『俺だって ヒーローに…!!』
『A組は誰も置いていかなかった いつも安心させてくれた』
『なりたい俺に なる為に』
プロフィール
氷と炎を統べる冷静と情熱を兼ねた天才!!
父と炎を受け入れ強さは更なる高みへ
―――僕のヒーローアカデミア 公式キャラクターブック2 Ultra Analysisより
ヒーロー名 | ショート |
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個性 | 半冷半燃 |
学校・学年 | 雄英高校ヒーロー科1年A組15番 |
出身校 | 凝山(こるさん)中学校 |
誕生日 | 1月11日 |
身長 | 176cm |
血液型 | O型 |
出身地 | 静岡県あたり |
好きなもの | 蕎麦(温かくないやつ) |
性格 | クール&ホットな天然 |
個性把握テスト | 2位 |
一年一学期中間学力テスト | 5位 |
CV | 梶裕貴 、真堂圭(幼少期) |
概要
雄英高校ヒーロー科1年A組の男子生徒。主人公出久のクラスメート。
人物
端正な顔立ちの青年で、オッドアイに右が白髪、左が赤髪になっている左右非対称な姿が特徴。また、赤髪の下、左目を中心に火傷の痕がある。
性格はクールで大人びており、感情を表に出すことは少ないが、その内面にはNo.1ヒーローへの強い情熱を秘めている。
事件解決数史上最多を誇る現役のNo.2ヒーローエンデヴァーを父親に持つ。
父親は『炎』、母親は『氷』の個性を持ち、彼は4人の兄弟の中で唯一両親の個性を受け継いで生まれた。
ただ家族関係はあまり良好ではなく、特に父親であるエンデヴァーに対しては激しい敵意を向けている。
入学当初は「仲良しごっこをしに来たわけじゃない」とクラスメイトとほとんど会話することもない典型的な一匹狼だったが、雄英体育祭を経て以降、徐々に出久をはじめとした周囲のクラスメイトと打ち解けていった。
口数も少なめで、普段の振る舞いは無愛想。だが「人を救けたい」という想いは強く抱いている。また、友達や仲間と認識した人物のことは人一倍大切にしており、友人や仲間に対する気配り(大体この手の天才児では珍しくも)も欠かさず、クラスが何らかの理由で盛り上がっていれば自分もそれに参加する事もあるとノリも悪くないらしい。芯の強い性格でもあり、自分が納得できないことに対しては相手が誰であろうとはっきりと異議を申し立てる。(例えば、ステイン戦後に警察署署長からヒーロー資格未取得者の個性無断使用を咎められた際、「規則を守って見殺しにするべきだったって!?」と反論している。)
実は素の性格は結構おっとりしており、またやや周囲と感性のズレた天然気質な一面も垣間見せている。
ステインとの戦闘で出久と飯田が負傷した際には、「自分がハンドクラッシャー的な存在になっている」と勝手に責任を感じたり、「何となく落ち着かない」という理由でハイツアライアンスの自室を入寮したその日に畳敷きの和室へ改装したりした。
DIYをこなす器用さがある一方で、家庭的な姉や兄とは対照的にあまり料理が得意ではなく、ハイツアライアンスで開かれた鍋パーティーでは彼が切ったニラの端っこが全て繋がっているという一幕もあった。
その甘いマスクと貴公子然とした立ち居振る舞いから、女性受けが良く、葉隠からは「クラス屈指のイケメンボーイ」と評され、Mt.レディからも、「あなたの微笑みなんて見たら女性はイチコロよ♡」と太鼓判を押されている(ただ、このレディの発言を額面通りに受け取ってしまい「自分が笑ったら死人が出る」と勝手に誤解釈・動揺しており、ここでも轟の天然ぶりは通常運転だった……)。
