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概要
大財閥犬神家の当主・犬神佐兵衛の孫。母親は犬神松子。徴兵されてビルマでの戦いに参戦したが、そのときに顔に酷い火傷を負ったために、白いゴムマスクをつけている。
犬神佐兵衛の遺言により、遺産相続争いに巻き込まれる。
野々宮珠世とは幼い頃から交流していて相思相愛の仲。珠世の壊れた懐中時計の修理を請け負うなど、とても器用で面倒見がよく、二人の仲睦まじさは犬神佐兵衛にも見守られていた。佐兵衛の遺言は、佐清と珠世を結婚させることで珠世に破格の恩恵を与えることを目論んだものである。佐清の性格からしても、財産を独占しようとせず、佐武たちにも悪いようにはしないと見込んでのことと思われる。
容姿
かつては若き日の犬神佐兵衛に似た美青年だったが、現在はビルマ戦線で顔に酷い火傷を負ったため、常にマスクをつけている。なお映画やドラマでは、上のイラストのように頭部全体を隠す無表情で不気味なマスクが使用され有名になったが、原作では、かつての端正な佐清の顔立ちに限りなく似せた美しく精巧なものとされている。また謎の侵入者に顔を殴られたときに外れてしまうなどの描写があることから、実際は仮面のようなものではないかと思われる。
ちなみにこの有名になった白いマスクの目の周りが黒いのはマスク自体のものではなく、目の穴から見える佐清の焼けた皮膚が見えている為である。
死に様
凍りついた真冬の那須湖に投げ込まれたため、湖面に上半身を突き刺し、足だけを突き出した奇妙な姿で発見された。
これは「スケキヨ」を反転して「ヨキケス」とし、水没した頭側の二文字を消した「ヨキ」(斧:犬神家の家宝「斧・琴・菊」の一つ)を表す一種の見立て殺人であった。
真相
以下、物語の核心部分に関するネタバレ記述あり、要注意
実は上記のマスク姿の男は佐清ではなく、故・犬神佐兵衛翁の隠し子で相続人候補の一人、青沼静馬である。
およそ三十年前、女工であった青沼 菊乃は佐兵衛に見初められ、やがて子を身ごもる。しかし、これを知った彼の三人の娘(松子、竹子、梅子)は後継ぎとなるであろう男児が産まれることを恐れ、彼女に父親と絶縁するよう恫喝した。菊乃は佐兵衛から財産相続権を示す家宝を託され身を隠すが、三姉妹はなおも彼女を追い詰め、凄惨な暴力をふるった挙句に家宝を奪い去る。後にこれを知った息子・静馬は怒りに震え、犬神家に復讐することを誓う。
やがて戦争が始まり、静馬はビルマへと出征するが、その地で犬神家の嫡男、佐清と出会う。血縁上は叔父(静馬)と甥(佐清)に当たる二人だったが、年齢は同じであり、さらに血筋ゆえか、両者はまるで双子の様によく似ていた。互いに親しみを覚えた二人は各々の過去や境遇を越え、仲良く語りあうようになる。
しかし、戦局の悪化とともに二人は別れ別れになり、静馬は一命を取り留めるも顔に重傷を負い、終戦を迎える。そして、佐清の部隊が現地で全滅したことを知った彼は、日本に帰国後、佐清に成り代わることを画策、憎き犬神家に復讐するべく動き出したのであった。
だが、本物の佐清は生きていた。同時期に日本に帰還するも、自分の部下であった仲間たちを全滅させてしまった後悔と罪悪感から、故郷に戻れずにいたのだ。その中で全国報道された犬神家の遺産相続問題。ニセ佐清の正体が静馬だと察した彼は、顔を隠した謎の復員兵、山田三平として帰郷する。祖父佐兵衛から青沼親子の悲惨な過去を聞いて彼らに同情していた佐清は、なるべく事を荒立てずに静馬と入れ替わり、彼にも出来るだけの財産を分与したいと考えていた。
そんな願いもむなしく、事態は驚くべき展開を見せ、彼は恐ろしい事件の渦中へと巻き込まれていく。
静馬を呼び出して今後どうするか相談しているときに、偶然、松子が佐武を殺害する現場を目撃してしまったことで、立場が逆転し、静馬に命じられるまま、佐武の死体の後始末をさせられる。
