概要
キン肉星第56代大王。優れた指導者であり、偉大なる戦士であった。
ネームモデルは原辰徳。
一族の中では(あくまでも一族の中では、である)あまり体格に恵まれた方ではなかったが、中年期に悪行超人に拉致監禁され、数十人もの悪行超人たちからあらゆる攻撃を食らっても3日3晩攻め続けられてもキン肉族に代々伝わる伝家の宝刀である肉のカーテンで耐え抜いた不屈の戦士。
かなり前の世代の超人であり、劇中ではすでに故人となっている。
キン肉マンⅡ世に登場した際にはキン肉王族始祖にして肉のカーテンの発明者となっている。だってゆでだから・・・と言えるが、真弓の昔話に出てきたご先祖様は老年期のタツノリにそっくりな容姿をしており、彼が「初代キン肉タツノリ」である可能性はあり得る(例えるなら伊達政宗や孫悟飯のように「偉大な先祖の名を冠した」という事)。もしくは「中興の祖」みたいな意味合いと思われる。
遠い先祖のシルバーマンはほぼ同じ態勢の防御技パーフェクトディフェンダーを用いており、その伝承をもとに肉のカーテンを編み出した。
この二つの防御技、パーフェクトディフェンダーは攻撃に転じるための防御であるのに対して、肉のカーテンはひたすら守勢に徹するもので、技の性質は微妙に異なる。
ゆえに肉のカーテンの発明者というのは決して間違っていない……という事になった。
非常に高潔な人格者だったらしく弟のネメシスことサダハルとの関係は良好であり、サダハルの存在が社会から抹消された後も密かに彼に会いに行き処刑の日時を教えることで脱走を促すなど、王者にふさわしい愛情の持ち主でもあった。
今生の別れの際こそ『慈悲』が欠けていることを指摘しつつも、真弓にその存在を教えた時に『とても優しい人』と讃えており、サダハルが心優しい好人物であったことをしっかりと理解していた模様。実際、サダハルが怒りを抱いているのは善良な兄が追い込まれている苦境と緘口令違反と言うだけで裁判も無しに処刑された民への仕打ちに対してであり、完全な義憤である。自身の幽閉という扱いに関しては受け入れる覚悟を決めており、それについては一切の怒りを見せていない。
超人レスラーとしての腕前はサダハルに及ばなかったが、その分リーダーシップや人を見る目に長けていたらしく、我が道を行くサダハルに対しても彼の弱点を示唆することでエールを送る男気を見せた。
しかしながら後述の実力を考えればやはり屈強の超人レスラーであり、弟・サダハルが「攻」に長けた戦士ならば、彼タツノリは「守」に長けた戦士であると言える。
「守」の才に溢れる一方で武器の扱いにもかなり長けており、妻子に囲まれての楽しい食事中に送り込まれた刺客・アスタリスクを、飾ってある槍を用いてあっという間に返り討ちにしている。
彼ほど高潔な人格を持ち、上述のように「守」の方面に才能があるはずの人物が、超人レスリングでは基本的に反則行為となる武器を手にしての攻撃に慣れている事は、いかに彼が「ルールに基づいた超人レスリング以外での戦い」を長期に渡って強いられる人生を送っていたかが窺える。
また、後述の第五次正・悪超人大戦に参戦していた為、超人オリンピックには参戦していないものと思われる。
活躍
<原作>
超人オリンピックのキン肉マンVSウォーズマン戦でキン肉真弓の回想シーンに登場。
晩年期の姿なのか「Ⅱ世」のスグルみたいな痩せた姿での登場となっている。
アニメ版では第二部での青年期のような筋骨隆々な体格をしているが、顔つきはどちらかというと息子の真弓に近い。また、キン肉ガード(アニメ版における肉のカーテン)はキン肉星に襲来した宇宙野武士から身を守る際に発動したとされており、耐え抜いた後は痩せこけてマスクがズレて素顔を真弓に見られてしまうが、金太郎飴をあげて目を瞑ってもらったという。いいのか?それで・・・
<第二部>
若りし頃の姿が登場。当然ながらこの時はキン肉族らしいがっしりした体格になっている。
今まではチラッとしか語られなかった彼の人物像が深く掘り下げられており、ネメシスの兄である事が判明した。
大王になったばかりの頃は実権が伴わず、社会的に亡き者にされた弟のことを心配し続け、一方のネメシスもそんな兄の為ならばと幽閉生活を甘んじて受け入れ、同時に自分を思って涙を流す姿に対し、心優しい兄を苦しませ続ける王家に怒りを感じていた。
