ラドン♪ ラドン♪ 電波怪獣♪
概要
「ありえない生き物」の一種と推測される飛行生物。古代に存在した翼竜(特にケツァルコアトルス)に酷似した姿をしているが、その実翼竜とも恐竜とも異なる存在。
体組織から放射性物質であるラドンが検出されたため、 「未確認生物 ラドン検出」 などと報道されたことでいつの間にか「ラドン」と呼ばれることになった。また、その鳴き声からは高周波の電波が発信されている他、自身も特定の波長に反応する性質があることから、仲間と電波でコミュニケーションをとると考えられ「電波怪獣ラドン」とも呼ばれている。
他にも解剖の結果「細胞内にデンキウナギなどの発電器官に似た組織」や「胃に相当する消化器官が特定出来ない」、「ホメオボックス遺伝子(地球生物共通の遺伝子)が存在しない」などといった歪な特徴が判明している。
海から出現しており、本来は水中に生息していると考えられているが、その生態は謎。
電波を発するもの以外に動くものや大きな音を出すものに優先的に襲いかかる習性を持ち、生き物でなくてもそれらを使って気を引くこともできるが、壊れて動かなくなると即座に興味を失い、近くの人間に標的を変える(このラドンを誘導できる電波は後にオオタキシグナルと名付けられて実用化されたが、下記の自己進化や紅塵による電波障害などの影響により、自衛隊により都内で使用された際は効果がなかった模様)。
全体的にはそんなに強い怪獣ではなく、通常の兵器でも容易に撃退、殺傷が可能なうえ、当初は出現後数時間で活動限界を起こして突然死してしまっていたが、出現を繰り返す度に次第に進化を続けて生物として安定したことで突然死を克服し、更に大群の出現と飛翔を繰り返し散布し広がった"紅塵"に包まれた環境内では「不死身とも言えるくらいしぶとい」という報告がされており、紅塵こそがラドンの生息環境にして生存に必要不可欠なものとなっている。
各種形態
複数のタイプの個体が確認されているが、いずれも過去作に登場した各個体以上に翼竜らしい容姿をしており、そのほとんどが今までの個体と比べかなり小さい。
このように見た目は原典と大きく異なるが、鳴き声だけはこれまでと全く同じ。
- 第0形態
インタビューや小説版にて示唆されている上陸前の形態。
水中生活に適した後ろ足のない魚のような形態をしているようだが、上陸直前に翼竜のような姿に一瞬で進化するためその容姿は不明。
- 大型ラドン(第一形態)
千葉県房総半島逃尾市に突如現れた個体。全長5mほどで、赤、青、黄の毒々しい体色とトサカが一本で額と背中と長い尾の先には青い鰭のようなものがある。大雑把にはケツァルコアトルスの大きさにまで巨大化させランフォリンクスの尻尾をつけたプテラノドンのような姿。体表や嘴の硬度はそれなりに高いらしく、ジェットジャガーの金属部分と打ち合えば火花を生じるほどに硬い。自動車はおろかジェットジャガーすら容易く投げ飛ばす膂力があり、ジェットジャガーからの打撃も通用しないタフネスを持つ。
口内はペンギンなどのように歯が外側だけでなく、おろし金のごとく口の中全体にびっしりと敷き詰められており、口の中に入れられた時点で犠牲者は助からないことが見て取れる。
出現したてなこともあり紅塵の特性に依存して器官や機能が不完全だったためか、出現しても短時間で活動限界を引き起こし突然死してしまった(死体は茹で上がったように熱を持っていた)。
- 成体(第二形態)
房総半島南部の海中から群れを成して飛来してきた個体群。
上記の個体と大きさや細部が異なっておりヒレや尾が短く地味な配色とトサカが2本と、よりオリジナルのラドンやケツァルコアトルスなどのアズダルコ科に酷似している。また、口内の歯は一~二列に減っており、消化器官も極端に小さくなっているほか、性別の違いも発見できてない(もっともこれらは最初に出現した個体群に限った性質らしく出現を繰り返す度に足りない形質が補われていった模様)。一方で新たに体内に紅塵を溜め込み、散布する器官が形成されており、これにより長時間の生命活動と棲息環境の確保が可能となった。
性質は獰猛で他生物にも容赦なく襲いかかるうえ単独でも車を破壊できるほどのパワーを持つ。
エラのような器官(目の前にある縞状の部分がそれ)も確認されるなど、生物としては全体的に洗練された印象が強く、ユンはラドンが進化を自在に操れる可能性を指摘しており、いずれ突然死をも克服できると推測した。
当初は上記の個体とは別の種類だと考えられていたが、公式サイトの情報から成体であることが判明した。だがその大きさは目測2mほどと幼体の頃と比べかなり小型になっているが、その分狭い町の中でも自由に動くことが可能になり、その気になればバスの中にも入れてしまう。
『古史羅』について記された絵『古史羅ノ図』にも『羅甸天狗(ラテンてんぐ)』として記され、山伏のような服を着た姿の群れとして描かれており、大滝のおやっさんは「次にあの翼竜が現れるときは群れだ」と予想した。
- 第三形態?
