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志々雄真実

ししおまこと

るろうに剣心の登場人物。 『京都編』の最終ボスにして、剣心最大の宿敵。スピンオフ『裏幕 —炎を統べる—』の主人公。
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「かかってくるならこの如何ともし難い実力の差をちったあ埋めてからかかって来い!」


プロフィール

身長170cm
体重59kg
生年月1848年(嘉永元年)8月
星座獅子座
出身地京都府(新京都編では新月村)
血液型O型
好きな言葉弱肉強食
嫌いな者弱者
趣味湯治
流派我流
CV池田政典古川慎(2023年版)
藤原竜也(実写映画)、黒羽麻璃央(ミュージカル)

概要

漫画『るろうに剣心』の登場人物であり、京都編の大ボス。


元々は幕末長州維新志士の新星として刃を振るっていた凄腕の剣客で、緋村剣心抜刀斎)の後任として幕府要人の暗殺に当たっていた人物だった。

その頃に幕府に雇われていた対人斬り暗殺者魚沼宇水と一戦交え、斬撃によって失明させる形で撃退している。


桂小五郎大久保利通は当時の志々雄を抜刀斎とほぼ互角の力量を持つ」と評していた(『剣心皆伝』でも幕末暗殺者時で剣の腕前、頭の良さは剣心と同等以上と記述)が、同時にその内に強大な野心や支配欲を秘めていたため危険人物とみなされていた。

しかも、その仕事は明治政府(幕末当時の薩長勢力)側からすれば、口外されれば致命的ともなり得る内容の暗殺等も含まれており、志々雄は必然的にこれらの新政府の『弱み』を握っていた。


結果、同じ維新志士達にその力と底知れぬ野心を恐れられ、戊辰戦争で同志により不意打ちをに喰らい、昏倒したところに(これで死んだと思われたらしい)身体にを撒かれを点けられた(アニメ版では頭部を狙撃された)。

このことで全身に大火傷を負ったため体中に包帯を巻いており、和装ながらファラオミイラのような出で立ちになってしまった。


それまで志々雄は「維新勢力のために尽力した自分を裏切るはずがない」とタカを括って油断していたため、上述の裏切りに遭った上に全身を焼かれるという苛烈な仕打ちを受ける結果となり、以後「信じれば裏切られる」と深層心理に根深く刻まれた。


以降は逃亡生活を送り、ある村で深夜に警官を斬り捨てるが、そこを瀬田宗次郎に目撃される。当初は口封じに殺そうとしたが、死を前にして笑おうとしている彼に思うところがあったのか隠れ家と手当ての提供と引き換えに見逃した。

手当てを受けている際に宗次郎の境遇を知り、「お前が弱いからそういう目に遭っている」という「弱肉強食」の摂理を教える。そして礼も兼ねて一本の脇差を譲った。

数日後の夜、宗次郎は身を護るために親族たちを次々と斬り殺し、志々雄もまた「弱肉強食」を体現した宗次郎を連れて行動するようになった。

同志たちから受けた仕打ちについては「悪いのは明治政府の方さ。用済みになった途端に抹殺しようとしやがった」と自分が被害者であるかのように語っている。


維新後は裏社会で平和を忌み嫌う者、戦いの中でしか生きられない者、武器商人等を味方に引き入れ一大兵団を築き上げた。

また「化け物狩り」と称して、各地で強いと評判の者達と片っ端から戦っていたことがスピンオフで判明する。

十本刀のメンバーはそうやって志々雄が「戦闘に特化した異形の者たちを選りすぐって集めた」集団である。特に宗次郎とは偶然の出会いだったけれど志々雄曰く「一番最初に出会った異形の者」だったとのこと。


ちなみに焼かれる前の姿は、モロに『サムライスピリッツ』の牙神幻十郎にクリソツである(作者曰く人物像のモチーフの一人であり、焼かれる前の姿をデザインする時間もなく、また今後頻繁に出てくるわけでもないので結果的にこうなってしまったとか)。


強さは健在だが上述の火傷により全身の発汗組織がほぼ全滅しているため、その体は常に人間体温とは思えないほどの高熱を発しており、駒形由美曰く医者の見立てでは志々雄が全力で動けるのは15分とされている。


人物

かつて強盗目的で赤の他人であった駒形由美両親兄弟や使用人を皆殺しにし、自身の野望のために村を地獄絵図さながらに支配するなど、正真正銘の極悪人であり、並外れた野心家である。


粗暴なべらんめえ口調とは裏腹に頭の回転も早く、人身掌握術にも長けた絶大的なカリスマ性の持ち主。きっかけは志々雄に対する恐怖心による自己肯定化であったとしても、私欲や恐怖からではなく志々雄に強く心酔する配下もいる。


彼が掲げる理念は「弱肉強食」であり、そのため基本的に組織にも側近部下を使い暴力による恐怖統制を敷いているが、理が立ち過ぎる方治に「洗礼」を加えることで自身への絶対的な狂信者に仕立て上げ、また阿武隈四入道のような末端の部下にさえも自分達への侮辱よりも志々雄に対する侮辱に怒りをあらわにするほどの忠誠心を抱かせているなど(志々雄自身は雑兵捨て駒程度にしか考えていなかったが)、部下のを巧みに掴んでいる。


この最たる例が「自身に代わって手足となって動く十本刀」(方冶談)で、とりわけ「武力の要」となる瀬田宗次郎と、頭脳の要である佐渡島方治を巧みに洗脳していることが組織の統率の鍵となっている。

