ピクシブ百科事典

志村転弧

しむらてんこ

漫画『僕のヒーローアカデミア』の登場人物。
目次[非表示]

CV:関根有咲

概要

作中登場する組織敵連合のリーダーである死柄木弔の本名。
父方の祖母に7代目の『ワン・フォー・オール』継承者である志村菜奈を持つ。

幼い頃の転弧は、同世代の多くの子供たちと同じように、ヒーローに対して純粋な憧れを抱くごく普通の少年だった。
両親と母方の祖父母、姉と共に暮らし、家族の愛情や経済的にも恵まれ、表面上は何不自由の無い生活を送っていたようである。
彼が如何にして、この世界の全てを憎み、破壊を自らの悦びとする男。『死柄木弔』という存在に変貌を遂げたのか。
それを理解するためには、彼の生まれる前、転弧の祖母の世代の因縁にまで遡らなければならない。

生い立ち

※この記事には、僕のヒーローアカデミアのストーリーのネタバレが含まれます。





ワン・フォー・オール7代目継承者・志村菜奈は、ヒーローとしての戦いの末に、何者かに夫を殺害された。
ヒーロー活動は時として多くの恨みを買い、もしもの時に危険が及ぶのは、自分一人であるとは限らない。
家族が敵に命を狙われることを危惧した菜奈は、残された最愛の息子を信頼できる人物の元へと里子に出すことにした。
そして程なくして、彼女はオール・フォー・ワンとの最後の戦いに挑み、命を落とすこととなる。
生前の彼女は、グラントリノオールマイトに、「私にもしものことがあっても、あの子には関わらないでほしい」という言葉を残しており、その遺言に寄り添う形で、彼女の息子はヒーローの世界とは縁遠い環境で成長することとなった。


その後、彼女の残した一人息子弧太朗は、両親との離別を乗り越えて成長し、若くして社会的な成功を収めた。
大人になった彼は、母の行動は自分を守るためのものだったことを理解していた。
それでも尚、幼くして母を失った悲しみは、彼の心に癒えることのない深い傷跡を残しており、「ヒーローである母は、他人を救うために息子の自分を捨てた」というある種のトラウマを抱え込んだまま、彼は自らの家庭を持つことになった。
住宅街の庭付きの一軒家に大型犬を飼い、義理の両親と妻、二人の子供と共に生活する。まさに理想を絵に描いたような幸せな家庭だったと言えるだろう。

そして彼は、自分の手に入れた「理想の家庭」に、ひとつのルールを設けた。

それは、「ヒーローの話をしないこと」

弧太朗は自身の幼い頃の経験から、「ヒーローが家族を傷つける」という想いに囚われていて、自分の子供達がヒーローに憧れることを強く反対していたのである。
妻と義父母はそんな弧太朗の想いや境遇に一定の理解を示していたし、それだけでなく当時5歳の転弧には"個性"が発現していなかった。(5歳までに"個性"の発現しない子供は、ほとんど例外なく"無個性"である。)
転弧のヒーローへの憧れは、いずれ近い将来、彼自身にとっての重荷になってしまう。それは誰の目にも明らかなことだった。

幼い転弧には、自分の置かれた境遇を理解できなかったが、そこには紛れもなく父親なりの家族に対する愛情があった。
父親だけではなく、母親も祖父母も、ただ転弧の幸せを願っていた。
志村菜奈は、息子を愛していたから彼を置き去りにした。
弧太朗は家族を守りたいがために転弧の想いを否定した。

親から子へ、子から孫へと受け継がれた歪み。その小さな積み重ねは、やがて途方もなく大きな不幸を招くこととなる。


幼い頃の転弧は「ヒーローに憧れる」という、同世代の子供達にとって当たり前のことを禁じられていた。
ヒーローの話をする度に父親に叱られ、時には泣きながら庭に無理やり連れて行かれ、「自分から謝るまで家には入れない」と言われることまであった。

父親に叱られることは転弧にとって理不尽に思えたが、優しかった母親も祖父母も、何故かそのことについてだけは転弧の味方になってはくれなかった。
転弧には、父親がヒーローを嫌う理由も、家族が自分の想いを認めてくれない理由も分からなかった。
家にいる間、転弧はいつも身体の痒みに悩まされていた。
母はそんな転弧をいつも優しく抱きしめて、痒みを抑える塗り薬を塗ってくれた。そうしたとき、確かに転弧は自分に向けられた家族の愛情を感じることができた。


―――父の建てたこの家は、僕を優しく否定する。


そうした幼い転弧を取り巻く平穏な日常は、ある日突如として終わりを迎えることとなる。

Shimura Siblings [January 2020]



切っ掛けは、ほんの些細なことだった。
その日、転弧の姉「華ちゃん」は、弧太朗に隠れて彼の書斎へと忍び込み、引き出しの奥に大切にしまわれていた一枚の古い写真を転弧に見せた。
その写真の中には、彼女達の「おばあちゃん」と、幼い頃の父が仲睦まじく微笑む様子が映されていた。
理由は分からないが、華ちゃんは自分たちの祖母がヒーローであったことを知っていたようである。
転弧は自分の家族にヒーローがいたことに驚き、そして素直に喜んだ。
周りの大人達は、自分のヒーローへの憧れを肯定してくれない。
そんな中で、本物のヒーローであった志村菜奈の存在は、彼の心の中でとても心強い味方になったのである。

