概要
「キン肉マン」シリーズに登場する潜在的な力の総称であり、本シリーズにおいて、主人公のキン肉マンを奇跡の逆転ファイターたらしめている要因である。
「家が火事になった時に、一人で抱えきれない量の荷物を持ち上げる、普段の力では開けられない扉をこじ開ける等、人は窮地に陥ると生き延びる為にとんでもない怪力を出せる」という「火事場の馬鹿力」が名前の由来で、類似系の力である。
※間違えられる事もなくはないが、クソカ(くそか)ではなく、クソ力(ぢから)である。
キン肉マンが強敵と対峙し生死の境目まで追い詰められた際に、己の限界を超えた力として発揮する潜在力として度々発揮されていった。
旧シリーズ(36巻まで)では最終的に、本来ならば超人強度95万パワーであるキン肉マンの力を7000万パワーに底上げしている。
生存本能の赴くまま無意識に繰り出されるため、先読みの困難な柔軟な技が次々と繰り出される。
『キン肉星王位争奪編』ではこの爆発的な上昇が邪悪五神の目に留まり、キン肉マンは火事場のクソ力を邪悪友情パワーを受けたミキサー大帝によって封印されてしまうことになった。
この状態でもキン肉マンは勝るとも劣らない力として友情パワーを引き合いに出し、強豪超人達と渡り合った。
オメガマン・ディクシアは8600万パワーとパイレートマン以上の強度(当時では神を除いた最大の超人強度)を所有していたが、完璧版マッスル・スパークとカメハメの52の関節技を習得したキン肉マンによって倒すなどそれでも勝ち進んでおり、キン肉マンの強さのすべてではない。火事場のクソ力とはキン肉マンが努力と根性、そして友情によって後天的に昇華させている能力なのである。
アシュラマンの言葉を借りるなら、超人強度に優劣があっても、より鍛え抜いた方が強いということだろう。
一方で、この火事場のクソ力の欠如がキン肉マンを苦しめたのも事実で、最終的に亡霊超人となった面々が取り返したことが勝利にもつながっており、キン肉マンにとってなくてはならない能力でもある。
公式ガイドブック『77の謎』ではロビンマスクが運命の5王子や知性チームといった超人強度1000万越えの超人と渡り合えたのもひとえに火事場のクソ力を発揮したおかげとしている(同じ事はキン肉マンチームであったラーメンマンやウォーズマンにも言える)。また同書では本来人間にも備わっている能力(上記の火事場の馬鹿力との類似性の示唆)とも解説されている。
キン肉マン固有の能力でない節は一応あり、旧シリーズ中でもウォーズマンのコピーやキン肉マン直伝のミート式、原型と言える業火のクソ力は作中でも披露されていた。
とはいっても、作中ではほぼキン肉マンの力といった扱いだったが、『キン肉マンⅡ世』ではキン肉族固有の力で意識して習得が可能、逆に新シリーズ(38巻以降)では条件さえ整えば誰でも使用でき、自然と発現しやすい力と変わっていっている。
一方で、使用する際に「ボォ」や「ボワァ」のような擬音と共に身体が発光する点、旧シリーズと異なり友情と結びついた精神面も求められる力である点は共通(正確にはⅡ世から新シリーズに受け継がれた)、後述のように両者での類似点もある。
キン肉マンⅡ世
キン肉族は代々この火事場のクソ力を有しており、王族に至っては101歳のヨボヨボ老人(Ⅱ世当時)であるキン肉真弓や、王位継承権を放棄したキン肉アタルでも魂のランタン(後述)に火をともすことが出来る。
作中での略称はK・K・D。
同じく王家の力フェイスフラッシュとも関りが深い力のようだ。
また、相反する力としてノーリスペクトの3人は墓場のクソ力という強欲、残虐、非道をエネルギー源とする負のクソ力を有している(ランタンでは火ではなく氷柱が展開される)。
類似する能力としてロビン王朝も「大渦(メイルストローム)パワー」と呼ばれる、火事場のクソ力に匹敵する潜在パワーを発揮していた(精神面も求められた火事場のクソ力と異なり、ケビンが極限状態まで自分を追い込み、過酷なトレーニングと実戦で得た経緯からして原理そのものは異なると思われる)。