この他、部下が失態を犯した時は(温泉に浸かっていて)機嫌がいいので許すという寛容なところを見せた一方、剣心相手に苦戦する尖角に対して「抜刀斎に技の一つも出させないなら俺が殺す」と脅し付け、圧倒的な恐怖で無理やり戦わせた。

これは他者の生死さえも志々雄の気分一つで決まるという、彼が築こうとする世の中を端的に表したものと言える。


「弱肉強食」が信念である故に剣心や斎藤一といった強者には一定の敬意を払う。

一方で死を目前に笑っていた宗次郎に弱肉強食の摂理を説く、北海道編ではアジトに潜入してきた浮浪児の悪太郎にも組織の末席を与え「強くならなければ一生惨めなままだ」と発破をかけるような言動をするなど、弱者でも見どころがあれば情を掛ける事もある。

むしろ、彼にとっての弱者とは単に弱い者を指すのではなく、「惨めな環境に置かれても現状に甘んじ、自分の正当な権利を主張しない者」の事を言うのかもしれない(現に、自分一人の身だけなら苦界を抜け出そうと思えば出来るのに、それをしようとしない由美に対してはかなり冷淡な態度を取っていた)。


十本刀はそれぞれ違った理由で志々雄の下に集まっており、志々雄に心酔または洗脳されて配下に加わったものや、利害の一致によって配下となった者も居る。

中には「隙あらば殺していい」という条件で部下になった魚沼宇水、「本来救われるべき心清い者を救う」というある意味では志々雄とはかけ離れた思想を持ちながら、明治政府の破壊という一点のみで志々雄と同調して配下となった悠久山安慈や、「本気の志々雄様は常に必殺必勝」と評しながらも不二を従えている自分達「破軍」コンビこそが最強と信じる才槌のような者もおり、十本刀ではないが四乃森蒼紫のように「人斬り抜刀斎を斬ることがすべて」と言い切りかつての同志さえも見捨てる人物にさえ、その殺意を利用する形で同盟を組むしたたかさを持つ。


ただ蒼紫に関しては「奴が抜刀斎を倒したら俺が蒼紫を倒して最強になる」と発言しており、文字通り最初から斬り捨てるつもりだったようである。

(そもそも同盟を組む時点で「孤高に生きる者は組織の崩壊を招く」という理由で蒼紫に対して『(自分の配下には)要らない』と言い切っており、最初から結局相容れぬ部分があることを感じ取っていたのかも知れない)


また夷腕坊の正体に気付いていたか本編では触れられなかったが、『炎を統べる』収録の小説で「中の人は賢いぜ」と語っており勘付いていたことが確定した。

これらの人物に対してはあえて服従を強要しない形で組織に加えており、ある程度個々人に合わせた自由な裁量を認めながらその卓越した力量を使役する形を取っていた。


その為、付き合いの長い宗次郎が自分の元を離れることを決めた際や、由美を自ら殺した際には寂しそうな様子を見せていたり、自分のために汚れ役を全て請け負うと言い切った方治には「お前にはいの一番で俺の側で勝利の美酒を味わわせてやる」と約束するなど、信頼する者に対しては情が厚い。


また「飽くまで自分は剣客である」としており、その矜持を傷つけることは決してしない。

アニメ新京都編では斎藤一にガトリング砲を向けた由美に対し「新選組の残党が銃弾で撃たれて魚の餌となったらあの世で肩身が狭かろう」と告げ、自分が相手をすると言って由美を引き下がらせている。


宗次郎曰く「騒がしくて賑やかなのが好き」だから逗留先を吉原にしたり十本刀を集めたりしたらしく、どうやら派手好きな性分で、青臭い頃は京の遊郭で飽きるほど遊んだんだとか。旅籠の百倍は費用がかかる妓楼に逗留したり、煉獄を言い値で現金一括払いとか(方治もだが)金払いが良い。


総じて、平穏や安寧を望む多数の人間とは決して相容れない悪党だが、その価値観にそぐう相手であれば柔軟な理解や面倒見のよさもある親分肌な人物ともいえる。

また左之助が評したように、「強さを極めた者」として己の強さと信念に賭けて正面から明治という時代に挑んだ命がけの人生の歩み手であった。

そして「弱肉強食」と「己が最強である」という彼の絶対の信念は、死後も尚決してブレることは無いのであった。


彼は死後も地獄で懲りずに国盗りを目論んだり、人誅編では、あまりの鬱展開から廃人寸前まで堕ちた剣心の前に現れた。剣心の見た幻だったのか本当に亡霊として現れたのかは明確でないが、落ち込む剣心に相変わらずの皮肉を言いつつも、解釈次第では叱咤激励していたかのような態度を見せ、宿敵ではあるが自分を死に追いやった剣心に対して、ある種好敵手としての複雑な感情を抱いてた可能性が示唆されている。


目的

明治を混乱に陥れ、幕末の動乱に引き戻すことで力ある者が天下を獲る弱肉強食の国を目指し、自らその頂点に立つこと。

同士に裏切られた事については『いい勉強になった』程度に思っているらしいが、動乱の終結と未だ不安定で弱々しい新政府には大いなる不満を抱く(政府に裏切られた怒りよりも不意打ちで焼殺しても彼自身を仕留め切れなかった政府の弱さへの失望が大きい)。原作では裏切りそのものについての復讐心や怒りなどは描かれていないが、実写映画版では怒りや復讐心がかなり強いように描かれている。


