名前は八神和麻。フリーの風術師。
好みの仕事は危険の少ない雑霊退治とかで、平穏無事な人生を目標としてるんだが、
最近は神凪宗家のお嬢様のお守なんかがメインになってるような気が無きにしもあらず――
と、まあ、こんなもんか?
プロフィール
本名 | 神凪和麻 |
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国籍 | 日本 |
年齢 | 22→23歳 |
誕生日 | 6月16日 |
身長 | 176cm(推定) |
血液型 | O型 |
家族構成 | 父、母、弟、従叔父、再従妹 |
一人称 | 俺 |
CV | 小野大輔(アニメ版)、渡辺明乃(アニメ版少年期)、佐々木望(ドラマCD版) |
概要
風の精霊王と契約した世界唯一の契約者(コントラクター)であり、世界最強の風術師。
瞳に精霊王との契約の証である聖痕(スティグマ)を有し、契約者としての能力を開放した時には瞳が蒼穹の色に染まる。
基本方針は「敵対するもの老若男女平等に皆殺し」。
強力な術者でありながら、どのような相手に対しても卑怯・姑息ともとれるような非常に慎重な戦い方を好み、油断を決してしないよう心がけている。
性格は、皮肉屋・自己中心・軽薄・怠惰と絵に描いたような人柄で、自身の損得が絡まなければ他人のために行動を起こすことなどまずない。
一方で、信頼する相手には妙な義理堅さがあり、自分が大切に思う者を守るためならば全力を傾ける。
過去
炎術師の名門・神凪宗家の生まれ。
非常に優秀で多くの才能に恵まれながら「炎術の才能が全くなかった」というだけで一族のほぼ全員から虐めを受ける。特に少年期は、分家の少年たちから殴る・焼くなどの暴行を受け続けていた。
その時にキレた和麻は、主犯格の久我徹に反撃するも怒りを買っただけに終わり焼き殺されそうになる。しかし大神操が庇いに入ったことで事なきを得た。
以後も父・厳馬から修行漬けの日々を味わわされる。和麻にとって厳馬は恐怖の対象でしかなかったが、叔父の宗主・神凪重悟には可愛がられていた。彼の存在は「もう一人の父親」として刻まれている。
卑屈で他人の顔色を窺う性格だが、顔と話術は良かったので高校生時代は彼女をとっかえひっかえしていた。人の彼女まで寝とっていたので相当な恨みを買っていたという。
放課後の教室内で淫行に走っていたようで、これからってところで生活指導の山南憲忠教諭に踏み込まれる。以後も山南から目を付けられていた。
この頃に平井柚葉を口説いて恋人にするが、お互いに傷の舐め合いをする関係に終始してしまった。
和麻が18歳の時(本編の4年前)に宗主の重悟が事故で片足を失う。
炎雷覇の所有権および次期宗主の座を巡る「継承の儀」が執り行われたが、当時12歳だった綾乃に敗れる。これに失望した厳馬に感動を言い渡され、実母に助けを求めるも1000万円が入ったキャッシュカードを渡され「炎術が使えていれば息子として愛せていた(無能は必要ない)」と告げられる。この頃は両親に愛されていると妄想しており、それを打ち砕かれたことで発作的に宗家を飛び出し中国へと渡った。
なお、柚葉には何も告げないまま日本を発ってしまったので恨みを買っている。
中国に渡った後、経緯は不明だが翠鈴と恋仲になって立ち直り、更に情報屋の老人・黄影龍(ウォン インロン)から何でも屋の仕事を世話してもらっていた。猫を探していたら銃を持った相手とやり合う羽目になり、勝利するも黄から「のぼせ上がるな」と忠告を受ける。
やがてその忠告を破らざるを得ない事態に陥る。
翠鈴は、魔術結社アルマゲストの首魁アーウィン・レスザールに拉致されてしまった。和麻は助けに向かうもレスザールの使い魔にすら歯が立たず、目の前で翠鈴を悪魔の生贄に捧げられ、完全に消滅する様を目の辺りにする。
レスザールたちは立ち去り、残された和麻は使い魔に殺されそうになる。だがここで風術の才に覚醒し、使い魔を切り刻む。その時にレスザールを追っていた仙人・霞雷汎(シア レイファン)に保護される。
和麻は復讐を果たすべく霞の下で修業を受けるが、風術の覚醒で花が伸びてしまっていた。そこで兄弟子・李朧月 (リー ロンユエ)と戦わされ、徹底的に打ちのめされることに。
