完璧超人を辞めたきさまをこの先に通すことは
この"完璧・参式"(パーフェクト・サード)ミラージュマンが許さん!
概要
完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)の一員。完璧・参式(パーフェクト・サード)。
「聖なる完璧の山(モン・サン・パルフェ)」こと超人墓場の番人として、数万年もの間、その入り口「黄泉比良坂」を守ってきた。「鉄壁の門番」の異名を持つ。
「ミラージュ」の名の通り幻を操る能力を持ち、ミラージュマンの作り出す幻影空間に迷い込んだ者は一生超人墓場への正しい道に辿り着くことはできない。
この空間自体はミラージュマンが死んでも持続するが、維持し続ける力までは失われており、悪魔将軍が「絶対の神器」の1つ、氷のダンベルで殴っただけで打ち破られてしまった。
人物像
容姿
なんらかの金属製らしき硬質の肉体は悪魔将軍をも凌駕する巨躯。左腕には高速回転が可能な武器「カレイドスコープドリル」を備えている。
何とも形容しがたい、のっぺりとした顔立ちも印象的。
性格
かつて袂を分かった悪魔将軍の侵攻に対してもまずは宥めるなど、落ち着いた人格者。アビスマンからも「良い奴」と評されており、それを聞いた悪魔将軍も「お前と違ってな」と返す形でミラージュマンへの評価に同意した。
また職務には実直で妥協を許さず、この点についてガンマンからは「カタブツ」と言われている。
「あやつ」に対しては「ずっと我慢してきた」と理解を示しつつも、完璧超人界の現状について「今の完璧超人界はそれ(下等超人の監視・粛清)すらできぬ体たらく」と組織の弱体化を嘆く発言をしており、完璧超人界の将来についても危機感を抱いていたようである。事実、『キン肉マンⅡ世』の時代の完璧超人は衰退の一途を辿り、残虐超人・悪魔超人と合わせて、ひとまとめに「悪行超人」と呼ばれるようになってしまった。
笑い声は「ゴバッゴバッ」。
職務①
聖なる完璧の山の番人としてのミラージュマンの役割は2つある。
まず第一に、完璧超人入りを志願して訪れる下等超人の審査をすること。
心根の悪い超人は聖なる完璧の山に辿り着く前に灼熱の炎で焼却される。
そして、それを潜り抜けて聖なる完璧の山に足を踏み入れた者は、門番・ミラージュマンとの直接対決で実力を測られる。
普段は鷹揚な性格のミラージュマンだが、職務に当たっては一切の温情は見せず、弱い超人は必殺技「カレイドスコープドリラー」で胴体に大穴を穿たれて死ぬ。これらの試練を乗り越えた超人が、晴れて完璧超人の一員になれるのである。
キン肉星を脱出したキン肉サダハルはミラージュマンとの闘いで先祖シルバーマンの防御技「パーフェクトディフェンダー」を見せ、見事この試験に合格。
ミラージュマンは険しい表情から一転、温厚な普段の表情に戻り「今日からは完璧超人の家族だ」と優しく温かくサダハルを迎えた。
また、サダハルがネメシスに転生した際、超人閻魔に目通りするよりも先に完璧超人入りの儀式をミラージュマンが執り行っている。
死んだ超人が超人墓場での労働を経て生き返る場合には「生命の玉」を集めた後に超人閻魔直々の最終審査が必要なのに対して、より厳格に行わねばならないはずの完璧超人への推挙は超人閻魔自身の審査は不要で、ミラージュマンに一任されているのである。
この管理体制からも、超人閻魔のミラージュマンに対する深い信頼が窺える。
もっとも、ネプチューンキングの率いる大量の完璧超人も本当に全員ミラージュマンの試験に合格しているのかなど、疑問は多い。
なにせ彼の試験は、当時すでにマッスル・スパークさえ習得していたキン肉王族きっての天才・キン肉サダハルが危うく落とされかかったほどの高難度である。
ネプチューンキングが始祖に反目して離反したことなどを考えると、彼はミラージュマンの許可なしで勝手に完璧超人入りを認める(たとえば川に飛び込んだ男に声をかけてスカウトするとか)などの越権行為も行っていたのかもしれない。
ミラージュマンは完璧超人組織の弱体化を嘆いているが、それらの超人も彼が合格させたものだとすれば責任を感じるはずであるから、勝手に裏口で合格した超人が大半だとも考えられる。
まぁ、川底でスカウトされたネプチューンマンについては、後に無量大数軍にも参入しているので後日ちゃんとミラージュマンにも正式に認められたのだと思われるが……。
職務②
ミラージュマンの第2の職務は、強硬派の始祖が勝手に地上に侵攻しないよう、超人墓場に留め置く役割である。当然ながら、こちらの難易度の方がはるかに高い。
ガンマンからカタブツ呼ばわりされているということは、過去に衝突もあったと推測され、ガンマンのあまりの強さが作中で描かれた時に「ガンマンを阻止できるミラージュマンはどれほど強かったのだろうか」と評価が大きく高まる結果となった。
ガンマンの「真眼(サイクロプス)」は幻影を打ち破る力を持つため、前述したミラージュマンの能力とは非常に相性が悪く、一方的に無力化されてしまう。阻止するには実力で食い止めるしかないのだ。