戦闘力

攻撃時には「シャアアアッ」と奇声を発するのが特徴。「よっしゃあ」の意なのか単なる気合掛けなのかは不明。


全身を焼かれても尚生き続ける生命力、そして天翔龍閃以外の逆刃刀の攻撃では決して倒れない尋常ではない耐久力を持つ。

牙突零式などを回避する反射神経、既に負傷していたとはいえ左之助を一撃で沈める腕力、剣心や外印などの手足れが破れなかった蒼紫の流水の動き(ただし負傷している)を「遅すぎて動きが見え見え…」と一蹴したり、宗次郎の情報により発動を察知し超神速に反応して捌く技術、後に描かれたスピンオフ『炎を統べる』では宗次郎の縮地を察知する能力など、極めて高い身体能力も併せ持つ。

  • ただし、上記の通り、剣心、左之助、斎藤、蒼紫は全員が連戦で負傷しており、北海道編で描写された通り剣心は「不殺の為に加減していた」こと、対象の反動を打ち消すはずの二重の極みを放ったのに左之助の拳が砕けたことから本来の威力ではなかっただろうこと、斎藤も両足を負傷しており、扉を撃ち破った延長での牙突の使用だったこと、など、志々雄にとって有利な状況が揃っていたため、作中での描写を本来の実力差と捉えるべきではない、という声も少なくない。

公式ガイドブック『剣心華伝』で「不殺の制約のために剣心は志々雄を倒せなかったのでは?」という旨の質問に対し和月は「志々雄には剣心は勝てないだろうということで表向きは引き分けにして、イメージとしては剣心の負けということにしたんです。というか剣心の負けではなく志々雄の「勝ち逃げ」なんですよね。自分自身、志々雄に入れ込んでしまったので、全編通して最強のキャラになっちゃいました(笑)」と述べている。


武器新井赤空の最終型殺人奇剣「無限刃」。

予め刀の刃にノコギリのように極めて細かい無数の刃こぼれを持たせることで刀の減耗を無くし、常に一定の感覚で連続使用出来るようになっている。

業物と称されるような刀と比べれば切れ味は多少劣るようだが、殺傷力はぎりぎりで保っており、継続的に人体を切断する分には申し分ない威力を持つ。


刃こぼれは原作・アニメでは鍔元から切っ先まであるが、実写映画版では切っ先から約30cm程度の長さにとどまる(日本の刀剣類において刀身のこの範囲は『物打ち』と呼ばれ剣撃の要であるに止まらず、剣技においてはこの部位より下の鍔元までのエリアはたとえ如何にちゃんと刃がついていようがほぼ『有って無いようなもの』に近く、試合等でもこの物打ち以下の範囲で攻撃・接触しても基本的に無効扱いされる。無限刃にとって重要なギザギザがこの範囲にのみ施されていたとしても何ら理屈に合わない事ではないと言える)。


瀬田宗次郎は劇中で剣心を評して「強いっていってもまだまだ志々雄さんには到底かなう程じゃないしちょっと本気を出せば"僕にだって"ね」と志々雄の実力に対してやや謙ったような発言をし、また精神が崩壊したことで不十分ながらも本気の勝負で競り負けた剣心の天翔龍閃を「志々雄さんの実力なら破ることはできるかと僕は思います」とも発言しており、彼が志々雄の実力を高く評価していることを窺い知ることが出来る。


幕末時代は当時最強と呼ばれた人斬り抜刀斎とほぼ互角の力量と言われ、斎藤の言によれば全身火傷を負ったのちは死線を潜り抜けたことで更に強くなっているそうであり、京都編時点での志々雄は少なくとも抜刀斎より確実に実力が上ということになる。

方治に至っては、剣心、斎藤、左之助といった作中を代表する猛者たちを事も無げに一蹴する志々雄の強さを目の当たりにして「(十本刀などのような組織がなくても)志々雄様一人いれば国盗りは不可能ではない!」とまで発言。

志々雄に心酔しているが故の過大な表現にも聞こえるが、そもそも剣心の戦闘力自体が「軍の一個大隊ぶつけても勝てない」と評される逸般人レベルなので、それすら凌ぐとされる志々雄の力量が一国家の軍事力を凌ぐものであったとしてもさほど過大とは言えないかもしれない。


また、方冶は蒸気機関を例に出し、熱が高まれば高まるほど志々雄の強さは高まっていくと仮説を立てた。その説に従えば、戦闘中常に体温が上がり続ける志々雄は、戦えば戦うほど無制限に強さを高めていく事が可能となるが…。

弱点を上げるなら、長時間の運動をすると、その体温上昇に肉体のほうが耐えられなくなる点。それを由美から聞かされ方治は、志々雄がそれほどの力を持ちながら自分の手足となる組織を必要とした理由を理解することになる。


しかし最終戦においては限界であるはずの15分を過ぎても志々雄の強さは全く衰えることなく、剣心の天翔龍閃を食らうまで彼の肉体が異常をきたすことはなかった。

戦う前から既に「本来なら生きているはずのない高熱」を宿しながらも平然と日常生活を送っている時点で、志々雄はほぼ日常的に「精神が肉体を凌駕した状態(=剣心世界におけるある種の逸般人状態)」にあるのかもしれない。