また、本当にマスクを付けた佐清が本人なのかを確かめるべく行われた奉納手型との照合の際に静馬と入れ替わった。つまり佐清自身もあのマスクを付けたのである。
その後、犬神家の旧屋敷に潜んでいたが、そこに佐智が珠世を連れ込んで強姦しようとしたのを阻止。佐智を縛り上げて、猿蔵に珠世を迎えに来るように電話した。
隠れる場所がなくなった佐清は那須地方から出ていくことを決意し、静馬と相談中、またしても松子が佐智を殺害する現場を目撃してしまい、静馬の命令で佐智の死体の後始末をした。
それから東京へ戻ったが、静馬が殺されたことを知った佐清は那須へ舞い戻り、すべての罪をかぶり自殺しようと、わざと珠世を殺すふりをして逃亡中に警察に取り押さえられた。
捕まった後は黙秘を貫き、自分が犯人だと言い張っていたが、狂言とはいえ佐清に殺されかかったことで佐清に嫌われたと思った珠世が深く傷ついたこと、嘘をつき続けることは母を苦しめることだと悟り、すべてを自供。
すべての真相が明らかになった後、佐兵衛の遺言で贈られた家宝を珠世から渡されたことで、佐清が犬神家の後継者になった。
人物
身勝手な人間が多い犬神家の一族では数少ない良識的な人間で、佐兵衛が見込み、珠世が心底惚れたのも納得の好青年である。
それは、自分になりすまして犬神家に入り込んだ青沼静馬を告発せず、秘密裏に解決しようと動いたことなどからも見て取れる。だが結果的にそのことが、続く殺人事件を起こす一因になってしまった。
佐智に拉致された珠世を救い、薬で眠らされている彼女を迎えに来るよう猿蔵に電話し、珠世が純潔のままであることを証明するメモまで残すなど、人知れずに便宜を尽くしていた(この時、椅子に縛りあげた佐智も猿蔵が一緒に解放してくれるだろう、という思惑が仇となってしまった)。
また静馬が松子に殺されたことを知ったときは、自分が犯人だと思わせて自殺を図ろうとするなど、とても親思いな面を見せていた。
結果的に静馬の犯行の一部を手伝わされる羽目になった事にもなるが、古舘弁護士の見立てでは「元々良識のある人物である事や事態を収めようとした行動から取り調べや裁判でも温情のある扱いはされるだろう」としていた。
余談
静馬と佐清は双子のように似ている設定から、前述の映画・テレビドラマ・演劇では配役の際ほとんどの場合一人二役で演じている。概ね、静馬はダミ声・佐清は普通という声の使い分けも多い。
また2006年版の佐清・静馬を演じた五代目尾上菊之助と松子を演じた富司純子は実際に母子である。ちなみに尾上菊五郎家もまた「斧・琴・菊(よきこときく)」の和柄をよく用いる事で有名。
スケキヨといえば湖から足だけ突き出した死に様が有名であるが、実は初めての映像化作品である映画では、このシーンは人形などの作りものではなく本物の人間が演じている。
NHKの特集によると、演じたのはプロのスタントマンや俳優などではなく、たまたまロケ地の近所に住んでいた遠藤さんという素人の一般人男性で、ひょんなことから映画にエキストラとして参加することになり、例のシーンを撮影したという。
pixivでの「スケキヨ」
pixivでは「スケキヨ」のタグで投稿されている作品やネタも多い。彼のつけている不気味なゴムマスク、又はひっくり返って二本足だけが見えている状況の絵につくことが多く、犬神佐清自身が出てくるとは限らない。
sukekiyo
DIR_EN_GREYのVOICE担当である京のサイドプロジェクト。
音楽性はDIR EN GREYとは大きく異なり、声を楽器の一つとして捉えるDIR EN GREYに対してsukekiyoでは詩の世界を重視した楽曲を制作する。精力的に比較的小規模な会場でのライヴを行っている。バンド名は上掲「犬神家の一族」の犬神佐清に由来する。
関連タグ
志々雄真実:オマージュキャラ。こちらは包帯で素顔を隠している。初期案によれば、スケキヨと同じくラバーマスクを被る予定であったが、諸事情で前述の設定に変更された。