※以下、漫画『僕のヒーローアカデミア』第396話の重大なネタバレを含みます。
(妙に納得してるよ ナイトアイ)
━このままいけば、あなたは敵と対峙し言い表せようもない程…凄惨な死を迎える!!━
("敵"…… この青年がAFOだなんて思わないよな
君の予知がまだ生きているとしたら間違いなくここだ)
「私が来た!!」
概要
「ワン・フォー・オール」を己が見出した後継者に託し、大切な生徒達を守るべくその残り火をも燃やし尽くした結果、戦う力を全て失ったオールマイトがそれでもなお運命に抗うべく用意した最後の戦闘形態。
最終決戦にて死柄木弔のもとに向かおうとするオール・フォー・ワンを止めるべく、私財の全てを投げ打って本形態を制作、かつての親友の前に立ち塞がる。
開発者はオールマイトの元相棒だった科学者・デヴィット・シールドの娘であるメリッサ・シールド。
機能
本形態は大まかに自身が身に纏う強化服とその上から更に装着する拡張ユニットの二つに分けられる。
強化服は待機状態ではアタッシュケースとなっており、起動時に一度無数のパーツへ分解しオールマイト(トゥルーフォーム)の全身を覆うことで装着される。
この強化服は肉体を負荷から保護する他に、自らの身体機能を強化する一種のパワードスーツであり、これによって戦闘行動を十全に行うことができる。
流石に全盛期と比べると大きく見劣りするが、アニメでは身体強化の個性持ちに匹敵するスピードで走り、オール・フォー・ワンへの拳の一撃は余波で体に生えていた物質全てを吹き飛ばしており、並大抵のパワードスーツを凌駕する力を発揮していた。
一方で拡張ユニットは、通常時は普段使用する専用のスポーツカーとなっており、オールマイトの要請時にパーツを分離・射出し様々な兵装として機能する。
ちなみにシステムの管理は付属のサポートAI「エルクレス」(CV:志田未来)が行う。
本装備の最大の特徴として1年A組の生徒達の個性を機械的に再現したものが内蔵されており、それらを状況に合わせて随時発動できる。
この再現された機能はオリジナルと比べ能力は劣るものの、負荷や制限等は特にないため複数の個性を同時に発動することができる。
内蔵された個性
名称 | 元の持ち主 | 元となった個性 | 効果 |
---|---|---|---|
烈怒頼雄斗※1 | 切島鋭児郎 | 硬化 | 車の外装を切り離して前方に集め盾とする。 |
ブラックウィップ | 緑谷出久(万縄大悟郎) | 黒鞭 | 手甲及び浮遊装甲から多数の鋼線を射出する。 |
チャージズマ | 上鳴電気 | 帯電 | ブラックウィップを通して高圧電流を浴びせる。 |
セロファン | 瀬呂範太 | テープ | 手甲のブラックウィップを巻き取って高速で接近する移動機能。 |
シュガーマン | 砂藤力道 | シュガードープ | 脚に装着しロケット噴射でキックの威力を上げる追加装備。 |
ツクヨミ※2 | 常闇踏陰 | 黒影(ダークシャドウ) | 硬化して自動的に攻撃を防ぐマント。 |
ピンキー | 芦戸三奈 | 酸 | 車から射出した注射器で強酸を体内に注入する。 |
ウラビティ | 麗日お茶子 | 無重力(ゼログラビティ) | 脚に装着しロケット噴射で三次元運動を行うスラスター(推定)。 |
インゲニウム | 飯田天哉 | エンジン | 脚に装着しロケット噴射で加速するスラスター(推定)。 |
テンタコル | 障子目蔵 | 複製腕 | 胴体に装着する触手状の二対の追加腕。 |
フロッピー | 蛙吹梅雨 | 蛙 | テンタコルの先端に取り付けられた、壁に張り付く吸盤。 |
ショート | 轟焦凍 | 半冷半燃 | 腕に装着する小型砲台状の追加装備。左側からは火炎を放射している。 |
テイルマン | 尾白猿夫 | 尻尾 | 胴体に装着する尻尾状の動作補助機構。 |
アニマ | 口田甲司 | 生き物ボイス | 鳥を模したドローン2体(外部動力源を車に接続する機能あり)。 |
CAN'T STOP TWINKLING | 青山優雅 | ネビルレーザー | 車に内蔵された砲台から強烈なレーザーを浴びせる。 |
イヤホン=ジャック | 耳郎響香 | イヤホンジャック | 胴体部のスピーカーから音波振動を発生させる。 |
インビジブルガール | 葉隠透 | 透明化 | アーマーに塗布された特殊光学樹脂。レーザー熱を軽減させる。 |
クリエティ | 八百万百 | 創造 | アーマーの変形機構。 |
グレープジュース | 峰田実 | もぎもぎ | アーマーの一部を用いて作られる拘束弾。 |