十本刀二番目の手練れで、志々雄への復讐を狙っていた魚沼宇水は戦う前から自分自身の敗北を悟り、また左之助ヤツが志々雄以上じゃない限り 剣心は絶対負けはしねェ」と発言(その発言をした戦いで、左之助は危機感を募らせながらも「奴が志々雄以上とは…思わねェけれど 剣心を前にした奴には志々雄とは違う何かがある」と発言しており、この戦いまでは、志々雄への勝利を一種の剣心の実力の信頼性として捉えていることがわかる)。


アニメ新京都編では煉獄に乗り込んで来た斎藤と対峙。互角の攻防を演じ「俺にとって最大の障害はお前だ」と告げる一方で、政府の犬に成り下がっていることにガッカリしている旨を告げる。

直後、牙突を防ぐもその状態から零式へと繋げられ額を貫かれた……かに思われたが鉢金によって耐え凌ぎ逆転勝利する。


また物理的な攻撃力だけでなく、新月村での剣心と尖角の戦いを一挙手一投足見逃すことなく観察し、戦い方とその目的、技を見極める。またその最中に横で奇襲を目論んでいた斎藤一の動向にも気を配るなどその観察能力は大した物。

また一度見た技は完全に見切ることができ、剣心との最終決戦では剣心が初手でくりだした飛天御剣流・龍翔閃を片手で完璧に捌いた(その意趣返しなのか、後で龍槌翔閃を叩き込まれる形で見切ったはずの龍翔閃を喰らってしまったが)。

事前に口頭で聞いていた天翔龍閃も二撃目は喰らえど一撃目は捌いている。


使用技

  • 壱の秘剣・焔霊(ほむらだま)

無限刃の細かいギザギザの刃に染み込んだこれまで志々雄が殺してきた人間の脂に、摩擦熱で火を点けることで斬撃による切り傷と火炎による火傷とを同時に与える技。

無限刃の発火能力が恐ろしく高い為、物と軽く接触させる程度でも火を起こすことができる。

抜刀術と併用することも可能で、方治が見た際には「抜刀の刃どころか動きそのものが見えない」と評するほどの速さを見せた。

剣心によれば「斬撃の鋭さに比べて傷自体は意外と深くない」そうであり、無限刃の切れ味が通常の刀より鈍いせいか、殺傷力は左程高くないらしい。


とはいっても、部下の兵士で試し切りをした際には一撃のもとに両断した上に全身を焼き尽くすほどの威力を見せている。

志々雄曰く「初仕事」であった飯塚の暗殺時で既に焔霊を使用しており、暗殺稼業に従事する前からかなりの人数を斬り殺していた様子で、その際にも片手斬りで飯塚の胴体を両断する威力を見せた。

多くのバトル漫画の例にもれず、この作品でも強者は常人なら致命傷となるような攻撃に平気で耐えるし、攻撃力も常軌を逸している。

一例として左之助は、巨漢を使った全力の一撃を顔面に受けても平然としており、デコピン一発で逆にその巨漢を吹き飛ばして昏倒させている。

よって、そう高い威力ではないというのはあくまでも志々雄や剣心のような超人レベルの剣士から見ればということであり、常人にとっては必殺の一撃といってよい技であろう。



  • 弐の秘剣・紅蓮腕(ぐれんかいな)

相手を掴んだ状態で、手甲の表に仕込んだ火薬に焔霊で火をつけて小爆発を起こし、相手を吹き飛ばす技。

火薬の量は相手を軽く吹き飛ばす程度なので、相手を爆殺するというよりも爆発の衝撃によって意識を奪うことを目的としている(というか相手を爆殺出来るだけの火薬を仕込んでいたら志々雄自身の腕も無事では済まない)。

これにより剣心、斎藤一の二人を行動不能に追い込んでおり、見た目のインパクトも含めて志々雄の使う技の中でも最も印象的な技。


実写映画版では煉獄に積載していた爆薬を掴み、相手の体に押し込んで着火させる。


ちなみにフタエノキワミネタでは「売れんかいな〜!」の空耳で有名。


  • 終の秘剣・火産霊神(カグヅチ)

志々雄の事を良く知る由美さえ存在を知らなかった、志々雄の究極の奥の手。

無限刃の鍔元から切っ先に至るまでの全発火能力を解放して刀に巨大な竜巻状の炎を纏わせ、相手に叩きつけて燃やしつくす。

後期型人斬り抜刀斎

原作では剣心の天翔龍閃の前に不発に終わってしまったが、ゲームではその威力が示されている。PSPゲーム「再閃」では、刀身に渦巻く炎をまとわせて斬撃を打ち込み全身を燃やす技として描写されている。

また、2014年ジャンプSQ10月号に掲載された外伝「炎を統べる」後編にて引原海鮫兵団団長・一ヶ瀬鮫男に使用した際は刀身が纏った炎は一瞬にして辺り一帯を火の海に変え、さらにその炎を纏った斬撃は一ヶ瀬に直撃すると炎の柱となりその身体を燃やしつくし、その後も燃え続けた。


「炎を統べる」にて、この技を由美が見ている件については単行本のあとがきで「本編で不発だったのでファンサービス&作者が描きたかった。この場面は大目に見てほしい」と語っている。まあ、一ヶ瀬に火産霊神が直撃した場面に居合わせただけとも取れるので、発動するところは見ていないのかもしれないが。


