概要
正式タイトルは「炎を統べる -るろうに剣心・裏幕-」。
志々雄真実と駒形由美の出会いを描いた、「京都大火編」の前日譚。
舞台は明治十年の晩秋、新吉原。
単行本化に際し、漫画では描き切れなかった部分を補うべく黒碕薫によるノベライズが追加された。
登場人物
華焔(駒形由美)
薩長のお大尽とてなかなか相手にできないとされる吉原一の花魁。元は商家の生まれで何者かに家族を皆殺しにされて『赤猫楼』に売られた。「マリア=ルーズ号」の件で明治政府嫌いで、政府関係者は相手にしないで身請けも拒否する程。
自分の命を売ってもいいほど、華火、あかり、かがりの妹分達を大切に想っている。
本作の主人公。
華焔の務める店『赤猫楼』に長逗留しつつ、十本刀が全国から集結するのを待ち受ける。家族達の亡骸には刀傷と同様に火傷もしていたという華焔の話に意味ありげな笑みを見せる。
その後、華焔に助けを求められるが弱肉強食だと最初は断るが…
志々雄の為の拠点確保・武装整備などの立案に明け暮れる日々。遊郭だろうと仕事一辺倒の堅物で、志々雄のために戦艦を手に入れたがっている。彼の世話を任されている無邪気な華火にはペースを狂わされつつも、憎からず思っていたが…。
小説『その翳、離れがたく繋ぎとめるもの』では主人公を務めている。志々雄や十本刀への思いや、華火との交流、彼女への思いなどが書かれている。
あかりとかがり相手のかくれんぼやだるまさんがころんだに『縮地』を使って遊び相手をしつつも、志々雄から命じられた仕事に抜かりはなく十本刀の召集役として奔走する。
華火
7歳のときに『赤猫楼』に売られてきて華焔とは10年の付き合いで妹分。
少々頭は弱いが、おっとりして純真無垢な娘。苦界と言われる世界に身を置いているが、食べる物にも困る貧しい農村での生活よりは吉原での遊女としての生活の方が幸せだと感じている。華焔が一ヶ瀬に身請けされると聞いて我が事のように喜ぶ。それと同じぐらい別れに悲しさを覚えつつも彼女の幸せを心から願った。しかし一ヶ瀬達に関わったがために思わぬ悲劇に見舞われることに…。
あかり・かがり
双子の禿。明治に生まれて『赤猫楼』に売られてきた。無邪気で明るく華焔を姉のように慕っている。遊んでくれる宗次郎に懐いている。華火の遭難の場に居合わせてしまい…。
一ヶ瀬鮫男
引原海鮫兵団団長。大網元の息子で、西南の役の戦勝祝いだと私的財産で部下達と吉原で豪遊。華焔を買いに来るが、明治政府関係者はお断りと拒否されたので身請けを申し出る。
とある交渉相手と秘密裡の商談を進めようとしていたが、それを偶然華火達に知られてしまう。
二ノ宮
引原海鮫兵団の幹部。慇懃な口調で胡乱な目つきの中年男。
三ッ原
引原海鮫兵団の幹部。険しい顔立ちをした長身の男。