『もう大丈夫。僕がいる』
『いくらでもやり直せる。そのために僕がいるんだよ。全ては君のためにある』
プロフィール
裏社会を支配する究極"悪"
敵連合を影から操る 謎に包まれし巨悪の根源
―――僕のヒーローアカデミア 公式キャラクターブック2 Ultra Analysisより
概要
本作における黒幕にして全ての元凶。
敵連合のブレーン及び支援者にして、実質的な支配者。
死柄木弔からは「先生」と呼ばれている。
フルネームは不明だが、姓は「死柄木」であり、自身の後継者としてこの姓を弔に与えている。
死柄木や黒霧らに指示を出して雄英高校襲撃事件を起こさせたり、『ヒーロー殺し』ステインへ接触させている。
その正体はかつて裏から日本を支配していた『悪の帝王』であり、オールマイトが深手を負いつつも斃したはずだったが、生命維持装置を長時間外せない体になりながらも生き延びていた。
人物像
初代『ワン・フォー・オール』の使い手の兄であり、性別が男性であることを除き一切が謎に包まれており、本名も不明であることから、彼の個性である『オール・フォー・ワン』の名で呼ばれている。
一人称はオールマイトに匹敵する巨体に似つかわしくない「僕」と、まるで少年の様な喋り方をする。そして、自分のことについて話すとき語尾に「だぜ。」と付けるのが癖。
No.59で判明した現在の姿は、先の戦いで顔の大半が砕かれて瘢痕で覆われている(口元以外はほぼのっぺらぼう状態)グロテスクなものであり、さらに呼吸器系も損傷したため顔や首に生命維持の様なチューブが何本も繋がれていた。(ドクター曰く、超再生を手に入れるのがあと5年早ければこうはならなかったらしい。)
極めて狡猾な悪の権化と言える人物で、その邪悪なプレッシャーたるや常人には耐え難いレベル。「神野の悪夢」の際、出久らは直接姿を見るどころか、声を聞いただけなのに恐怖で一歩も動けず、自身の死を連想した程。出久と八百万に至っては、嘔吐しそうになるのを必死で堪えていた。
人の心の隙間に付け入るのにも長けており、口にする一言一句が挑発的で、神経を逆撫でする事で敵の平常心を失わせて自滅を誘うのが得意中の得意。心の弱い者には甘言を弄し、恩を売って配下を増やしてゆく悪辣な策略家である。
オールマイトに敗れた時の事は彼にとって大きなトラウマとなっており、それゆえにオールマイトへの嫌がらせには特に執心している。
ただその感情の根幹が本当に「憎悪」であるかどうかは不明である。ホークスがその印象から「あいつずーっと笑ってません?」と言っているように、まるで子供が玩具で遊ぶようにして多くの人々の運命を弄んでいるのかもしれない。
個性
"個性"は『オール・フォー・ワン』。
他者の"個性"を奪い与える"個性"。
対象に直接触れて、聖痕を思わせる両掌の孔を通じて"個性"の強奪・付与を行う。
彼はこれまで幾度となく他者から奪った"個性"を自分自身のものとしてきており、大幅に弱体化した現在でもトップヒーローを手玉に取るほどの圧倒的な力を有している。相澤消太の抹消や、物間寧人のコピーなど、個性に作用する個性は異形型など一部の個性に対して無力なのだが、オールフォーワンは異形型も対象範囲内となっている。
この能力を駆使して、ある時は望まぬ個性に悩む者から個性を取り去り、ある時は力を欲する者に個性を与えることで、次第に支持者を増やし勢力を拡大していったという。
ただし、遺伝子と深く結びついている個性を移動させるのは相応のリスクを伴っており、他者へ付与する場合は負荷に耐えきれず、物言わぬ人形の様になってしまう事もあったという。
また、対象が既に別の個性を持っている場合、与えた個性と混ざり合い、新たな個性へと変化する事がある。
『ワン・フォー・オール』もそうして生まれた個性の一つであり、彼が自身の弟に与えた「力をストックする個性」と、その弟が持っていた「"個性"を与えるだけの"個性"」が合わさって誕生したものである。
オールマイトはこの話を「正義はいつも悪より生まれ出ずる」と皮肉な言葉と共に語っている。