「剣心再筆」では鞘に巻いた(火薬が染み込んである)黒革をすべて引きちぎって使用するという設定に変更された。


実写映画版では前述の通り無限刃の設定が変更され、ギザギザの刃は鍔元まで達していないので理論上はこの技を使う事は不可能となっている。とはいえ、場面によって刀身全体を炎が覆っているように見える箇所も無くは無いのだが・・(特に最後の一撃)。


・・・・全部剣術じゃないじゃん、という突っ込みは無粋。


最終戦において

当初の方冶の思惑が外れ、剣心、斎藤、左之助らが健在のままアジトで迎え撃った十本刀が全員敗北してしまうが、3人それぞれ負傷していたことは志々雄の想定の範囲内であった。


そのまま「弱肉強食」の摂理を真っ向から否定する剣心との戦いになり、苛烈な攻防の中で互いの秘剣を見破りながらも、剣心を三度ダウンさせる程追い込み、遂には仮死状態にまで至らせる。

直後に奇襲を仕掛けた斎藤や左之助も的確に対応して沈めるが、続けて現れた蒼紫が同盟を決裂する形で現れ、「時間稼ぎ」に回った彼の相手をしている内に剣心が復活。


この時点で既に活動制限の15分を過ぎていたが、それも意に介さず心身共に限界を突破した動きを見せた剣心との闘いに没頭。しかし逸りすぎた事でこちらも痛撃を立て続けに喰らい、互いに「半死半生の五分」にまで趨勢を斬り返される。

それでも志々雄は倒れず、奥の手である「火産霊神」を放つが、対する剣心が放った天翔龍閃の応用により打ち破られ、同時に体温が限界を迎えた事で遂に膝を折った。


間に入った由美の命乞いで剣心は刀を降ろすも、志々雄はその隙をつき、由美もろとも剣心を刀で貫く形で形勢を再度逆転。


流した蒸発する程に体温が上昇するという想像を絶する苦痛の中でも執念で立ち上がり、闘志を取り戻すも反撃が遅れた剣心より先に剣を振り下ろす。

そして方冶は「志々雄様がとうとう限界を超えられた!」と主の勝利を確信。

志々雄真実

…が、その瞬間、超高温になり過ぎた体内の脂肪とリン分が人体発火を引き起こし凄まじい勢いで爆発炎上、業火の中高笑いしながら(由美の遺体共々)瞬く間に焼滅するという、何とも壮絶で皮肉な彼らしい最期を遂げた。

闘いの結末は剣心自身の認識では勝利したと言えず、左之助に「勝ったな」と労われても「…いや」と言葉を濁している。


斎藤は「強ければ生き、弱ければ死ぬ。それは志々雄自身が言った言葉だ。そしてこの勝負、生き残った者(剣心)の勝ちだ」と言い、蒼紫が「過去から現在へと至る時間の流れが、志々雄真実に勝利を許さず抜刀斎に味方をした。時代が生きるべき者を選んだんだ」と結論付けた。


総評

物語的には中盤のボスキャラである志々雄だが、その強さは物語終盤まで最上位にあり続けた(むしろ、物語から退場後その存在はある種の聖域にすら化しつつある)。

これは同作の戦闘力の基準値が物語が進んでもあまり変化しなかったためであり、他のジャンプのバトル漫画ではあまり例のないことである。


剣心をして「お主の力量には感服した」と敬意さえ払わせた敵対者である。

原作者は『剣心華伝』にて志々雄戦の「志々雄の勝ち逃げ」と対比させて縁戦は「剣心の完全な勝利」としており、他のキャラと一線を画す剣心の師である比古清十郎を除けば、剣心が唯一勝利を得られなかったキャラでもある。


本編連載終了後の時間軸である『北海道編』でも神谷薫の口から「剣心最大最強の宿敵」と語られており、作中人物の認識でも志々雄は別格の敵であったことは確定的なようである。

剣客兵器の一人である凍座白也にも「猛者」として存在を認知され、その死を惜しまれている。


また、制作側が主人公である剣心より強いと明言した登場人物は比古清十郎、志々雄の両者だけということになる。


剣心皆伝のパラメータでは以下のように表記されている。

戦闘力知識知恵精神力カリスマ個別能力
抜刀斎の後継者時代5453不死身5
京都編5455体温無限大

  • 対する比古は、戦闘力無限大・知識知恵4・精神力5・カリスマ5・個別能力自信5とされている。

実写映画版

実写映画「京都大火編」「伝説の最期編」の大ボスとして登場。

原作でのビジュアルを再現した姿と、演者である藤原竜也の熱演により強烈な存在感を示した。


設定及び演出

設定は概ね原作に沿ってあるが、幕末時に暗殺されかけた際は「油断したところに刀で全身をめった刺しにされ、挙句に火を点けられる」という原作よりも念の入った方法に変更され、より不死身ぶりが強調された。


作中では「弱肉強食」の摂理を唱えながら原作とは違って、明治政府に対する恨みや憎しみを強調する場面も存在する。

明治政府の高官と対面した際には、邪魔者を一方的に処理する事を「政治」と表現する彼らに対し、

「お前達維新政府は過去の悪行を隠蔽し、この明治日本こそ理想の国だと欺こうとしている。ぞん゙な゙ごどが許゙ざれ゙る゙ど思゙ゔが!!

と激高する場面も見られる。


更にコメディリリーフ的な機能も少しは付加されていたようで、自分の量産型(影武者とも言う)を総動員して剣心に突撃させたり、人質にした薫を剣心に見せつけた際に剣心が薫を呼ぶ時の癖を真似て、

出番だぜぇ、薫殿ーっ!!

