あきらめるなスグル…!!
私がついている!!
概要
初登場は、キン肉星王位争奪編『ソルジャー登場の巻』。キン肉マンことキン肉スグルの実兄で、キン肉星王家の長男。超人強度108万パワー。
名前の由来は、キン肉スグルが日本の野球選手「江川卓」であるため、彼の弟「江川中(アタル)」から名付けられたと思われる。
幼い頃に両親のスパルタ教育に耐え切れなくなり家出したため、アタルの存在は真弓夫妻と極一部の側近以外には病死と言う形で隠匿され、弟・スグルにも知らされていなかった。しかし、家出した後も弟・スグルの闘いをずっと見守っており、弟になにもしてやれない自分をひそかに恥じていた。
スグルの火事場のクソ力が邪悪神によって封印された事や、正義超人たちの友情が、他人に依存しすぎて一人では何もできないただの馴れ合いになりつつあると感じ、彼らに活を入れ馴れ合いを捨てて個々の自立心を尊重し合う真の友情(『真・友情パワー』)を伝授するべく行動を開始(思想的には完璧超人に似ているが、完璧超人は友情そのものを馴れ合いだとして否定しているのに対して、アタルは友情そのものは否定していない)。
キン肉星王位争奪サバイバル・マッチで自らのマスクと引き換えに倒したキン肉マンソルジャー(ソルジャーマン)に成りすまし、25年ぶりに姿を現した。
経験豊富な先輩超人として、キン肉スグルはもちろん他の正義超人たちからも一目置かれる存在。
ただ仲間内で馴れ合うのではなく相手を信じ抜く絆の強さを持つ真・友情パワーを提唱し、火事場のクソ力の原型ともいえる「業火のクソ力(アニメでは元祖・火事場のクソ力)」を持つ。
なお、「キン肉マン77の謎」によれば家出したのは弱冠9歳の時だったらしい。王位継承者としてのスパルタ教育はかなり厳しかったそうだが、そのおかげもあってか9歳にしては体も大きく(ハイスクール入学時点で母・キン肉小百合の身長を追い越している)、飛び級でキン肉星のハイスクールに合格しているなど、弟・スグルが遅咲きの天才なのに対し、若かりし頃から頭角を現していたことが窺える。フェイスフラッシュや肉のカーテン、「業火のクソ力」などもひと通り習得しており、(仮にも)超人強度一億パワーを誇る本物のソルジャーとそのチームメイト達を、誰の力も借りずにたった一人で全て倒し、超人預言書とマンモスマンの邪魔が入らなければスーパーフェニックスを完全に倒せていた事から、あらゆる超人の中でも最強クラスの実力者である事には違いないだろう。
同じく劇中トップクラスの実力者であるマンモスマンでさえもアタル相手では(ナパーム・ストレッチの妨害以外では)ほとんど手も足も出ず一方的にやられていた。
しかし、こういった実力の下地になったとはいえ、当時はまだ9歳というまさに遊びたい盛りの少年であったアタルが異常なまでの束縛や次期王位継承者のプレッシャーに耐え切れず、出て行ってしまうのも仕方のなかった事なのかもしれない。
その点に関しては、豚と間違えられて地球に捨てられたことで、スパルタ教育を受けず、幼少期は自由に生きられた弟・スグルの方が多少はアタルよりも幸運だったのかもしれない。
その完全無欠に等しい強豪ぶり故に、続編の『キン肉マンⅡ世』ではヨボヨボになって全盛期ほどの実力を失った弟スグルに対して前作から全く衰えない逞しい肉体を維持しており、いまだ悪行超人達との過酷な戦いを続けている。王位を継承しないながらも兄の偉大さを読者達に見せ付けている。
また、本来のマスクはソルジャーに扮する以前に捨てている為(後の設定でキン肉族は一度選んだマスクは同じデザインのものを一生付けなくてはならない為、この時点で王位継承者キン肉大王の地位を完全に捨てた事になる。)、現在もアタルはキン肉マンソルジャーとして活動しており、身内や過去に共闘した者達、キン肉星上層部以外では現在のソルジャーがキン肉マンの兄で王族である事は気付かれていない模様。
王位は継承しなかったものの、キン肉星の国会といえる超人評議会(カウンシル)に議席を持っている(シシカバ・ブー等の評議員から本名で呼ばれている)描写があり、火事場のクソ力修練実施をスグルとともに発議する等発言力もあるようである。
なお、スグル本人は正体発覚前からアタルに関して本能的に感じるものがあったようで、彼の忠告を腰を抜かしながら素直に聞いていたり、彼が痛めつけられているところを見て悔し涙を流してさえいた(更にアニメでは、マリに「強い兄貴が現れて、おれを助けてくれる」という夢を最近よく見ると告白している。そしてその夢は正夢であった)。
真弓が兄の正体を打ち明けた直後は、自分に兄がいた事へ少し衝撃を受けたが、すんなりとアタルの事を兄と受け入れている。
新シリーズでは運命の五王子と共にオメガ・ケンタウリの六鎗客と対峙。残虐の神の力を借りサタンの結界を一時的に破り、自身がタッグ・パートナーに選んだブロッケンJr.を呼びよせ、彼とタッグチームフルメタルジャケッツを組み、オメガマン・アリステラ&マリキータマンのタッグオメガ・グロリアスと対決する。ブロッケンJr.を自身のタッグパートナーに選んだ理由はブロッケンが他の誰よりも、自身の思想である血盟軍の思想を理解しており、また弟のスグルと同等以上に自身を信頼していると考えた為である。