座学・実技のいずれの面でも非常に優れた成績を収めており、判断力の高さや個性の強力さも相まって、「強さ」という点では同学年でも爆豪と並んで真っ先に名前の挙がる実力者。この実力者2人は合わせて2トップと言われることも多く、他のクラスメイトからもA組最強と謳われている。
一方、精神的には年相応に脆い部分があり、過去の経験からか、一度心が乱れると自力では立て直せなくなってしまう一面がある。
出久や死柄木を始めとした多くの登場人物達がオールマイトに原点を持つように、彼もまたオールマイトに大きな影響を受けた一人であり、それと同時に、同じ人物を目標としながらも、出久とは異なるヒーロー観を抱いている。
幼少期の出久がオールマイトの「救う姿」、爆豪が「勝つ姿」に憧れたように、彼はナチュラルボーンヒーロー「そう在るべくしてヒーローであるオールマイトの姿」に憧れを抱いた。
複雑な家庭環境や父との確執、自分自身の葛藤を乗り越えて、「何者にも囚われず、なりたい自分になる」ことが轟のひとつの指針となっている。
コスチューム
左は初期・右は後期デザイン
上イラストのように、雄英体育祭の前後でコスチュームを大きく変更している。
初期のヒーローコスチュームは白のカッターシャツに白のズボンとシンプルなデザイン。靴は白のブーツ。また、背中に背負う形で板状のヒーターを取り付けている。左半身が氷のようなアーマー(もしくは個性による氷)で覆われており、初登場時には左目に赤いモノアイのような意匠も備えていた。恐らくは「左側を使わない」という彼の決意によるものだったのだろう。
心境の変化に伴い職場体験以降は左側も使いやすいデザインになった。色は白から紺色へと変更され、特徴的な襟元とベストはいずれも体温感知センサーの付いたヒーター兼ラジエーターの機能が備え付けられている。
春季には自身の戦闘スタイルの進化に伴ってコスチュームを再リニューアルする。
全身にエンデヴァーのコスチュームに似たラインが入り、炎と氷の力の圧縮をサポートするプロテクターを手首に装着した。
単行本幕間の解説によると「機能を追求するほどエンデヴァーに似てくるジレンマ」なのだとか。
ちなみに前コスチュームで子供から「ち◯こみたい」と言われた腰部の傷薬の容器は4本から8本に増えるという謎の進化を遂げた。一体彼はどこに向かっているのだろうか。
個性
右で凍らせ左で燃やす!温度も範囲も未知数!!化け物かよ!!
個性は『半冷半燃』。
父の個性『ヘルフレイム』と母の『氷を操る』個性の両方を兼ね備えた唯一無二の個性。
熱への高い耐性も併せ持ち、常人ならば近づくことすらできないような高温の環境でも活動できる。なお、この熱耐性は個人差こそあるが『炎熱系』と称される個性を持つ人物達も有している。
炎か氷を片方だけ長時間使用すると、体温に影響が出て身体の動きが鈍くなるが、炎と氷を適度に使い分けることでこの欠点は解消できる。
その発動速度や範囲、威力は既に学生の範疇を遥かに超えており、作中では「ビルを一棟丸ごと凍らせる」「競技用ドームを超える高さの氷を瞬時に形成する」など、エンデヴァーが「最高傑作」と評する規格外の力を遺憾なく発揮している。
また個性を抜きにした基礎戦闘力も、エンデヴァーの英才教育の成果か身体能力・判断力・応用力どれをとっても優れており隙がない。
圧倒的な間合いの広さを活かした相手の攻撃の届かない距離からの戦いを得意としており、一年の体育祭時点ではすでに観戦していた現役ヒーローに「そこらのプロ以上」と評される実力を持っていた。
当初は長らく封印していた炎の力のコントロールに苦戦していたが、林間合宿の個性伸ばし訓練での火力調節の訓練、炎と氷の同時使用の訓練等を通して、現在はコントロール面での問題はほぼ解消されている。
ただし相澤先生やステインレベルの実力者からは「個性が強力すぎるが故に挙動が大雑把」であることが指摘されており、校内の模擬戦では対戦相手は轟を警戒して作戦を立てているため、一撃であっさり勝負が付いてしまうことはほとんど無い。
