ザ・マン
ざまん
地上に現れた最初の超神で慈悲の神であり、完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)の創始者にしてその一員。完璧・零式(パーフェクト・ゼロ)。
作中ではその他に「超人閻魔」「あやつ」など複数の呼称が存在する。
上述の通り、今日における「正義超人」「悪魔超人」「完璧超人」など様々な超人達の源流となった「完璧超人始祖」の創始者ということもあり、いわば彼は「超人界の父」ともいえる人物である。
はるか太古の昔、地球上の至るところで私欲にかられた超人たちが暴走を繰り広げ、超人の神の怒りに触れた。
神々はカピラリア七光線により地球上の超人を一斉に粛清する計画を立てるが、その際、1人の「慈悲深い神」が全ての超人を粛清するという方針に反発。
その神は「能力や人格に優れた超人は生かすべきだ」と主張し、自らも超人となって天上界を出奔した後、己の見出した10人の超人を七光線の被害から救い出した。
この神こそが、今日のザ・マンである。
ザ・マンは、自身の見出した10人の超人を弟子として育成すると同時に、彼らと協力して地上の監理を目的とする「完璧超人始祖」を名乗る。そして、弟子たちの成長を見守るにつれて「超人には神を超える可能性がある」という思いを抱いた。
やがて地上は彼ら完璧超人の手で繁栄を取り戻すが、その後、他の地上の超人たちが別の手段で光線を免れていた事実を知り、それ自体はむしろ喜ばしい事としつつも「種に交われば種にあらず」の考えの下、完璧超人の完璧さを保つために、異空間「聖なる完璧の山(モン・サン・パルフェ。後の超人墓場)」を造って移住。以降はそこから地上の超人たちの監視を始めた。
しかし、地上の超人たちはかつてと変わらず再び抗争を繰り返し、邪悪な超人がのさばり善良な超人が虐げられるという現状に、ザ・マンは言いようのない失望感を抱く。
結果、とうとう彼は弟子たちと共に地上の「下等超人ども」を自ら粛清。同時に、地上の超人たちへ干渉する体制を新たに築き、聖なる完璧の山の最奥に「超人墓場」を構築、超人たちの魂の管理を始め、自らも墓場の番人「超人閻魔」を名乗るようになった。
ただし、彼がこうした方針になびいたのも、かつて彼自身が神であった頃に発した言葉である「超人という種が産まれたことは間違いではなかったことを証明したい」という想いあってのことである。
また、弟子が自分を超える日を心待ちにしていたものの、最も自分に近い弟子であった“完璧・壱式”ゴールドマン(後の悪魔将軍)でさえダイヤモンドパワーという一面でしか自分に及ばなかった事で、その期待が絶望と諦めに反転し、「超人の成長に限界があるならば、その限界点である自分の判断こそ至高」という考えに囚われてしまった事も変貌の一因であり、後にゴールドマンも「不甲斐ない我らがザ・マンを追い詰めた」と述べている。
しかし皮肉にも、彼のこの変節は弟子たちの間にも動揺を広げてしまい、まずゴールドマンが彼と袂を分かち下野。
それを連れ戻すために派遣された“完璧・弐式”シルバーマンもまた、兄に感化され地上に留まることになる。
他の始祖も、あくまで「ザ・マンであった頃の」彼を敬愛しており、現在の彼に理解を示すことはあっても心の底では誰も認めておらず、彼を「超人閻魔」と呼ぶことを憚り、会話では敢えて「あやつ」と三人称で表す。
唯一、“完璧・拾式”サイコマンだけが彼を「閻魔サン」と呼んでいるが、彼もまた、内心では現在の超人閻魔とザ・マンを明確に分けている。
※注意:以下の内容には作品の核心に迫るネタバレが含まれます。
その後、完璧・無量大数軍(パーフェクト・ラージナンバーズ)の一人“完武”ストロング・ザ・武道こそが、ザ・マン(超人閻魔)であることが悪魔将軍ことゴールドマンによって明言される。
それまでもザ・マン自身が敵対する7人の悪魔超人に対し将軍との浅からぬ因縁を仄めかす発言をしたり、先行して超人墓場に侵攻した将軍と始祖との会話の中で「あやつ」の話題に触れられるなどの形で、その正体を示唆する描写が数多く存在した。
地上の下等超人の間で蔓延する「友情パワー」の存在を危惧し、自ら地上へ介入するための変装としてこの姿と経歴が用いられた。
そもそも無量大数軍そのものが武道の正体を隠すための隠れ蓑を兼ねていたとされ、その正体を知る者は“完幻”グリムリパーことサイコマンを除いて誰もいなかった。
