ジニス(ジュウオウジャー)
じゅうおうじゃーのじにす
「ジャクド、つまらぬ星ならさっさと破壊しておいで。何せ次の遊び場が、記念すべき100個目の星になるのだから……」(第1話)
「“おもちゃ”だよ。諸君等のような下等生物にこれ以上の価値など無い。この私を楽しませたまえ」(第10話)
宇宙の無法者デスガリアンのオーナー(レオ曰く、「親玉」)。一人称は「私」。
部下達を目的の星へと送り込み、その星の生命を遊び感覚で甚振る史上最悪のゲーム「ブラッドゲーム」の考案者であり、これまでに99もの惑星を滅ぼしてきた。
そして、第1話で丁度100個目の星となる地球に目をつけ、ゲームを開始する。
全体は白く、機械的な外見を持つ。上半身は鋭角的な突起を各所から伸ばした細身の魔人の様な姿で、その上半身の倍以上に大きい下半身を持つ。一見台座の様にも見える形をしているが、一応歩行する事は可能な模様である。拠点であるサジタリアークから一歩も動かず、秘書のナリアが代わりに行動している。
酒好きで、ブラッドゲームで苦しむ人々の様子を肴に杯を傾けるのが何よりも楽しみ。
穏やかな口調で話すが、本性は生きとし生きる存在を遊び感覚で甚振る行為を好む冷酷非情な性格で、自身を「最強生物」と称し、自分以外の生物を「下等生物」と見下す傲慢さを持つ。
自身が「下等生物」と見なした者は「おもちゃ」「自身を楽しませる道具以上の価値は無い」等と断言している。
しかし、今までの悪の組織の首領と違い、あくまで 『侵略』ではなく『ブラッドゲームの観戦』が目的 である為、プレイヤーが敗れてゲームが頓挫してもその過程で楽しめたのなら、ボッコワウスのように怒って癇癪を起したり、10サイのロボゴーグのようにプレイヤーのリーダーであるアザルド並びクバルを責めたり折檻する様な真似は一切しない。
突如他組織の怪人が現れても、驚くどころか興味を示した上で「ゲームに組み込めないか?」と考えたり、倒された怪人を見て「この戦いの続きを見たい」が為にナリアにコンティニューを命じる等、彼にとっては全ての生き物がゲームの駒なのである(劇場版では戦闘員を作るメダルを盗んだ宇宙人を狙うどころか、メダルの奪還や報復等を考えずに観戦しようとしていた)。
アザルドの特性を熟知しており、コンティニューしようと赴くナリアを呼び止める等、どんな状況でも冷静に見極める余裕と高い洞察力の持ち主で、ブラッドゲーム用に開発した殺戮マシーン・ギフト(及びその改良機)を作り出す頭脳を持つ。
尚、アザルドとの付き合いはかなり長いらしく、かつて “酷い状態” で宇宙を彷徨っていたアザルドを助けて以来の関係らしい。
また、自身の配下が反逆を企てた際も目立った対策も講じない所か、逆に相手がどんな行動をするか楽しみに思う等不敵に構える。この態度は “自分自身で如何なる危機も自分の力で捻じ伏せられる” 絶対的な確信がある為で、実際の戦闘でも巨体に似合わない敏捷さで敵の攻撃をかわし、数発で建物を粉々に出来る威力の電撃を武器として放つ。
しかし、この確信は「根本的に自身しか信用せず、その場の感覚で部下の切り捨てへの躊躇が無い冷酷・自分勝手さ」の裏返しでもある。
体の細胞から『コンティニューメダル』と呼ばれる金色のメダルの生成が可能で、これにより部下を復活・巨大化させられる他、エネルギーを込める『メーバメダル』はジニスの近くに大量に積まれている模様。
チームリーダーの1人ジャグドがジュウオウジャーに倒されたのを切っ掛けに、ジュウオウジャーに強い興味を抱いており、当初は障害として見做してはいなかった。
しかし、ジューマンの存在を知っている上に王者の資格に似たキューブを所持し、捕らえたジューマンのジューマンパワーを強制的に引き出す等、アザルドやクバルすら知らない秘密を有しており、何故キューブを使えるのかは第16話時点では不明だった。
第10話で、抵抗ぶりを見せるジュウオウジャーに更なる興味を持ち、自ら主催する特別ゲームを開始。
自身がブラッドゲーム用に開発した殺戮マシーンを投入、触れた生物を消滅させるバリアを町中で展開・縮小する中、バリアの解除装置を探すブラッドゲームでジュウオウジャー達を追い詰め、更に追い討ちをかけるように解除装置に偽装した、ギフトの起動スイッチをジュウオウジャーに操作させた上「ご褒美」と評してギフトによる破壊活動を行い、ジュウオウジャーを一度敗北に追い込み地球を滅ぼす寸前に追い込んだ。
しかし、第11話でジュウオウキングとジュウオウワイルドが合体した新たな力によりギフトが敗北・破壊されるが、意外な力を見せるジュウオウジャーの戦いぶりに満足したのか、自身のゲームが失敗したにもかかわらず、動揺も見せずに終始楽しんでいた。
第16話で、更にゲームを盛り上げる為にナリアに『ジューマンの捕獲』を命じ、ナリアとマントールの活躍でサイ、オオカミ、ワニの3人のジューマンを捕獲に成功、同じく捕らえた地球人門藤操に自身が持つ謎のキューブの力で3人のジューマンからジューマンパワーを強制的に引き出して送り込み、恐るべき存在ザワールドを作り出した。
第17話の終盤でエクストラプレイヤーとしてザワールドを出撃させるとジュウオウジャーを圧倒するが、第18話でジュウオウイーグルとの戦闘中に不具合を起こし元の姿に戻ってしまうとナリアに回収させ大量のメダルを注入して再調整する。