『赫灼熱拳』の本格的な修行を開始してからは、氷による滑走と炎のブースト噴射による加速で高速移動する、よりエンデヴァーに近い戦闘スタイルを取るようになった。
また、作中では描写が省略されているが、彼が作りだした氷は時間が経ってもそのまま残り続けるため、当然ながら後始末が必要である。
ヒーローの活動現場は主に人の多い市街地であるため、ヴィランを捕まえるために毎回道路を横断するような巨大な氷の塊を作り出していたら、町の人たちにとっては迷惑なんてものではない。
何とも夢の無い話だが、後始末に少々時間がかかることは、彼の弱点の一つと言えるのかもしれない。
必殺技
ゲーム等のオリジナル技も幾つかあるが、原作準拠の技は全て漢字四字で統一されている。
- 穿天氷壁(がてんひょうへき)
氷結の能力を使い広範囲を一気に凍らせる技。圧倒的大質量の氷を作り出す。タイムラグも一切なし。敵の制圧以外に距離を取るのにも使えるが、視界が塞がれるのが難点。
初使用は雄英体育祭。瀬呂の不意打ち気味な先制攻撃を物ともせず逆に拘束、相澤たち含むプロヒーローと会場全員の度肝を抜いた。
- 膨冷熱波(ぼうれいねっぱ)
熱膨張の原理を応用した技。氷結を用いた後に左の炎熱を爆発的に解き放つことで、冷やされた空気が膨張し爆風を引き起こす。最大威力を誇る轟の大技であり、出久の100%スマッシュを正面から打ち破った数少ない必殺技でもある。
出久戦後はしばらく出番がなかったが、現在では威力調節が可能となっており、ヒーロー仮免許取得後に再び使用した際には相手を軽く気絶させる程度に留めている。
- 光焔万丈(こうえんばんじょう)
仮免試験の時にギャングオルカに使った夜嵐との合体技。作中では技名は登場しなかったが、後に原作者によって設定された。
夜嵐の風に轟の炎をくべることで巨大な炎の竜巻(火災旋風)を巻き起こす。これによって一時的にギャングオルカを炎の渦の中に閉じ込めた。
- 赫灼熱拳(かくしゃくねっけん)
極限まで高めた炎の力を一極に集中して放つ奥義。エンデヴァーが開発し、ヒーローインターンを通して轟に伝授された。
轟はエンデヴァーと比較すると、「熱を集中して点で放つ」という動作がまだ不慣れであり、両腕のサポートアイテムによる補強を行っている。
全面戦争での死柄木との戦闘では、高火力の炎を拳に纏って放つ派生技「噴流熾炎(ふんりゅうしえん)」を繰り出した。
理論上は「赫灼熱拳」と真逆のプロセスを右側で踏むことで、氷の力に応用することが可能であり、実際に劇場版第二弾、第三弾では、それぞれ描写は異なるものの、極限の冷気を一点に集中し相手を一瞬で凍らせる大技を披露している。
- 赫灼熱拳・燐(かくしゃくねっけん・りん)
荼毘との決戦を前に新たに生み出した赫灼(ワザ)。
赫灼熱拳の極意である「力の圧縮」を心臓を中心に左右同時に発露させ、熱と冷気を高い出力で維持・中和させることで、本来体が耐えられる限界を超えた火力・冷力が使用可能となる。
発動時には外見に大幅な変化が見られ、胸部を中心に右側に青白い冷気、左側に橙色の炎のオーラがクロスの形で出現し、右側の髪は逆立って凍り付き、左側の髪は熱気によって巻き上げられる。胸の炎の中心部分は人の手で触れることができる温度が保たれており、出久はこれを「冷たい炎」と呼んだ。
作中では最終決戦における荼毘との戦闘中に発動し、この状態から、触れたもの全てを凍てつかせる炎の刃を叩きつける『冷炎白刃』、限界まで放出した冷気を以て自分の周囲一帯ごと敵を氷漬けにする大技『大氷海嘯』を繰り出した。
半冷半燃の究極形とも言える形態だが、発動までに時間が掛かる上に維持は極めて困難で、体力を激しく消耗する。