なお、正体が明かされて以降も、ザ・マンは武道のコスチュームを着用し続け、最終盤までその本来の姿を公に晒すことはしなかった。本来のザ・マンの姿については始祖たちの回想の中で描写されていたが、いずれも顔は影が入り不明瞭にされていた。が、将軍の必殺技地獄の断頭台・改 神威の断頭台を食らった際に、遂にはっきりとなった。
かつての宿願を果たした悪魔将軍こと元ゴールドマン、一番弟子のゴールドマンに師匠超えを達成されたザ・マン。もはや自分たちの役割を果たされ、後進に道を譲るべきと考えた2人は自決し、消えていこうとしたものの、キン肉マンの必死の説得によりザ・マンの処刑は中止される。
ザ・マンとゴールドマン、2人が仲間と共に永遠の命を持ってまで追い求めた“完璧”には、確かに大義があった。
だが、お互い命を捨てる覚悟で死闘を繰り広げた果てに2人が目にしたのは、その大義すら乗り越えて自分たちを救おうとした1人の超人、“慈悲”の男だった。
ザ・マンはこれを受け、一線を退くことを決意。キン肉マンの心の正しさを讃えつつ、その力が暴走する可能性を戒め、後進の超人たちに今後の超人界を託すのだった。
前編で一番弟子・ゴールドマンと交わした「不老不死の力を封印し、老いて死ぬまで超人墓場から出ない」という約束を守り、その意志を完璧超人達に示すべく超人墓場にて檻の中にいると言う隠居生活をしていたものの、大魔王サタンにより各超人陣営の拠点が結界の中に封じ込められてしまう(正義超人はキン肉星・マッスルガム宮殿、悪魔超人は魔界、完璧超人は超人墓場)。 墓守鬼たちがパニックに陥る中、ザ・マンは何者かによって結界を張られたことを見透かし天を見上げていた。
また、オメガマン・アリステラの回想で彼の双子の弟であるオメガマンことオメガマン・ディクシアが実は完璧超人界に潜入したスパイであったことが発覚。
ディクシアはザ・マンの動向やマグネットパワーの最新情報の収集に勤しむため超人墓場へ赴き、門番のミラージュマンとの直接対決で実力を認められて完璧超人入りし、そこから実績を積んで無量大数軍に近い立場にまで上り詰めていたのだが、真の狙いは自分たちオメガの民の祖先を大粛清の末に地球から辺境の星へ追いやり、苦しい生活を強いた完璧超人始祖の総大将であるザ・マンの首を狩ることであった。
この時のザ・マンは超人閻魔として登場しているが、これまでの常に顔が影で覆われた状態ではなく、顔に影がなく閻魔の冠とローブを着用した姿となっており、キン肉星王位争奪編でも描かれたネプチューンマン討伐をディクシアに命じている。
実はザ・マンは完璧超人登用試験の時からディクシアがスパイであることを見抜いていたが、それを黙認していた。それについてネメシスに対し、確かに古代の地球にて虐殺と支配に明け暮れたオメガの民を滅ぼす指示を出したものの、同時に「根絶やしにはするな」と“逃した”のも自身であり、その自身の甘さが彼らに復讐の歴史を歩ませ、オメガの民という種のあり方をも歪ませてしまったと語る。
それを聞き、全てのオメガの民を粛清しようと血気にはやるネメシスを止め、「今回の騒動には黒幕がおり、彼らは利用されているにすぎない」と諌めた。
石で作ったレコードプレイヤーを愛用するなど、音楽鑑賞が趣味という一面が明らかになった。モーツアルトの音楽を完璧だと称賛し、自身が神だった頃には音楽もレコードもなかったと語り人間の知恵を称えるなど、人間を不完全の象徴だと見下していたかつての完璧超人思想から脱却して柔軟な性格になっている。
そしてジャスティスマンが連れてきた正義超人、オメガの民たちに真相を語りだす。
それは自分が天界の神であった頃は慈悲の神と呼ばれた「超人救済派」のリーダーで、今回の黒幕は調和の神と呼ばれる「超人滅亡派」のリーダーであり自分に匹敵する実力者であるという衝撃の事実であった。
そして太古にオメガの民を地球から追放したのは、太古のオメガの民たちの思想である神を目指そうとしていた思想が、天界の神々にとっては許されざる思想であり、天界の神々達による超人たちに対する目が厳しかった時代だったことやオメガの民が自身の予想を超えるスピードで発展していたこともあり、調和の神ら超人殲滅を目論む一派に、超人殲滅の大義名分をもたらす危険性があったことから、それを止めるために敢えて自身ら完璧超人始祖が、オメガの民を粛清する素振りを見せつつも、宗家の人間だけは宇宙に逃がすための決断であったことを明かした。だが結果的にその決断がオメガの民にとって更なる苦労の歴史を与えてしまったことを、アリステラらに謝罪した。そして彼らにかつて自身が神の座を降りる際に他の神々に超人を滅亡させるために使われたカピラリア光線を発射するための装置である、カピラリア光線砲を神々の数である108に分割する提案を行ったことと、自身もその一つを持っていることを語り、今回サタンが今回実体化したのはこの自身が持つカピラリアの欠片を盗み出すためだったことも語り
