概要
ラインリバー大陸より東、ギルドメイン大陸の南に位置するホルキア大陸唯一の国家。
王家は賢者の家系に位置しており、同時に神に仕える立場でもある。
パプニカは世界有数の美しい街並みをもち、太陽、海、風を象徴とする。
優れた魔法使いを輩出しているのが特色の一つという国だが、一方で戦士などの武芸者は比較的少ないようである。実はニセ勇者一行のまぞっほもパプニカ出身者であるのがキャラクタープロフィールで明記されている。
若い時はギルドメイン山脈奥地のギュータで修行をしていた姿が外伝で描かれていたため、故郷を遠く離れて修練を積んでいたのだろう(それだけに一層、挫折感が強く、結果、悪党にまで墜ちてしまったと思われる)。
特産としている衣類や貴金属の類いは品質が高いらしく、1人が身に着けている分だけでも他の地域では30,000~50,000Gの高値で売れる程。
15年前の『魔王ハドラー』が北東の山岳地帯に聳える死火山ヴィオホルン山に築いた『地底魔城』を本拠点に置いていたため、当時は最激戦区であった。外伝では南西部の古代遺跡ヨミカイン、北部の荒野・ウロド平原も舞台になっている。
尚、日本列島を模した本作の大陸の位置からするとパプニカのあるホルキア大陸は四国に相当する(ヨミカインは愛媛からで伊予+みかんのアナグラムらしい。ウロドは香川のうどんからかもしれない)。大陸近隣のバルジ島に相当するのは恐らく淡路島である。
『大魔王バーン』が『六大軍団』をもって世界各地に侵攻した際はヒュンケル率いる『不死騎団』の襲撃で壊滅的打撃を受け国王が行方不明(後に戦死と判明)。
一旦は滅亡するも、レオナ姫率いる残存勢力が近隣(大陸の北側)のバルジ島に逃げ延びていた。
勇者ダイの活躍で『不死騎団』を撃破し、次いでバルジ島を襲撃してきたフレイザード率いる『氷炎魔団』も壊滅させ、ダイを狙ってきた豪魔軍師ガルヴァス率いる『影の六大将軍』をも撃退し(1991年劇場版)、復興する。
魔王軍への反撃について各国の王が話し合う世界会議が開催されるが、その壊滅を目論んで鬼岩城を擁してきたミストバーン率いる『魔影軍団』の再襲撃も退けることに成功した。
終盤ではバルジ島や西部のベルナの森(1991年劇場版の主戦場)に『ピラァ・オブ・バーン』を投下される憂き目にも遭う(国土に2本もピラァを落とされたのは各王国でパプニカのみ。魔王軍の執拗な攻撃もこれが一因だった可能性がある)。
風習
14歳になった後継者は、地の神から恩恵を受けるべく洗礼の儀式をする風習がある。地の神に最も近い場所が望ましいとされ、デルムリン島にある森の奥の大穴が儀式の場に選ばれていた。
第1巻では洗礼を受けるためにレオナ姫が赴いたが、デルムリン島での儀式は50年振りだったという(デルムリン島は長年怪物島と恐れられていたため近づく者がおらず、正確な場所を知る者がいなくなっていた。ブラスですら大穴がパプニカの儀式の場だと知らないでいた)。
外伝でレオナの父王が登場するが、明らかに若い容姿なので洗礼の儀式は受けていないと思われる(父王は他の土地で洗礼を受けたのかもしれないが、詳細は不明。そもそも劇中の洗礼の儀式自体がレオナ姫暗殺を目的に奸臣達に仕組まれて挙行されたものだったことから、必ずしも洗礼をしなくてもいい、という事なのかもしれない)。
15年前
魔王軍の殺戮機械の襲撃を受け、武術を嗜む者は少なく、主に呪文で迎撃をしていたが、ダメージを与えることができなかった。
殺戮機械は、異国の戦士の力により何とか食い止める事に成功。 ※殺戮機械は、大臣であるテムジン司祭が主導となって解析されるが…。
異国の戦士達こと勇者一行は国王と会見した後、草木が一本も無い北の外れ『ウロド平原』に向かう。その地でアバンはハドラーとの決闘と称して『凍れる時間の秘法』を行うも、レベル不足から『凍れる時間』に巻き込まれ、一年もの間停止し、束の間の平和が訪れている。