しかしその点を差し引いてなお効果は絶大であり、荼毘との戦闘においては、エンデヴァーを上回る火力を持つ荼毘の蒼炎を鎮めた上で、見渡す限りの風景を一瞬で凍てつかせるほどの破格の威力を見せた。
- フリージングディザスター
アーケードゲーム『僕のヒーローアカデミア ヒーローズバトルラッシュ』における技。巨大な氷を形成して敵を凍らせる。発動フォームは轟が体育祭で巨大ロボットを凍らせた際のものに近い。
対人関係
- 緑谷出久
「緑谷、ありがとな」
体育祭で戦う前まではオールマイトと似ている個性を持つ出久に対して、純粋な戦闘能力は自分よりも格下なのにも関わらずライバル意識を燃やしており、遂にはクラス全員の前で宣戦布告をするほどだった。それまでは「炎の力を使わない」と決めていたが、体育祭の騎馬戦で出久に対して炎の力を使ってしまう。その後のトーナメント戦で出久とは2回戦で戦うことに。
初めは氷の力だけで戦おうとしたが、戦いの最中で個性に恵まれながらも炎の個性を使おうとしなかったことから「君の!力じゃないか!!」と満身創痍の状態の出久から一喝される。それによりヒーローに憧れた原点を思い出し、再び炎の力も使用して本気で勝負をしに行った。この出久の、無茶苦茶をなして、轟の抱えていたものを壊そうとした行動が、父親や炎の力に来する考え方を変えていくきっかけとなる。最終的には原作352話にて氷と炎の力を使った赫灼熱拳・燐を編み出すに至り、「俺の力だ ありがとな」と、体育祭と呼応する礼を口にした。出久とはステイン戦や、轟家への訪問など、共に行動をするシーンが多い。また、落ち込んでいる出久に好物の蕎麦を分け与えたり、出久の不在に真っ先に気づくなど、何かと気にかけている様子もうかがえる。深い信頼関係と、親密な友人関係を築いていると言えるだろう。
- 飯田天哉
「やめて欲しけりゃ立て!!!なりてえもんちゃんと見ろ!!」
保須市でヒーロー殺しステインが現れ、戦闘不能な飯田天哉とプロヒーローのネイティブ、出久に絶体絶命の危機が訪れた瞬間、出久の一斉連絡を受けた轟が登場。復讐に取りつかれていた飯田に、轟が上記の言葉を一喝。彼からは出久と共に「親友」と称される間柄となる。原作386話以降では、轟の氷を使用し、飯田の推進力を活かした移動法を行う。その後、飯田は「君のおかげで俺はなりたいものになれたように思う。だから君もなって来い」と過去に貰った言葉に呼応する形で、轟を送り出している。
- 爆豪勝己
体育祭の決勝で戦うことに。出久に対して使ったはずの炎の力を決勝の爆豪との一戦の時に使う直前で消してしまい、敗北する。そのことに対して爆豪からは「本気を出さなかった」と激怒され、この出来事から「舐めプ野郎」というあだ名で呼ばれるきっかけとなる。互いにトラブルを起こした件から仮免試験に落ちたことにより、仮免講習を共に受けることになる。爆豪は轟に対して暴言を吐きまくるものの、別段に轟は反論する様子もない。基本的に犬猿の仲ではあるが轟から突っかかる事はなく、仮免習得後30分で爆豪と共に窃盗犯を確保した際にされたインタビューでは「仲はいいです。」と答えた。これに対して爆豪本人は猛反論していた。
家族
出生
「おまえの左側が醜いと、母は俺に煮え湯を浴びせた」
素質・環境共に恵まれ、ヒーローとなる素地を全て持って生まれてきた彼だが、その人生は決して幸福なものではなかった。
長らくNo.2ヒーローに甘んじてきたエンデヴァーは、いつしか自分の力ではオールマイトを超えることは不可能と悟り、その代替策として自分の力を受け継いだ子供をオールマイトを超えるNo.1ヒーローに育て上げることを決意する。そのために「都合の良い個性を持っていること」だけを理由に配偶者を選び、その結果として誕生した「最高傑作」が焦凍だった。
