概要
原初の完璧超人を名乗る11人の超人によって構成された団体。
はるか太古の昔、宇宙の至るところで私欲にかられた超人たちが暴走を繰り広げ、超人の神々の怒りに触れた。
神々はカピラリア七光線により全宇宙の超人を一斉に粛清する計画を立てるが、その際、1人の「慈悲深い神」が全ての超人を粛清するという方針に反発。
その神は「能力や人格に優れた超人は生かすべきだ」と主張し、自らも超人「ザ・マン」となって天上界を出奔した後、己の見出した10人の超人を選び抜き、カピラリア七光線の被害から救い出した。
以降、ザ・マンは10人の超人たちを弟子として徹底的に鍛え上げ完璧な超人(完璧超人の起源、すなわち完璧超人始祖)に引き上げると共に地上の超人界の中心として活動していたが、ある出来事をきっかけに10人の弟子を引き連れモン・サン・パルフェ(後の超人墓場)に籠もり表立って姿を現さない一方、自身は「超人閻魔」として地上の超人達を監視・監督する方向に転換、地上からは自分たち完璧超人始祖の存在の痕跡となるものを抹消した。
その状態が何万何億年と続いた結果、地上の超人達の記憶からはザ・マンや弟子たち完璧超人始祖の存在が消えることとなり、現代のキン肉マン世代の超人たちにはわずかに数人の超人が伝説として語り継がれる程度の存在となっている。
『黄金のマスク編』に登場した、戦いの神ことゴールドマン(悪魔将軍)や平和の神ことシルバーマンの兄弟も元は完璧超人始祖の一員であった。
しかし永い時を経て変質してしまったザ・マンの思想に賛同せず、離脱。脱退後、ゴールドマンは悪魔超人の開祖、シルバーマンは正義超人の開祖及びキン肉族の祖先となっている。
一方で、他の始祖も「超人閻魔」という名の老害と成り果てた現在のザ・マンに諦観や疑念を抱いており、唯一彼に積極的に付き従う懐刀でさえ最早「過去のザ・マン」と「現在の超人閻魔」は別の存在としている。
特色
一般の完璧超人と違い、ザ・マンの直弟子である彼らは不老の力が与えられている。これは元神であるザ・マンが神の座を捨てて超人になった際に唯一残した神の奇跡不老不死の力を弟子たちに分け与えたからである。なお超人閻魔の直属部隊である無量大数軍も不老であるが、これは神の奇跡ではなくマグネットパワーを代用した疑似的なものである。
完璧を極めた彼らに「負けたら自害」などの近視的な掟は適用されない。これは一般の完璧超人を真の完璧に近づけるための教育的ルールに過ぎないからである(そのため始祖たちは負けた後も自害する素振りは一切見せなかった)。
代わりに「超人という種族が十分に成熟し管理者が必要ないと判断するか、逆に超人の育成に失敗し自分たち以外の超人が絶滅したら自害」という管理者としてのルールを課しており、これに則って始祖たちは天使としてこの世を管理・支配しようとしているのである。
始祖はそれぞれ「絶対の神器」と称される『○○』のダンベルを一つずつ所有しており、超人閻魔の部屋にある祭壇に全てのダンベルをセットすることで、超人閻魔を含む全ての完璧超人始祖は消滅する……
はずだったが、「ダンベルをセットしたら消滅」というシステムに納得できなかったサイコマンが超人閻魔に黙って設定を改変。
流石のサイコマンも消滅そのものを止めることはできず、対象を始祖の中の誰か一人に変えるだけで精一杯だったため、他の始祖が消えないように自分が消滅エネルギーを背負う道を選んだ。
始祖たちの超人強度はゴールドマンが1500万、ミラージュマンは2200万といったように、「始祖」という大仰な肩書に対してそこまで驚異的な数値ではない。
全員が1000万超えという完璧超人の水準は満たしているものの、最も数値が高いガンマンでも3800万であり、7000万だの8600万だのといった、かつてのインフレ具合からすると控えめな数値と言える。
とはいっても並大抵の超人からすると文字通り桁違いに超人強度が高いことに変わりはない。
しかし、彼らの真価は幾億年もの時の中で鍛え上げられた心身と技量であり、それらを踏まえた実力は完璧超人における精鋭中の精鋭である無量大数軍さえ遥かに凌駕する。
特にタフネスを始めとした肉体の強靭さは他の追随を許さず、始祖同士を除いて正面からの力比べで負けた場面は殆どない。
また、始祖は全員、「完璧・○式」の肩書き(○の中には各人の番号の大字が入る)と、それを冠する「奥義」を有している。(一部明言されていない始祖もいるが、該当すると思われるフィニッシャーは持ち合わせている。)
一見すれば単純なもの(悪魔将軍)から、難解な関節技(ペインマン)、果てには確殺のための破壊技(シルバーマン)まで多種多様。