ヴィオホルン山でのハドラーとの決戦にはアバンへの助勢として各国・各勢力の猛者達と共にパプニカの魔法使い達の一団も参戦。怪物の大軍団を壊滅させることに貢献するが、その場にいた大臣のテムジン司祭は密かに魔法の筒で息がある怪物を回収しており…。
ハドラー率いる魔王軍の壊滅後は勇者一行の一人であったマトリフを国王の相談役に抜擢するも、国王の側近達の嫉妬と嫌がらせに愛想が尽きた彼は早々に下野、隠遁してしまった。物語の冒頭でも王位継承者であるレオナ姫を怪物島として有名なデルムリン島で亡き者にして王国を乗っ取ろうとする奸臣達が登場してダイ達と敵対し倒された。
パプニカ王国に属する・関連する人物
王族
- パプニカ王
パプニカを治める王。ただし個人としての名称は不明である。
本編では謀反を目論んでいたテムジンによって相談役に添えていたマトリフをパプニカから去るのを阻止できなかった致命的失敗により、魔王軍の不死騎団による襲撃によって亡くなっている。もしも、マトリフが残っていればパプニカ王家とパプニカ王国を護り通し、不死騎団団長と互角にやり合う所か、倒す事すら可能だったと思われる。
どんな容姿をしているかは不明だったが、前述のアバンが勇者だった頃にてその姿が描かれており、後述のレオナのような長い髪の若い男性であることが判明している。
パプニカ王の娘である王女。
王族故か指導力やカリスマに優れている。
賢者になるための儀式を行う過程でデルムリン島を訪れて、そこでダイと出逢ったことから『ダイの竜の騎士としての力が覚醒する』『パプニカ王の依頼を受けてアバンがデルムリン島を訪れるようになる』といった形で物語が大きく動き出したと言っても過言ではない。
家臣
それぞれパプニカ王国を象徴する太陽、海、風のシンボルを与えられた者達である。
パプニカ王家に仕える老兵。
魔法攻撃を主体とする者が多く属するパプニカ王国でも数少ない剣による物理攻撃を得意とする。
国に背いた元家臣
- テムジン司祭
パプニカ王の側近(大臣)を務める司祭。
前述の異国の戦士二人によって撃破された殺戮機械の残骸を回収・分析していたが、それが後にパプニカの実権を握る為の内乱に使われるという皮肉な結果をもたらしてしまう。
しかし、ダイの活躍によって(後述のバロンが操縦する)改造された殺戮機械が撃破されたことで、クーデターを企んだ事とその過程でレオナの命を脅かしたころから、バロン共々逮捕された。
外伝で明かされた過去の時点で自分の駒となりそうなものを手段を択ばず集めようという姿勢が散見され、又、マトリフを側近として抜擢しようという王に対し「外様に過ぎない者をそこまで厚遇するのはいかがなものか」、と口にするなど、自身の地位や権力への執着が強い性格はこの頃からだったようである。
- 賢者バロン
レオナの賢者としての教育係を務めていた賢者。
テムジンに加担して、レオナ暗殺の実行犯としてデルムリン島にて魔のさそりをけしかけ、ダイによってその魔のさそりが倒されると地面を呪文で破壊し、魔のさそりの毒に蝕まれたレオナ諸共ダイを地中深くに落とした。
その後はテムジンの改造によって人間の手で操縦できるようになった殺戮機械に乗り込んでテムジンに加勢し、レオナをキアリーで救えるブラスを殺そうとするも、竜の騎士の力が覚醒したダイに駆け付けられそのまま交戦するが、ダイの攻撃によってつけられた殺戮機械の胸部の傷口(穴)からベギラマを撃ち込まれて蒸し焼きにされたことで倒される。その後はテムジン共々逮捕され、物語からフェードアウトした。
原作や1991年版ではキラーマシンの力に溺れた結果、テムジン司祭を途中で裏切っているが、2020年版ではテムジン司祭を裏切らずに最後までダイと闘った。2020年版では原作にあった(ベギラマで蒸し焼きにされたことによる)アフロギャグ描写は無くなり、シリアスな倒され方に変更された。
