「この"完武"ことストロング・ザ・武道には屁でもない!」
「誇り高き完璧超人界の新しい代表権は、我々『真の完璧超人軍』にあるーーーーーーっ!!!」
「悪魔超人どもは粛清などとほざいていたが…むしろお前達下等超人どもの粛清に来たのはこの我々『完璧・無量大数軍』の方なのだーーーーーーーーっ!!」
概要
完璧・無量大数軍(パーフェクト・ラージナンバーズ)のリーダー格で“完武”の異名を持つ完璧超人。
超人委員会監視の下、正義・悪魔・完璧の3派閥間での平和条約が結ばれてから日も浅いある日、正義超人たちが開催したファン感謝イベントの会場に無量大数軍のリーダーとして飛来。
すでに袂を分かったネプチューンマンが完璧超人の代表として勝手に署名したことを不服とし条約を破棄、同時に地上の「下等超人」たちの粛清を宣言する。
その後、7人の悪魔超人の参戦によって戦いが「正義・悪魔対完璧」という図式に移行すると、グランドキャニオンでザ・魔雲天と対戦。
彼の頑強な岩石ボディをものともせず終始圧倒し勝利をおさめるものの、直後に魔雲天がかつてテリーマンとの戦いでも行った谷底への道連れを敢行。リング共々、奈落の底へ転落し姿を消す。
人物像
容姿
『夢の超人タッグ編』に登場したビッグ・ザ・武道(=ネプチューンキング)とほぼ同じ容姿をしているが、彼とは別人であるらしい。それどころか、無量大数軍を追放された彼が勝手に「完璧超人の首領」を名乗ったことや、自分たちを弟子呼ばわりしていたことなどから寧ろ軽蔑しているという。
面から覗く目は常に血走り、その怒りの深さと激しさを物語っている。
また、常に竹刀を所持しているが、ビッグ・ザ・武道のように武器として使うことはなく、あくまでも「自決用(自分以外の完璧超人も使う)」とのこと。ただし、スペシャルマンからビッグ・ザ・武道を完璧超人の基準にされた際は「あんな奴と一緒にするな」としばき倒しており、他にも試合会場を用意したり移動するために地形を変化させるなど、自身の能力を発動する際に魔法のステッキのような使い方もしたりする。
性格
他の完璧超人同様、他派閥の超人を「下等超人」と呼び見下しているが、気骨溢れる相手には武人として敬意を払う。敗北したマックス・ラジアルが完璧超人の掟に従い自害した時も、その潔さを称えた。
一方で、途中までは間違いなく勝てていたのに、慢心した結果引き分けにまで追い込まれた挙句死亡したマーリンマンを侮蔑するなど、同じ完璧超人にも妥協を許さない。個人的に目を掛けていたピークア・ブーに関しても自害を拒否することは許さないという姿勢だった。
口癖は「グロロ~」。
ちなみに「グロロ」という品種のブドウがある。
2018年、山梨県の大和葡萄酒社がストロング・ザ・武道とコラボしたワインを発売したが、原料に使われた品種はグロロではなく、メルローとカベルネソーヴィニヨンであった。
戦闘スタイル
クセの強い特殊能力や武器を使わずに、ひたすら己の肉体で戦う正統派ファイター。特に冠名である「武道」に倣い、技名も和名のものが多い。
その怪力は並みのモノではなく、体重1トンの巨体を誇る魔雲天を片手で軽々と持ち上げてみせた。
また、試合中に使用することはほとんどないが、相手の超人からパワーを奪いただの人間にしてしまう「零の悲劇」や、チームメイトであるピークア・ブーの記憶を奪い精神を赤ん坊まで退化させるなど、様々な超能力を持っている。
悪魔超人たちがたびたび口にする「あのお方」こと悪魔将軍とは太古の昔から因縁浅からぬ間柄であるらしいが、彼の正体を口にしようとしたところで魔雲天と共に谷底へ落下してしまったため、その時は明かされることはなかった。しかし……。
その正体
※注意:以下の内容には作品の核心に迫るネタバレが含まれます。
「呼んだか?」
武道が姿を消し、ネメシス率いる無量大数軍第2陣との戦いに一区切りがついた頃、復活した悪魔将軍と悪魔六騎士による完璧超人の総本山・超人墓場への攻撃が開始される。