かつてのオールマイトとの決戦に敗れた事で、それまでにストックしていた個性の殆どを手放さざるを得なくなったため、それに伴い戦闘スタイルを一新させたとの事。ただ流れ自体は変わらないのか、オールマイトからは「まずは雑に遠距離攻撃」「弱らせてから個性を奪う」とその戦法が変わっていないことを指摘されている。
更に現在使っている『オール・フォー・ワン』はドクターによって複製された物であり、オリジナルはある人物に継承させるために保管されていた。
内包する全ての"個性"を同時に発動させる『全因解放』という荒技も可能で、その本質は"感情任せ"に膨れ上がることではなく、数多の力を"抑し""支配"してこそだと言う。九代に渡り力を培い成長した『ワン・フォー・オール』でさえ、複数の"個性"を並行処理すると維持が難しくなる場面があったので、それ以上に膨大な"個性"の保持と処理を苦もなく行えるのは、さすがは魔王の支配力と言ったところか。
しかし「OFAそのものの成長に伴って、宿る因子も大幅に強化されている」という点がAFOに対するOFAの唯一にして最大のアドバンテージであり、無数の"個性"因子を従え組み合わせられる万能の力AFOに対して、それに比べて因子の数は圧倒的に少ないものの、受け継がれた一つ一つの力を極限まで高めたOFAだけが、あらゆる限界や許容量を突破する可能性を秘めていることを意味している。
なお、意外な盲点として、オール・フォー・ワンが出来ることは人間の"個性"を"奪う"ことと"与える"ことだけであり、何もない所へ"捨てる"ことは出来ないことが挙げられる。
このため作中では、自身にとってデメリットとなる性質を持つ"個性"を奪った後、他者に与えられずにダメージを受け続ける現象が発生した。
また自分のものにする"個性"のスペックは、最大値では無く奪った時の現在値が参照されるようで、様々な理由で劣化していたホークスの剛翼を奪った際、本来の性能を回復させて使う事が出来なかった。
また、個性と同時に個性に宿る意志も丸ごと取り込んでしまうため、睡眠時の夢に奪った個性の意志が現れ、AFOへの罵倒が度々あった。
この夢は該当の個性を手放せば見なくなる。
これらは複製した個性故の欠点だが、総じてオリジナルの個性と比較して支配力が弱く、奪った個性に宿る意志の反逆を許してしまうリスクがあり、反逆された場合は一時的に個性の使用ができなくなってしまう。
不自由な体を個性で補っているAFOにとっては致命的な欠点であり、焦って"個性"を濫用する程この綻びは深刻化していく。
これまでに使用した個性
- 『鋲突』
指を稲妻の如く赤い線の入った黒く鋭利な触手のような物に変化させ、攻撃や『個性強制発動』に用いる。(ソーシャルアプリ『ULTRA IMPACT』では「黒爪」というアビリティ名になっている。)AFOが高い頻度で使用している個性の一つ。指のみならず身体のどこからでも形成でき、死柄木は脊髄から発動している。その気になれば全身から鋲突の弾幕を放ち全方位を隈無く串刺しにする反則じみた使い方も可能。
- 『転送』
臭気を伴う黒い液体をゲートとして、対象の人物を転送する。「泥ワープ」とも呼称される。
別の場所へ転送する場合は自分と馴染み深い人物の下にしか転送できない。転送距離はひどく短いとは言うものの、5km圏内は可能のようである。
黒霧のワープゲートとは性質が異なり、指定した人物のみを転送するため、他者が液体に触れてゲートを潜ろうとしても転送されない。
本人によれば、ワープゲートの劣化コピーというできたばかりの"個性"で、同じ個性を持つ脳無も登場している。
- 『空気を押し出す』+『筋骨発条化』+『瞬発力×4』+『膂力増強×3』
簡単に説明すると人間空気砲。AFOお気に入りの個性の組み合わせ。
筋肉と骨を発条(バネ)化、瞬発力と筋力を増強する事でバネの性能を強化し、その力に乗せて空気を押し出す。
その威力は絶大で、直線状のビルを何棟も倒壊させながら、オールマイトを数百m先へ吹き飛ばすほど。脳無倉庫を制圧したヒーロー達も、この攻撃で一掃されたものと思われる。
- 『個性の強制発動』
その名の通り対象の個性を強制的に発動させる。今の所意識を失った人間の個性のみを発動させている。