強力で優れた"個性"を持って生まれた彼は、父親によってヒーローになることを強要され、5歳の頃から泣いても吐いても止まらない虐待に近い特訓を施されてきた。そんな日々の中で、常に焦凍の側に立ち続け優しく接してくれた母親は、彼にとっての唯一の心の支えであった。
一方の母親は、ヒーローへの夢と父親への恐怖の間で苦しむ焦凍、No.1ヒーローに固執する余り暴走する夫との板挟みの中で、徐々に精神的に追い詰められていく。ある日、ついに限界を迎えた彼女は、自分の母(焦凍の母方の祖母)に電話で子育てについて相談していた際、話の内容を焦凍に聞かれたことに動揺し、戸口から覗いていた焦凍の顔の左側に夫の面影を見て、衝動的に熱湯を浴びせてしまう。顔の火傷痕はこのときのもの。
この事件を切っ掛けに彼の母親はエンデヴァーによって精神病院に隔離され、それ以降、長きに渡る療養生活を過ごすことになる。
この件から焦凍は、父親に対して強い恨みを抱くようになり、母親を苦しめておかしくした父親の存在、更には自分の身体の父親の面影を強く拒絶するようになる。ヒーローへの純粋な憧れは屈折し、いつしか彼は母親の氷の力のみでNo.1ヒーローになることで、父親であるエンデヴァーを「完全否定」することに固執するようになった。
雄英高校入学後
当初は「父親の力」である炎の個性を使うことを強く拒絶していたものの、雄英体育祭で出久と対決して以降は、「自分の力」として父親の個性にも向き合うようになった。改めてNo.1ヒーローを目指す覚悟を決めるのと同時に、「自分だけ吹っ切れて終わりではいけない」と感じ、過去を清算するべく自分の人生と向き合っていく。
また彼のそうした成長は、家族に対しても少しずつ変化を促していくこととなる。
雄英体育祭の翌日には病院に入院している母親に十年ぶりに会いに行き、それ以来、休日には母親の見舞いに通っており、小説版『雄英白書Ⅰ』にその様子が詳しく描かれている。
母親との失った時間を埋めるため、寮生活となって以降もまめに手紙を送っているらしい。
職業体験では敢えてエンデヴァー事務所へ向かうなど、それまで見ようとしなかった父親の「ヒーローとしての姿」に目を向け始める。
戦いの強さだけではなく、ヒーローとしてのエンデヴァーの判断力と勘の良さは、轟にとっても一流と認めざるを得ないものだった。
だからこそオールマイト引退を経て、ライバルの喪失に激しく取り乱す父の姿を見て、以前のように割り切ることができない感情を抱く。
のちに、ハイエンド脳無によってエンデヴァーが重傷を負うのをテレビの中継越しに見た際には思わず動揺し、それでも闘う父親に、以前ヒーロービルボードで父親が言った「俺を見ていてくれ」という言葉を受け、「見てるぞ」と叫んだ。
焦凍の成長を受けて、エンデヴァーはNo.1ヒーローとして歩み始め、家庭を蔑ろにしてきた過去を省みて償いをしようとする。
この時期から、轟は「母を苦しめた父」と「多くの人々に賞賛されるヒーロー」としてのエンデヴァーの間のギャップを受け入れられずにいることを自覚する。
出久はそうした轟の葛藤を「許せるようになるのを待っているように見える」と評した。
以前は向き合うことすらしなかった家族の関係は徐々にではあるが改善傾向にあり、現在は変わろうとする父と、それを見守る家族という奇妙な関係を築いている。
活躍
USJ襲撃の際は、葉隠と共に黒霧の個性で飛ばされる。その後合流した出久、爆豪、切島と共にオールマイトのサポートに動く。
雄英体育祭は、第1種目障害物競走では2位でクリアし、第2種目騎馬戦では飯田、上鳴、八百万とチームを組み1位通過する。
最終種目ガチバトルトーナメント、1回戦では瀬呂と戦い圧勝。2回戦では出久と戦い勝利。準決勝では飯田と戦い勝利。決勝では爆豪と戦い敗れる。詳細はこちらへ。