いずれの技にも共通しているのは、使い手である始祖たちが長き研鑽の末に編み出したオリジナル・ホールドであり、彼らでなければ扱えないほど高度なものであること。
それだけに、その破壊力は並の超人が食らえば絶命を免れないほどのものである。
始祖たちにとって、奥義とは自身の誇りであると同時に、師匠であるザ・マンを倒し、彼の悲願である師匠越えを果たすための技である。
メンバー
- 完璧・零式 ザ・マン(現・超人閻魔 / ストロング・ザ・武道。慈悲の神)
- 完璧・壱式 ゴールドマン(現・悪魔将軍。『天』のダンベルを所有)
- 完璧・弐式 シルバーマン(『地』のダンベルを兄に託す)
- 完璧・参式 ミラージュマン(『氷』のダンベルを所有していた)
- 完璧・肆式 アビスマン(『焔』のダンベルを所有していた)
- 完璧・伍式 ペインマン(『風』のダンベルを所有していた)
- 完璧・陸式 ジャスティスマン(裁きの神・ジャスティスの正体。『光』のダンベルを所有していた)
- 完璧・漆式 ガンマン(『土』のダンベルを所有していた)
- 完璧・捌式 シングマン(『星』のダンベルを所有していた)
- 完璧・玖式 カラスマン(『闇』のダンベルを所有していた)
- 完璧・拾式 サイコマン(無量大数軍・グリムリパーの真の姿。『雷』のダンベルを所有していた)
その他
原初の超人ではないが、彼らの直属の配下にある、もしくはあったキャラクター。
- 墓守鬼(超人墓場の雑兵。完璧超人始祖に仕える)
- ネプチューンキング(『夢の超人タッグ編』に登場。無量大数軍の一員だったが後に離反)
- ミロスマン(ジャスティスマンの弟子。アシュラマンの先祖に敗北し、両腕を奪われた)
真の結成理由
「完璧超人始祖編」終了後に開始した「オメガ・ケンタウリの六鎗客編」において、ジャスティスマンの口から「完璧超人始祖の結成には、世界の秩序を守る以外にもう一つの結成理由がある」ことが語られた。
ジャスティスマンは「億年単位で訪れる何らかの危機」が関わっていると説明したが、超人墓場にいるザ・マンの口からより詳しい詳細が語られた。
ザ・マンによれば、「オメガ・ケンタウリの六鎗客編」における一連の騒動は全て超人の粛清を目論む「超人滅亡派」の神々のリーダー・調和の神が原因であるらしく、完璧超人始祖が結成されたのも、この調和の神と彼が率いる超神達に対抗する為であったことが語られた。
関連事物
マグネットパワー
『夢の超人タッグ編』にてネプチューンマンとビッグ・ザ・武道(ネプチューンキング)が使用した能力。
かつてサイコマンが編み出し、ネプチューンキングに伝授したことが明らかにされた。
モン・サン・パルフェ
完璧超人始祖の本拠地。
スカンジナビア半島と北極海の中間地点に浮かぶ絶海の孤島。超人がそこへ行くと強くなれると噂されているが、もちろん実際には誰にでも力が与えられるわけではなく、資格がない者は灼熱の炎で焼却される。
辿り着いた者も“完璧・参式”ミラージュマンに力を試され、敵わぬ者は胴体に大穴を穿たれて死ぬ。これらの試練を乗り越えた超人が、晴れて完璧超人の一員に迎え入れられるのである。
その正体はキン肉マンやウォーズマンも行ったことのある「超人墓場」。
悪魔将軍が「禁断の石臼(モルティエ・デ・ピレ)」を逆回転させたことで崩壊を始め、悪魔六騎士の侵入を許してしまった。
名はフランス語で「聖なる完璧の山」という意味。モデルは世界遺産として名高いフランスの古城モン・サン・ミシェル。
黄泉比良坂
モン・サン・パルフェと超人墓場への入り口を繋ぐ道。
ミラージュマンがここの番人として超人墓場に出入りする者の審査を行う。
始祖の門(オリジン・ゲート)
超人墓場内部にある、完璧超人始祖が待つ闘技場への入り口。
各始祖の私室へ繋がる扉もあるが、本編では次元の壁が歪められたことでそれぞれの扉に入った悪魔六騎士を世界各地に散らばる完璧超人ゆかりの地へ転送した。
ピサの斜塔 / 完璧の塔(トゥール・パルフェ)
“完璧・漆式”ガンマンと悪魔六騎士・スニゲーターの対戦の地。
超人墓場に移る前に始祖たちが使っていた修行場「完璧の塔」の建っていた場所に、後からピサの斜塔が作られたことがガンマンの口から明かされた。
ピサの斜塔が傾いてしまったのは完璧超人が作ったものを人間が不完全に模倣したためであり、斜塔をガンマンが垂直にしたことで「土地の記憶」から彼らが使っていたリングが復活した。いつものあれである。
ガンマンはもはや崩壊を免れない超人墓場に代わって、完璧超人始まりの地に建つピサの斜塔を新たな総本山=完璧の塔にすると宣言した。
サグラダ・ファミリア