修行を終えた後は“八神”の姓名を授けられて中国を経つ。
そして本編開始の2年前にロンドンで研修中の橘霧香と出会い、共にある事件を解決した。しかし当時の和麻は復讐鬼そのものだったため、霧香には恐怖を抱かれ続けていた。
和麻はアルマゲストの支部を次々と襲撃して殺戮を続け、誘き出したレスザールを殺害。
その身体は100グラム以上の塊が無くなるまで徹底的に斬り刻み、魂は契約していた悪魔に地獄に引きずり込まれ、奴隷としてコキ使われているか力に還元されて消滅した。
恋人が受けた苦痛を味わわせる形で和麻の復讐は幕を閉じた。
それから22歳の時に日本へと帰国。続けて仲介屋から紹介された除霊の仕事に着手するところから物語が始まる。
時期は不明だが帰国後に霧香と再会して仲を深めている。
活躍
1巻
除霊の仕事を受けた和麻だが、現地で分家の術者・結城慎治とバッティングしてしまう。かつて自分を虐めた者の1人である慎治から挑発を受けるが、体術で軽くあしらって力の差を見せつける。
除霊は和麻が下りる形で慎治が受けるが、悪霊の背後に潜んでいた妖魔によって慎治は敗北。和麻は依頼主を脅して多額の報酬を約束させた後で討伐した。
慎治は任務の失敗と和麻の帰国を宗家に報告する。これを知った黒幕は、手始めに暗殺者を動かして慎治ら3人の術者を殺害。和麻の仕業に見せかける。
和麻の元に分家最強の術者である慎吾&武哉を差し向けられる。和麻は無実を訴えたが聞く耳を持たれなかったため返り討ちにした。そこへ暗殺者が現れ、慎吾&武哉を殺害。しかも遅れて駆け付けた再従妹・綾乃に二人を殺したと誤解を受けてしまう。
撤退した和麻の元に父・厳馬から話し合いをしたいという電話を受けるが、これまでのことから和麻は「親父は俺を殺したがっている」と認識。挑発して対決の場まで誘き出す。
和麻も怯えを隠しきれなかったが、格下の振りをすることで厳馬の隙を作り、大技を叩き込むことで病院送りにする。
ホテルで寝泊まりしていた和麻の元に弟・煉が訪ねて来る。自分とは違って炎術の才能に恵まれた煉だが、差別することなく兄と慕う弟を憎めず、和麻も可愛がっていた。
そこへ暗殺者が現れて和麻と対峙。その間に煉は伏兵に拉致されてしまった。弟を助けるためには重悟の力を借りるしかないと考え、4年ぶりに生家へと帰参する。
和麻から話を聞いた重悟は、下部組織である風牙衆の面々の写真を見せる。和麻は暗殺者の素顔を知っていたため下手人が風巻流也だと判明。彼は風牙衆の長・風巻兵衛の息子であった。
かつて風牙衆は残虐な集団だったため幕府から神凪に討伐命令が下った。しかし風の精霊術師である風牙衆は探査・索敵に優れており、神凪にとって利用価値が高かった。
そこで風牙衆の力の源である神を封印して弱体化させることで幕府を説得し、神凪の下部組織として取り込んだのだった。
神凪は風牙衆を奴隷として扱い続けた。兵衛は忠実に仕え続けてきたがついに我慢の限界を迎え、神凪に対する反乱を起こしたのだった。
神の封印を解く方法はただ一つ。神凪宗家の血筋の者に解かせるしかない。煉が拉致されたのはそのためだった。
和麻は誤解が解けた綾乃と協力して風牙衆を追って京都へ向かう。とある山の一角に神が秘されており、二人はそこへ向かうがそこを流也が襲撃。和麻は綾乃に押し付け、自身は煉を救いに向かった。
煉を助けるも綾乃は流也に惨敗を喫し、逃げ出すも余命いくばくもない状態となっていた。そこで和麻は、エリクサーを口移しで飲ませて綾乃の命を救った。
その後、流也は和麻と綾乃のコンビネーションの前に消滅。煉を狙って来た兵衛も潜在能力を引き出した煉によって返り討ちにされた。
エピローグでは意識を取り戻した厳馬と再会。再び自分の息子に戻ってくれないかと和解の手を伸ばされる。和麻は「追い出した息子が優秀な術者になったからって……」と軽蔑するが、父が本気で臨んでいると気づき、心が揺れたものの“八神和麻”としての人生を捨てることは出来ないと拒否。
完全な和解にはならなかったが、和麻は以後も父を「親父」と呼ぶようになった。
2巻
先の一件で分家の跡継ぎ・大神武哉が流也に殺されており、その責任は和麻にあるとして妹の大神操に暗殺されそうになる。これを容易く捌いた和麻だが、まったく反撃せず操を見逃した。