ここでの出久との戦いでエンデヴァーに対するものや、轟の家庭の事情に対する思いが変わり始める。
エンデヴァーの元へ職場体験際に来た際、保須市襲撃事件に遭遇する。先にステインと戦っていた飯田の元に出久と駆けつけ、三人で協力し撃破するが、まだまだ未熟であることを知り共に強くなる事を改めて誓い合った。
期末試験では八百万と共に相澤先生に挑み、最初は轟の作戦で八百万がゴールへ向かい、轟が足止めを試みる。しかし、相澤先生に策を見破られたうえに自身が捉えられてしまい大ピンチに。完全に自信を喪失した八百万を力強く励ますことで何とか彼女に自信を取り戻させることに成功。その後八百万の作戦を行い先生の確保しミッションクリアする。時間さえあればほぼ何でも用意できる八百万に対し時間を与える等、作戦や自信を相澤先生に引き出された。
林間合宿襲撃の際は、敵襲来の報せを受けて爆豪と肝試しで一緒にいたため臨戦態勢に入っていた所に、出久、障子、そして個性が暴走している常闇に合流し、協力し常闇の暴走を鎮めた。以降は爆豪を休憩所に送り届けるため行動を共にする。
施設に向かう途中に麗日と蛙吹と合流するも、気づかないうちに常闇と爆豪をMr.コンプレスに奪われる。
追跡のため、麗日と蛙吹の個性の協力もあり、出久、障子と高速飛行する。Mr.コンプレスと共に墜落し、開闢行動隊と交戦する。Mr.コンプレスのポケットから二人が圧縮されたと思われる球体を奪い返すも、それは偽物であったことが判明。黒霧のワープにより逃げられそうになるも青山のレーザーを受け本物の球体が露出し障子が常闇を取り返すも、轟は爆豪を荼毘に眼前で奪われ、連れ去られてしまった。
その後出久、切島、ブレーキ役となるための飯田、八百万と共に轟自身は自責の念から爆豪救助に動き、出久の機転と爆豪・切島両名の信頼関係により辛くも救出と離脱に成功する。
ヒーロー仮免試験一次試験では、スタート早々単独行動するも、クラス最速で通過を果たす。アニメ版では誠刃高校受験者と戦う様子が描かれている。
二次試験では、ヴィラン役のギャングオルカらとの戦闘中に、やたらとエンデヴァーの名前を出して突っかかってくる士傑高校の夜嵐の言動に苛立ち、足の引っ張り合いになる。そして試験中であるのも忘れて口論を始めた挙句、ギャングオルカの攻撃で動けなくなっていた傑物学園高校の真堂を夜嵐と自身の攻撃に巻き込みかけるという致命的なミスを犯してしまう。
出久の一喝で持ち直した2人は、ギャングオルカを炎の渦の中に封じ込める即席連携技を披露するものの、ギャングオルカは炎の中から平然と立ち上がり、格の違いを見せつけられる。 試験後は頭に血が上った自分を省みて、夜嵐の謝罪を受け入れる形で和解するが、結局前述の喧嘩が響き、仮免試験に落ちる結果となった。
その後は同じく試験に落ちた爆豪、夜嵐、諸事情により途中参加のケミィ共に仮免補講を受けており、ギャングオルカから協力して子ども達の心を掌握するという課題を通し児童らとの交流を図った。夜嵐とはギクシャクしながらも交流を続けている様子。
雄英文化祭では、演出班として参加。
A組・B組合同戦闘訓練では、第三試合に登場。出場者は、A組から飯田・障子・轟・尾白、B組から角取・骨抜・回原・鉄哲が出場。
試合前、常闇から『トップヒーローの名を背負う者』としての言葉を掛けられる。
常闇は周囲から『ホークスの弟子』として見られているように、轟もまた『エンデヴァーの子』として、周囲に不甲斐ない姿を見せる訳にはいかない。
しかしそうした周囲からの見方とは裏腹に、未だにエンデヴァーとの繋がりを割り切ることができずにいた。
先日のエンデヴァーの死闘、そして幼い日のエンデヴァーとの鍛錬の日々を思い出しながら、どこか集中力に欠けた状態で対抗戦に臨むこととなる。