尚自分自身にも使用可能なようだが、これは恐らく「本来ならば自己対象型ではない個性を、無理矢理自分へと発動させる」という解釈を拡大する使い方だと思われる。
- 『転送』+『衝撃反転』
転送に、その対象となった人間が受けた衝撃を相手に反転する個性を合わせたもの。
- 『筋骨発条化』+『瞬発力×4』+『膂力増強×3』+『増殖』+『肥大化』+『鋲』+『エアウォーク』+『槍骨』
「君を殴る」
満身創痍のオールマイトを確実に殺すために、その時考え得る最高・最適の個性の組み合わせとして発現。ただただ殴ることだけに重点を置いている。
発現した右腕は本人の半身を超えるほどに肥大化し、何本もの腕であろう筋肉が見て取れる。発条化と槍骨によって、螺旋を描いた槍の様な骨がいくつも露わになっており、対象に当たるであろう拳表面部分には、重点的に金属の鋲が生成された。
もっとも、この攻撃の真の狙いは、相手が全力で迎撃した所を『衝撃反転』でカウンターして跳ね返す事にあった。
- 『赤外線』
周囲の赤外線を微かに感じ取る個性。
その顔からどのようにして周囲の状況を判断しているのか不明だったが、布ずれの音や空気の振動で相手の動きを、赤外線で相手の感情や空間把握の補助を行い、周囲の状況を確認していた。
つまり、目が見えていない状態で、オールマイトをあそこまで追い込んだのである。
- 『電波』
電波を発する個性。受信もできる。
この電波は使うだけで周辺の機械類の機能を破壊できる。
また、電波を脳無に送ることで一斉に操れる。
同じ電波の個性を持つ相手がいれば、電波の送受信によって会話もできる。
- 『電波』+『押し出す』+『重荷』
AFOのオリジナルを継承した死柄木弔が使用。
前述した電波に『重荷』で質量(破壊力)を付加、それを掌の孔から勢いよく『押し出す』ことで強烈な衝撃波を放つ。
- 『反射』+『拡散』
こちらも死柄木が発現させた組み合わせ。
相手の飛び道具を広範囲に枝分かれさせて跳ね返す。劇中では、スターアンドストライプのサイドキックが操縦する戦闘機から撃たれたレーザー砲を跳ね返した。
- 『摂生』
運動能力と引き換えに常人の二倍の生命力を得られる個性。
元々はドクターの個性。
- 『嘘発見器』(正式名称不明)
会話をしている相手の害意を見抜く個性。
嘘も見抜くことができる。
電話越しでも機能し、相手に害意がない場合は真っ白なイメージが浮かぶ。
持ち主の子孫がオールマイトと協力し、追い詰めたとのことだが、おそらく彼である。(妹の個性の名前が同じである。)
- 『凝火扇』
液体と固体の性質を合わせたようなバリアを腕から展開する個性。
物理攻撃と熱を防ぐことができる。エンデヴァーの赫灼熱拳すら防ぐことからエンデヴァー対策として用意した個性だと思われる。
- 『発条化』+『膂力増強』+『押し出し』+『鋲突』+『ダークボール』+『光塵』
上記の「殴るためのコンボ」に近いものの、飛び道具を発生させ全力で叩きつけるタイプと思われる。黒い稲妻と共に光波的なものや球体、ソニックブームのようなものまで雑多に混ざりあい幾つものビルを吹き飛ばす破壊力を持つ。しかし見るからに距離をとってこそ役立つ広範囲攻撃であり、至近距離の敵単体へと撃つには不向きとも思われる。オールマイトもダメージを受け瓦礫に叩きつけられはしたが「雑に組んだな」と吐き捨てている。
- 『強制発動・寫血』+『抗原変態』
自分自身を対象として血液を体内から押し出すと共に、血液の情報を書き換える。
ステインの個性『凝血』への完全な決め撃ちとも言える使い方で、これにより身体の自由を取り戻して反撃に出ている。
- 『剛翼』
ホークスから奪った個性であるが、持ち主が劣化した状態で奪ったので、小さいままである。
その他にも、『かまいたちを放つ』『ヘドロのような不定形の物質を出す』『身体の一部から長いリーチと強靭な牙と顎を持った頭部だけの怪物多数を触手の様に放出して操る』『自分を中心とした球状のバリアを張って防御する』『超出力の破壊光線を放つ』等、幾つもの強力な個性を所有しており、底は見えない。
- "全ては一つの目的の為に(オール・フォー・ワン)"
自身の保有する全ての個性因子を解き放つ最終奥義。
