プロフィール
概要
表向きは聖稜(せいりょう)学園高等部の女生徒。真の姿は退魔師を生業とする神凪一族次期宗主。12歳の頃、炎雷覇を託す「継承の儀」にて神凪和麻を下して跡目となった。
一見すると「光り輝くような美少女」だが、実際は猪突猛進の暴力系。
世間知らずなお嬢様で屈託のない性分。悪人および敵対者に対しては容赦せず、興味のない事柄にはとことん無関心を貫くなど、本質的には和麻に負けず劣らずドライ。一応自覚している描写があり、その際は毅然とした態度でよく開き直っている。
良くも悪くも人を選んでいる節があり、たとえ年配者であっても気に食わない相手に対しては、真正面から食ってかかる反骨精神を持つ。素の顔を見せるのは、家族や親友など一部の限られた人間のみ。普段は猫をかぶって良家のお嬢様を完璧に演じている(本人によれば「そちらも素の自分」と述べている)。
他者の気持ちを忖度しない言動が目立ち、風牙衆のことを「弱い連中」と考えていた。復讐を起こした理由も「神を復活させるため(アニメ版では逆恨み)」と述べ、まるで意に介してしなかった。人命を軽視するセリフも垣間見え、和麻に身内殺しの疑惑が掛けられた際、躊躇いもせずに「討ちますか?」と言い出す始末。
加えて術者としての一般常識に疎く、精霊魔術の名門であるマクドナルド家や凰家(および虚空閃)の存在を知らないなど、とりわけ国外に関する知識はかなり乏しい。前者に関してはあまり関心を抱かなかったものの、後者に関しては驚きのあまり言葉を失っていた。
これらの振る舞いは、強者理論を掲げている家風の影響が強い。
実力
一族の中では現宗主である父の重悟、従伯父である厳馬に次ぐナンバー3。
最高峰である朱金の炎はもちろん、神炎の一種「紅炎〈プロミネンス〉」もまた発動可能(ただし、任意ではまだ扱えない)。先述の2人があまりに規格外すぎるため、実力差は大きく引き離されている(和麻曰く「炎雷覇を持った綾乃の10倍は強い」)。
綾乃の実力は努力と才能によるものが大きいが、炎雷覇による補正も大きく受けている。
なまじ高い才能があったため弱者に対する配慮が欠けたり、逆に強者に対する怯懦(「勝てない」「攻撃が通じない」など)を抱いてしまうようになった。精神的な強さは術の威力に影響するので、この傾向は術者としては致命的である。
これらの事情から「任意のものだけを燃やす」という高等技術に目覚めていない。先に弟同然に可愛がっていた再従弟が目覚めてしまい複雑な感情を抱いている(アニメ版では「頼もしい」と微笑を見せている)。
装備
いつも着ている学生服は強力な呪的防御が施された戦闘服でもある。原作では殆ど着替えないが、アニメや公式イラストではパジャマ姿や巫女服などを着ていることもある。
武器は炎の精霊王から下賜された神器・炎雷覇(えんらいは)。
所有者の炎術を強化する特性を持ち、綾乃はこれで大きく戦闘力を引き上げている。生まれつき高い才能を持っているとのことだが、炎雷覇抜きの実力に関しては不明。
動向
当初は自分より弱い者としか戦ったことがなく、いざ強敵と当たると尻込みしてしまい、炎術の精度を落としてしまう致命的な欠点があった。2巻からは克服されたが、自分より強い相手と戦うことには戸惑いを見せている。
作中を通じて思慮に欠けた振る舞いが目立ち、何事も力尽くで解決する傾向にあった。和麻に身内殺しの容疑が向けられた際、何の躊躇いもせず父に「討ちますか?」と問いている。
しかも1巻の後半では、その場に父親がいるにも拘らず和麻に巨大プラズマ弾を撃ち込んで部屋ごと吹っ飛ばそうとしている。これには娘に甘い重悟も看過できず、本気で厳しく教育する方針にした。なお、アニメ版では部屋に乗り込んで和麻に斬りかかる描写に変えられている。