第10話にて突如紅塵により紅く染まりきった東京に飛来してきた超巨大な個体。
影や焼け焦げたかのように漆黒の外見でシルエットは成体に酷似しているが、その一方で従来のラドンにもっとも近い形質と大きさになっている。また、口内が赤く発光しており、翼や全身からも黒い蒸気や火の粉を発しているところから、かなりの高熱を宿している模様。
鹿子行江の「O・D」の説明の中で、適しないコードを用いた場合には「炭になるだけ」とあることから、この黒い蒸気は不完全な巨大化で発生した炭と考えられる。又、同様の黒い蒸気がジェットジャガー巨大化のシーンにおいても確認できる。
Twitterでは「漆黒のラドン」、「巨大ラドン」などと呼ばれているが、公式サイトなどでもその実態は判明されていない。
その後テレビ放送後にツイートされたスタッフのコメントによると、巨大ラドンの口元の発光は「 本来の設定、コンテ上では存在せず、ファイヤーラドンぽい遊びとして演出指示で足したものです。本来はビームが出る設定なかったのです 」とのこと。
活動
劇中最初に出現した怪獣として登場。
ミサキオク周辺で起きた電波障害と謎の歌の中ラドンの鳴き声が響き渡り、終盤で逃尾市の夏祭り会場に突如現れ、その異形を見せつけることで人類に破局の始まりを告げた(この個体はアンテナに腹を引っ掛けたり、不安定な所に着地したために滑り落ちたりと都市の環境に四苦八苦する様子も見られた)。
そこに駆けつけた大滝吾郎の操縦するジェット・ジャガーと交戦するが、右腕やコックピットを破壊するなどして圧倒。有川ユンが遠隔操作の再起動までの時間稼ぎとして注意を引かせた隙にトラックや再起動したジェットジャガーの不意討ちを受け、慌てて空へと逃げ出して態勢を整えるが、突如絶命し墜落した。
その死骸はどこかの博物館から30億(円?)で購入を希望する打診があったようだが、直後に別個体の死骸が相次いで見つかった。ちなみにラドンの出現した逃尾市はその後ラドンを用いた町おこしが行われ、服や饅頭、人形、「ラ丼」など様々な商品が発売された。ただし後の世情から世に出しにくくなったと考えられ、第10話ではラ丼のメニュー札に「終わりました。」という札が貼られていた。
第2話終盤から先の逃尾市近海の紅く染まった海から大量の群れが出現し、身体から生じる赤い砂・通称『紅塵』による「赤い飛行機雲」を形成しながら襲来。逃尾市の町に大きな被害を出したが、オオタキファクトリーの面々が対ラドン用に開発した装置、『対ラドン用特殊アンテナ搭載 ジャイロキャノピータンデム2(通称:ジャイロZ)』によって発せられる鳴き声の波形と同等の電波"オオタキシグナル"によって大部分の個体が誘導された(途中、事故によってバスや小屋などに取り囲まれてしまったが、ユンが避難していた場所に居合わせた弓道部の女子高生の協力とペットボトルを元にユングの計算で即急に作成した鏑矢の放つ音に誘導され、撤退した)が、まだまだ進化を急いでいた不完全な状態だったため上記の個体と同様に数時間後には全個体が急速に衰弱し始めて次々と墜落し、瞬く間に全滅した。
なぜラドンの群れが都市部に襲撃してきたかについては謎が多いが、作中では「電波怪獣ゆえ電波を目指す習性があり、電磁波を出す人間の活動に引き寄せられているだけ 」という仮説が出ている(現に電柱のトランスやバスの通信機器に対してラドンが攻撃的な反応をしていた)ほか、突然死の理由には海から出現した所から「 普段暮らしているのとは異なる生息環境に至り力尽きた 」とも考えられており、そこからネットでは宇宙生物ではないかとも「ラドン墓場」なる都市伝説なども噂されるようにもなった。