と超楽しそうにシャウトするなど、コミカルな一面も散見された。


「京都大火編」では剣心達に阻止される事無く煉獄出航を成功させ、原作では描かれなかった「東京に乗り込んでからの志々雄の行動」が描かれた。

「伝説の最期編」で彼は剣心を抜刀斎時代の罪状をあげつらったうえで公開処刑し、明治政府の過去の悪行を公にしその権威を失墜させようと目論む。


結果斎藤らの活躍によってその企みは阻止され、剣心達と煉獄内で最終決戦を迎える事となる。

煉獄での最終決戦では原作と同じく剣心、斎藤、左之助、蒼紫と立て続けに戦い、彼らを一方的に叩き伏せる。

極めつけは剣心らを4人同時に相手しての大立ち回りであり、全員の攻撃を同時に捌き続け、紅蓮腕を思わせる技で全員を返り討ちにする圧倒的強さを発揮した。


「この俺の灼熱と化した血肉を…もっと熱く…もぉっと楽しませろオオオオオ!!!」


しかし4人を同時に相手した事で無理がたたったのか、原作よりも早い段階で限界が訪れ苦痛に苛まれる。それでも原作と同じく由美を犠牲にすることで剣心を追い込み、最後の激突を展開。

剣心の斬撃をすべて捌き、隙を突いて火産霊神で勝敗を決しようとする。だが剣心の方が一瞬早く動き、天翔龍閃を受けて無限刃を叩き折られ敗北。

そのまま臨界に達した異常体熱によって人体発火を起こし焼死する。


最期こそ原作に倣う形であったが、

「剣心に最後の一撃を見舞う直前に力尽きる」という形で死亡した原作と比べると、

志々雄の勝ち逃げという結果とはやや趣が異なっている。


ただし、その戦闘描写の凄まじさは全媒体中でも最強の志々雄と評価する声もある。斎藤役の江口洋介氏も撮影中「志々雄強過ぎでしょ!」と愚痴るほどだったそうな。


るろうに剣心 最終章 THE BEGINNING」では、終盤で維新志士を裏切った長州藩士・飯塚を暗殺した原作とは異なり、演者である藤原氏が同時期に同じ配給会社別作品の撮影をしていたことから未登場。ただし、志々雄らしき人物を飯塚暗殺のために向かわせたことが桂小五郎の口から語られている。


『志々雄』現実化にあたって

当初は設定通りに包帯状の布で衣装制作を試行錯誤し始めたが納得行く物にならずにかなり難航し、最終的には包帯っぽく裁断された白色のレザー素材を繋ぎ合わせて『全身式志々雄スーツ』(言い換えれば着ぐるみ)を制作。これを、目元・口元にだけ火傷メイクを施された藤原竜也氏が背面に開いたスリットからすっぽりと着込んで紐で締める事により、ようやくあの辛口ファン達をも軒並み黙らせてのけた志々雄の勇姿完全再現と相成ったという。

折しもスーツ完成直後に行われたのはマスコミら取材陣を現場に入れての公開撮影(つまり相当ギリだった)。ベビーフェイスと呼んで差し支えのない筈の藤原氏がコレを着用した姿で初お目見えするやあまりのインパクトに『取材陣の誰もが一斉に息を飲んだ』のだとか…


…と、ここまでは良いのだがこの志々雄スーツ、素材が通気性も伸縮性もほぼゼロに近いレザーでしかも必然的に全身に密着する造りなだけに、その着心地と自由度は『最悪』の一言

『暑い』『耳聞こえない』『食事出来ない』『トイレも行けない』の4重苦を一辺に与えて来る最早拷問器具の如きコレを現場で只一人着用を義務付けられてしまった藤原氏曰く、

『朝起きた時は元気なのにコレを着させられて7時に現場に入った時点で「帰りてぇ…」となり、(仕様上頻繁には脱ぐ事が出来ない為)時間と共にどんどん上がる不機嫌度は最終的に誰とも喋りたく無くなるレベルとなり、出番の合間でも一人現場の隅っこでタバコ吸ってた

『コレを着て最終戦のあのアクション(スーツ未着用でのリハだけで思わず剣心役の佐藤健氏に「いつもこんな事やってるの!?」とぜぇぜぇ声でこぼしてしまう程ハードだったらしい)やるのがまた更に苦行で、直前の剣心に向かって階段を降りて行くシーンの撮影中は内心では「あぁ…あと◯◯段でアレが始まっちゃう~」と地獄へのカウントダウンのように感じていた

『志々雄という役を演じられた事はこの上無い光栄だが、正直あの衣装だけは二度と着るもんか(笑)』

と、公開時のインタビューの度に一枚のオブラートも無しに公言しており、共演者・観客から笑いと同情を同時にもらっていた。

一応スタッフ側も熱中症等の心配から藤原氏の体調が気が気でなかったらしく、「『そろそろ本当にヤバい』と感じたらすぐに教えて下さい!」と念押ししていたのだとか。


ちなみに撮影後のこの志々雄スーツは、その仕様上マネキンに藤原氏と同様のメイクだけ施してこれを着物と共に着せて小道具を持たせてしまえばそれだけで等身大超リアル志々雄フィギュアが出来上がってしまう為、公開後のイベント等では展示品一番の目玉として大活躍したのだとか。