そこで、原初の完璧超人こと「完璧超人始祖(パーフェクト・オリジンなる存在が示唆されると同時に、悪魔将軍の前身であるゴールドマンとその弟であるシルバーマン、そしてストロング・ザ・武道の正体もまた、完璧超人始祖の一員であったことが明かされた。
このことは始祖たちしか知らず、無量大数軍以下一般の完璧超人には知られていない極秘事項である。そもそも無量大数軍という組織自体が、武道の正体を隠すための隠れ蓑に近しい役割を兼ねていたことも露見し、プラネットマンの能力で一時的に現世に復活したターボメンはその正体についてある程度の予想を立てるも、グリムリパーこと“完璧・拾式”サイコマンに口封じのため抹殺されてしまった。
サンシャイン、ザ・ニンジャ、ジャンクマンが始祖を倒し、始祖の所有する「絶対の神器」の一部が回収された頃になり、武道は再び姿を現す。予想はされていたが、魔雲天の決死の賭けにも無傷の状態で帰参した。
同時に悪魔将軍の口から、その正体がかつて自分たちを導いた「神から超人に身を落とした元神」であり、完璧超人始祖、ひいては完璧超人という派閥の創始者にして首領である“完璧・零式(パーフェクト・ゼロ)”ザ・マンであったことが語られる。
しかし、本人も悪魔将軍も「ザ・マンはとうの昔に死んでいる」とし、「超人閻魔」が今の名前だと明言した。
正体が判明して以降もその本来の姿を自らさらけ出すことはせず、最終盤の悪魔将軍との試合で「神威の断頭台」を食らってオーバーボディを破壊されるまで、ずっと武道としての姿のまま行動している。
以降の展開
今までの戦いで生存したネメシス、サイコマン、ガンマン、ジャスティスマンと合流し、国立競技場に出現した「許されざる世界樹(アンフォーギブン・ユグドラシル)」で正・悪連合軍と完璧超人軍の死闘を見守る。
途中、かつての同志であるシルバーマンの登場もあり、結果的に10個の神器が全て悪魔将軍の手に渡ってしまい、神器が捧げられた「文字盤の祭壇」から始祖全員を消滅させる力が発動する。
この時ばかりは彼も自らの消滅を察し、それを受け入れるかのように静かに目を閉じたが、始祖の消滅を危惧するサイコマンが祭壇を改造し、サイコマンだけが消滅するように仕向けたことで、結果的に消滅を免れる。
最後の最後で自分を裏切ったとも取れるこの行動を「始祖であっても許されぬ大罪。万死に値する」と断じるが、同時に今まで自分に尽くし続けてくれたサイコマンの忠義に感謝し、「大儀であった!」と労いの言葉をかけ、消えゆく彼の最期を看取った。
その後、シルバーマンの子孫同士でもあるキン肉マンとネメシスの決戦の場が、世界樹が示した甲子園球場に決定。完璧超人たちがここまでで全て死亡あるいは離脱してしまい、さすがの武道も迷いを持ったのか、戦いを控えるネメシスの下に赴き「私は何か間違っていたのか?」と問いかける。この時の武道は今までの血走った目をつり上げた険しい表情から一変し、深く思い悩むような表情になっている。
ネメシスはかつてキン肉王族から虐げられ、完璧超人へと転身することで居場所を見出したことを挙げて彼の言葉に力強く反論し、「私はあなたの生み出した完璧超人の理念に救われた」と強調、そのネメシスの言葉に武道も再び元の表情に戻った。
試合は接戦の末にキン肉マンが勝利。自害する力すら失ったネメシスからの要請でネメシスを処刑せんとするが、そこに同じく無量大数軍であるピークア・ブーとネプチューンマンが割って入った。
彼らはネメシスの完璧超人としての高潔な精神を高く評価すると共に、自害の掟に異を唱え、今回の騒動は行き詰まった完璧超人界を変革するチャンスであると訴える。
一方、武道は完璧超人の掟を破りキン肉マンに敗しながら生き恥を晒した彼らを糾弾。「あくまでネメシスを処刑するつもりなら、自分の首を差し出してでも止めてみせる」とまで言い切るネプチューンマンと臨戦態勢に入る。
