概要
作中では「黄金のマスク編」でキン肉マンに、「完璧超人始祖編」でアビスマンとストロング・ザ・武道(ザ・マン)に対して使用した。
徐々に相手の力を削いでいくことに主眼を置いており、用いる技はいずれも超人の肉体に存在する九つの急所を攻めて動きを封じるためのもの。
実際にこれらの技を受けたキン肉マンからは後に「死のカウントダウン」と喩えられ、ストロング・ザ・武道からも「理にかなった見事な連係」と評価されている。
また、一つ一つの技の威力も相当なもののようで、「黄金のマスク編」ではテリーマンをして「あれをまともにくらったらキン肉マンも委員長たちもおわりだ!!」と言わしめ、「完璧超人始祖編」では完璧超人始祖たるアビスマンを四・五ヶ所目の段階で戦闘不能へ追い込んでいた。
キン肉マンに対して使用した際は、技自体の凄まじさもさることながら、
- 黄金のマスク強奪事件により正義超人達の大半が生命の危機に晒されている
- 紆余曲折で戦えるようになった正義超人もそれまでの連戦で疲弊しつつある
- リングの真下では弱っていた超人達が将軍によって召喚され、リングを支えさせられている
- 自分の特性を逆手に取られたり硬度調節機能を破壊されたりしても次々と新たな手札を切ってくる悪魔将軍
と、状況が総力戦の様相を呈していたことも相まって、読者に悪魔将軍の恐ろしさを示す役割も果たした。
劇場版『ニューヨーク危機一髪』では、キン肉マンが「風林火山」「キン肉ドライバー」「キン肉バスター」を続けて放つ友情合体キン肉ドライバー・スペシャルを披露した。
ラインナップ
アニメ版では分かりやすさを優先したのか、技の数も九つという設定の改変が行われている。
- その一:大雪山落とし
背中の急所を封じる技。空中で仰向け状態にした敵の胴体に片膝立ちし、敵の後頭部と片脚を掴んだ状態で落下して背中をリングに激突させる。
アビスマンとの戦いでは、鉄壁の防御力を持つアビスガーディアンの突破口となった。
- その二と三:スピン・ダブルアーム・ソルト
地獄の断頭台でも用いるスピン・ダブルアームからダブルアーム・スープレックスを繰り出して両肩を破壊する。
アニメ版ではスピン・ダブルアームとダブルアーム・スープレックスがそれぞれ別の技として扱われ、「その二 スーパースピン」と「その三 ダブルアーム・ソルト」となっている。
- その四と五:ダブル・ニー・クラッシャー
相手をサイドから抱えあげながら腰を落とし、自らの片膝に相手の両膝を打ちつけて両脚を封じる。つまり、通常は片脚を攻めるニー・クラッシャー(膝砕き)を左右同時に行う技である。
アニメ版では地獄のメリー・ゴーラウンドが「その四」として九所封じに組み込まれており、ダブル・ニー・クラッシャーは「その五」となっている。
- その六:カブト割り
フロント・スープレックスで相手を脳天からマットに激突させ、頭部の急所を封じる。
キン肉マンに使用した際は、あまりの勢いに首から上がキャンバスに埋まってしまった。
- その七:ストマック・クラッシュ
カブト割りでキャンバスに串刺しにされた相手をブリッジの体勢に仰け反らせ、真上からのジャンピングヘッドバットで腹部の急所を封じる。
- その八:パイルドライバー
首の急所を封じる技。技自体は基本形のドリル・ア・ホール・パイルドライバーと思われるが、九所封じの一つとして敵の首をへし折る勢いで技をかけている。
キン肉マンとの戦いでは火事場のクソ力で逆立ちをされる形で破られてしまった。
- ラスト・ワン:超人圧搾機
九所封じのシメとなる技。敵を背後から羽交い締めにしつつ、自らの両膝を相手の両脚に絡ませて締めあげ、これまでの技で封じてきた急所を一斉に破壊する。
キン肉マンがこの技に耐え抜いた際は、さすがの悪魔将軍もキン肉マンへ敬意を抱かずにはいられなかったらしく、握手を求めた。
関連タグ
- 真のその八:握手
先述のパイルドライバーと超人圧搾機は敵の油断を誘うためのダミーの技(とはいえ、使い手の実力を考えれば強力な技であることに変わりはないだろうが)に過ぎず、この握手こそが本物のその八である。握手すると見せかけて掌の急所であるツボを突き、敵の思考力を奪う。
PS2ゲーム「ジェネレーションズ」では、効果を分かりやすくするためか相手の手からエネルギーを奪うような表現をされている(握手しただけで相手が苦しんでいたら原作を知らない人は疑問に思うだろう)。
- 真のラスト・ワン:地獄の断頭台
全身の急所を封じられ、思考力も低下した敵の首を破壊し、トドメを刺す。九所封じの存在を明かす前から単体で使っていた技だったこともあり、当時の読者は驚きとともに改めてこの技の存在を印象付けられたという。
PS2ゲーム「ジェネレーションズ」では、超人圧搾機などは使わず其の一から真のラスト・ワンまで一気に技を使用する。
以上のように、個々の技が決め手となりうる凄まじい威力を持ちながら、相手に隙を作るダミーの技も紛れ込ませておく念の入れようは、「敵の息の根を止めるまで勝ち名乗りを受けない」という悪魔超人のポリシーに相応しいと言えるかもしれない。
「だがその闘いのセオリーは…私がお前に授けた戦術そのものではないか?」
そもそも、「徐々に相手の力を削いでいく」という九所封じのコンセプト自体が将軍の師たるザ・マンの教えに基づくもので、ミラージュマンの「姿鏡体殺封じ」やジャスティスマンの「裁きの技」など、他の始祖の技にも九所封じと同じコンセプトを持つと思われるものが存在する。
加えて、回想シーンではザ・マンの下を去る前からシングマンとのスパーリングで超人圧搾機を使用していたり(この頃からダミー扱いだったのかは不明)断頭台の開発に他の始祖が立ち会っていたりする様子が描かれていることや、将軍とミラージュマンとのやり取りなどからも、他の始祖に九所封じの概要がある程度は知られていたことがうかがい知れる。
「師匠孝行の良い弟子だ。だが、それだけでは…」
「私には勝てぬ」
そのため、ストロング・ザ・武道ことザ・マンとの師弟対決では九所封じを見切られてしまい、スピン・ダブルアーム・ソルトを「肩がマットに激突するよりも早く両足を着地させ、ブリッジの体勢で耐える」という力技で破られたばかりか、逆に将軍の肩をダブルアーム・スープレックスで封じられ、さらにはダブル・ニー・クラッシャー、握手(正確には、原型にあたる「零の悲劇」による超人パワー吸収)、超人圧搾機(パワー吸収は継続中)を将軍自らが受けることとなった。
辛くも武道の超人圧搾機を破った将軍は、自身の九所封じの最後を飾る地獄の断頭台で反撃を試みたものの、超人パワーの吸収によって地獄の断頭台が「ただの首へのニードロップ」と化すほどにまで弱っていたことも重なり、「冥府頭壊手」で技を返されてしまった。将軍へのトドメとして放たれた一撃が決まり、武道も勝利を確信するが……。
「しかし私はこの通り…元気に生きている」