名言録

  • 所詮この世は弱肉強食 強ければ生き、弱ければ死ぬ

志々雄の信念にして真理。


  • 信じれば裏切られる

明治政府に裏切られ、全身を焼かれた経験から深層心理に根深く刻まれた理念。


ちなみに福沢諭吉も地位と名誉に誇示するようになり、派閥内で醜い争いをする維新志士達に失望しており、純粋に使命を果たそうとする北里柴三郎と懇意にする一方で「絶対政府に裏切られる」と予想して支持しており、予想通り自身の死後13年で北里が政府に裏切られた際、北里に30万円(当時の貨幣価値で約12億円)を託し、北里はその遺産を元に学校法人北里研究所と大日本医師会を設立した。


  • 油断? 何のことだ? これは余裕というもんだ

斎藤の牙突零式を難なくかわして言った台詞。

あまりにもカッコ良すぎる。


  • 糞はお前らだろ

軽くあしらわれた左之助が吐き捨てた「…くそ」に対する台詞。


  • そんな時代に生まれ合わせたのなら 天下の覇権を狙ってみるのが男ってもんだろ

幕末の時代を戦国以来の動乱と称し、そんな時代に生まれたのなら天下を狙う。男としての器量を感じさせるが、やや生まれた時代を間違えた感がしなくもない。


  • 動乱が終わったのなら、俺がもう一度起こしてやる!

国盗りを志した目的の一つ。


  • 人には各々性分に沿った、生き様ってヤツがある。

この後自分を差して「例えば人の上に立つ者」と続く。


  • 本当にいい男はどんなになっても女の方から寄って来る。

この時実際に元・吉原ナンバーワン花魁たるデラベッピンとのイチャイチャシーンを見せ付けながらこの台詞を吐いているのだから、ぶっちゃけ否定しようにも言葉が思い付きません

もっとも、彼の一団を見る限り、そのカリスマで男ならもっと寄って来るという事は明白。


  • こんな血で血を洗う修羅共が蠢くこの現世こそ 地獄と呼ぶに相応しくないか?

剣心に蒼紫に、自分を焼き殺そうとした明治政府の者達を修羅と評して地獄を信じていない方治に語る。


  • なあ由美。お前は俺の見てくれに惚れたのかい? お前が惚れたのは俺の中身だろ。

こんな台詞をさらっと言えてしまうあたり男ぶりが違う。


  • 生まれがどーのこーのじゃねえ。お前が弱いから悪いんだ。

本当の子じゃないから酷い扱いされても仕方ないと言う幼い宗次郎に対して。このころから価値観は揺ぎ無い。


  • 裏切る、だと・・・? てめえのものさしで語るんじゃねえよ。コイツは誰より俺を理解し、俺は誰より、コイツを理解している

この台詞を吐いた時の志々雄は剣心を圧倒する漢気であった。

テメェの物差で測るんじゃねぇよ


  • …違う。何より強いのはこの俺!!所詮この世は弱肉強食、強ければ生き弱ければ死ぬ!!生きるべき者はこの俺だ!!!

志々雄の「弱肉強食」の信念は、己が最強であるという確信に由来するものだと窺える台詞。


  • 決まってんだろ、閻魔相手に地獄の国盗りだ

どこに行くのか聞く方治に対して。地獄に落ちてもぶれない。


  • 馬鹿か お前

『炎を統べる』より。自分だけならなんとか苦界から抜け出せるくせに新造と双子の禿を救おうとして抜け出せない由美を嘲笑うでもなくただ辛辣に評した。身受け代は相場の4倍と聞いてすぐ妹分が入っていると気づく鋭さ。


  • 寂しいなんざ感じねェが一人で往くのはウンザリだ。俺がいよいよ再び…となった時お前の命 戴くぜ

全身を焼かれた際に見た地獄の風景を話して双子を助けた報酬を由美に確認する。自分の強さに絶対の自信を持ち誰かに殺されることなど微塵も考えてなさそうな彼でも、一度死にかけた経験からか「」というものは意識してるらしい。


  • 雌としての名前じゃねェ 女としてのお前の名前だ

このセリフが由美にとっての文字通りの「殺し文句」。遊女になってから初めて自分を人間扱いしてくれた志々雄のこの言葉は、由美に救いをもたらしたのだろうか。しかし、由美が遊女に身をやつすきっかけを作ったのもまた志々雄であるというのも皮肉な話。


  • よし由美 俺から離れるなよ

十本刀が控えているなか口付けながら。剣心との決戦前といい人目を憚らない男である。


  • そうだよなアンタを避けては通れないよなぁ・・・ いいぜ思いっきり賑やかに騒ごうぜ

国盗りを志すも抜刀斎の存在を強く意識する。国盗りと剣心との戦いを同時に楽しもうとするのは騒ぎ好きの彼らしい思考。


  • 強くなってみせろ悪太郎 さもなくばてめえは一生惨めなままだ

一人の浮浪児に過ぎなかった明日郎に、歪んだ形とはいえ生きる術を示す事になった事実は志々雄を単なる悪人と断じる事を難しくさせる。


実写版

  • そんな制服脱いで、どうだ?こっちに来ねぇか?あの動乱の時代に時計を逆戻りさせようじゃねぇか

『志々雄』という存在の強大さ、恐ろしさをこの上無く端的かつ身震いするレベルで痛感させる衝撃の導入部にて、討伐隊の警官達を次々と焼き殺しながらもその指揮官たる斎藤をスカウトしようと発した台詞。

強者であるが故の寛容さと柔軟さ、実力主義の有能上司振りを感じる。


  • 何が「ござる」だ!!そのくだらねぇ物言いはやめろォ!!