第19話で再度ザワールドをジュウオウジャーに差し向けるが、ジュウオウジャーの説得により正気に戻ってしまい、第20話で「ジュウオウザワールド」と名乗りジュウオウジャー側に就いてしまった。
ジニスからして見れば、自分が作った玩具をジュウオウジャーに奪われる形となってしまい、これには流石に怒りを覚えたのか、第20話の次回予告でワイングラスを握りつぶして憤慨するシーンを見せている(ただし、本編ではカットされている)。
エクストラプレイヤーがいなくなり、またいつもと同じブラッドゲームに戻ってしまった現状に興ざめたのか、その後、しばらくはブラッドゲームの内容を聞いていない(第22・23話)等のやや拗ねた様な態度を見せていた。
結局、ザワールドを「出来損ない」としてあっさり見限ったジニスは、それに代わる新たなゲームの新要素として、第23話において突如としてジュウオウジャーとプレイヤーの戦闘に乱入した外部の巨獣ハンター・バングレイに目を着け、ナリアを介してバングレイをサジタリアークへ招き入れる。
そして、オーナー権限でバングレイにブラッドゲームへ参加する誘いを持ち掛けたところ、その高い能力と暴れぶりを見せた為に彼を気に入り、ジニスは「『プレイヤー』ではなく『アザルド・クバルと同等のチームリーダー』として、デスガリアンに迎え入れよう」とする破格の条件を持ち掛けた。
しかし、バングレイ自身は「ジニスを喜ばせる」のが目的のブラッドゲームを気に入らず、ジニスの持ち掛けた条件を蹴り、あくまでも自身の目的の為に単独で行動。
この為、彼の言動や態度に反感を抱いたナリア達とバングレイの間に不和調音が生じるが、ジニス自身は「勝手に動く向こうも計算したゲームをすればいい」「バングレイの活動で自分が楽しめるならそれでもいい」等の妥協案を挙げて、一先ずこのスタンスで黙認した。
また、不遜な態度を取るバングレイに対しても「あんなものは侮辱の内に入らんよ」と冷静に語ったが、その言葉に続いて「本当の侮辱というのは……」と意味深に呟いている。
……と思われたが、実はバングレイが狙う “伝説の巨獣” キューブホエールを最初から狙っていた胸中が第31話で明らかになり、ナリアにギフトカスタムを渡し、ジュウオウジャーとバングレイが争ってる間に横取りしようと企む。
ギフトカスタムは破壊され、キューブホエールもジュウオウジャーの手に渡ったが、何故かギフトカスタムに記録させていた交戦データが取れただけで満足した。
その後バングレイが死に、その手を移植したクバルがとうとう、第41話で自身への反逆を決行する。
先んじてクバルが捕らえたナリアの記憶より創り出された、コピーのアザルドの言葉に乗って地球へ降り立ち、ジュウオウジャーと直に二度目の対面。直後「サジタリアークから離れると、エネルギー切れで弱体化する」秘密を掴み、ジュウオウジャーやナリアをも巻き込んでジニスを誘き出したクバルが、コピーの配下を引き連れてジニスを包囲する。
しかし、それでも態度を崩さないジニスは以前入手したキューブホエールの交戦データ入りのメモリーを取り出し、自分の体内に取り込む。
実はジニスが欲しがっていたのは、地球のパワーを取り込んで動くジュウオウキューブの能力であり、サジタリアークから動けない自分の弱点を克服する鍵を、さり気無い形で既に得ていたのだ。
そして想定外の事態に戦慄するクバルの前で、地球のパワーを吸収したジニスは新たな姿へ変貌する。
名前の由来は天頂(zenith)。天文学の概念で、天球上において観測者の真上に当たる点を指す。
オーナー→店長→天頂の変化だろう。
また同時に、あたかも天頂の位置から見つめるが如く、ゲーム全体を俯瞰出来る存在 “ゲームマスター” の意味も含まれていると思われる。
天頂の反対である天底(nadir)もナリアの名前の由来と推測される。
声を演じる井上氏はスーパー戦隊シリーズへの出演は初となり、東映の特撮作品の出演は『人造人間ハカイダー』のミカエル以来の出演となる。
このキャスティングを担当したのは、当時東映アニメーションから特撮に出向していた柴田宏明によるもの。
スーツのデザインや演者からの考察
メーバメダル及びコンティニューメダルの生成過程等から、その正体が仄めかされていたジニスだが、実はその外見自体が彼の正体と本質を象徴するデザインとなっている。
まず、特徴的な台座の如き下半身だが、全体的によく見ると本来の姿であるメーバを豪華にしたようなデザインである。更にその上部からスマートかつ端正な上半身が生えているが、この上半身を『理想の姿』と仮称すると、「本来の姿を嫌悪し理想の姿を崇拝する」ジニスの精神構造のイメージをその外見に重ねて見れる。
また、デザインを俯瞰して見るとその外観は「ロングドレスを着た貴婦人」(頭部のデザインも婦人帽の一種・ボネ=ボンネットを連想出来る)なのだが、これは〈メーバの本体⇒生命を生み出す⇒女性的〉の連想から正体を仄めかす為だろう。演者をベテランのスーツアクトレス、神尾直子女史にしたのもここに因むと思われる。
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