概要
CV:上川隆也
本作最大の敵で、反螺旋族の集合意識体にして、突如あらわれた別宇宙からの襲来者である。
その正体は、かつてスパイラル・ネメシスの危機に気付き、己の進化を封印しつつ、他の螺旋族を統制する事でスパイラル・ネメシスを永遠に封じ込めようとした「当時、最も進化していた螺旋族」。はるか昔の大戦で螺旋族を破り、螺旋族とその末裔達への監視システム及び殲滅システムを宇宙全域に配置、自らは母星において全ての同族をコールドスリープさせる事により自らの肉体的成長を止めることで螺旋力を封じている。
ちなみに螺旋族とは遺伝子に二重螺旋構造及び螺旋力を持つ生物の総称である。作中では主に人間のことを指すため、彼らも元人間である可能性がある。
地球の場合は月に監視及び殲滅システムが設けられている。更に地球上にはその端末が人類の目の届かぬ様々な形で配置されており、これにより螺旋族(つまり地球人類)は滅びを免れるために螺旋力の増大を抑えて地下で細々と暮らすことを余儀なくされる(ある意味アンチスパイラルの目的に協力することと引き換えに、生存することだけは許されていたともいえる)。
しかしロージェノムが倒された事で人類は再び繁栄、100万人目の人類が産まれた直後、人類殲滅システムを起動させ人類と対立する。
劇中で登場した際には人に近い形をとりつつも、肉体、表情はおろか光すらも感じさせない虚無的な姿を形成している。また、進化・個・感情などの全てを捨て、気の遠くなるような年月を生きてきたため、精神は絶望と苦悩に満ちている。そのため、無機質ながら憎しみのこもった台詞を相手に吐きつけてくる。
宇宙の支配者であるため、自らの力で宇宙を生み出し、それら全てを操る力を持つ(一言で言えばなんでも出来る。多次元宇宙空間を発生させたり、母星をコアとし銀河を踏み台にするほどの超々弩級巨大ロボットを産み出している)。
グレンラガン世界の諸悪の根源と言って良いが、彼らの望みは”この世界を崩壊から守ること”であり、文字通りその身を削って宇宙の未来を守り続けていたのも事実である。そのため負の方向に染まってはいるが、胸の内には熱いものを秘めており、シモン達との戦いでは彼らの熱くも切ない思いを垣間見ることが出来る。
劇中での活躍
地球の包囲部隊を壊滅させて本拠地に乗り込んできた大グレン団に対し、圧倒的物量による包囲殲滅戦を仕掛け、更には多次元宇宙空間に大グレン団を飲み込んで戦意を消失させようとする。しかしシモン達はそれを乗り越え、天元突破グレンラガンという新たな力を見出して立ち向かってきたため、今度こそ排除せんとグランゼボーマを創造、再度彼らの前に立ち塞がった。
(何故ロボットで戦おうとしたのかというと、ロージェノム曰くより深い絶望を与えるためで、すなわち相手と同等の姿で戦い粉砕することで希望をへし折ろうとしている。メタ解釈をすれば「その方が面白い」ため)
ここから「否否否否・・・断じて否!」などの印象深い台詞を皮切りに、様々な技を繰り出していく。
- 確率を操作することで全ての攻撃を無効化する
- 銀河を投擲武器にする
- 宇宙誕生級のエネルギーでビーム攻撃をする
これら大スケールの攻撃の数々でシモン達を追い詰めていくが、どうやっても彼ら螺旋の意思を砕くことは出来ず、最終的にグレンラガンのマトリョシカ的アクションとラガンインパクトの前に敗北する。
劇場版では少し展開が変わっており、天元突破したシモンたちは全員で合体し、原作の更に上である超天元突破グレンラガンとなる。アンスパもそれに対抗して巨大化し、(恐らく)ロボットアニメ史上最大規模の大スケールバトルを繰り広げる。マトリョシカアタックのトドメもラガンインパクトではなくシモン自身が拳で突撃するという演出に変わっており、そこからグランゼボーマの中心部で一対一の肉弾戦を行う。最後はシモンが螺旋力で生み出したドリルに貫かれて敗北する。
どちらの展開でも倒れる寸前にシモンの心意気と力を認め、彼に宇宙の未来を託して隔絶宇宙もろとも消滅する。
名台詞集
「そんなものかァ!?螺旋族ゥゥゥゥーーーッ!!」
「母星に肉体と進化の可能性を封印した、この醜き姿こそ我々の決意の印!」
「お前達は自分たちの行動の意味をいつも理解していない・・・!」
「元は同族だった者を倒し、我が身の進化を封じ込め、この宇宙を守ろうとする我々の覚悟に、敵う道理があるか!?否!! 否、否、否、否、否、否、否、否、否、否!! 断じて、否ァァアアアアアアアアアッッ!!!」