これまでに奪ってきた"個性"の力を一つに結集させ極めて膨大なエネルギーを帯びた巨大な質量弾を放つ。そのエネルギーは街ひとつを軽く覆い尽くし、余波だけで射線上の建造物を吹き飛ばすほどの絶望的な威力を誇る。
ただし無数の"個性"を同時に解放し制御するためには、所有者自身の強い精神力(AFO曰く「支配力」)が必要であり、また"個性"の解放とともに肉体が急激に変容することから、身体的にも大きな負荷が掛かるものと思われる。
AFOにとっての正真正銘の最後の切り札であり、作中では都合二度この技を発動しているが、いずれも肉体へのダメージを度外視できる非常に特殊な条件下でのみ使用している。
作中での動向
ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミアILLEGALS-
明確な初登場はプロヒーロー・オクロックが現役であった頃を振り返った回想シーン。まだ「悪の帝王」として君臨していた彼の配下として活動する地下闘技場へオクロックが潜入調査し、混乱の中彼の放った刺客と間接的な形で戦う事となる。
この時点からオクロックの個性「オーバークロック」を狙っており、後に彼を追ってきたオクロックを返り討ちにして個性を奪った模様。
物語中盤頃から「オーバークロック」を与えられた"傷の男"が暗躍している事や改造ヴィランの特性が脳無に近づいている事もあり、「彼が個性因子誘発物質及び敵製造工場(ヴィラン・ファクトリー)を巡る一連の事件の黒幕として糸を引いているのではないか」と予想する読者が多く出た。
そして、最終決戦の最中、"傷の男"を脳内でサポートする「偽のオクロック」が彼の意思であった事が判明する。(もっと遡れば、蜂須賀や"傷の男"が「電話で話している相手」も彼自身であったかもしれない。)
最終的に、"傷の男"は彼の命令を無視する形で命を落としたが、真相に近づいた刑事の抹殺などの証拠隠滅活動もあって、オールマイト達に生存及び関与を勘ぐられる事もなかった。
本編
数々の事件を通して死柄木と敵連合を順調に成長させていったが、爆豪拉致事件でのオールマイトを始めとしたプロヒーローと警察の急襲作戦によって、組織が壊滅の危機に晒された事で、死柄木達を守るために彼自身が遂に表へと現れる。
その時は漆黒のドクロを模した金属質のマスク(生命維持装置)を装着している。
死柄木達を強引に逃した後はオールマイトと激闘を繰り広げるが、オールマイト渾身の一撃「ユナイテッドステイツ・オブ・スマッシュ」を受けて再び敗北。現在はステインと同じく、死刑すら生温い罪人たちが送られる特殊刑務所タルタロスに収容されている。
ただし、連合の当初の目的であるオールマイトの抹殺は、彼の中の残り火を消すという形で事実上達成され、戦いの余波で戦闘地帯となった横浜市神野区は大部分が破壊され、さらにベストジーニストが重傷を負わされ長期休業に追い込まれるなど、この戦いで発生した被害も甚大であるため、この一件は「神野の悪夢」と呼ばれ恐れられる事になる。
また、彼にとって自身が捕まった事は想定の範囲内であり、敵連合の実行部隊が全くの無傷である点に加えて、敵連合とは別に育てた強力な配下を隠しているなど相当に準備を整えている。
そして、逃がされた死柄木は心の支えであり導き手である師を救うため、真の敵連合のリーダーとして自らの足で歩み出す。
正義と悪の戦いは終わっておらず、次の世代へと引き継がれ、続く事になる。
「大丈夫だ死柄木弔。経験も憎悪も悔恨も全て糧としろ。次はキミだ」
死柄木との関係
「常に考えろ弔。君はまだまだ成長できるんだ」
オールマイトと同様、彼も表で活動出来ない状態であり、それゆえに同じく「後継者」を探していた。そして、その目に留まった人物こそが死柄木弔こと志村転弧である。
彼を『次の"僕"』として導き成長させるために、敵連合を使って数々の事件を起こし、様々な経験を積ませている。
オールマイトが雄英高校で出久を指導しているように、彼は死柄木に敵連合という名の学校で事件という名の授業を行っているのである。
なお、死柄木を選んだ理由は、一つは"歪み"を持っていたこと。そして何より、彼が先代『ワン・フォー・オール』継承者であった志村菜奈の孫であること。オールマイトに対して並々ならぬ恨みを持つ彼は、『嫌がらせ』として死柄木を選んだのである。
