ゆでたまご『キン肉マンⅡ世 究極の超人タッグ戦』に登場した、悪行超人(悪衆時間超人)である、ライトニングとサンダー(ライオン状の超人)によるタッグチーム。チーム名は「地震・火事・疫病・戦争に匹敵する5番目の災厄」という意味。
カオス・アヴェニールの両親及び村民を虐殺し、その後、80年代にタイムワープし、ロビンマスクを殺害し、超人界の覇権を握ろうとした。
しかし、21世紀からキン肉万太郎ら新世代超人がタイムワープし、ここに「究極の超人タッグ戦」の幕が開く。
村を破壊した極悪人である為に二人ともオーバーボディを着用している。
ライトニング
世界五大厄のチームリーダーを務める時間超人。 笑い声は「ジョワジョワ」、「チックタック」。
当初は白黒の首が繋がったオーバーボディを纏っていたが、真の姿は痩せた色白の悪魔の様な姿。
当初は下半身はビキニ着用だったが、途中からタイツに変更。
さらに決勝戦前に目つきがより鋭く変化する等、よく細かな外見が変わる。
身体の両腕には鋭利な鎌を収めており、「ライトニングカッター」で相手を切り裂くえげつない技も持つ。オーバーボディ解除後は「煮えたぎる鎌(ボイリングシックル)」に名称を変えている。
実力そのものも悪行超人でトップクラスだが、相手を苦しめるためには裏工作も辞さない。
ジ・アドレナリンズと戦う際には不忍池を舞台に選択。
さらにケビンが拘束されたクリアベッドをタイムマシンから奪い、衝撃に弱い結び方で天井から吊るし、ロビンとキッドに全力を出しにくい様に舞台を演出。
新星ノヴァヘル・イクスパンションズと戦う際にはネプチューンマンのトラウマを抉るため剣山ソード・デスマッチを用意した(あまり効果は無く、むしろサンダーが最初の犠牲者になった)。
ライトニング自身は天涯孤独の身であり、愛や友情などをつゆ知らず、親の顔さえ知らない。
サンダー
ライトニングの相棒の時間超人。 笑い声は「ヌワヌワ」。
当初は怪物風のマスクとジッパーが多くついたオーバーボディを纏っていたが、真の姿は鋼鉄のライオンのマスクに古代ギリシャの戦士の服をまとった姿である。全容は明らかにならなかったが、目録をわざと誤った、マンモスマンとネプチューンマンのクロスボンバーでマスクの一部が欠け、見えた素顔もライオンであった(これは父親譲りである)。
頭脳派のライトニングに比べ、短気で粗暴な面が目立つが、一方で精神的に繊細な面があり、試合中に過去のトラウマを刺激され、怒り狂う事もあった。
大柄な肉体を生かしたパワーファイトを得意とし、力押しではマンモスマンすら打ち負かすほど。
実は一族から逃げ出した時間超人に強姦された正義超人の母親から生まれた混血児であり、その為に作り出せるエキゾチック物質の量は純粋な時間超人であるライトニングに及ばない。
母親は成長するに連れて自分を拐かした時間超人に似ていくサンダーに恐怖し、遂には我が子を置いてどこかへ去ってしまう。後日、祖母から自分の父の事を聞かされたサンダーは父親の真実に絶望するとともに雨の中、母を求めて泣き叫ぶ。
そんな過去から親子の絆というものに深い不信感と憎しみを抱いており、正義超人に対する執念の源となっている。
ライトニングにはそれを隠していた。
戦闘スタイル
パワーファイターのサンダーと、テクニカルなライトニングのコンビ。さらにライトニングは必殺武器に両腕に隠す「煮えたぎる鎌(ボイリングシックル)」、サンダーは必殺武器に肩当が巨大化した「リオンフィンガー」を持ち、悪魔将軍などそれまで作品に少なかった相手を刃物で攻撃し失血多量で苦しめるという戦法を使用する。
タッグの必殺技はライトニングの両脚がニードルに変化し、サンダーに抑え込まれた超人の身体を貫く「死時計の刻印(デスウォッチ・ブランディング)」、ライトニングが敵の超人を抑えこみ、サンダーの両脚に叩きつける「世界崩壊の終局(フィナーレ)」。
両者とも、マウスピースを口に入れ、量子力学で言う「エキゾチック物質」を生成し、時間軸をずらして加速する「アクセレレイション」、また自分の身体を回復させる「肉体時計逆回転(ボディクロック・バックスピン)」を使うことができる。
肉体時計逆回転は使い過ぎると急激に老化する副作用を持ち合わせているが、五大厄の見立てでは食べると完全無比超人になれるトロフィー球根で克服出来る模様。なお、肉体時計逆回転は魔時角を失った後で使っているのに対し、五大刻達が使う肉体の時間操作で傷を治す超回復は魔時角がある状態で使用している違いがある。(魔時角と超回復の因果関係は現時点では不明)
ちなみに二人とも「自身の身体に持つ」という形で鋭利な刃物でも超人委員会では「凶器扱いにならない」というギリギリな武器でもある代物(マウスピースはどうなのかという点は残るが)。
本編の活躍
トーナメントでは持ち前のチート能力を活かし、ブロッケンJr.とジェロニモの「テガタナーズ」、ロビンマスクとテリー・ザ・キッドの「アドレナリンズ」に完勝。「新星・ヘルイクスパンションズ」にはあわやというところまで追いつめられるも、フェアプレイに目覚めたネプチューンマンとマンモスマンの不和に便乗する形で勝利する。
決勝戦では万太郎と復活したケビンマスクのタッグ「ザ・坊ちゃんズ(ヤングマスターズ)」と対決。当初は急造コンビである坊ちゃんズを圧倒するも、何度倒しても折れず立ち向かってくる二人の姿を見て、徐々に精神的に追い詰められていく。