華ちゃんとしては、いつも泣いてばかりだった弟を可哀想に思い起こした行動だったが、所詮は子供の考えること。子供達が無断で書斎に入り、写真を覗き見たことは、すぐに父に気づかれてしまう。
弧太朗は激しく感情を荒立てて子供達を叱りつけた。
彼はこのとき、ずっと心の中に隠していたトラウマを直に触れられたことに激しく狼狽し、衝動の赴くままに転弧に対して暴力を振るってしまう。

姉も、母も、祖父母も。誰も身を挺して転弧を庇ってはくれなかった。
父の建てた一軒家。その小さな世界に、彼を助けてくれるヒーローはいなかったのである。

"個性"の発露

日が沈み切った頃、転弧は庭でペットの「モンちゃん」を抱きながら一人で泣いていた。

「みんな…嫌いだ…」

今までずっと心の中で思い続け、それでも言葉にすることができなかった。
転弧はずっとお父さんのことが嫌いだったのだ。
父だけではない。父の立てた家も、父に逆らえない母も、父に隠れて嘘を吐いた姉も、自分を取り巻く全部が嫌いだったのだ。

心の底から沸き上がったその言葉を口にしたとき、彼の"個性"は発現した。
突然変異によって発現した未知の"個性"『崩壊』。
自分の手で触れたものが次々とバラバラに崩れていく。
転弧は最初のうちは、何が起こっているのか理解できていなかった。
しかし父の恐怖の表情と制止の言葉によって、それが自分の手で引き起こされたものであることを直感的に理解し、そして同時に彼は、自分が今まで本当に望んでいたことを自覚する。

この時転弧は、自分自身の意志で、明確な殺意を持って、父に『触れた』。
自分のずっと嫌いだったものが、自分の手で崩れていくのを見たとき、転弧は途方もない快感を感じた。
もう彼は痒みを感じていなかった。

オール・フォー・ワンとの出会い

その後、転弧は帰るべき場所を失い、長い間一人で街を彷徨っていた。
幸か不幸か、そんな転弧に対して手を差し伸べてくれる者は誰もいなかった。
街を行く人々は薄汚れた服を身に着け、目に隈を浮かべ、不気味な笑みを張り付かせてふらふらと歩く転弧のことを気味悪がり、「きっとヒーローが救けてくれる」と言って見て見ぬふりをし続けた。
しかし、転弧のことを救ってくれるヒーローは現れなかった。
転弧が再び身体の痒みに苛まれていた頃、唯一彼に手を差し伸べたのが、他でもないオール・フォー・ワンだった。

精神的に大きなショックを受けたためか、このとき転弧はそれまでの記憶のほとんど全てを失っていた。
オール・フォー・ワンは彼に対して、家族の残骸である「手」を肌身離さず身に着けるように言い聞かせる。
オール・フォー・ワンは転弧を苦しめる「痒み」について、自分自身にさえもコントロールできない強過ぎる破壊衝動が、「行き場のない苛立ち」となって溢れたものだと分析していた。

家族の手は、その温かい優しさと共に、転弧が心の奥底に封じ込めた記憶にこびりついた負の感情を呼び起こし、常に彼を破壊の衝動へと向かわせた。
沢山の娯楽や人々が幸せに暮らす光景でさえも、彼に怒りと憎しみを抱かせた。
そして破壊の快感を感じるとき、唯一彼は痒みを忘れることができた。


超人社会には「"個性"によって相手の人となりを判断してはいけない」という社会規範が存在している一方で、「人の持つ"個性"は、その人の人格に少なからず関係している」という事実もまた、社会における暗黙の了解として、人々の間に広く知られている。
オール・フォー・ワン曰く、彼が心の中に抱える破壊衝動は、生まれながらに転弧自身が持っていた感情であった。
切っ掛けが少しでも違えば別の道もあったのかもしれない。だが、彼は初めて個性を発現させた際に、取り返しのつかない罪を背負ってしまい、そしてそれ以上に破壊の快感を覚えてしまった。
転弧がどれだけ救いを求めても、彼に対して手を差し伸べてくれるヒーローは現れなかった。
彼の生まれ育った環境はヒーロー社会に対する怒りを増幅させ、オール・フォー・ワンは彼の「先生」として、彼が感情の赴くままに行動する意思を大切に育んだ。


家族の手を全身に身に着け、初めて自分の意思で他人を「殺したい」と発言し、それを実行してみせた転弧に対して、オール・フォー・ワンは新しい名前を与えた。
死を悲しみ別れを告げるという意味の「弔」と、彼自身の苗字である「しがらき」。
こうして彼は、オール・フォー・ワンの生徒として、そして新たな「家族」として迎え入れられ、現在の『死柄木弔』という名を名乗るようになる。

関連イラスト

Innocent Days
堕



関連タグ

僕のヒーローアカデミア 死柄木弔 オール・フォー・ワン
志村菜奈 志村弧太朗
哀しき悪役

アレルギーアトピー性皮膚炎):「家にいると痒い」の原因と思われる。ストレスが原因で症状が悪化することもあり、ストレス原因が消えることで解決する場合もある。また、アトピー自体が治ってもクセとしてストレスを感じると身体を掻く人もいる。

関連記事

親記事

死柄木弔 しがらきとむら

pixivに投稿された作品 pixivで「志村転弧」のイラストを見る

このタグがついたpixivの作品閲覧データ 総閲覧数: 123425

コメント