試合序盤は"穿天氷壁"によって一気に勝負を決めたかに思えたが、骨抜の機転によって味方同士の連携を断ち切られ、相性の悪い鉄哲との一対一の戦いを強いられる。鉄哲は個性『スティール』によって氷と炎による攻撃を無力化してしまう。
ピンチに追い込まれた中で、脳裏に過ったのはかつてのエンデヴァーの言葉だった。
「体の熱を限界まで引き上げろ!」
「そしてその限界を超えろ!!」
「なりたい俺になる為に」
全身を赤熱化させて熱に耐える鉄哲を前にして、逃げず距離を取ることもせず、金属を融解させるほどの熱量で無理矢理押し切るという、オールマイトやエンデヴァーを彷彿させる力技で挑む。
互いの極限状態のタイムリミットが迫る中で、轟はエンデヴァーの技である"赫灼熱拳"自身の解釈で繰り出す直前、技を放つ直前に骨抜の不意打ちを受け気絶した。第三試合は引き分けとなった。
これを切っ掛けに轟は自分の更なる成長のためにはエンデヴァーの助力が必要不可欠であることを痛感し、エンデヴァー事務所へのインターンへと繋がることとなる。
冬のインターンでは、受け入れ先にアテのない出久、爆豪を誘いエンデヴァーの事務所で、ヒーローに足る人間になるため「内なる成長」を求め活動する。
No.1ヒーローとなったエンデヴァーの仕事ぶりを最前線で追いかける中で、エンデヴァーが今の強さを手に入れるためにどれほどの鍛錬を積み上げてきたのかを目の当たりにする。このインターン期間を通し、エンデヴァーと轟は図らずも『師と弟子』という距離感で絆を深めていくこととなる。
夏雄を襲ったエンディングとの戦いでは、エンデヴァーに提示されたヒーローの基本三項である『避難・救助・撃退』の『撃退』を担い、見事三人の連係プレーで完全勝利を果たした。
全面戦争では、当初は蛇空市民の避難誘導をしていたが、突然その場を離れた出久と爆豪を追い、間一髪で相澤を助けた。その中で、エンデヴァーとともに戦線の幹部として立ちふさがった荼毘の正体を知り、二人してその正体が死んだと思われていた自身の長兄・轟燈矢であったことに衝撃を受けることになる。そして荼毘と交戦するもエンデヴァーを上回る火力を持つ彼の前には一歩及ばず敗れる。
「ヴィランをけしかけたって言ってたよな…!?
夏兄も死ぬとこだった!!
何でだ!!? 泣いて縋ってたんだろ!!! 夏兄に!!!
夏兄が死んだら……」
「それならそれで好都合だ。エンデヴァーが苦しむ」
「!!? イカれてんのかてめェ!!!」
「そうだよ焦凍。兄ちゃん何も感じなくなっちまったぁ」
終戦後は大火傷を負い、復讐のために生きて来た荼毘と、同じく父親を憎んでいたかつての自分を重ね、息子が敵となったショックで父親は戦えないと悟り、自身が倒すことを決意するも、見舞いに来た母の冷と話をした結果、家族全員で兄を止めることを決意する。
「泣き終わったら立てよ。皆で燈矢兄を止めに行こう」
そして第二次決戦では黒霧の"個性"をコピーした物間が出現させたワープゲートによって神野区に転移し、兄である荼毘と対峙する。彼から敵になり13年前の山火事から生き延びた経緯について聞かされた後、交戦を開始。
「半端な弟から……言ってやる!」
「親父はイカれてた! ウチはダメだった!」
「それでも…人を焼いたのはお前の選択だ」
「これ以上関係ねえ人たちの命を奪うな!!!」
「ぶつけるなら、全部俺たちにぶつけろ!!」
「───そうすりゃ少しは頭ァ冷えるだろ!!!!」
エンデヴァーの火力を上回る荼毘の"赫灼熱拳"の猛攻を受けるも、新たに生み出した"赫灼熱拳・燐"で反撃に転じる。エンデヴァーのサイドキックであるバーニン達に守られつつ、"大氷海嘯"で荼毘の業火を鎮火させると同時に勝利を収めた。
「交わるよ 無理にでも」
「だから 止まってくれ」
