者なら真っ先に叩かねばならず、志々雄側の誰かと気付いていれば、まがりなりにも仲間なので放置していたのかもしれない。
単行本のコラムにおける原作者の言によれば、宇水は当初、剣心を執拗に追い詰めるターミネーターのような敵という想定だったとのことだが、実際は作中で両者が剣を交える機会はなかった。もっとも、仮に戦っていたとしても、剣心の洞察力を以てすれば宇水の心眼の正体を見極めるのは雑作もないはずで、種が割れた時点で聴覚封じの技「龍鳴閃」をくらって悶絶――という呆気ない結末に終わっていたに違いない。
技
宝剣宝玉百花繚乱
読み方は「ぽうけんぽうぎょくひゃっかりょうらん」。
しかし弟弟子の方は何故か普通に「ほうけんほうぎょくひゃっかりょうらん」である。
ローチンを巧みに使い、鉄球部分での打撃と槍の刃の刺突を高速で何度も浴びせる技。
ティンベーとローチンの基本戦術
具体的な技名が不明なので、ここでは便宜上こう記す。
相手の攻撃をティンベーの亀甲の丸みを利用して捌いた後、ティンベーを相手の目の前に突き付けて視界を封じ、その隙にローチンで突く三連動作。
本来見えない衝突の瞬間を心眼によって見切って捌いている為、破壊力のある技でも難なく捌くことが可能。
地味な戦術かつ最後には零式に破れているために過小評価されがちではあるが、斎藤の牙突(壱式)を難なく捌いており、さらに両足に深手を負わせている。そもそも「基本戦術」は「完成されきった型でありそれ故に破られづらい」ということである。その上、零式に破れたのも、近接の牙突はないと言う思い込みから盾で捌く動作を出来なかったからであり、戦法自体を技や力量で跳ね返してはいない。
最後は盾で制圧してたとは言え、迂闊に接近して顔を切り裂いて止めを刺すつもりであり、嗜虐心と慢心を捨て最初からこちらを狙っていれば斎藤も危うかったかもしれない。
余談
- 「ティンベー」も「ローチン」も実在する武具である。
- キネマ版では、宇水自身が直接言われたわけではないのだが、斎藤が「戦わなければ、男は負け犬にすらなれやしない」と劇中で言い放ってしまったため、この理屈だと宇水は負け犬にすらなれなかった事になってしまう。
- 原作では、宇水は実際に斎藤から「戦いもせず尻尾を巻いた負け犬」呼ばわりされている。
- モデルは『ドラゴンボール』シリーズの桃白白と『新世紀エヴァンゲリオン』のマトリエルである。不二や鎌足、雪代巴のように、当時はエヴァブーム真っただ中なこともあり、エヴァシリーズのキャラクターがモチーフになった登場人物は少なくない。
名台詞
「微温(ぬる)いわ!!」
「知りたいか? んん? そうか、では教えてやろう」
「何が可笑しい!」
「今の貴様は目隠しされた達磨同然!」
「一片の淀みも無く己が道を貫く、簡単なようでなんと難しいことよ、お前はこれから近代化する明治でどこまで刀に生き、悪・即・斬を貫けるか・・な・・・」