レム(ウルトラマンジード)
れむ
「彼の父親は、ベリアル。ウルトラマンベリアルです」
リクの住む街にある天文台の地下500mの地点に位置する「星雲荘」と呼ばれている秘密基地の中央指令室に設置されている報告管理システム。
自称「声だけの存在」で、常に機械的な敬語口調で話す。性別は特にないと思われるが、会話の際に女性的な声を発するためなのか、ゼロからは「コンピューターのお姉ちゃん」と女性人格として認識されていた。そうしたことも原因だったのかは定かではないが、後述の通り一時的に人間態を形成した際に若い女性の姿を取って行動していた。
基地内で会話する際は、メイン画像にあるような黄色い電球のようなコアを点滅させる。
「Bの因子」を持つ朝倉リクに秘密基地の所有権を譲渡し、ジードライザーとウルトラカプセルを託すと共に、彼が悪の戦士:ウルトラマンベリアルの息子であることを伝えた。
以降、怪獣出現地点にリクを転送したり、球体型偵察機「ユートム」を発進させて怪獣出現現場をモニターに映し出したりリトルスターの探索に活用したりとリク達をサポートする。
場合によっては重要な情報を提供してくれることもあるが、リトルスターの詳細に関しては開発者である伏井出ケイによって情報がプロテクトされていたためにアクセスすることができなかった。
レムという名は「名前がないとやりづらいから」という理由でリクによって与えられたものだが、自身は「レポート(Report)・マネジメント(Management)のイニシャル」と勝手に解釈するなど、割とユーモラス(?)な一面もある。実際には、『爆裂戦記ドンシャイン』に登場するヒロインから拝借されたものであり、同時にストルム語で「呪縛」を意味する言葉でもあるらしい。
また当初は「マスター」と呼んでいたリクを、本人の指示を受けて「リク」と呼ぶようにしたり、第13話で悪ふざけをしたリクをこらしめるために記憶喪失という名の故障を演じるなど、意外に茶目っ気があり融通も利く高性能なAIである。また第3話ではリクの命令でマスコミに向けて「ウルトラマンジード」の名前と彼が「敵では無く、運命に逆らい立ち上がるもの」というメッセージを送った。
なお、基地は元々伏井出ケイによって作られたもので、ベリアル(厳密にはベリアル軍)の所有物だったらしいが、放送前のカウントダウンメッセージでは「どこの勢力にも属していない」と語っており、ベリアル融合獣と戦う際にも特別な反応は見せなかったため、どういう意図を持って活動しているのかは不明。
ただ、第11話にて自身の出生の秘密を知ったリクに「レムは味方?」と問われた際は「今のマスターはリクです」と迷わず答えているほか、第19話でケイが星雲荘に乗り込んできた際にはリクたちに警告を与え、エレベーターで安全な場所へと退避させるなどしており、あくまでもマスターと認めたリクに味方する姿勢を貫いている。
『ウルトラマンZ』では現時点では直接の登場はないものの、ネオブリタニア号(=星雲荘)は登場していることから、レムも基地内のシステムを司る立場として、引き続きリクやペガと共にデビルスプリンターの調査に携わっているものと推測される。
第13話で肉体を持つことに強い憧れを抱いていると思われる台詞があったが、彼女の願望は第19話で意外な形で果たされることになった。
伏井出ケイが自身のストルム器官の治療を目的に突如星雲荘を襲撃し、基地を乗っ取ってしまったのである。
レムはケイの手によって消去される危機にさらされるものの、緊急措置として自身の声を元に肉体を作り出して基地から脱出することで事なきを得た。こうして誕生したのがこのレム人間態である。
その後、リクたちと無事に合流し、行動を共にしていたが、彼らの動向は最初からケイによって監視されて筒抜けであり、改めて基地奪還に向かおうとしたところをケイから送り込まれた指令によってプログラムを書き換えられ、メカゴモラの頭脳として利用されてしまう。
長らくジードの戦いを目にしてきたためにジードの攻撃パターンを完全に熟知しており、攻撃を悉く先読みして反撃するなど圧倒的な強さでジードを苦しめるが、リクの必死の呼びかけを聞くうちに徐々に心境が揺らいでいき、最終的に精神世界でケイに忠実な自身のもう1人の人格と対峙した末、これを打ち消し、メカゴモラから脱出する。
その後は肉体を失いながらも、ケイから基地を取り戻すことに成功、戦いを終えて帰還してきたリクたちをいつものように暖かく出迎えたのだった。