小説版
- トラン
ダイに弟子入りを志願した少年。師としては不慣れなダイからめちゃくちゃな特訓を受けて頑張るなど根性がある。しかしダイから「おれはきみのアバン先生にはなれない」と断られ、バダックに師事する。最終的には闘気の片鱗を見せてダイを驚かせた。
- ミーヤ
夫が遺した食堂を営む女性。大人しく儚げな印象。
- リタンス
トランの父親。男気のあるシェフだったが不死騎団に攻め込まれた際、魔物に襲われて死亡した。その際にトランに「食堂を頼む」と遺言を遺した。
- グーン
以前は食堂の経営者でありシェフだが、本職はチンピラたちを率いる親分。食堂は金もうけのためにやっていたに過ぎない。
リタンスの食堂を潰すために嘘の噂を流していたが、逆に自分の店が潰れてしまった。リタンスが亡くなりパプニカの復興が進んだ頃、「リタンスに金を貸していた」と借金の証文を錦の御旗にミーヤに返済を迫るのだが……。
アバンの使徒
デルムリン島で暮らしながら、勇者への憧れを抱いている少年。
賢者になるための試練を受けに来たレオナと出逢い、テムジンとバロンによるレオナ暗殺計画を阻止した。その時の活躍をパプニカ王が知ったことで、後述のアバンに家庭教師を依頼することに繋がった。
ダイの仲間である魔法使いと女僧侶戦士。
魔王軍
魔王軍六大団長の一人にして不死騎団の軍団長。パプニカのあるホルキア大陸出身。赤子の頃に生まれ故郷を襲撃したハドラー軍に拾われて育つ。
後述のアバンによって自分の育ての父である魔物を殺されたことから人間を憎悪しており、軍を率いてパプニカ王国を滅ぼし多くの民の命を奪いダイ達アバンの使徒とも二度に渡って戦うが、二戦目でダイのライデインストラッシュによって敗北。そしてその前後でマァムの慈愛に触れたことと『育ての父の真の仇はハドラーである』と知り、後述のクロコダインに助けられた後は彼と共にダイ達の助っ人としてバルジ島のレオナ救出戦に参戦し、大きな助けとなった。
その後のレオナ救出後の宴会では「自分がパプニカ王国を滅ぼした軍を率いた張本人である」と明かした上で潔く処刑されるつもりだったが、レオナから『残る人生を全てアバンの使徒として生き続ける(正義とダイ達への友情の為に魔王軍の戦い続ける)事』という裁きを課せられたことで引き続きダイ達の味方となった。
ヒュンケル同様に六大団長の一人である氷炎魔団の軍団長。
同僚ながら『人間の身でありながら自分達魔物(魔族)と同等の立場にいるのが気に入らない』という事情から自分が嫌っているヒュンケルがダイに負けたというフレイザードにとって都合の良い状況も相まって、火山を噴火させてヒュンケル諸共ダイ達を始末し(もっともダイ達はヒュンケルによって助けられ、そのヒュンケルも後述のクロコダインによって助けられたことで失敗に終わった)、ヒュンケル(不死騎団)の後を継ぐ形でパプニカ王国残党の制圧を開始。バルジ島のレオナの潜伏場所を見つけ出して始末しようとするも、その寸前で駆け付けたダイによって阻止される。ならばと氷炎魔団の秘策である氷炎結界呪法でダイ達を弱体化させ、更にはレオナを伝説の禁呪法で凍結させたことでバルジ島を舞台としたレオナ救出戦のきっかけを作った。
最終的にはアバン流刀殺法を極めたダイの完成版アバンストラッシュの前に敗れ、凍結させたレオナもマァムの魔弾銃を犠牲にして救出されてしまい、六大団長最初の戦死者となった。
獣王の異名を持つ戦士。かつてはヒュンケルやフレイザードと同格の六大団長の一人であった百獣魔団の元軍団長。
ヒュンケル救出後は彼と共にバルジ島に駆け付け、それぞれが氷炎結界呪法を構成するのに不可欠な二つの塔を破壊する事をはじめとしてダイ達の大きな助けになった。その後はバダックはじめとするパプニカの人々とも親交を深めた。
他国の関係者