大・爆・殺・神 ダイナマイト | 爆豪勝己 | 爆破 | 腕部アーマー内蔵の爆破機構と思われるが、AFOの攻撃により機能を失った為詳細は不明。 |
※1:セリフ上の表記は「レッド」のみ。アニメにおいては「レッドライオット」とフルで発声している。
※2:本誌連載時は「黒影」表記だが、作者から訂正あり。アニメにおいては「ツクヨミ」と発声されている。
欠点
この形態によってオールマイトはどうにか戦う術を得たが、実はこの形態には致命的な欠点が存在する。
それはこの形態が長時間の戦闘に向いていないことにある。
この形態は戦闘能力を全てサポートアイテムの機械が請け負っている。そして機械なので当然ながら耐久限界などが存在し、それを超えれば機械は破損してしまう。
そして装備を徐々に失うとそれに比例して戦闘力も低下していく。オール・フォー・ワンはその様を「道具(それ)は限界を超えない」と嘲笑った。
今現在のオールマイトの肉体は既にボロボロでありとても戦えるものではなく、下手に攻撃を受けようものならそれが致命傷になりかねない。その上突貫作業で作ったために動作テストを一切行っておらず、性能はおろか安全性すら保証されていない(作者曰くヤバ車ヤバアーマー)。
言わばこの形態は文字通り己の命を削りながら戦うものなのである。
オールマイト自身もかつて予言された「最悪の未来」が訪れるとしたら間違いなくここだ、という確信を持った上で戦いに挑んだ。
余談
単行本40巻ではこの姿のオールマイトが表紙を飾った。
また、単行本コラムにてこの装備が「普段は自分のために金を使わないオールマイトが全財産を注ぎ込んだ」という開発経緯が明かされている。
また、現役時代のオールマイトはサポートアイテムを使っても壊れてしまうので生身一つで戦う事にした、という過去が明かされている。
一方で出久のサポートアイテムを見て技術の進歩に関心を深める、など技術進歩に関心を持ったという伏線と、劇場版ヒロインとして登場したメリッサを本編に取り込みつつ「全身をサポートアイテムに包んで失った戦闘能力の代わりにする」という現役時代とは真逆の方向性で戦線に赴く展開へと繋がった。
そして、師の命がけの姿が、後に弟子へ向けての最大の贈り物へ繋がる事となる。
ちなみに、サポートAI「エルクレス」のCVは上述の通り志田女史が担当しているが、志田女史はメリッサのCVを担当しており、堀越耕平先生から「メリッサが開発者だから、システムボイスは志田さんに担当してもらったらどうですか?」との提案があったため制作陣は一か八かオファーしたところ引き受けてもらえたとのこと。
志田女史も映画出演後も変わらず原作を読んでいたため、メリッサの本編での登場もあり、いずれオファーが来るのではないかと薄々感じていたものの、「エルクレス」のCVは予想外だったとのこと。
関連イラスト
関連タグ
アイアンマン・アーマー バットモービル…おそらく元ネタ。
ヒロアカ最終話のネタバレ注意!!
※以下、『僕のヒーローアカデミア』の最終回のネタバレを取り扱っています。
実はオール・フォー・ワンとの最終決戦でオールマイトがこのパワードスーツを使った際に、戦闘データを測定しており、その後データをもとに長年の研究と試行錯誤によって「改良型」が開発される。
最終決戦から8年後となる未来では、(最終決戦時に数を減らしたヒーローと同様に)かつてに比べて敵(ヴィラン)の数が減ったが、それでも個性を悪用して事件を起こす人が完全にいなくなったわけではない。
そのため、以前に比べると活躍の機会が減ってきていたものの、「ヒーロー」の存在もまだまだ必要である。
上記の事情と、改良型スーツの実戦によるデータがまだまだ不足しているという事情も相まって、スーツ開発の発案者であるオールマイトは、「新たにスーツを使いこなせる人」としてかつて複数の個性をそれぞれ同時に使いこなしたという経験を持つとある人物に目星をつけた。
その人物とは、かつて自身に''個性''がなかったことからヒーローを夢見て諦めかけたものの「勇気」によって協力者を手繰り寄せ、ヒーローになるチャンスを掴むために借り物の力「ワン・フォー・オール」を使いこなす努力をし続け、ヒーローとして精神的と技術的に成長するために仲間達と共に切磋琢磨し、そして無個性に戻って夢破れた現在でも誰かのピンチには体が勝手に動くという「助ける」気持ちを未だに失わない青年…大人になった緑谷出久である。
こうして、新たなパワードスーツの被験者となった出久はヒーローとして再び歩み出し、オールマイトもかつて出久にワン・フォー・オールを継がせた時のように「人を助けるための巨大な力」を次世代へ引き継ぐことに再び成功した。