そして戦いの最中、サンダーが正義超人とのハーフであることが発覚。そのためにエキゾチック物質を出し尽くし能力を失ったサンダーは「NIKU→LAP」で倒されてしまう。
事実を知ったライトニングは「知っていればパートナーには選ばなかった」と罵倒しながら足蹴にし、サンダーを見捨て一人で戦うことを宣言。
一人でも満身創痍の坊ちゃんズを圧倒するが、「死時計の刻印」を自分のみで行おうとするもバランスを崩し失敗。
「バ…バカやろう、何をしてやがるサンダー!」
その瞬間漏れたのは、「お前が支えてくれないから失敗したじゃないか」という見捨てたはずの相棒への信頼の言葉であった。
「……ハッ!お、俺は何を口走った!?」
正義超人の標榜する友情や絆の力をあざ笑いことごとく打ち破ってきた時間超人であったが、彼らの間にも絆の力は宿っていたのだ。そのことを万太郎に指摘され動揺した瞬間、マッスルスパークのブリッジにより空中へ打ち上げられるライトニング。
相棒の危機を目の当たりにしたサンダーはボロボロの体で立ち上がり妨害しようとするも、ケビンマスクのビッグベン・エッジにとらえられてしまう。
技にとらえられながら抵抗する二人であったが、その結果生まれた最強のツープラトン「マッスルキングダム」を受け倒されてしまった。
倒された瞬間、その体は風船がしぼむように干からびていく。時間超人の能力を使用しすぎた反動であった。
それを知った万太郎とケビンは完全無比の球根(コンプリート・バルブ)の一部を分け与え、その命を救おうとする。
サンダーは命をつなぎとめるも、ライトニングは「正義超人の情けなど受けられるか」と球根を吐き出して拒否。力を振り絞りコーナーポストへ立つ。
駆け寄るサンダーを制止し、「お前には心配してくれる母親がどこかにいるが、俺が死んだところで誰も泣かない」と告げる。
さらにサンダーに母親の作る料理で好物は何だったかと尋ね、シチューだったと聞くと、一瞬穏やかな顔を見せリングから富士の火口へと飛び降りた。
「お前のママのシチュー食ってみたかったな~っ!」
その言葉を残し富士の火口へ消えたライトニングを見て、サンダーは号泣し後を追おうとするも、万太郎とケビンにより制止させられる。
その後、「こんなものがあるから争いがおこる」と考えた万太郎によって完全無比の球根は焼却されたが、その光景を見たサンダーには何の感慨も浮かばなかった。ライトニングと共に数々の強敵と戦った思い出さえあればサンダーは満足だったのだ。
一方、正義超人側であるはずのキン肉真弓は「我が息子のスグルもアホだが孫はそれに輪をかけたアホ」と呆れかえっていた。悪行超人のサンダーでさえ「友との戦いの思い出のほうが大切」と悟ったにもかかわらずである。
全てが終わった後、現代の時代へと帰ろうとする新世代超人達であったが、タイムシップ反物質エネルギーが無く帰れないということが発覚。しかし突如エネルギー値が急上昇する。
そこにいたのは命と引き換えにエキゾチック物質を放出するサンダーであった。
「お…俺達は誇り高き時間超人だ。故に我が友ライトニングは死を選んだ…」
「そして…これが俺の選んだ誇りの答えだ!」
そして新世代超人を現代へ送り返し、息絶えた。
チート能力頼みで超人達を一方的に蹂躙し、読者からも忌み嫌われていた世界五大厄であったが、そんな二人の間にも確かな友情が存在していたことや、悪役ならではのけじめの取り方といった点は評価するファンも多い。
また基本的にシリアス担当のキャラであったが、二人の控室に乱入したカオスを助けようと万太郎が「トイレと間違えた」という言い訳で現れた際は
「トイレは向こうだーっ!」
「くさっ!」
とギャグ的な対応をしている。その後、ハラボテ会長と委員会員が騒動を聞きつけて駆けつけて万太郎たちを訝しむも、二人の事前の言い訳をくみとって「こいつらトイレと間違えて俺たちの控室に入ってきた」と釈明し、カオスへ試合でこそ倒す旨を伝えるなど、悪行超人ながら確かな超人レスラーとしてのプライドを見せた。
余談
『究極タッグ編』自体の評価が低いのと強さがマウスピース頼みにしか見えない事やキン肉マンスーパーフェニックス並みの卑怯な戦術の為かいくらケジメを取ったとは言ってもファンからのラスボスとしての格はシリーズ最下位レベルとなっている。
キン肉マンファンにとってはその存在自体が正に「災厄」と言えるのかもしれない。
そしてこの2人が反面教師となったのか新シリーズのラスボスは
・高潔な武人
・特殊能力をほぼ使わない正統派スタイル
という物だった。
しかし更に次のシリーズでは時間超人が復活。
ちなみにこれによりファンから色々と考察が成され、ライトニングの出自は『刻の神が創造した』(だから親などがいなかった)という物が出て来た。五大刻の例から刻の神は以前から時間超人は作ることが出来ていたようなので、その場合ライトニングは何らかの目的(刻の神の意に反して正義側になった正義時間超人らの粛清?)で新造された可能性がある。
ちなみに新シリーズの時間超人には『○○の刻』という二つ名があるのだが世界五大厄の2人に関しては不明となっている。
更に五大厄の2人が言っていた『超人強度なぞ関係無い』という発言の根拠として『時間超人の基本的な超人強度は1億』という設定が出て来た。
ハーフであるサンダーの3000万はともかくライトニングの2400万は刻の神からしたら完全な失敗作であり放逐された彼らがそういう思想や戦法に至ったのも無理はないのかもしれない。