志村転弧と出会ったのはオールマイトとの決戦より以前の出来事。個性の事故により独り身になっていたところを拾い、自身の姓である「死柄木」を彼に与えた。
つまりは、自身と死柄木との関係は先生と生徒以前に義理の親子であることも意味しているのである。
…だったのだが、実は転弧の父・弧太朗とも接触し、転弧が独り身になる前から顔合わせをしていたことが終盤で発覚する。詳細は志村転弧・志村弧太朗の記事を参照。
過去
「ONE FOR ALL... ALL FOR ONE 良い言葉だよな」
「ヒーローは正体を隠して孤独に戦っていたけれど、悪の魔王は皆が恐怖して全てを差し出すんだ」
「お前がそうであるように... 皆が僕の為だけに存在する世界」
「僕にも夢ができた!」
超常黎明期から生きており、その長寿はオールマイト曰く「成長を止める類の個性」が要因と考えられており、その一因となるのが自身の医師・殻木の"個性"である「摂生」による物であることが判明した。
その出生は中国で発光する"個性"を持った赤子が生まれる1年前に、浮浪者であった女性から弟である与一と共に産み落とされた。この実の母親と言える女性の妊娠は彼女にとって身に全く覚えがなく、いつの間にか双子を身に宿していたという。よって、父親はそもそも存在しないようだ。この母親は双子の出産と同時に亡くなってしまったため、双子は生まれた時から二人きりだった。
産みの親が二人を身籠っていた頃から既にAFOは常軌を逸した独占欲と悪魔とでも形容すべき精神性を孕んでおり、(産みの親も含めた)視界に入るもの全てが己の所有物としか考えておらず(与一は母親からの養分の大半を兄に奪われており、兄と違って虚弱体質だったのはこのため。母親の死因も恐らく養分の殆どを胎の中のAFOに吸い尽くされたことによる衰弱死)、個性や物資の掠奪や大量虐殺などの凶行を繰り返していた。
物心ついた頃に読んだコミックに登場する「悪の魔王」に憧れ、計画的に人を動かし、思うままに更なる悪行を積んでいく事で『悪の支配者』として裏の世界に君臨していた。
終盤になるまで顔はハッキリと描かれていなかったが、弟と同じく白髪で、癖毛。後、アニメで一瞬のみ出た瞳の色は赤。また、一見すれば紳士的な雰囲気を醸し出している。
唯一の肉親であった弟に対しては「愚かで可愛い弟」と呼んでおり、彼に歪んだ愛情を向けていた。
最終章の動向
ヒーロー勢と超常解放戦線の決戦となる戦いにて、死柄木弔は魔王へと覚醒するが、そんな彼の体に自身の意識を乗り移らせて乗っ取ることに成功する。
その後、死柄木の体を乗っ取り逃亡に成功したオール・フォー・ワンは、7体のニア・ハイエンドと共にタルタロスを襲撃し、本体との連係で警備システムをダウンさせ、そのまま収監されていた最悪の個性犯罪者たちを大量に脱獄、新たに『ダツゴク』と呼ばれる敵集団を誕生させる。
その後は、ダツゴクに各地の刑務所を襲撃させてヒーローや警察の追跡を撹乱させる、元ヒーローである女性ヴィランに『エアウォーク』の個性を与えて出久を狙うなど、ワン・フォー・オールを手に入れる為の暗躍を繰り返す。
出久やエンデヴァーらトップヒーローがナガンの情報を元に、死柄木たちが一時的に潜伏していた廃墟に着いた際に映像越しで現継承者である出久に対し「次は君だ」とオールマイトの言葉を意地の悪い引用をして狙うことを宣言、一時的に出久自身が孤立するように誘導した。
その一方で、アメリカのトッププロヒーローであるスターに対し死柄木で迎え討つことになる。
全能と呼ぶに等しい『個性』を持つスターとの戦いは、オール・フォー・ワンにとっても最終目標としていることでもある為、万全の状態を整えて彼女との戦いに挑み、勝利こそするものの、それにより逆に彼女の仕掛けた罠に嵌ってしまい、死柄木は大幅に弱体化してしまう。
これにより、雄英高校を始めとするヒーロー勢力に立て直しのための時間を稼がれてしまうが、それでも尚、ヒーロー勢力を一掃するべく策を弄する。