「インフィニティィビッグバァァァンストォォォオオオオオオオオムッッッ!!」
「永劫に続く宇宙創世の業火に焼かれ、DNAの一片まで完ッ全ッ消ッ滅するがいいィィィッ!!」
「面白いッならば反・螺旋!ギガァドリルゥゥブレイクゥゥゥウウウウッッッ!!!」
「・・・ならば、この宇宙必ず守れよ・・・」
ドラマCDでの活躍
ドラマCDの第三弾「男組だよ!グレンラガン」にも登場。
黒いタートルネック・黒いズボン・黒い皮手袋・黒い靴、そして黒い目出し帽を着用し、スナックであんかけスパゲティを食っているという衝撃の登場を果たしている。
スーパーロボット大戦での活躍
『第2次Z再世編』で初登場。バアルの一角として人類の脅威となっている。
版権作品での敵勢力では最も遅く登場するがこの時はまだ様子見なのか本気ではなかった(ちなみに原作同様声優は上川隆也)。
本作では原作設定を元にしたスパロボオリジナル機体アンチ・グレンラガンで戦いを挑んでくる。
『第3次Z時獄篇』ではいよいよ本腰を入れて自軍部隊に戦いを挑んでくる。
その勢力はやはり圧倒的で本作の版権作品最後の敵であり、最後の彼がほぼイベント戦闘のため、本作の実質的なラスボスとなる。
ちなみにスパロボスタッフも原作の超ど級バトルには頭を悩ませたが、脚本家の中島かずき氏から「みんなで天元突破ですよ」とのお言葉をもらい、自部隊全員が天元突破(※)し(文字通りに)スパロボ史上最大の戦いとなっっている。
※設定上は前期隊制限なし(サイズ∞扱い)となっているため、着ぐるみキャラや旅館の従業員も全員同じ大きさになる
ヒトマキナと手を組んで(どう見ても勢力的には自身の傘下に加えているとしか思えないが)戦いを挑んでくる。
原作と違い、ドアクダーがニアを強制的に覚醒させたことで攻め込んでくる(彼らに世界を滅ぼさせ、その後に自身の理想の世界を作るつもりであった)。また、かつて神部七龍神やネモ船長の先祖らとも対立しており、本編の舞台となる異世界アル・ワースの成り立ちにも密接な関わりがある。
困難ルートでの決戦では、あのマジンガーZEROまで乱入してくるため激戦は必須。
なお、劇中最悪最大の脅威ではあるが物語の黒幕は別にいた。
モチーフについて
最も進化していたという点とかけているのかは不明だが、そのデザインは簡略化して書いたウルトラマンがモチーフになっている。口の部分にヨダレが垂れているように見えているのもそのため。その強大さと負の方向を向いているとはいえ自らに課した使命を考えれば、かの光の巨人がモチーフともなるのも納得であろう。
余談
彼の主張を要約すると「希望等の正の感情(螺旋力)は宇宙を滅ぼす災厄を呼ぶから封じるべき」であり、実際彼が出す感情は絶望や憐憫、憎悪や苛立ちに溢れた諦観ばかりなのだが、一箇所だけ正の感情を出してしまった場面がある。
「面白い!ならば反・螺旋!ギガァドリルゥゥブレイクゥゥゥゥゥゥ!!!」
ここは互いに最終奥義をぶつけ合う場面で、自分の主義を通すならば(同じ力で叩き潰すという目的でドリルを選んだことは置いておき)相手の抵抗を面白いとするのは誤りで、本来ならいつまでも屈さない相手に今まで通り罵声を浴びせるべきである。
しかしアンスパは「興奮」あるいは「愉悦」とも言える正の感情を見出していた。どれだけ追い詰めても諦めないシモン達にそのような感情を抱いてしまうのは、皮肉にも彼が元螺旋族であったことを示唆しており、永きにわたって自身の感情を押さえ続けていてもその芯は腐っていなかったという心情の表れである。
同時に、ずっと心の内に抱えながらも使命や大義、そして奪ってきた命に対する責任感で蓋をしてきた「本当は諦めたくなかった」というアンチスパイラルの本音の一端が漏れたシーンとも取れる。
しかしこの瞬間、戦いは「どちらが正しいか」の議論から「諦めた者」と「諦めていない者」の真っ向勝負へとシフトした。力や技が拮抗しているなら後は心の勝負で、その優劣で勝敗が決まるのであれば、決して諦めない強さを持つシモン達が勝つのは必然だったと言える。
関連タグ
ウルトラマン:デザインモチーフ
ダグデド・ドゥジャルダン:『王様戦隊キングオージャー』のラスボス。脚本担当の高野水登氏が大の『グレンラガン』ファンであるため、能力や思想、大規模な凶行等随所にリスペクトを込めたオマージュがなされている。(もっとも、ダグデド自身、力そのものはアンチスパイラルにも勝るとも劣らないが精神性や信念等は比べるまでもない程に矮小極まりない)