しかし、戦闘が開始されようとした寸前で同じく試合を見守っていた悪魔将軍が動き、武道と対峙。
そのままかつて両者が修行に明け暮れた思い出深い土地でもあるエアーズロックへと向かい、悪魔・完璧それぞれの後継者とキン肉マンが見守る中、長年の因縁を払拭せんと最終決戦に臨む。
最終決戦
悪魔将軍との決戦は熾烈を極めた。序盤は圧倒的有利に戦を進め、見守る超人たちの心胆を寒からしめながら、かつて自分が苦悩した胸中を暴露。
最も自分に近いゴールドマンでさえ超人硬度という指標で自分に並ぶ事しかできなかった以上、それが超人の限界なのではないか、それ以上を求めてはいけないのではないかと思い悩んだ事。その後、自身が育て上げた十人の弟子でさえ『全ての完璧を体現した自身』を超えられなかった事でその苦悩はやがて確信へと変わっていき、『私は私を再生産することしかできん』と悟り、超人の成長に限界があるならばその限界点たる自分の判断こそ至高と判断。不退転の覚悟で自身が世界を管理するという意思を固め、これこそがザ・マンが超人閻魔へと変貌してしまう根本の歪みとなった。
が、ザ・マンも含めた始祖十人の想いを背負った悪魔将軍の発動した新たなる力、硬度10♯・ロンズデーライトパワーを前に劣勢となる。
硬度で勝る悪魔将軍に体を何度砕かれても一歩も引かず、ついには悪魔将軍の猛攻を硬度に劣るダイヤモンドボディーでありながら受け止め、千兵殲滅落としを決めて大ダメージを与えるという怪物的な反撃を敢行した(この事態にかつて悪魔将軍に大苦戦したキン肉マンは愕然としていた)。
必殺技を繰り出すも悪魔将軍をKOするには至らず、逆に悪魔将軍の新必殺技・神威の断頭台でKOされる。この時に武道としてのオーバーボディ(と遥か昔から積み重なってきた魂の錆)はすべて砕かれ、ザ・マンとしての姿を取り戻し、その顔には弟子の成長に満足する笑みが浮かんでいた。
このあまりにも神々しい戦いに見守る正義超人も悪魔超人も完璧超人もそして観客たちも大きな歓声と拍手と涙をもって答えた。
超人閻魔の仮面を剥がされたザ・マンは、先日シルバーマンに言われた「誰よりも真っ先に目的地を見失ったのはあなたではないか」という指摘を肯定し、それを「待てなかった」と表す。そして「そんな自分に他の十人は差はあれど皆心を閉ざした。自分にとってこの数億年で起こったのはただそれだけ」と語り、悪魔将軍も「不甲斐ない自分達がザ・マンを追い詰め、それを分かっていたから各々がそれぞれのやり方で償おうとした。それでも最初に皆で見た道を見つめ続け、見つめることしかできない罪悪感を抱えたまま数億年を生きた。それがかつて始祖と呼ばれた自分達の正体」と答える。
かつての宿願を果たした悪魔将軍こと元ゴールドマン、一番弟子のゴールドマンに師匠超えを達成されたザ・マン。もはや自分たちの役割は果たされ、後進に道を譲るべきと考えた2人は自決し、消えていこうとしていたが…。
死に逝こうとする2人を止めたのは、彼らが繰り広げた試合を通して「互いを理解し合うために闘う」という正義超人の理念を感じ取ったキン肉マンだった。
そして、「大義や使命を永い間追い求めて来た我々は、それが叶った以上この世から消えるべきだ」と主張する将軍に対し、キン肉マンは彼らを生かすために消滅エネルギーを一身に受け犠牲となったサイコマンについて言及した上で
『どんなにいらぬ世話だと言われようが、大義や使命とは関係なく心の中で苦しんでいたあんたらを救う!いくら綺麗事を並べたところで、目の前で苦しむたった数人を救えぬ者に、この世をまるごと救うことなどできてたまるか!たとえお前(将軍)ともう一戦交えてでも(ザ・マンへの介錯と後追いを)止める、わかりあうために闘うとはそういうことじゃーい!』
(※セリフの要点だけ繋げて改変)
と、友情パワーの光を放ちながら言い放つ。
これを受けた将軍は竹刀を捨ててザ・マンの処刑を中止。代わりに「不老不死の力を封印し、老いて死ぬまで超人墓場より出るな」という妥協案を出すことでザ・マンを生かしたのである。