ケビンマスクは超人オリンピックでこれを完全に習得、作中では火事場のクソ力と大渦パワーがぶつかり合った。
また、彼の父であるロビンマスクも現役時代に、この爆発力を持ち合わせていたあるいは目覚めたことが『究極の超人タッグ戦』で判明する。
魂のランタン
キン肉王家に代々伝わるランタン。火事場のクソ力を持つ者だけが、正義の炎を灯すことが出来る。
二期生入れ替え戦後のキン肉万太郎は種火程度の炎しか灯すことが出来なかったため、凶悪囚「ノーリスペクト」との戦いという試練が課せられた。
炎の要素は三つあり、それぞれ「負けた敵を許すことのできる寛容の炎」「己の欲望を忘れて立ち向かう無我の炎」「絆を紡ぐ友情の炎」。この三要素をそろえることで真の火事場のクソ力となる。
新シリーズ(38巻以降)
本作ではパイレートマンとの戦闘の際でキン肉マンが完全な火事場のクソ力を発動させたとき、8000万パワーを持つパイレートマンでさえも技を振りほどく事が出来ずに敗れた事により、恐らくは現在のキン肉マンの超人強度は既に8000万パワーを越えていると考えられる。
旧シリーズやⅡ世といったこれまでは別の力とされることが多かったところから一転、火事場のクソ力=友情パワーという設定が明かされた。キン肉マンたちも当然ながら知らなかったため、一応旧シリーズで登場人物たちに別の力と扱われていたこととは矛盾していない(前述の通りクソ力を分離されていた件など作中でフォローされていない点もある)
火事場のクソ力の根源はキン肉マンが戦いの中で他の超人達と育んできた友情であることは先述の通りだが、友情のパワー自体は他の超人や人間達にも伝播していくモノでもあった。
そのため、キン肉マンと戦い友情を交わした超人達は本来の超人強度を超える力を発揮するようになり、引いては見ていた人間たちにも何らかの影響を与えるようにもなった。
キン肉マンビッグボディの様な同じ場所にしばらくいただけで伝播した、あるいは友情パワーなので必ずしもキン肉マン経由ではなくてもいいと思わしき例もいる。
『Ⅱ世』では断片的だった発光現象は発現の際にはほぼ必ず起きるようになっている。
しかし、そのことに危機感を覚えた超人閻魔により、完璧超人たちとの全面対決を引き起こしてしまった。
またオメガ・ケンタウリの六鎗客がオメガマン・ディクシアの報告から、故郷のオメガ星を滅亡から救う希望としている存在でもある。
更に火事場のクソ力には三段階の強さがあり、「己のため」、「友のため」、「敵を含めたすべてを救うため」と状況に応じてより強い力が引き出されることが判明している(ファンからは前述のランタンも対応しているのではという意見もある)。
キン肉マンと闘ったパイレートマンは「己のため」、「友のため」に発生した「火事場のクソ力」には自身の力で対応出来ていたが、三段階目の「敵を含めたすべてを救うため」に発生した「火事場のクソ力」によるマッスルスパークには全く抵抗が出来ず、「なんなんだこの力は!?今までこやつがクソ力と呼んでいたのはいったい何だったんだ!」「明らかに次元が違う」と驚愕する程であった。
類例
前述の通り火事場のクソ力に類するものは他の超人にも存在する。
特にアシュラマンはⅡ世において重傷を負っても魔界のクソ力と言い張って立ち上がった。
この時点では本当に火事場のクソ力に相当するかは不明だったが、後に新シリーズでは明確に彼版の火事場のクソ力として披露されている。
Ⅱ世や新シリーズもまとめる学研の超人図鑑は大渦パワー、新シリーズで見せた悪魔将軍のロンズデーライトパワーをどちらも同義の力と解説している。
火事場のおっぱい力
『キン肉マンレディー』を参照