前述のプラズマ弾の一件から、重悟には今まで以上に厳しく接することを決定されてしまい、時折拳骨をお見舞いされたりしている(これを受けた綾乃は、身の程知らずにも「暴力反対」と涙目で訴えている)。
その後、少しずつながら成長を遂げていき、最終話では暴走した後輩・須藤響子を説得し、「頼れる先輩」として見事改心させた(後述)。
戦績
- 土蜘蛛:術を遮る糸で炎術を防御されプライドを傷付けられる。怒った綾乃は土蜘蛛の体内にいる炎の精霊たちに呼び掛け、内部から爆発させることで勝利する。この技は強過ぎるためか以後は使われなくなった。
- 風巻流也(1回目):手も足も出ず惨敗。奇跡的に逃げ出すことに成功するが瀕死の状態になっていた。
- 風巻流也(2回目):やはり実力差は埋められなかったが和麻との共闘によって何とか渡り合い、最終的には死の恐怖を克服して紅炎に目覚めた。和麻によって弱らされた流也にトドメを刺した。
- スライム軍団:本来なら綾乃の敵ではないが、自分の正体が由香里と七瀬に知られたことでショックを受け戦意喪失してしまう。そこを和麻に助けられ立ち直る。
- 大神操:妖魔化した操を殺そうとするも影から現れた巨大な口に飲み込まれどこかへ飛ばされてしまった。利用価値がないということで無事に解放されている。
- ヴリトラ:和麻と操の関係性から複雑な心情のまま戦い、あえて心を無にして戦った結果圧倒されてしまう。危ういところを和麻に助けられるが彼は負傷してしまい、それでも無理をする彼を叱咤激励してお互いを鼓舞した。最後は和麻との合体攻撃で勝利する。
- 石路紅羽:炎術を重力場で圧縮されて無効化されてしまうため逃げながら戦っていた。お互いに決め手に掛けるという意味では時間稼ぎに成功している。
- 是怨:凄まじい再生能力を持つため綾乃、和麻、煉の攻撃でも倒し切れなかったが、真由美・亜由美の協力によって弱体化に成功。連との合体攻撃で肉体を砕き、その破片は和麻の風によって完全に浄化された。
- ラピス:炎術を吸収する水晶の剣やとんでもないバカ力で一時押されるも形勢を押し返すことに成功する。しかし和麻の横槍によって戦闘は中断する。
- 八神和麻:ヴェルンハルト・ローデスとラピスを殺すために手段をエバなくなった和麻を止めるために戦うことに。当初は和麻に怯えていた彩のだが、今の彼が自分の知る和麻よりも弱くなっていると気づくと怒りに駆られ、紅炎を顕現させて勝利する。直後に本来の自分を取り戻した和麻にあっさりと転ばされた。
- ベリアル:和麻・煉との同時攻撃でベリアルの瘴気を押し返して東京を救った。
- 凰小雷(1回目):和麻以上の攻撃力を持つ風の槍に防戦一方になり、ビビった綾乃は和麻に相手を押し付けてしまう。同時に、殺意を持たない相手に本気になれない綾乃の甘さもあって本気は出せなかった。
- クリスティアン・ローエングラム(1回目):水術師ということで相性は悪かったが、水蒸気爆発そのものを燃やすことでダメージを防ぎクリスを圧倒した。
- 凰小雷(2回目):術を使わない武器だけの勝負。小雷は先の戦いから綾乃を侮っていたが、結果は綾乃があっさりと勝利するに終わった。
- クリスティアン・ローエングラム(2回目):炎術を封じられたことで劣勢に立たされるが、和麻の援護によって炎術を取り戻すことに成功。渾身のプラズマ弾でクリスを撃退した。
- ゴート:和麻との同時攻撃を放つが本調子ではなかったことからあっさりと喰われて無効化されてしまう。
見ての通り一騎討ちで勝ったことはほぼなかったりする。