ザ・マンとゴールドマン、2人が仲間と共に永遠の命を持ってまで追い求めた“完璧”には、確かに大義があった。
だが、お互い命を捨てる覚悟で死闘を繰り広げた果てに2人が目にしたのは、その大義すら乗り越えて自分たちを救おうとした1人の超人、“慈悲”の男だった。
ザ・マンはこれを受け、一線を退くことを決意。キン肉マンの心の正しさを讃えつつ、その力が暴走する可能性を戒め、後進の超人たちに今後の超人界を託すのだった。
その後は、超人墓場から出るなというゴールドマンとの約束を守るために自身を檻の中に閉じ込めて蟄居。ストロング・ザ・武道の装束も封印した。
必殺技
- 完武・兜砕き
完璧・無量大数軍としての必殺技。
頭部をブルドッキングヘッドロックのように捕らえ、自分の膝に当ててその膝を抱え上げ、そして一気に叩きつける。
一般的なプロレス技であるココナッツクラッシュそのものだが、その威力は岩石の肉体を持つザ・魔雲天の頭部を完全に粉砕するほど。
- 零の悲劇
掌で触れた超人から超人パワーを抜き取り、人間に変えてしまう技(もしくは能力)。
人間で言うなら犬や猫にされるようなものだが、一応「無力な人間になることで完璧超人による粛清対象から外される」という、武道なりの救済措置でもある模様。
この技でタイルマン、ベンキマン、カレクックの3人は人間に変えられてしまったが、魔雲天は悪魔超人としての誇りと意地でこの技を無効化している。
また、悪魔将軍のように武道と同等かそれ以上のレベルの相手では、武道をもってしても人間化できない。
- 武道岩砕クロー
魔雲天の顔面を削り取ってしまうほど強力なアイアンクロー。
- ワンハンド・ブレーンバスター
片手で行うブレーンバスター。片手で行っても、テリーマンのブレーンバスターをはるかに上回る威力を持つ。
- ダブルニークラッシャー
悪魔将軍の得意技・地獄の九所封じの1つ。
将軍のスピンダブルアームソルトを破った直後「続きは私がやってやろう」と言い放ち、難なくやってのけた。
- 握手
同じく地獄の九所封じの1つ。
元は前述の「零の悲劇」が源流であるとのことで、将軍版は思考を司る掌のツボを押して力を奪うのに対し、武道はその能力で相手の超人パワーを吸収する。
実質的には「零の悲劇」と体勢が異なるだけで技の効果はほぼ共通していると言える。
- 超人圧搾機
同じく地獄の九所封じの1つ。
将軍は破らせるためのフェイク技として使っていたが、武道は零の悲劇と組み合わせることで相手の力を削ぎつつ決めた技からの脱出を難しくしていくというえげつない攻撃に応用した。
- 冥府頭壊手
空中の相手の首に手刀を突き立て、そのまま落下する技。作中では地獄の断頭台返しとしてこの技が炸裂した。
これも一言で言えば物凄い地獄突きであるが、武道のパワーや肉体の硬度などを合わせて見ればその威力は凄まじく、悪魔将軍の地獄の断頭台、アビスマンの奈落斬首刑に匹敵する破壊力を持つ。
- ダイヤモンドパワー
肉体の硬度を「10:ダイヤモンド」に変化させる能力。
これも元々は武道の固有能力であり、かつてゴールドマンだった将軍が彼との修行の末に体得したという。
- 無欠雁字搦め
相手を仰け反らせるように仕掛ける変形卍固め。
悪魔将軍のダイヤモンドボディが弾け飛ぶ苛烈な技。
- 完璧・零式奥義 千兵殲滅落とし
完璧超人始祖としての必殺技。[基本的な]タックルからそのまま相手の脚を背負って飛び上がり、空中で逆エビ状態に固めながら着地と同時に顔面を膝に叩きつける。この時、技を受けた相手の体は数字の0のような形になる。
硬度0でも脱出不能の拘束力と、ダイヤモンドパワーを発動した自身の肉体のみを使用することによる硬度10でも防御不能の破壊力を兼ね備えており、悪魔将軍の兜が砕け、素顔である黄金のマスクから大出血してリングに倒れ伏した「まさに完璧な奥義」。