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衝撃の事実
完璧超人や超人の神々から「世を乱す力」として警戒されてきた火事場のクソ力。それまでは一般超人に完璧超人や超人の神々に下克上を成し得る可能性をもたらすために危険視されていた思われていたが、事実はより残酷であった。
それは超人の神との戦い、ランペイジマンとロビンマスクの戦いで明かされた。超人を滅ぼさんとする神々に断固として抵抗するロビンに対して、ランペイジマンは静かに語り出す。
宇宙に於けるエネルギーの総量は一定であること。そして現在、宇宙のエネルギーに不均衡が生じ、様々な天変地異が起こっている。その原因は、超人達の持つエネルギーが急激に増大しているため。そう、過酷な環境に適応し超人強度を進化させたオメガの民や火事場のクソ力で超人強度を底上げしてきた地球の超人達、その強大な超人強度は宇宙の熱エネルギーを大幅に消費していたのである。何千万パワーもの超人強度を誇るオメガの民の母星が滅亡の危機に瀕していたのも、元を辿ればオメガの民の高すぎる超人強度が星のエネルギーバランスを崩してしまったのが原因だったのだ。オメガの民達は「何故超人強度が低い超人ばかりの地球の方が生命が栄えているのか?」と疑問を持っていたが、因果が逆だったのである。
そして現在進行形で、火事場のクソ力で超人強度を増大させている超人達の住まう地球では、異常気象などの環境変化が現れている。
すなわち、火事場のクソ力は誇張抜きで宇宙の存続を脅かしているのである。ただでさえ超人たちの進化は進んでいる上に、それを更にブーストさせる火事場のクソ力は神々にとっては由々しき存在であったのだ。
この問題に対し、神々はこのエネルギーバランスの崩壊を天界で引き受ければ制御出来るだろうと決め込み、アポロン・ウィンドゥの様な形の大穴を天界に穿ち、天変地異から世界を守ることにした。ところが結果は上述の通り。たかが超人と侮っていた神々の予想を超えた超人達の進化によって、宇宙のエネルギーバランスは大きく乱れ、アポロン・ウィンドゥの大穴はブラックホールのように天界の土地を際限なく飲み込み続けるようになってしまったのである。ここに到っては、最早神々でもこの天変地異を制御することは出来なくなってしまった。
果たしてこの崩壊をどう食い止めるのか?神々達は「原因である超人達を抹殺するべし」とする者達と「他の解決策をどうにか導きだそう」とする者達とで真っ二つに分かれ、超人抹殺派を纏めた調和の神は一派を率いて下天し、超人達を滅ぼすべく侵攻を開始した。これが、神々との戦いの真相だったのである。
しかし、キン肉マンを観察し続けた慈悲の神ことザ・マンは調和の神へ静かに語る。火事場のクソ力の根源である”友情パワー”、それは宇宙を脅かすものではなく、むしろ世界を救う希望になり得る力なのだと。
友情パワーの正体。それは友情によって結ばれた他の超人達から借り受けたパワーだったのである。それは宇宙のエネルギーを奪って得たものではないため、いくら火事場のクソ力が増大しようとも、キン肉マン自身の超人強度は95万パワーのままだったのである。
すなわち、友情パワーとは超人同士が分け合い循環させていた力であり、宇宙のエネルギーに依らない、純粋な超人の力だったのである。この方法が超人達の間にもっと広がれば、宇宙を取り巻くエネルギー問題はやがて解決出来る、ザ・マンはそこに希望を見いだしたのだ。
しかし、超人強度が進化した超人達によるエネルギーの不均衡は現在進行形で続いており、友情パワーの伝播を待つ余裕はもはや無い。さらに、調和の神や慈悲の神ですら一目を置く神が動き始めていたのだ・・・
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百聞は一見に如かず:下天した神々は直視する事で脅威度の有無や真相を正確に知る事となった