雄英の避難所にいる内通者たちに向けて出久を再び孤立させるよう指示を行い、青山家が出久一人にして呼び出したのを見計らい新調したマスクを被り姿を見せる。しかし実際は相澤の作戦により心操が『洗脳』を青山家に使い『嘘発見器』の個性を感知させなかったためまんまと裏をかかれてしまった。
ここで『転送』で死柄木たちヴィランを集結させるが、各地に分散していたヒーロー勢力も黒霧の『ワープゲート』をコピーした物間により集ったことで最終決戦の幕が切って落とされた。
オール・フォー・ワンはトロイア発動時に群訝山荘跡地に飛ばされ、エンデヴァーとホークスらと交戦。
エンデヴァーに対し荼毘こと燈矢を行方不明にしたのは自分だと告げる揺さぶりで一瞬の隙をついて右脇腹を抉り、彼を退場させる。
ホークスと救援に来た常闇と耳郎にもダメージを与えていくが、自らの持つ『個性』に反逆され一時的に封じられたことで、ホークスたちにマスクを破壊される。加えて、復帰したエンデヴァーの猛攻を受け「プロミネンスバーン」で肉体を消し炭にされてしまったが…。
劇場版では
劇場版第1作『2人の英雄』の来場者特典小冊子『Vol.Origin』内の「オールマイト:ライジング」にてAFOの全盛期の一部分が描かれた。
まだ雄英在学中の少年であったとはいえ既に"OFA"を継承しているオールマイト、そして残り火とはいえ"OFA"を残していた志村菜奈、まだ今よりも若く力もあるだろうグラントリノという普通に考えれば強大過ぎる筈の戦力を前に傷一つ負うことなく笑いながら一方的に三人を蹂躙し、オールマイトを逃がすために殿を務めた志村菜奈を殺害してみせた。この時、オールマイトはまだ18歳であった。
実はオールマイトが雄英卒業後すぐにアメリカに渡ったのは、日本社会の裏側を掌握していた彼に命を狙われる危険性を考え国外に移る必要があった為、そして敵犯罪の件数や規模も大きいアメリカで『100年分の経験値を埋めるほどの戦闘経験を積む』為であった。
尚、志村菜奈殺害時、自分に為す術なく敗走するしかないオールマイトとグラントリノ、そして時間稼ぎに死を選んだ志村達を指して「素晴らしい喜劇をありがとう」と嘲笑っていた。
ここまで力の差を見せつけた相手に数十年後、蓄えてきた手下も個性も徹底的に潰され、自身も頭部を砕かれ大半の個性を失い生命維持すら難しい身体にされるとは夢にも思っていなかったであろう。
ちなみに劇場版本編では直接登場しないものの、オールマイトを苦しませるため、とあるヴィランに別の個性を与え協力した。
第2作『HEROES:RISING』でも直接の登場は無いが、ドクターが今作のヴィランであるナインに彼の細胞と個性を移植する実験を行っている。
これによってナインは、「ストックできる個性は最大8個まで」の制限付きではあるが、『オール・フォー・ワン』を獲得している。
第3作『ワールドヒーローズミッション』では、完全に未登場。個性因子を暴発させるトリガーボムは彼にとって最悪の兵器であり、影響が及ばないよう闇に潜んでいたのだろうか。
第4作『ユアネクスト』では、冒頭にて今作のヴィランであるダークマイトが急襲作戦の際の自身とオールマイトの決戦の映像を見返しており、映像上の回想的な立ち位置で登場していた。
この先、ユアネクストのネタバレ注意!
エンディング後のエピローグにてまさかの登場。
デク達がダークマイトを倒し、一連の出来事が一件落着となった後、どこか洞窟のような薄暗い場所で眠りにつく死柄木と共に佇んでいる姿が確認され、これから起こる第二時決戦への開幕を不穏に暗示するような形で、本作は幕を閉じた。
余談
- 名字について
死柄木との関係でも書かれているとおり「死柄木」を「僕の名字」と語るが、出生から察するに実の母親の名字を知る機会はなかったと思われるので自分でつけたか(実際弟の「与一」はAFOがつけた)作中語られていないところで養父母のような人物がいた可能性がある。
関連イラスト
関連項目
黒幕 ラスボス 悪のカリスマ 悪の美学 絶対悪 純粋悪 全ての元凶 諸悪の根源 ブラコン
ネタバレ注意⚠️
この身体は僕にとってもう用済みで捨て去るだけのもの…。
だからこそ ─────試せる事がある
捨て身がヒーローの専売特許だとでも?