その後、狂気に駆られた操は妖魔化してしまい無数のスライムを従え殺戮を繰り広げる。犠牲者たちから奪った生気で強化した操は再び和麻に襲い掛かるが、それでも実力差は埋められなかった。
実は操の背後にはミハイル・ハーレイなる少年黒魔術師が潜んでいた。彼は所属していた組織の首魁を和麻に殺されており、復讐のために操を利用したのだった。
ミハイルは操から倫理観を奪い取ることで「復讐のためならすべてが許される」という歪んだ価値観を植え付けていた。このタイミングで正気を取り戻された操は罪悪感に嘆き悲しむ。
直後、ミハイルはスライムたちを使役して合体させ、巨大な竜ヴリトラを生み出して乗り込む。更には操を取り込んで人質にされてしまい、和麻たちは劣勢を強いられる。
綾乃を庇ったことで負傷した和麻だが、それでも操を救おうと無茶をしそうになる。仲間たちを信用しないその振る舞いを綾乃から叱咤され、煉と綾乃に戦いを任せて治療に専念。契約者としての力を解放し、綾乃との合体攻撃“蒼炎”でヴリトラを破壊する。
ミハイルは捨て台詞を遺して逃げようとしたが、和麻はテレポートの術式を破壊することで阻止。すると今度は操を人質に取られるが、風の刃でミハイルの手足を斬り落として腹を潰し、蹴り飛ばして蒼炎に焼かせる形で消滅させた。
操は死を望むようになっていたが「有象無象に償う前に身体で俺に償え!」と迫り、強引に説得する。エピローグでは出家する操を見送った。
彼がここまで操を守ろうとしたのは、少年時代の頃に虐められていたのを助けられたからである。一度だけだったとはいえ味方がいない“神凪和麻”にとって、それは心の救いになっていたのだった。
3巻
ある日、和麻は妖精のティアナから「妖精の卵が盗まれたので取り戻してほしい」と依頼を受ける。妖精と精霊王は親戚に近い関係であり、風の精霊王と契約した和麻の下に助けを求めて来たのだった。
下手人は地術師の名家・石蕗(つわぶき)家の首座・巌(いわお)。彼の一族は、大祭という儀式(生贄)によって富士山に巨大妖魔・是怨の封印を担う存在だった。
しかし巌は、娘可愛さから生贄に捧げることを拒み、妖精の卵を利用して生み出した娘のクローンを犠牲にしようとしていた。
そのクローンの名は亜由美と言った。奇しくも脱走した亜由美とたまたま出会った煉が恋仲になってしまい、煉と綾乃は連れ戻された亜由美を助けに向かうことに。そこで別行動していた和麻も合流することになり、石蕗の陰謀に立ち向かう。
ところが石蕗家は既に紅羽(くれは)という女に乗っ取られていた。紅羽は巌の娘だったが地術の代わりに重力制御という強力な異能を持っており、そのため父親から疎まれて育っていた。紅羽は巌を殺害
して復讐を果たし、亜由美(クローン)と真由美(オリジナル)の二人で是怨の封印を行うことで極限まで力を押さえ付け、取り込むことで糧にしようとしていたのだ。
誰も助けてくれず自分で身を守るしかなかった紅羽は、そうすることで強大な力を得ようとしていた。かつては可愛がっていた妹(真由美)も、父の寵愛を受けて育ったことから嫉妬と憎悪の対象になっていた。
ところが和麻が暴れたため衝撃によって是怨が復活してしまう。しかも紅羽は是怨の一部に憑依されて妖魔化しており、重力制御も与えられた能力に過ぎなかった。石蕗を支配していたつもりが、自分こそ是怨の傀儡に過ぎなかった。そのことにショックを受けた紅羽は戦意喪失となり、和麻によって消滅させられた。
しかし紅羽に宿っていた是怨の一部は本体へと戻り、しかも紅羽の憎悪を宿したことから和麻たちに狙いを定める。凄まじい再生力と自己強化によって苦戦を強いられる和麻・綾乃・煉だが、亜由美と真由美の封印能力によって是怨は弱体化。そこを突いた綾乃と煉の同時攻撃によって是怨は砕かれ、最後は和麻の風によって跡形もなく消滅した。
亜由美は妖精の卵によって12歳まで成長させられたクローンだった。その影響で細胞が死に始めており、更に大祭の負荷によって最早余命いくばくもない状態だった。悲しい別れは煉の心に深い傷を残したが「亜由美は妖精の卵の影響で妖精として生まれ変わった」と知り、立ち直った。
4巻