カール王国に属し、魔王ハドラーを倒して世界を救った勇者。
その過程でパプニカ王国を襲撃した殺戮機械を仲間の戦士と共に撃退してもらったことから、そのお礼としてパプニカ王は彼に魔王を封じる策に最も適した環境にある場所を教え、その使用許可を与えた。
アバンの仲間として魔王ハドラーが率いる軍団と戦った大魔導士。
ハドラーがアバンによって倒され、世界が平和になった後はその功績からパプニカ王国の宮廷魔道士(マトリフ曰く「国王の相談役」)としてパプニカ王家に仕えることになったが、彼を逆恨みする王の側近たちから酷い仕打ちを受けたことで愛想を尽かし、宮廷魔道士としての役目を放棄してバルジ塔近くの洞窟で隠居生活をするようになった。
パプニカのナイフ
パプニカ王国に伝わる王族の為の武器。
全部で三振り存在し、それぞれにパプニカ王国の象徴である赤色(太陽)、緑色(風)、青色(海)の宝玉が鍔の中心部分に埋め込まれている。
並の武器では文字通りに歯が立たなかった魔のさそりの硬い甲殻も容易く斬り裂く程の切れ味を誇る。
ちなみに1991年版TVアニメ版ダイの大冒険が放送される前に、パイロットフィルムとして劇場で公開された劇場版第1作ではこれら三振りとは別物のパプニカのナイフが登場した。
三振りのパプニカのナイフにはそれぞれを区別するための名称がないため、この項目では便宜上の名称を使用する。
- パプニカのナイフ(太陽)
赤色の宝玉が埋め込まれたパプニカのナイフ。
レオナがデルムリン島に賢者の試練を受けに行く際に持ち出しており、『(呪文の契約ができたのに魔法が使えないから)俺には魔法の才能がないんだよ…』ということで落ち込むダイに、『魔法がダメなら武器ぐらい良いのを持っておきなさいな。それと、出来ない事でいつまでもクヨクヨしてないで、剣の腕でも磨きなさい』という励ましの言葉と共に授けた。
それ以降は、ダイのサブウェポン及びダイ曰く「俺とレオナを繋ぐ宝物(パプニカ王家に関係あるもの)」として活躍し続けたが、二度目のバラン戦にてダイが竜闘気を右手に一点集中して放つアバンストラッシュを放つ際に、その超パワーに耐え切れず壊れてしまった。
- パプニカのナイフ(風)
緑色の宝玉が埋め込まれたパプニカのナイフ。
バラン戦とハドラーとザボエラによる闇討ちを凌いで一段落したダイに、バダックがレオナから届けるように依頼された防具《魔法の闘衣》と共に宝箱入りの状態で渡した。
前述と後述の事情からパプニカ王国に残された最後の一振りであり、バダックも渡す際に「竜闘気を使って戦う時にコイツを使っちゃいかんぞ」と釘を刺している。
- パプニカのナイフ(海)
青色の宝玉が埋め込まれたパプニカのナイフ。
バダックの説明する所によると『パプニカ王が所有していたものの、不死騎団の襲撃の際に行方不明になってしまった』とのことで、本作で唯一の『実物が作中で登場しなかったパプニカのナイフ』となってしまった。
関連タグ
飲酒:パプニカ王国ではレオナ姫を飲酒描写を見る限り14才でも飲酒が可能だが、グローバル的コンプライアンスに配慮され、2020年版アニメではその描写は削除された。
アルキード王国、カール王国:どちらもパプニカ王国と同じくダイの大冒険の世界に存在する(した)国。更に『戦闘能力にとても秀でた戦士・英雄を抱えていたが、その戦士・英雄がいなくなった(カール王国の勇者:国の柵に巻き込まれる可能性と新たな脅威に巻き込むのを恐れて去る、アルキード姫が助けた異国の戦士:人ではない戦士の力を恐れて追放等)ことから、後に国が滅ぶことになってしまった』という共通点があったりする。
ハイラル王国:こちらは女神と関りのある国。ブレスオブザワイルドでは王家の姫は霊力の覚醒のため儀式や修行を行うようにと伝えられている。劇中ではゼルダが修行の旅に出るが、そこを狙った魔物たちに襲われてしまった。