また、兄・キン肉タツノリの苦境を見かねたネメシスが助けに行こうとした時も、これを許さず制止している。
ただしその様子は力づくで強引に引き戻すのではなく、落ち着いて宥めているように見え、ここでもミラージュマンの穏和な性格と、軽く抱き留めるだけでネメシスを制止できる腕力を垣間見せた。
作中での活躍
悪魔将軍戦(黄泉比良坂)
超人墓場に侵攻してきた悪魔将軍を止めるために戦ったが、同じ修行に励みながらも下界に降りたことでミラージュマンよりさらに強大な力を得ていた悪魔将軍には及ばず、地獄の断頭台を受け死亡する。
ダイヤモンドパワーの会得、新たな技「姿鏡体殺封じ」など、悪魔将軍が下野した後もミラージュマンなりに修練を積んでいたようではあったが、友情パワーのような「根本的な進化」ではなかったため、悪魔将軍には「全く進歩していない」と酷評されてしまった。
この試合が惨敗に終わったために読者からの評価は「威勢よく一番手に出てきてはすぐにやられるかませ犬」のようなイメージだったが、前述の回想シーンでの再登場や、同僚たちの活躍などで話題に触れられるたびに評価が高まっていった。
作者も「呆気なく敗れたのは悪魔将軍が強すぎたからであり、本来は強い超人だった」と語っている。
実際に上記の通りマッスル・スパークを習得したサダハルを相手に終始圧倒し、後にオメガマン・ディクシアが訪れた時は互角の戦いを繰り広げている(組み合った時点で実力を把握してすぐに彼を認めたが)。
戦闘スタイル
カレイドスコープドリラーによる速攻が基本。
必殺技
- ミラースナイプビーム
太陽光を浴びた肩の突起物から激しい光を放ち、敵の視界を奪う目くらまし技。
- 姿鏡体殺封じ
相手の姿を「本性の鏡」に映し、その鏡に映った像に攻撃を当てることで、現実の相手の肉体の攻撃を当てた個所と同じ部分を封じる技。
悪魔将軍の地獄の九所封じとよく似た技であり、やはり去ってしまったゴールドマン(悪魔将軍)の穴を埋めようとした動きが見て取れる。
- カレイドスコープドリラー
左腕のカレイドスコープドリルを回転させて相手を貫く。
硬度10を誇るダイヤモンドパワーを纏っており、並の超人が相手なら易々と胴体を貫通して死に至らしめる、文字通りの必殺技。
同じ完璧超人であるケンダマンとスクリュー・キッドのコンビ技「地獄のネジ回し」と比べても、犠牲者に穿たれる穴の大きさから見て威力は遥かに勝るようである。
(受けた相手の胴体の大半がなくなってしまうほど)
しかし、悪魔将軍のダイヤモンドパワーには及ばず、回転を止められ砕かれてしまった。
ミラージュマン以後に登場する完璧超人始祖たちはそれぞれの奥義の名を披露して戦っていくが、ミラージュマンは「完璧・参式奥義」と発言していない。
カレイドスコープドリラーや姿鏡体殺封じがそれに該当するのか、奥義を出す前に敗北してしまったのかは不明である。
また、ゲーム「キン肉マン マッスルショット」には、「魔鏡幻影殺」「パラダイス・ロスト」などといった、原作では使用されなかった技も登場している。
それらも公式の設定として採用できるとするなら、そのうちのどれかが奥義にあたるのかもしれない。
ダイヤモンドパワー
悪魔将軍(ゴールドマン)はキン肉マンと対戦した時に「私は超人界では不可能と言われていたダイヤモンドパワーを持つ唯一の超人だ」と発言しており、ミラージュマンがダイヤモンドパワーを扱えるようになったのは2人が別れた後になってのこととわかる。
また、後にケンダマンやネプチューンマンもダイヤモンドパワーを会得しており、完璧超人界においてはゴールドマンだけの専売特許ではなくなっていた。
ゴールドマンが超人墓場を去った後に、この優秀な能力が完璧超人界から失われる事を防ぐために自らが修得、弟子たちに教え伝えていったのかもしれない。
『完璧超人始祖編』終盤、ダイヤモンドパワーは元々ザ・マンの能力であり、ゴールドマンのダイヤモンドパワーも伝えられたものであると判明した。
伝承可能な能力である以上、後に続々と使い手が現れるのも不思議ではない。
ただ、悪魔将軍はミラージュマンの攻撃を食らった際「この程度でダイヤモンドパワーだと?」と嘲笑し、正面からカレイドスコープドリラーを粉砕している。
このことから、同じ硬度10でも、使い手によってその力には差があることが推察される。
学研の図鑑によれば、ミラージュマンはカレイドスコープドリルが備わっている左腕全体をダイヤモンド化しているが部分的なムラがあり、そのためにより完璧なダイヤモンドパワーの使い手には砕かれてしまう場合があるらしい。
作中では今のところ悪魔将軍とザ・マンのみが全身の完璧なダイヤモンド化を披露しており、この両名のダイヤモンドパワーには他の使い手のそれとは一線を画する描写がある。
なお、ゴールドマンの弟子の中にこのダイヤモンドパワーを会得できた者は1人もいないが、ガンマンとの戦いでバッファローマンのロングホーンが「ダイヤモンド並みの硬度」と評されている。