その後第4話にて死亡したラドンの大部分(研究用に100体冷凍保存、それ以外の3000体以上)が市内の山に集積されたが、まだ息のある個体もいたほか、うち一匹が何者かに盗まれ食い荒らされており、これが後の怪獣騒動の発端となった(ちなみにこの時のラドンの死骸は死後結構時間が経ち分解されつつあったからか喉や鶏冠が青いなど大型ラドンに近い配色になっていた)。
それからしばらくして新たにラドンの大群がニュージーランドやシンガポールなど太平洋西岸諸国にも飛来したことが語られ、続く第6話の冒頭では更に大規模な群れを成して大西洋からマンハッタン島などアメリカ東海岸に出現し、都市を紅塵で紅く染め上げていった(なお、この時マンダの群れと超巨大生命体が東京湾に来る際に彼らを先導するかのように1羽だけ飛来し、その後逃尾市で死亡した)。
その後、危惧通りヨーロッパにも襲来した他、東京にもゴジラと名付けられた怪獣とともに群れが出現。世界中が紅塵による侵食やラドンによる襲撃、電波障害による大混乱に陥ることになった。
さらにイギリスにて1羽が飛来してきたのに続けて大河を遡上してきたマンダの群れを追うようにヨーロッパ中のラドンが集まり、ロンドンでも大規模な大群が襲撃。民間人にも容赦なく襲いかかり、更には少女の飼い猫を助けようとした李桂英の命を銘の目の前で奪っている(ちなみにこの時一瞬CGじゃない作画で描かれたラドンが映っていた)。
日本ではゴジラが熱爆発によって活動停止した頃には紅塵とともに姿を消したが、ゴジラが新たな姿となって目覚めるとともに再び東京に現れるようになり、その中で突如黒い巨大な個体が出現し、ゴジラに襲いかかったが、ゴジラの口から放たれた青白い光輪の一撃で呆気なく倒された。(その後、何故かその死骸は発見されなかったという)
ジェット・ジャガーを伴ってユンたちが船に乗って紅塵に染まった東京の河川を進んできた際には第一形態の個体がその船に襲いかかったが、強制再起動とアップデートを繰り返していた途中でありながら「脊髄反射」で動き出したジェット・ジャガーの手で駆逐された。都内では縄張りに侵入した松原美保ら自衛隊の車両を群れが追跡し、彼らを追い詰めるが、直後に駆けつけたジェットジャガーPPによって何体かは討伐され、残った個体も撤退した。
その後、ゴジラの鎮座する東京駅へ向かうユンたちを大群で追跡、飛行能力を得たジェットジャガーPPと空中戦を繰り広げたが遂に体高100mに成長したゴジラのところまでたどり着かれてしまったことで近づけず、そのままゴジラの放った熱線の凪払いに巻き込まれ焼きつくされてしまった。世界中に残っていた個体も、最終的にジェットジャガーPPの犠牲により発動されたオーソゴナル・ダイアゴナライザーの連鎖爆発によって紅塵が青い結晶になり消滅したことで全滅したと推測される。
動画
余談
『怪獣惑星』での白骨化した死骸、(ヤン・デ・ボン時代のごたごたで東宝怪獣が登場できなかったので)ラドンの代役で登場した『ゴジラ・ザ・シリーズ』のケツァルコアトル、学習ビデオの演:星河舞をのぞけば、ラドンのアニメ作品での登場は初となる。
成体は、『KOM』へのラドンの登場が判明した後にネットに出回ったファンのイラストに似ており、群れを成す様子は平成ガメラシリーズ以降のギャオスやジュラシック・ワールドの翼竜の群れにも似ている。
また、偶然か否か怪獣惑星の初期案や怪獣黙示録にあった「(スズメのように)群れを成して飛ぶラドン」が映像化されたことになる。
