概要
1980年代に人気を博したゆでたまご作の漫画『キン肉マン』の続編。前作の主人公・キン肉マン(キン肉スグル)の息子・キン肉万太郎を主役として、21世紀の新たな正義超人・新世代超人(ニュージェネレーション)が活躍する物語である。
1997年に短期集中連載がなされてから、1998年~2011年に渡って連載された。
週刊プレイボーイにて連載されていたが、後に集英社のウェブサイトに移籍。
また、『キン肉マンII世〜オール超人大進撃〜』という副題で、別ストーリーの作品がVジャンプで連載されていた。
ゲーム化、ライトノベル化も行われているほか、連載が終了した現在もゲーム等ではキャラクターの出演が継続している。
当時流行り始めていた携帯電話などを始め、モチーフが現代的になっていることが特徴。
一世代後のキン肉マンファンを開拓した一方、キン肉マン時代の登場キャラクターがぞんざいな扱いをされたり、特に後半は伝説超人が敵として登場したり場をかき乱すなどの展開も見られ、旧作ファンからは賛否両論で語られる作品である。
作風が現代的になったことも、裏返すと変に理屈っぽくなってキン肉マンらしいダイナミックさを削いでしまう側面もあった。また、登場人物にリアリティを求めた結果、かえってキャラクターとしての魅力を損なってしまうことも多々あった。
しかしケビンマスクやスカーフェイスなど、前作超人と肩を並べるレベルの人気を得たキャラクターもおり、良くも悪くもキン肉マンの続編らしい続編ではある。
プロレスの描写もより現実的かつカッコイイものにブラッシュアップされており、Ⅱ世ならではの名試合もまた数多く生み出された。特にキン肉万太郎とケビンマスクとの対決はキン肉マンシリーズの中でもベストバウトの一つとしてファンから称えられている。
一応完結したものの、物語自体は不完全燃焼感があり、ファンからは続きを望む声が少なくない。
原作担当の嶋田隆司も「マンタとケビンの再戦をやりたい」「その後の話としてネオ王位争奪編というのも案の一つにあった」「自分達が二人入れば同時進行したいのに」といった風に語るなど、将来的な続編の可能性は匂わせている。
現在WEB連載されている「キン肉マン新章」のストーリー展開が本作のそれと合わなくなっており、大前提として本作の世界では“王位争奪編以降は平和で大きな戦いはなかった”とされており、その段階で新章の展開とは矛盾している。
そのため「Ⅱ世はパラレル作品という位置づけになったのではないか」と推察する読者も多い。
一方、この新章においてロビンマスクの使った技が息子のケビンマスクのフィニッシュ・ホールドに繋がる要素を持つなど、繋がりを感じさせる要素もある。
さらに超神編からは本作で登場した時間超人を始め2世とのつながりを意識している描写が増えてきている。
それゆえ公式的にはどちらとも言えないといったところだろう。
……そもそもゆでたまご作品にそういった前後の整合性を求めるのがナンセンスと言われればそれまでである。元よりその指摘はされやすいのがキン肉マンシリーズではあり、超人の生死や金のマスクの性格など旧シリーズと新シリーズ自体の整合性も怪しい部分はある。
技を仕掛ける際に、その内容を口上として述べるという特徴がある。
例えばベルリンの赤い雨なら
「森の木の葉の如くに体軽やかに 腕を弓の如くに引き
流れ星の如くにふり下ろす
その時 手刀筋骨"壮"となる! その壮拳もって風擦れば炎立つ!
