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青沼静馬

あおぬましずま

青沼静馬とは横溝正史の長編推理小説『犬神家の一族』の登場人物である。
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曖昧さ回避編集

岩元先輩ノ推薦に同名のキャラがいる。


概要編集

犬神佐兵衛と愛人である青沼菊乃の間に生まれる。

正妻を持たぬ佐兵衛が五十の齢を越えて得た初めての息子であり、菊乃への寵愛もあって、常ならば莫大な資産を有する犬神家の後継者に一番近い位置にいた。

しかし、正にそれを恐れた佐兵衛の三人娘(松子、竹子、梅子)の襲撃と脅しを受けて、菊乃によって那須から連れ出されて、富山にある母の遠縁の家に養子に出された。



物語の重要人物編集


以下、物語の核心部分に関するネタバレ記述あり、要注意



























徴兵時に、菊乃から自分の素性と産まれた時に松子たちから受けた仕打ちを知り、犬神家に対して怒りと恨みを抱く。


ビルマへと出征した静馬は、そこで任を同じくした犬神家の嫡男である犬神佐清と出会う。血縁上は叔父(静馬)と甥(佐清)にあたる二人だったが、年齢は同じであり、さらに血筋ゆえか、両者はまるで双子の様によく似ていた。それが部隊内で話題になり、戦場という特殊な環境下であったこともあり、二人は各々の過去や境遇を越え、仲良く語りあうようになった。

やがて戦局の悪化とともに二人は離れ離れになり、その後に終戦。

静馬は一命を取り留めるも顔に重傷を負ってしまう。佐清の部隊が現地で全滅したことを知った静馬は、日本に帰国後、佐清に成り代わり、父である犬神佐兵衛を喪い遺言状の公開が待ちかまえる犬神家に入り込んだ。


だが、佐清は生きていて、静馬が自分になりすまして犬神家にいることを知った佐清が静馬の前に現れたことで立場が悪くなるが、今後どうするかを話し合っている最中に、犬神松子が犬神佐武を殺す現場を目撃したことで、立場は一転。自分が珠世と結婚して犬神家の当主になると同時に母の復讐を果たすべく、佐清を使ってこの殺人事件を利用しようと企む。


佐武と佐智が殺害され、佐清が東京へ去ったことで、静馬の思い通りになるかと思われたが、那須神社の神主・大山泰輔が見せた野々宮大弐と犬神佐兵衛が残した封印文書群から、珠世が佐兵衛の実の孫であることが発覚。叔父(静馬)と姪(珠世)の関係である以上、静馬は珠世と結婚できなくなり進退窮まる。


佐清と静馬の入れ替わりを知らない松子が、珠世に求婚するようにしつこく言ってくるのに耐えられず、静馬は自分の正体を明かす。松子が何もできないとたかをくくっていたが、逆上した松子の様子に恐れをなしてその場を逃げようとしたところを、背後から絞殺されてしまった。


静馬の死体は松子によって逆さまにして湖に入れられ、下半身だけを見せることによって「ヨキ(ケス)」を表現させられた。



人物編集

元々は穏やかな性格だが、戦場であらゆる状況に対する判断能力や知恵を身につける。一連の殺人事件の実行犯は松子だが、その後始末をうまく復讐に利用するように見立てたり、白いマスクを使うことで佐清と巧みに入れ替わり奉納手形の照合を切り抜けるなど、並々ならぬ知恵と機転の良さを見せた。


だが珠世が自分の姪であることを知って結婚を拒むなど、一連の行動も第一後継者としての本来の権利と復讐に燃えていただけで、内面は守るべき一線と潔癖性を持ち合わせている。


また、松子の琴の師匠である宮川香琴の正体が母・青沼菊乃だと気づいていて、盲目の香琴の手を引いて玄関まで送るなど、母思いの優しい一面を見せていた。


余談編集

  • 原作では、幼ない頃に他家の養子となっており、戸籍上の名前が「青沼静馬」ではなく「津田静馬」になっていた(長らく消息が不明だった一因がこれで、彼を探していた者達は名前が変っていたなど思ってもみなかった)。
    • ただし、名前が変っていた事が判明した後でも作中では一貫して旧名の「青沼静馬」で呼ばれる。
    • なお、他家に養子に行って名前が変ったと云う設定は、映像化作品ではオミットされる場合も有る。

関連タグ編集

犬神家の一族 犬神佐清 犬神佐兵衛

背乗り


妖怪人間ベム(2006年版コミック):作中で静馬と同様に戦時中に同僚になりすました帰還兵が登場していたが、人物像が真逆であった。

志々雄真実 :作者によりキャラ造形の際に映画版の静馬を外見のモデルの一つにした事が語られている。

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