そんな弟の事もあってか、清廉潔白なタツノリは政治改革に邁進。その影響で自分たちの利権が削られる事を危惧した元老院からは、幾度となく暗殺者を送られる程に関係が悪化する。
そして肉のカーテンが編み出される切っ掛けとなった悪行超人によるタツノリの幽閉事件。後にネメシスが明かした真実は、この事件は元老院がタツノリの抹殺の為に仕組んだものであり、三日三晩も幽閉されて拷問を受け続けたにもかかわらず、助けが来なかったのはそのためだった。
しかし、この窮地においてもタツノリは肉のカーテンを編み出し、敵が倒れるまで耐え凌ぐ事に成功。生還を果たしたタツノリに元老院は完全に折れてしまい、凋落。その勢力は真弓の時代になっても復活していない。
一方で、超人墓場から兄の窮地に駆けつける事も出来ず(助ける気満々だったのだが、阻止されて叶わなかった)、生還までの過程を見続けていたネメシスは完全に王家に失望してしまう。
フィニッシュ・ホールドの壁画に刻まれた三大奥義アロガント・スパークの改良に取り組む歴代のキン肉族の戦士たちの中にもその姿が見えるが、タツノリの時代にはすでに弟ネメシスが完成版マッスルスパークを実現しているため、タツノリはすでに完成しているマッスルスパークをあえて崩す形を模索していた事になる。
その「タツノリ版マッスルスパーク」と呼ぶべき技は、本来のマッスルスパークから敵の両手を叩き付ける事をあきらめ、手では無く腕全体でガッチリと抱え込む事で脱出を困難にした、殺傷力を落として安定性を高めた形になっている。
弟・ネメシスのような天才肌でなかったタツノリは、破壊力は究極のレベルに達しているのに比例して高難易度化の極地に至っていた必殺技を、より使いやすい軽易なものに変えようとしていたのだ。
(他のキン肉族が行っていた改良はアロガント・スパークよりもさらに恐ろしい技になっているものも存在したが、そのぶん掛け手に必要とされる技量も異常なレベルが要求されそうである)
始祖シルバーマンが求めた理想の必殺技への道筋とは異なる方向性であったが、いかにもタツノリらしい技の姿と言えよう。
弟・ネメシスは、破壊力は高いが難易度も反動も高いアロガント・スパークを用いたために敗れてしまった。
しかし、もしもタツノリが模索していた技をネメシスが知っていたとしても、ネメシスは「完璧超人として」アロガント・スパークに挑んでいたであろう……。
ましてやタツノリをして「優しい人」とまで言われたネメシスには、タツノリが目指したマッスル・スパークでスグルを殺害するという選択肢は絶対にあり得なかったと思われる。
ネメシスにとって愛する兄の孫に対してその技を使うことは、間接的にタツノリに孫殺しをさせるのに等しい行いなのだ。
<キン肉マンⅡ世>
アシュラマンが過去の歴史を語る場面の中に、第五次正・悪超人大戦にて悪魔超人をキン肉バスターで打ち破る場面が描かれている。
勝利後、正義超人たちを率いて悪魔超人の本拠地「悪魔の胎内(デーモン・ウゥーム)」を破壊した。
……と言う事は、この時に悪魔将軍を撃破している可能性が高い。
『キン肉マンⅡ世』の設定では悪魔将軍の中身は完璧・壱式ではなく大魔王サタンだという事を差し引いても、正義超人として堂々たる戦歴である。
後に万太郎がアシュラマンと対戦した時、再建された悪魔の胎内にある正義超人の死体で出来た人柱である大黒柱骨の亡骸として登場。ミートくんの左足をキャッチした。
偉大なる先祖を踏み台にすることに躊躇した万太郎に対し
「わし等は人類の平和の為に礎となってきたんじゃ…!! 踏み台、大いに結構!!」
と励ました。
必殺技・防御技
肉のカーテン
彼の代名詞とも言える防御方法。
攻撃している相手がグロッキー状態になるまで防御を続け、とうとう防御するだけで敵超人5人を全滅させた。
倒れるまで3日3晩もの間攻撃を続けた敵超人達もまた天晴れな根性である。
キン肉バスター
第五次正・悪超人大戦で使用。
タツノリ版マッスル・スパーク(仮称)
前半部分「天」に当たる状態は不明。回想シーンで「地」に当たる後半部分のみが描写されている。
詳細は上述。
研究中の技であり、実戦で用いられたかは不明。
家族構成
先祖
弟
息子
孫
曾孫