敵の懐に深く入り 肉斬り骨断てば ベルリンに赤い雨が降る! 」
といった具合で、どこか芝居がかった演出となっている。
第一話の4ページ目から、キン肉バスターで早くもこの流れを披露しており、超人オリンピックで万太郎がケビンにターンオーバー・キン肉バスターを仕掛けた際にもほぼ同じ台詞で再現している。
あらすじ
d.M.p編
1987年に初代キン肉マン=キン肉スグルがキン肉大王の座に就任して28年の歳月が流れた。地球は長らく平和に包まれていたが、2014年8月に残虐超人、悪魔超人、完璧超人等の残党が徒党を組んだ新世代悪行超人軍「d.M.p」が日本に襲来。日本列島を無数の悪行超人が襲い、駆けつけた伝説超人たちを返り討ちにしてしまう。
伝説超人たちは新世代超人の育成のためにヘラクレスファクトリーを開校。アホでスケベなスグルの息子、キン肉万太郎もここに送られることに。数々の試練を乗り越え成長した万太郎と仲間達は日本へ降り立ち、d.M.p壊滅のために尽力する。
二期生編
d.M.pが壊滅してから、万太郎とその仲間の三人は遊び呆けて堕落していた。
超人委員会のハラボテ・マッスル委員長はこれに腹を立て、ヘラクレスファクトリーの2期生との入れ替え戦を敢行。アホバカ4人組も日本の駐屯権をかけて二期生4人衆「generation EX」と戦うことになったのだが…。
火事場のクソ力修練編
万太郎のd.M.pや二期生との試合での醜態を見て危機感を感じたキン肉星評議会は、完全な「火事場のクソ力」を修得してもらうため、新たな試練を万太郎に授ける。
キン肉星に攻め込んだ三人の凶悪殺人犯「ノーリスペクト」とのデスマッチのため、「火事場のクソ力」の炎を灯すランタンを手に万太郎は北海道、京都、沖縄を回る。
超人オリンピック ザ・レザレクション編
ハラボテ・マッスルとその息子イケメン・マッスルは、傾いた超人委員会の経営を立て直すため第22回超人オリンピックを強制敢行。キン肉族に嫉妬心を燃やすマッスル親子はあの手この手で万太郎を決勝戦に進ませまいとするのだがすべて裏目に出てしまい、万太郎は決勝に進出してしまうのだった。
悪魔の種子編
世界各地で覚醒した6人の悪魔超人「悪魔の種子」によりミート君はバラバラにされ、封印されてしまう。ミート君の命を救うため万太郎はバッファローマンと共に悪魔の種子との戦いを決意。辛くも最初の刺客ザ・コンステレーションを撃破するも重傷を負ってしまう。駆けつけたケビンマスクら旧残虐・悪行超人たちは、悪魔の種子を倒すために万太郎の代わりに日本全国で戦う…。
第2部「究極の超人タッグ編」
悪魔超人との戦いを終えた新世代超人たちの前に、時空改変を目論む時間超人が襲来。
34年前(王位争奪編直前)に向かった彼らは伝説超人を抹殺しようと計画し、ケビンマスクは時間改変の影響で消滅しかけてしまう。新世代超人たちは時空のゆがみを正すため、時間超人を追って昭和の世界へ向かう。
アニメ
漫画は青年誌掲載のため初代以上に下ネタが多かったが、アニメ版は児童向けに作られたため過激な下ネタやバイオレンスな描写などは多くカットされ、「うんちょくん」などマイルドなネタに変更されている。また、アニメ版の初代は原作とは異なる結末を迎えたため、アニメ版「2世」は原作の後日談として作られている(そのためリキシマンは「ウルフマン」と呼ばれ、ジェシー・メイビアは黒髪黒目で、ロビンマスクは銀色の仮面をつけている)。
「少年誌でII世が連載されていたら?」というIFとも取れるアレンジが多く、少年アニメとしては正統派な作りとなっており、初代へのリスペクトも多い。これらのことから人によっては原作よりも好みと言われる作品となっている。一方でキン肉スグルの声は予算の関係で劇場版1作目を除いてオリジナルの神谷明ではなく古川登志夫へと変更され、これについてはかなり荒れてしまった。古川もかなりいろいろと批判の声を受けたといい、アニメ以降のゲーム作品などでは神谷明が再登板することが多くなった。
テレビアニメは2002年の1月から12月まで全51話が放送されたが、それに先駆ける形で2001年夏の東映アニメフェスタで劇場映画が公開されている(同時上映は「も〜っと!おジャ魔女どれみ」「デジモンテイマーズ」)。テレビアニメ放送中にも劇場版第2作「マッスル人参争奪!超人大戦争」が公開された。
アニメ版最終話に関しては、原作とは異なる結末となっている。
テレビアニメのOP曲「HustleMuscle」はアップテンポな曲調と聴くものに火事場のクソ力を目覚めさせんばかりの熱き歌詞からアニソンの名曲として知られている。
海外展開もかなり積極的に行われ、超人オリンピック編の予選で終了(無理矢理オリジナルの悪行超人と闘うオリジナルエピソードを挿入していた)したテレビアニメ1期の続編として、海外輸出用に第2期「ULTIMATE MUSCLE」・第3期「ULTIMATE MUSCLE2」が製作された。これらはアメリカで2002年に放送された後、日本に逆輸入される形で、2004年と2006年にそれぞれ1クールずつ深夜枠で放送された。
このため、実は海外での認知度は、初代よりもむしろ今作の方が高かったりする。
悪魔の種子編の前で漫画とは異なるシナリオにて完結している。
ゲーム
4作品出ており、ワンダースワンで2作、ゲームキューブで1作、ゲームボーイアドバンスで1作出している。
ワンダースワン
キン肉マンII世 ドリームタッグマッチ(2002年3月2日)
キン肉マンII世 超人聖戦史(2003年1月30日)
唯一オリジナル超人が主人公と言う珍しい展開になっている。
ゲームキューブ
キン肉マンII世 新世代超人VS伝説超人(2002年11月22日)
ゲームボーイアドバンス
キン肉マンII世 正義超人への道(2002年12月6日)
登場人物
※ 旧世代から登場しているキャラクターについては前作『キン肉マン』を参照。