説明
魔物退治や悪霊祓いは、元々は、聖職者や呪術師、場合によっては武人(武士など)が行う行為で、呼び名も「退魔」ではなく「降魔」「祓魔」などであった。日本でも、僧侶や武士が魔物退治や悪霊祓いをした伝説は数多い。また、カトリック教会の下級の位階にも「祓魔師(エクソシスト)」があった。
それに対して、現代日本のフィクションにおける「退魔師」は、魔物退治や悪霊祓いに特化した存在であり、本業の副産物として魔物退治や悪霊祓いをしているわけでない。
元ネタが元ネタなだけに、背景となる宗教的要素(信仰が伴わない文化的影響を含む)は、
- 霊的な物事に関わる儀式が多く、聖職者の魔物退治や悪霊祓いの伝説も多い。
- 日本における知名度が高い。
という条件を満たすものが主流で、神道や道教のほか、仏教では密教、キリスト教ではカトリックの人気が高い模様である。
逆に言うと、前者に該当しない浄土系・禅系宗派やプロテスタント、後者に該当しないヒンドゥー教や東方教会、双方に該当しないイスラム教などを背景に持つ退魔師は少ない。
形態
エクソシストタイプ
キリスト教系など海外の大多数がこのタイプ。
聖書の詩編や聖水を用いて祈祷をする実在のエクソシストに近いのものから、聖遺物を武器に戦う武闘派まで多種多様。ファンタジーでは、後者がほとんど。拳銃やその弾丸に祝福儀礼を施し、それによって悪霊や魔物を討つタイプも流行している。
神道/陰陽師タイプ
和風退魔師に多いのがこちら。
どちらもまったくの別物なのだが、『巫女服の退魔師少女』の登場により、ごっちゃにされることが多くなった。そのため、護符と玉串を振るう巫女さんが量産されることになる。
また小説家夢枕獏氏の著作『陰陽師』によって、安倍清明がフィクションに引用されるケースも多い。豪血寺一族シリーズのMADムービーも影響しているかもしれない。
密教/修験道タイプ
「孔雀王」、「明王伝レイ」、「カルラ舞う!」等に代表される、仏教や密教を題材とした系統。
孔雀王が青年誌連載であったためか、エログロ描写にこだわる作品が多いのも特徴。
80年台後半にかけて様々なフォロワーも登場するも、作者の宗教的知識に依存する面が多く、作品数自体はあまり多くない。
仏教でも、特に秘密の奥義などが多く、また弘法大師や役小角といった退魔行伝説を持つ人物も多い。
道教タイプ
もっぱら中華圏の退魔師はこのタイプ。
『霊幻道士』で有名になった、「陰陽師」タイプの原形言うべき存在。主に護符や数珠、祈祷をかけた武器などを用いて悪霊などに立ち向かうものが多い。場合によっては、四聖獣などの神獣を召喚するなど、スケールの大きいものも多い。
また仙人などもこのパターンに類する場合がある。
無宗教タイプ
退魔師概念が広がった結果、宗教的な要素に頼らず魔物退治をする退魔師も現れた。
武士の流れで剣術・忍術等の武術を用いる者や、SF分野の超能力や超科学を操るもの、ダンピールのような魔の存在の裏切り者などまで、魔を退けているならなんでもありになっている。
魔物退治に傾注して宗教色が薄れ、小道具は引用しつつも聖職者でなくなっている例や、学生や一般的な職業と兼業しているなど、服装についても自由になっている。
退魔師から派生したであろう対魔忍のように、ぴっちりスーツ類を装備しているものもいる。
pixivにおける退魔師
pixivでも同様に、魔物や妖怪、魔獣、ときには邪悪な魔法使いなどを退治する人間という意味で使われている。
しかし、変態さんの多いpixivでは、ほとんどの場合女性退魔師が描かれている。
舞台を現代・近未来にも過去にも設定できる、最初から超常の存在を前提とするので催眠プレイやモンスター姦などの超常のプレイを自然に行える、戦うため敗北シチュが設定しやすい、
魔法少女と異なり年齢や衣装のイメージが固定されない、一方で巫女服やシスター服などの聖職者衣装を使える、聖職者や人を守る職業らしい高潔さ・清廉さ・闘志といった設定を加えやすい……
などの諸条件がアダルト作品において都合がよく、エロゲーなどで人気を博したところからさらにイメージの拡大が行われ、今日に至る。
このためR-18タグがつけられている絵が非常に多い。どうしてもR-18を避けたい場合は、マイナス検索の使用を推奨する。
(Pixiv的退魔師)関連イラスト
関連タグ
デビルサマナー - 女神転生のシステムに退魔師物のノリを持ち込んだ女神転生シリーズの派生作品。
風の聖痕 - 魔術や異能を駆使して妖魔や悪霊と戦うライトノベル作品。ただし「退魔師」ではなく「術者」「拝み屋」と呼ばれる。
おまかせ!退魔業 − 1996年にセガサターンから発売されたゲームソフト。
もしかして
対魔忍(≠退魔忍)
このほかにも魔と戦い退ける職業に、作品独自の名称を設定している例も多く、退魔師とは名乗っていないが実質退魔師というキャラクター・作品も多い。