敵(ヴィラン)も手負が最も恐ろしい
ヒーローとは禦ぐ者であり、敵(ヴィラン)とは侵す者
僕らは夢に向かって突き進む‼︎
死柄木弔が入手した消失弾から、エリちゃんの個性『巻き戻し』を抽出して自身に発動させた。
この状態では全盛期の肉体に加え、傷すら巻き戻るため実質不死身に近く、無敵の最恐ヴィランとの持久戦をしなければならない。
弱点は『巻き戻し』を発動させると自身で止める事が出来ないため、時間経過で肉体が消滅してしまう。
また、大きな損傷を受けると巻き戻しが進行し消失までのタイムリミットが早まる。
戦闘能力
- 全盛期
悪いこととは?文化も価値観も無数に広がるこの世界で、誰もが顔をしかめ嫌悪する行為… それは、思い描く未来を阻まれること
だから僕はね、世界中の未来を阻みたい
CV.大塚明夫
黄金時代(ゴールデンエイジ)の肉体のAFO。
この状態だと高速で移動する事が可能となる。エンデヴァーが離脱し、触れると個性を奪われるヒーロー達による遠距離攻撃主体となったため個性を複合させた衝撃波や破壊光線等で応戦する。
- 青年期
若返る程、抑えが効かなくなる感じだ
CV.神谷浩史
青年期のAFO。若い肉体故に個性の力を出力任せにぶっ放す。
- 幼少期
言っただろう、道具(それ)は限界を超えないと
幼少期のAFO。
数多のダメージで身体が子供の状態まで戻っており、オールマイトのレーザー光線を肉体を発光させガードした。
最期
若くなるにつれて何故かどんどん焦った姿を見せながらも、常闇の黒影「深淵闇躯 光明」、イナサら士傑高校生徒、蛇腔病院跡から加勢に来たMt.レディと主に見捨てられ怒り心頭のギガントマキアの集中攻撃にも肉体の再生により反撃してその場にいるヒーロー全員を戦闘不能に追い込む。
ホークスの『剛翼』を奪い(常闇の黒影をも奪おうと考えていたが、峰田の決死の時間稼ぎで断念した)、死柄木の元へと向かう道中に立ちはだかるパワードスーツを身に着けたオールマイト、助太刀に来たステインを相手に2人を撃破するAFO。
しかし、エッジショットの手により復活した爆豪との交戦の末に彼の放った必殺技・榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)の前に敗北する。
(後少し進むだけだ 僕の"個性"を弔に譲渡するんだ)
(まだ勝機はある 弔を支配できればOFAを"奪える")
(与一 お前がいなきゃダメなんだよ)
(嫌な事の方がずうっと覚えているだろう? だから人の未来を阻むんだ)
(与一 僕は 皆に ずうっと見ていてほしいんだ)
(あと少し─…)
爆豪に吹き飛ばされながらもかろうじて生き延びていたAFO。
しかし『巻き戻し』の効果は止まることはなく、その肉体はとうとう赤ん坊の姿まで巻き戻ってしまう。
それでも個性を死柄木に譲渡しようと動き出すも、そこへ満身創痍になりながらもAFOに完全に止めを刺すために爆豪が自らの前に迫ってくる。
追い詰められたAFOは爆豪を最初に奪った母親の個性で殺そうとするも、爆豪の間一髪の防御によって失敗に終わる。
「オネンネの時間だ AFO」
その直後、爆豪による無数の爆撃を食らった事で肉体はついに限界を迎え、憎悪に満ちた断末魔を上げながら、
胎児、受精卵を経て奪っていた個性因子と共に無へと還っていった。
(嫌だ)
(感情に支配されていたんだ こんなの僕じゃない…‼)
(嫌だ)
(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い)
ホギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ
最終決戦に置いて、死柄木を除く敵連合のメンバーでは最後の脱落者となり、彼の消滅をもって敵連合の幹部は全滅することとなった。