“完璧・拾式”サイコマンと悪魔六騎士・プラネットマンの対戦の地。
サグラダ・ファミリアの建つ地はピサの斜塔同様に完璧超人始祖にとって重要な場所であり、何もなかったそこに街(バルセロナ)ができて人が増えてしまったため、無闇に荒らされることのないようガウディを始めとする人間たちに啓示を与えて「永遠に完成しない教会」を建設させていたという。
この地下には最初に発見された、いわばオリジナルのアポロン・ウィンドウが存在しており、ここでサイコマンはマグネット・パワーの研究を行い、超人パワー人工生成装置である禁断の石臼を完成させた。
すなわち、超人墓場というシステムが生まれた地である。
サグラダ・ファミリア内には秘密を探りに来た超人を処刑するためのリングがある(プラネットマン曰く「何千人も死んでるリング」)。
自由の女神 / 完璧の巨像(パーフェクト・ジャイアント)
“完璧・捌式”シングマンと悪魔六騎士・サンシャインの対戦の地。
かつての完璧超人繁栄期の象徴であり、世界各地に存在していたという。
古代の超人たちは世界中にザ・マンの偉業を称えた像を建て、彼への尊敬と崇拝を示すとともに、自分たちの修練の成果を披露するかのように日々、超人レスリングの試合を繰り広げていた。ロドス島の巨像などがこの名残である。
「自由の女神」も完璧の巨像の記憶を元に建てられたものだったが、その際に人間の雑念が混入してしまったため、本来の姿とは似ても似つかぬ女神像になってしまったという。
シングマンが地上に出た際、地中海の砂を使って本来の姿に戻した。
ちなみにアメリカはシングマンが超人閻魔に初めて会った地でもある。
銀閣寺 / シルバーキャッスル
“完璧・玖式”カラスマンと悪魔六騎士・ザ・ニンジャの対戦の地。
ザ・マンの思想についていけず脱退したシルバーマンが、正義超人始まりの地として建立した道場。後にその地には京都・銀閣寺が建てられたという。
同時期に兄ゴールドマンも、悪魔超人始まりの地として「ゴールデンキャッスル」を建立しており、同様の経緯で後に金閣寺が建てられている。
魔界
“完璧・陸式”ジャスティスマンと悪魔六騎士・アシュラマンの対戦の地。
アシュラマンの故郷でもある異世界(連載初期は六騎士たちが「地獄」などと嘯いていた)。悪魔将軍が超人墓場を真似て作ったことがジャスティスマンの口から明かされた。
また、ジャスティスマンにとっては、アシュラマンの先祖に弟子ミロスマンを殺された因縁の地でもある。
国立競技場 / 許されざる世界樹(アンフォーギブン・ユグドラシル)
グランドキャニオンから復活したストロング・ザ・武道がキン肉マンを捕まえ、連れてきた地。
超人オリンピックの会場として正義超人には馴染み深い場所だが、「カピラリア大災害」とも呼ばれる前述の大粛清の際、後に競技場が作られる土地に暮らしていた超人たちが光線を遮る巨大なサイフォン型の樹「許されざる世界樹(アンフォーギブン・ユグドラシル)」に身を隠すことで難を逃れたという伝説があり、超人界では名実共に聖地として扱われているという。
阪神甲子園球場
キン肉マンとネメシスの決戦の舞台としてアンフォーギブン・ユグドラシルが選んだ地。
超人オリンピックの時にラッキーゾーンで試合をやらされたキン肉マンにとっては嫌な思い出の場所であったが、ネメシス戦は本人の予想とは打って変わってグラウンドの真ん中に用意されたリングで執り行われた。
エアーズロック
悪魔将軍とストロング・ザ・武道の対戦の地。本来は巨大な岩山であり、ザ・マンとゴールドマンの秘密の演習所だったが、二人の激しいスパーリングにより少しずつ削れていき、現在の形になった。
原住民(アボリジニ)はこの山を「ウルル」という名で呼んでいるが、ミートくんによって「山から発せられるザ・マンの雄叫びを聞いた人々が『グロロ』と名付けたのが、時と共に『ウルル』に変化したのではないか」という仮説が立てられた。
本能寺の変
後に滋賀県となる土地にオメガの民は城を建築し、その地下に超人墓場進行用の穴を掘っていた。オメガの民が宇宙へ逃亡後、城はシングマンによって破壊された。
それから時は過ぎて戦国時代、跡地に訪れた織田信長は人間界だけでなく超人墓場を征服する為に安土城を建築した。
それを危惧したザ・マンは明智光秀に白羽の矢を立て謀反を起こさせた。
本能寺の変の首謀者こそ完璧超人始祖であった。
考察
ザ・マンを含め
「彼らのモデルは『日本のプロレス界の黎明期において発展に貢献したプロレスラー達』ではないか」という説がある。
実際、日本のプロレスは日本プロレスという団体から始まっている為関連性が無いとは言い切れないと言える。