煉獄上にて捕らわれの薫を見せ付けられて尚人斬りに戻り切らない様子の剣心に対して。

ぶっちゃけこれまでに誰か一人は剣心に言ってそうで実は未だに誰も言ってなかったこの台詞に、ファンの多くが「うわ、言っちゃったww」と苦笑い。ついでに剣心役の佐藤健氏もこれにはコメンタリーにて「ごもっともww」と苦笑い。

真面目に解釈するなら、剣心の素はござる口調ではないし、一人称も「拙者」ではなく「俺」である(比古との会話やモノローグなど)。不殺の剣心としての口調は明らかに「作った」ものであり、それを洞察したうえで、惚れた女の危機を前にしても「作った」口調を続ける剣心に対する苛立ちが表面化した台詞だろう。


  • 誰だお前は? & 何だお前は?

最終戦の場に乱入して来た左之助及び蒼紫に対しての、実写版における志々雄屈指の『迷』台詞。

剣心と斎藤の既に顔合わせ済みの二人への、それぞれ「ようやく会えたなぁ」「おーおーおー、斎藤さんかぁ」という(ちょっと嬉しそうな)言葉と対比しての、楽しく大暴れしてる所にいきなりしゃしゃり出て来て襲い掛かってきた名も顔も知らない上に既に(直前の戦いの相手にボコにされて)ボロッボロな奴ら二人へ発した(しかも何度も)至極当然でしかないこの台詞には、シリアスかつハードなクライマックスの場にもかかわらず、そのシュールさ故に観ている者の多くが笑いを噛み殺す羽目になった。

ちなみに左之助は最終戦終盤辺りでも「誰だてめえは」と言われている(そして邪魔だと言われボコられる)。


余談

作者にとっては「悪の美学の集大成」であり、自身のピカレスクに対するあこがれをぶち込んだキャラであるという。人物像のモチーフには前述の牙神、そして新撰組の初代局長・芹沢鴨を挙げている。


全身火傷を負い顔を隠しているというビジュアルイメージの大本は、実は犬神家の一族犬神佐清。ゴムマスクで焼けただれた肌を隠しているビジュアルから着想を得たが、ゴムマスクそのままでは白黒漫画で質感を表現するのが難しく、痛々しさも伝わらないとの理由で、包帯ずくめの見た目にアレンジしたとの事(ちなみに単行本で志々雄の人物解説をした際にその事実を明かしたが、思いっきり犬神家の物語の核心に関わるネタバレをしてしまっている)。


イデオロギーの観点で言えば剣心は「弱肉強食の世界は絶対に間違っている」と結論するが時代は大久保利通亡き明治政府によって「弱肉強食」の方針へと突き進むことになる。

その意味では剣心は思想面でも勝利し得なかったともいえる(帝国主義という名の「弱肉強食」が完全に否定されるのは、剣心達の死闘から何十年も経ってからのことである)。


剣心を最も瀕死に追い込んだ戦いぶり、「剣心華伝」での原作者インタビューの場では原作者の入れ込みにより調子に乗って強くし過ぎた結果「全編通して最強のキャラになってしまいました」とコメントされた(無論、連載終了後のコメントなので文字通りの『全編』であるが、後に原作者は花札で最強の20点札に志々雄を含めた比古、剣心、斎藤、宗次郎の5人を当てがっている。は特別扱いの零点札)。

また、原作者は同インタビューにおいて不殺によって少年漫画の基本的カタルシスが描けない難しさに言及しつつ、志々雄戦はそれとは別に「剣心は志々雄には勝てないだろう」と考えていたそうである。入れ込んでいるため剣心を志々雄に勝たせるわけにもいかず、しかし物語の都合上志々雄を勝たせるわけにもいかず、剣心に倒されるのではなく、自らのエネルギーの暴走による終焉のようにして、志々雄の勝ち逃げのように思わせる引き分けという形にしたという。


本編終了後に描かれたスピンオフの『裏幕 —炎を統べる—』では主人公となったが、「志々雄は最強の敵キャラであるがためにどんな敵が出て来ようと『格下にしか見えない』のでその敵となるキャラを作るのが難しい」と原作者と話したと編集が後日談で語った。


村田雄介氏によるジャンプ40周年記念ポスターでは、同じく包帯姿が印象的な『NARUTO』の桃地再不斬とチャンバラを行っている。の両極端な二者ではあるが、感情を持たない美少年を配下とし、慕われている」「非常に口が悪い」「自らが以前所属していた組織から追われている」「自分が最も愛する者を盾にした」「愛刀が引き継がれている」など共通点は多い。


次々回作『武装錬金』ではヒロインの津村斗貴子包帯を巻かれた姿としてコスプレ(?)されている。


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そして時代は志々雄の思惑通りに

この出来事から約10年後、世界は植民地支配の時代へと移り、日本も日清戦争、そして日露戦争を経て戦乱の波に飲まれる事となる。


「所詮この世は弱肉強食、強ければ生き、弱ければ死ぬ。」

この言葉は富国強兵へと名と形を変え、皮肉にも志々雄の思想の一部を受け継ぐ結果となるのだった。

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