しかし、荼毘が死に瀕したことで冷の"個性"が発現。土壇場で自身の"赫灼熱拳・燐"を真似て荼毘が復活し、その後も抗戦を続けたが突如現れた黒霧のワープゲートで逃げられる。
その後は郡牙荘跡地でヒーローたちが食い止めていたオール・フォー・ワンが若年化したことで振り切り、出久達の方へ向かうと聞いて止めに行こうと考えたが、オールマイトからの通信を受けて郡牙荘跡地で荼毘が自爆することを狙っていると聞くと彼の指示でそこへ向かい、止めることを決める。飯田の助力も有り、『半冷半燃』と『エンジン』の組み合わせにより戦闘機並みの速度を生み出すことで、爆発寸前の荼毘のところまで駆け付け、荼毘のもとに居合わせた家族の冷気の"個性"で冷やし続けていたことも相まって、2度目の"大氷海嘯"で爆発を阻止し、完全なる勝利を収めた。エンデヴァーから家族の謝罪を聞かされると、力尽きて倒れた。
その後はエンデヴァーと共に出久と死柄木の最終決戦のもとへ黒霧のワープゲートを利用して辿り着き、死柄木へと向かう出久への援護を行った。
僕のヒーローアカデミアすまっしゅ!!
突っ込むこともなく、どちらかというとボケ担当…?。
半冷半燃を新感覚として好意的に感じた女子達に変な会が結成される他に、一部のヴィランに改心させる影響を与えた。(本人は無自覚)
本編と同様に父親を嫌悪しているが、体育祭の心の地雷では「お父さん大好き!!」と衝撃の本音が暴露され、真っ先に意気消沈し最初の犠牲者となった。
この回以降「父」のワードに敏感となり、「倒産」を「父さん」と聞き違えたり、ヒーローショーの出久と爆豪の親子シーンでは感涙した。
余談
- 『空想科学読本』で有名な柳田理科雄氏は、『空想科学「理科」読本』にて「今まで創作物でぞんざいにされてきた『熱を奪って捨てる』ことが描写された数少ない低温系の能力描写」と、珍しく絶賛していた。
- 何かとインパクトの強い轟の必殺技だが、彼の場合は他のキャラクターと違い作中で技名を叫ぶことがほとんどないため、長年技名が不明のままだった。『膨冷熱波』はNo.219にてようやく技名が判明した。『穿天氷壁』に至ってはNo.241でようやく本人の口から技名が語られている。
- その代わりと言っていいのか、ヒロアカの公式イベントでは、中の人がたまに自己紹介で『フリージングディザスター』をお馴染みのかっこいいポーズと共に披露している。ヒロアカファンのお約束である。
- 作者曰く、轟はなるべくかっこ悪い部分は描かないようにしているとのことだが、『雄英白書Ⅱ』では、林間合宿の際に頭と足の位置が反転するほど寝相が悪いというちょっとかっこ悪い一面を見せた。
- 轟家に限らずこの世界において、『家庭』と『ヒーロー』の在り方は多くの場合対立するものとして描かれている。例として主人公の出久は度重なる大怪我を受けて母親にヒーローへの道を反対されており、麗日、耳郎は家族と自分の夢を秤にかけてヒーローへの道を歩むことを決意した。「ナチュラル・ボーン・ヒーロー」と称されるオールマイトは私生活においても家庭を持たないキャラクターである。また、死柄木の出生にも家庭とヒーローの間のジレンマが大きな影響を与えている。トップヒーローの父を持つ轟は、日常生活を送る上で避けられない衝突の最中に置かれており、社会に生きる一個人としてのヒーローの在り方を描く上で重要なキーとなっていると言える。
関連イラスト
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僕のヒーローアカデミア 雄英高校 雄英高校生徒一覧 ヒーロー科 雄英高校1年A組
轟家:エンデヴァー(父・轟炎司)、轟冷(母)、轟燈矢(長男)、轟冬美(長女)、轟夏雄(次男)、轟焦凍(三男)
フレイザード:縦半分に炎と氷で分かれている魔導生物、有名な技が炎側なのも共通