かつて和麻が首魁を殺した組織アルマゲストによる報復が行われる。新宿を舞台に異能を持った少年たちが密かに暴れ回り、誘き出された和麻は次元空間に囚われてしまう。しかし敵地にて囚われていた煉の声が届いたことで、それを目印に脱出。黒幕と対峙する。
それは首魁の側近であったヴェルンハルト・ローデスと言う男だった。しかも和麻の亡き恋人・翠鈴の残留思念から生み出した女戦士ラピスを従えていた。ラピスの姿を見たことで狂気に囚われた和麻は、ラピスとヴェルンハルトを何が何でも殺そうとするようになる。
その場では逃げられてしまったが、以後は神凪と敵対も辞さないという態度でヴェルンハルトたちを追うことに。
5巻
和麻は異能を与えられた少年たちを狩り続け、無理やり記憶に干渉して廃人にさせていた。そうすることでヴェルンハルトたちの居場所を探り当て、新宿中央公園までやって来る。ところがそんな彼を見ていられなかった綾乃が立ち塞がる。実力差は明白だったが食い下がり続ける綾乃を見て「なぜ綾乃を殺せないのか」「綾乃を殺して自分はどうしたいのか」と自問自答する。
その末に「大切なものは一つじゃない。ラピスを殺すために綾乃を殺すことは出来ない」と答えを出す。直後、綾乃が放った極大のプラズマ弾によって敗北した。
正気を取り戻した和麻は綾乃と煉と共に敵地――万魔殿(パンデモニウム)へと乗り込む。そこでヴェルンハルトたちの狙いが、少年たちを生贄にした大悪魔ベリアルの召喚だったことが判明する。少年たちはベリアルのコピー妖魔を憑依させられており、それを通してベリアルに生贄として魂を捧げられていたのだ。113人の魂を捧げてもベリアルを呼び出せるのは数秒が限界。だが出現する際に発する膨大な商機によって東京は間違いなく壊滅してしまう。
和麻たちは3人の同時攻撃によってベリアルの瘴気を相殺したのだった。
力を使い果たした和麻たちの前にヴェルンハルトが現れる。今襲われたら勝ち目がないと思われたが、ベリアルを撃退する様を見てはそんな気になれないと手出しすることなく立ち去って行った。その際にラピスは翠鈴が最後に遺した想いをヒントとして語る。「私は、あなたを殺したい」と。
アニメ版ではこのエピソードで終了となっている。
6巻(最終巻)
ヴェルンハルトは去ったが新たな勢力が東京に現れ始めていた。
風の精霊王から授かったと言われる槍・虚空閃(こくうせん)を持った風術師の少年(実は少女)小雷(シャオレイ)が綾乃に勝負を挑んで来る。
そこへ二人が持つ神器を狙ってクリスティアン・ローエングラムという青年と、ガイアと名乗る中年が襲撃。小雷はガイアにあっさりと敗れたが、和麻と綾乃の敵ではなく撃退に成功する。
小雷は一族をガイアたちに殺されており、特にガイアは父の仇に当たる。復讐のため神凪を利用するべく来日し、手始めに綾乃の力を試したというのが真相だった。
神凪に保護された小雷だが、ガイアたちの存在を察知すると単身で乗り込みに行ってしまう。遅れて駆け付けた和麻と綾乃だが、既に小雷は瀕死になっていた。しかもガイアたちは、風術と炎術を風弄る罠を設置していた。風と炎の精霊を喰らう妖魔によって和麻と綾乃は精霊術が使えなくなり劣勢を強いられる。
しかし和麻は妖魔を倒したことで綾乃はクリスティアンに勝利。引き換えに和麻はガイアから重傷を負わされたが、父・厳馬の救援もあり逆転勝利する。
ガイアは死亡したがクリスティアンはしぶとく生き延びていた。半狂乱のまま報復しようとするクリスティアンだが、そこへゴートなる男が待ったを掛ける。この男こそが二つの神器を狙っていた真の黒幕だった。
ゴートは和麻と綾乃の力を讃え見逃すつもりだったが、和麻にそんな気はなく綾乃との同時攻撃を仕掛ける。しかしゴートもまた精霊を喰らう能力を持っており、二人の術を容易く喰らってしまった。
ゴートとクリスティアンは去り、二人の前には死を待つばかりの小雷が遺された。小雷は虚空閃を和麻に渡そうとしたが、和麻は逆に小雷を虚空閃の正式な継承者にすることで延命処置を計る。小雷は力不足のため正式に継承しておらず、和麻が風の精霊王の権限を利用して契約を完了させたのだった。
残念ながら作者が死去したためこれ以降の掲載は途絶えている。
遺稿では、復活した小雷が和麻に「俺のものになれ!」と告白したり、それを知った綾乃が和麻を「ロリコン、ペド野郎」と白い目を向けていた。