近い未来、調和の神の一派である「超人滅亡派」の神々がかつての自身と同じく下天して地上に襲来して、"超人"と言う種の存亡を掛けて闘うことになるだろうと予言する。
そしてオメガの星を救うために地球に来たアリステラらに、かつての罪滅ぼしの意味も込めて、星から超人パワーを抽出する装置である禁断の石臼(モルティエ・デ・ビレ)をアリステラたちに譲って、本来なら星の力を超人の力にする能力を逆用して、超人の力を星に注入すれば死にかけている星を再生出来る可能性を言った。そしてこの先の闘いで彼らの力が必ず必要になる時が来るから、その時のために星の問題を解決して今回の闘いでの傷を癒した後で共同者としてまた地球に戻って来てもらう様頼んだ。
調和の神が率いる超神が地球に襲来したのを察知すると、スーパーフェニックスと知性の神による企みで12人の超神らが、それぞれ向かった4つの場所をキン肉マン達に告げて、彼らと話し合い、サタンの結界が解かれた正義超人らを向かわせ、ネメシスにネプチューンマンらには自身が持つカピラリアの防衛役を命じた。そしてそれらとは別に新たに無量大数軍に加えたスクリュー・キッドとケンダマンにある場所の偵察任務を命じた。
そして超神と知性チームによる闘いが全て終わると、幻影体を送って映像越しに調和の神と会話を始め、調和の神に「超人の未来と神の未来」について話し合い、既に超人が4人の超神に勝っている事実から、超人は無闇に理由も明かさずに絶滅してよい存在では無いことから"資格"があると与えるべきだと言い、知性の神のシナリオ通りに進み、自身もその流れに不満が無いことから、調和の神に天界に行くためのバベルの塔での試練を受ける資格を与えるべきだと問いかけ、調和の神もそれに納得したことから、調和の神から残る超神8人と闘う神にも勝てる8人の超人を厳選してくる様言われ、かつて自身が調和の神に言った超人はいずれ神を超える存在に育ててみせると言う言葉に対して、自身はかつて一度はその言葉を諦めた身だったが、今は超人達によってその言葉と想いを取り戻したと語り、そしてその超人の力とその存在を誰よりも調和の神に見せたいと言った。
バベルの塔の試練に挑戦する8人の超人を選ぶ時には、今後のことは今の世代の超人に全て託すと決めたことから、自身を含めた全て完璧超人始祖は参加を辞退すると宣言。そしてバベルの塔の試練を受ける超人が全て決まった時には彼らにバベルの塔への道を切り拓いた。
バベルの塔での試練の最中に偵察任務に送っていたスクリュー・キッドが傷を負って帰還し、完璧な任務の遂行が出来なかったことを謝罪されるも、今回の任務は危険を承知の上で送り出したことを言い、偵察任務の結果を言った直後に気絶したスクリュー・キッドを労わるためにネメシスに温かいオイルのスープを用意するように言った。そして「良くも悪くも時代の潮流の変わり目が来ている」とネメシスに語った。
原案での名前は「ゼウスマン」でストロング・ザ・武道の正体と言う設定は既に存在していた。
考案者によると、ドラえもんのポセイドンとマイティ・ソーをモチーフにしているそうである。
「The Man」とは英語で「凄い男」「男の中の男」といった意味があり、ゆで先生も「完璧超人始祖の頂点」に相応しい名前を模索する中で「男の中の男」という意味合いで名付けたと語っているが、一方で好ましくない人物に対して「やつ」「あやつ」といったニュアンスで使われる場合もある。
それを踏まえると、始祖の面々の「あやつ」呼ばわりにも、彼らのより深い愛憎を感じられるだろう。
アニメ版「王位争奪戦編」では超人閻魔が邪悪神を取り仕切る黒幕という設定に変更されている。オメガマンも直属の部下であり、最終的にはキン肉王族を掌握して正義超人の抹殺に利用しようとしていた。これらの内容はザ・マンの設定として原作に逆輸入されている。
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完璧超人始祖編におけるサイコマンとザ・マン、シルバーマンの関係を中心に書いた二次創作、Tenth Heavenシリーズの冒頭の部分です。この後、銀サイ→閻サイに続く予定です。3,038文字pixiv小説作品