アニメ版
原作では第1巻のラストに服ビリがあるくらいで性描写まったくないが、アニメ版ではパンチラの頻度が恐ろしく多く、シャワーシーンや着替えシーンなどの要素も追加されている。ちなみにパンツの色は純白で、シリアスなシーンでも容赦なくパンチラしまくることからユーザーに「ありがたくない」とネタにされている。その頻度たるや最終話のラストシーンすらパンチラでフィニッシュしたほど。
なお、原作では髪の色は赤(地の文では黒と描写されているが……)だが、アニメ版ではピンク寄りのカラーとなっている。また言動も原作と比べると可愛げのあるものに改変されており、原作にはないアニメオリジナルシーンが多数追加されている。
漫画「紅炎の獅子」
本作は綾乃視点でストーリーが進み、名実ともに主人公という扱い。和麻に惨敗して死の恐怖を抱くという原作にはない描写がある。
更に回想シーンで七瀬、由香里と知り合った経緯も描かれている。中学生の頃、術者という立場上、正体を隠すために友人を作らないようにしていた。しかし、そんな綾乃に積極的に迫ってきたのが七瀬と由香里だった。やがて打ち解けた三人は親友となり、現在の関係を築き上げた。
なお、原作・コミカライズ版では二人は綾乃が術者だということは知らなかったが、アニメ版では既に知っているという設定になっている。
風の聖痕RPGリプレイ「深淵の水龍」
テーブルトークRPGを小説にしたもの。主人公は3人のオリジナルキャラクターであり、綾乃と和麻は飽くまでサブキャラという位置付けであり、戦闘面では一切活躍しない。
ヒロインは風牙衆の生き残りである「風巻美琴」。元々は綾乃に仕えており幼馴染のように仲が良かったが、現在は主人公の燎に仕えている。
主人公の神凪燎も炎雷覇の継承者候補だったが病気をしたことで継承の儀には参加出来なかった。このため綾乃は燎から複雑な感情を抱かれているが、綾乃は燎を路傍の石程度にしか思っていない。
綾乃は終盤にストーリーに絡んで来る。
黒幕である水術師ラーンの目的が、美琴の能力を鍵として、神凪が所有する加倉島に封印された龍(大自然のエネルギー体)の解放であると判明する。
綾乃は島全体に結界を張ることで安心していたが、ラーンはあっさりと突破して美琴。封印が解かれ、島には大津波が迫ってしまう。対処出来るのが和麻と綾乃しかいないため、ラーンとの決着は燎たちに託された。
エンディングではラーンを倒した燎を褒めるなど少なからず彼の実力を認めたようである。
評価
この手のヒロインとしては珍しく、自発的に人助けを行っているシーンが皆無に近い。
物語当初、和麻のことを聞かされた際は「誰それ?」と答え、認識すらしていなかった。地の文では「弱かった頃の和麻は、路傍にある石も同然」と説明されている。コミカライズ版では「その場に居れば助けた」と告げているが、疑問に思った読者は少なくない(上述の通り、無関心を貫いた可能性が高い)。
これらの点も相まって、読者からは「冷たい女」と評されることが多い。一応なし崩し的であるが、たびたび人助けを行うシーンが見受けられるものの、大半がまったく好転しない。
余談
- 受賞当初、原作者の山門は編集部から電話で「綾乃のキャラが立っていない」と指摘されている。
- イラストでは赤髪だが、実は文章の描写では黒髪である。
- 和麻から「胸がない」と貧乳扱いされているが、後に明かされたスリーサイズは見ての通りである。
- 原作にパンチラなどのサービスシーンが一切ないのは、担当絵師の納戸が編集から「パンチラは一切なしで」と念押しされていたため。どうしてもスカートの中が見える構図では暗黒空間にしている。