なお、作りあげた肉体が本物の地球人のそれであったためか、AIであるにもかかわらず非常に表情豊かであり、感情もちゃんと存在する。とはいえさすがに恋愛感情のたぐいは理解できないようで、リクのアルバイト先「銀河マーケット」にいた時は、ハルヲ店長に好意を寄せられて「この男はどうして私を監視するのか」とリクに真顔で尋ね、彼を困惑させている。また、緊急脱出にもかかわらず選んだ靴があろうことかハイヒールだったり(そのせいで転びそうになった)、方向音痴であることが発覚したりしている。あれ、もしかして…。
担当声優の三森すずこは、かつて自身のラジオ番組で『怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜』を紹介した際に同作への出演をプッシュしていた(同作には当時三森と同じ事務所に所属していた徳井青空や、『ジード』でペガッサ星人ペガ役で三森と共演している潘めぐみも出演していた)が、結局本家の方に出演する事になった模様……と思っていたら、そちらの方にも2期からキングジョー役で出演することが決定してしまった。おそらく“機械”繋がりでの抜擢であったと思われる(レムの場合、冒頭でも書かれている通り厳密には人工知能(AI)だが。ちなみに『ジード』でもキングジョーが間接的に出演している)。
また、これにより、飯田里穂、上記の潘めぐみに続き、ウルトラシリーズ本編と『怪獣娘』の双方に出演した3人目の女性声優となった。
なお、三森曰く、「某社で出会ったピグモン(と後ろにいた円谷プロの関係者)に願掛けしたら出られた」とのこと。
当初は声の出演だけが決まっていたが、その後、第19話で実際に顔出しで出演することが決まり、信じられず恐縮する一方で「孫の代まで伝えられるチャンス」と好機に感じたという。
ちなみに、第19話の撮影はちょうど真夏の一番暑い時期に行われたため、衣装が厚手であったこともあって非常に苦労したことを、後にラジオ番組『怪獣娘~ウルトラ怪獣ラジオ化計画~』で語っている。
三森はウルトラマンゼロ役の宮野真守と同じく歌手活動をしており、アニメロサマーライブ等に出演経験も持ち、ウルトラシリーズで主題歌に関わらないか期待する声もあった中、ぺガと共にキャラクターソングをリリースしている。収録曲は「マホロバリバティ」と「GEEDの証~レムバージョン~」の2曲。
また、次回作の『ウルトラマンR/B』では声優としては参加していないものの、歌手としてエンディング曲『夢飛行』を歌うこととなった。(ちなみに、宮野も声優として参加していない作品でウルトラシリーズの楽曲を担当したことがある。)
また、三森は『ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀』以降ウルトラウーマンマリー(ウルトラの母)の声を担当することになった。
同作では、ベリアルがマリーに好意を抱いていたことが判明しており、このことからマリーへの未練を引きずったベリアルが彼女をモデルにレムを作ったのではないかと冗談めかして言われることも…。もっとも、実際に作ったのは前述したように伏井出ケイであるのだが、第19話の初期案ではレムの出自についての回想が入る予定で、伏井出ケイのパートナーがAIのモデルになったという設定であった。レムという言葉の本当の意味を含め、中々業の深い出自である。
第19話でメカゴモラの頭脳として利用されてしまうという展開は、『メカゴジラの逆襲』へのオマージュではないかいう意見がある。ファンの間では、上記の『怪獣娘』でのネタも踏まえて、「搭乗したのがキングジョーだったら完璧だったのに」なんて声も。
初期には壁に埋め込む案も存在した。
名前の由来はSF作家スタニスワフ・レムから。
報告管理システムレム:表記揺れ。作品名を含まない個別タグとして考案されたもの
エリー(ウルトラマンマックス):オペレーターAIとしての先輩。アンドロイドで元々身体があったこちらに対し、レムの場合本当の地球人の身体を作ってしまった点で異なる。なお、「人間と交流を重ねるうちに人間らしさを獲得していく」「メイン回にて敵に操られ、基地が襲撃される」といった共通点がある。
東郷美森:声優+記憶喪失繋がり。第13話の一件で彼女を連想した視聴者が多かったようだ。
ジャーヴィス:アメリカのスーパーヒーロー映画MCUシリーズに登場する人工知能(原作では普通の人間で執事だった)。実生活と戦闘の両面で主人公を支える、人工知能にしては割と茶目っ気ある性格、経緯は異なるが敵の襲撃に際してボディを得るなどレムとは共通点が多い。
エディオム:ジード本編から6年後に登場した意思を持つ人工知能。作中騒ぎを起こすが、ゼロに諭され和解する。その翌年、ひょんなことから彼も肉体を得てある人間と出会うことになる。その後、「極限まで発達した人工知能への魂を持つ」ためレム人間態の一件を振り返ってみることになった。
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