概要
- 悪役を描くうえでの独特な美意識
- 悪役が自分に課している自分ルール。
1の解説
悪役はバトルものや刑事ドラマなどの善悪が存在する物語には必要である。
悪役が大暴れすることにより主人公の存在感をより光らせる。
そして、主人公やその仲間に倒されることで視聴者にカタルシスを与える。
ライバルキャラなどでもない限り主役にはなりえず、最後は退場することになる。
基本的にそんな役であるが、必要な役である。
それを魅力的に描くために必要なのが「悪の美学」である。
悪役はあくまでフィクションの存在であり、「現実にこんな事する悪人はいねーよ」というツッコミは「悪の美学がわかってない」と反論しよう。
主な条件
- 主役を引き立てること
- 視聴者にカタルシスを出来るだけ多く感じさせる
- 必要以上なほどのド派手な演技・演出
- ボスキャラ・悪のカリスマとしての強さ、または小悪党としての悪あがきっぷり
- よせばいいのに主人公の行く先々で悪事を働く
- 悲劇的な過去を背景に持つ事で視聴者に主人公以上の共感を抱かせる(判官贔屓)
2の解説
「正義の反対はもう一つの正義」という「“悪役”であっても“悪”ではない」キャラクターはもちろん、むしろ自分の快楽のためにやりたい放題の外道ですら「自分が気持ちよくないことはやらない」という自分ルールを知らず知らずのうちに自分に課している。
「いろいろな悪党から慕われる悪のカリスマ」や「小悪党が意地を見せ正義の味方に一矢報いる展開」が描かれる場合、彼らがこれを持っていることが多い。
追い詰められて己の美学に反したことで無様な最後を遂げるものもいれば、逆に美学にこだわるが故に弱点や策略の穴が残り、そこを突かれて勝てたはずの戦いに負けるものもいる。
そして悪の美学を持つが故に部下に慕われる者もいれば、美学故に命令違反を行って上司に粛清される者もいる。
一例
- 女子供は殺さない
- 占領先での略奪や暴行は許さない
- 悪の組織に身を置きながら正々堂々と戦う武人系悪の幹部全般
- 敬意を表して必殺技で止めを刺す
- 敢えて設計図に欠陥を残すマッドサイエンティスト
- 悪の親玉や幹部でも部下任せにせず自ら前線に立つ
- 一度立てた誓いは自分の大願成就の致命的障害になったとしても絶対に破らない
- どんなに今後の目的上重要な事でも、その過程で恩義のある相手が不幸になるのならば敢えて放棄する
- 相手の覚悟を尊重し、信念を持って行動するのならば無力な民間人でも敵でも尊敬する一方口だけの味方は致命的な場面で邪魔をする
- 強い者は下等な人間であろうと差別しない
- 必ず相手と同程度の力で相手をする、途中相手が何らかの事情で弱体化したら自分もそれに合わせる
- 相手の一般兵器で傷つかないほどの過剰武装するのは臆病者
- たとえ死ぬことになろうと雑種風情に本気を出したら負け
- デスゲームであろうとゲームである以上、クリアの可能性は必ず残す
- 自分の主義や信念に反するやり方を持ってまで勝つくらいなら、いっその事負けを認める方を選ぶ
- 潔く負けを認めた後は、不意打ちしようとする仲間を粛清する
- 敗れても後に控える仲間のために敵を道連れにする