戦いの場所がかつて自身らが戦った場所でもある関ヶ原の天空リングであった事や、超人血盟軍の他のメンバーの分もと、先走るブロッケンJr.に張り手で活を入れ、導きつつ戦いを進めていった。そしてブロッケンJr.とのツープラトン技「ナパーム・コンビネゾン」でマリキータマンを撃破し、続けてアリステラと一騎討ちを繰り広げる。アタルの業火のクソ力をコピーしたアリステラだったが、本物の真・友情パワーには到底及ばず「アタル版マッスルスパーク」によって決着を迎えた。
実力・人格共に完璧な人物であるがゆえにスグルではなくアタルがキン肉大王になっていたら良かったのではと言われることも多い。
ただその場合、アタルの人格からして本当の意味での慈悲の心を持つことが出来たかどうかは疑問が残る。スグルは最初は弱くて臆病であったがためにナチグロンのような存在にも寄り添うことが出来た。スグルの戴冠式にはキン骨マンやイワオのような弱い小悪党たちも心からの祝福を捧げていたが、アタルに同じことが出来ただろうか。
本人もそのことは認めており「オレの慈悲などスグルに比べればまやかしのようなもの」、「自分は過去の贖罪の為に弟の真似事をしている偽善者に過ぎない」と述べている。
得意技
アタルのオリジナル技。相手を空中でカンパーナ(釣鐘固め)の体勢に捕らえ、そのままマットに胸部を激突させる。この時に相手の胸には強烈な空気抵抗によりAの文字が刻まれる(アニメではXの字となっている)。技名の由来はまるでナパーム弾のような破壊力を有していることから。
富士山で特訓中だった本物のキン肉マンソルジャーを含む残虐チーム5名全員をこの技で葬った。ちなみに上記の強盗・ボックマン相手でもこの技を使っているが、この時は手加減していたようでボックマンは一命を取り留め、その後は改心して真面目に働いているとの事である。
弱点らしい弱点もなく、劇中ではマンモスマンの妨害がなければスーパーフェニックスをもK.O.できていた為、恐らくシングル技としての完成度は最高クラスである(作中ではあのマンモスマンですら生身でカットしようとすればその腕がもげるほどらしい)。
新シリーズではこれをベースにしたブロッケンJr.とのツープラトン技「ナパーム・コンビネゾン」を披露している。
- アタル版マッスル・スパーク
キン肉族三大奥義のひとつマッスル・スパークの50%版。空中で相手を丸め込み、自身はブリッジの体勢で相手の腕と足を捕らえ、背中と後頭部をマットに激突させる。作中では残念ながら肉体が半分ほど消滅していたため、スーパーフェニックスを倒せるには至らなかったが、ロビンマスクやラーメンマンでさえも「完璧な殺人技」と心底戦慄させた。
キン肉マンII世では「マッスル・スパーク”地”」と呼ばれている。
オメガ・グロリアスとの戦いで繰り出した際には技の入りがブリッジでの跳ね上げから真上へのドロップキック(アタルの姿勢から「フジヤマ・タイガー・ブリーカーのオマージュではないか」と推測するファンもいるとか)に変更され落下の際に縦回転を加えるなど独自の改良が為されており、アタルも自身のオリジナルホールドと呼ぶほどまでに昇華させている。
キン肉マンの火事場のクソ力の原型とも言える技。超人予言書が燃やされ半身が消えかけている状態でも一時的に身体機能を回復させ能力を限界まで引き出した。
その他、上記のスーパーフェニックス戦では散っていった仲間たちの無念を晴らすために彼らの必殺技の数々を再現している。
また、キン肉族の正当な王家の血を引く者であるため、肉のカーテンなど一族に伝わる闘法や、マスクをめくってのフェイスフラッシュも使いこなす。
余談
作者・ゆでたまごは当初はビッグボディら同様捨てキャラのつもりだったが、迷彩服が気に入り重要キャラに変更したとの事。
そしてちょうど「キン肉マンの兄」と言うキャラを出したかった事、運命の5王子を考えていくうちにキン肉マンの仲間を引き込み、より王位を継承するのにふさわしいカリスマ性溢れたキャラとしてデザインし、キャラクターが固まるまで時間がかかったという。
しかしその苦労もあり、描いているうちに次第に感情移入し、王位争奪編シリーズの中では彼らの試合が一番思い入れが強かったと語る。
なお、彼が牧師に扮して強盗(ボックマン)から人質の子供を救出する場面(なんという冷静で的確な判断力なんだ!!)は映画『七人の侍』の主人公が僧に扮してならず者から人質を救出する場面が元ネタと思われる。
さらに言えば、『七人の侍』のその場面は「本朝武芸小伝」の上泉信綱のエピソードが元ネタである。
関連イラスト
関連キャラクター
血縁者
超人血盟軍
関連タグ
ハドラー:同誌の漫画の登場人物。死後も灰となって仲間を守るなどオマージュと思われることをしている。残念ながらこちらは復活はしていない。
ケビンマスク:父親から虐待に等しい教育を受け続けたことで家出したという、まったく同じ過去を持つ。悪の組織に身を投じたが正義や友情の心までは失われていなかった。