目玉が死骸から垂れ、群れを作り、電磁波に関する生態を持ち、解剖等による科学的分析が行なわれる描写があり、保護すべきだという論調が地上波で紹介されたりと、平成ガメラシリーズのギャオスとレギオンを思わせる部分が目立つ。東宝系では、怪獣黙示録の怪獣は全部電磁波を発すると推測されている点がにている。
また、「電磁波を放つ」「強いが人間(の機械)の力で勝てないほどではない」「多数いる飛翔生物」「十数メートル」という点からセルヴァムとの類似を指摘する声もある。
- 怪獣黙示録シリーズでは、怪獣自体が電磁波を吸収する生き物だとされ、空を飛ぶ怪獣は重力をコントロールしている可能性が指摘されている。
初登場以降、様々な局のニュース番組で同時多発的に討論会が開かれ、それが火を点けてネット上ではプロアマ問わず憶測が飛び交い、しまいには「俺だよ、俺。俺が怪獣だよ」とのたまう怪アカウントが発生するなど、劇中の社会の動きは現実を強く意識したものとなっている。
劇中ではたびたび「恐竜」と称せられるが、厳密には翼竜は恐竜とは違うカテゴリーに入る生き物である。
公式サイトでの成体のイラストが第3話のテレビ放送後変更されており、そのイラストでは四肢の指が描かれているが模様がなく、背中にはゴジラと瓜二つな背鰭が生えている。(なお、それ以前のイラストのほうが指が描かれてないが劇中に出ていた姿に近く、もしかしたら変更後が初期案のイラストなのかもしれない)
第10話放送後には表記が「成体」から「第二形態」に変更されているがこれが何を意味するのかは不明。
第3話のテレビ放送後に公式サイトにて「期間限定配信8bitミニゲーム-逃ゲロ!!電波怪獣ラドンダ!-」が2週間限定で配信されることなった(現在はもう遊べなくなった)。
……が、後に第9話テレビ放送(クモンガ大量発生回)を記念として再び配信開始。ラドン(成体)に加えクモンガとハネンガも登場するようになったほか、さらにはゲーム後半にあの未来を予知する怪獣も…?
その後『CGWORLD』6月号での怪獣デザイン担当の山村氏のインタビューによると、ゴジラ同様「プテラノドンが怪獣化した」という設定を原点回帰したデザインとなっており、様々な翼竜の特徴を混ぜたデザインに従来のラドンの要素を少しずつ足していったという(当初はトサカが2本だったが、プテラノドン要素を強めるために1本になった)。
ラドン(成体)も大型個体とデザイン過程は同じだが、さらに従来のラドンのイメージに近づけたものとなっている。さらに「海から飛び出す」シーンからアホウドリやカツオドリなどの海鳥に共通するシルエットや白鳥の首の長さを加えることで上記の個体と差別化を図るほか、見たことない生物でありながらも既存の生物の持っている機能があることで説得力が生まれるようにしているという。
ファンブックでのインタビューによるとラドンが小さいのは鳥のように周囲を飛ぶことで怪獣(ゴジラ)の巨大感を引き立たせるためのほか、容姿も最初に登場する怪獣なため全く見たことがない造形ではなく実在しそうなギリギリのラインのがやってくるほうがいいとして恐竜感を強くしたデザインになったという。
また、脚本の円城搭のインタビューによると「海の中では鳥の形態のわけがないから、たぶん海から出るときに姿が変わるんですよ。」とコメントしており、海にいる時は鳥(翼竜)とはまた別の姿をしていた可能性がある(上のイラストはそこから想像して描いたもの)。
その後発売された円城搭監修の小説版にて実際に上陸前は魚のような姿だったことが語られていたほか、出現や突然死の理由、自己進化などのアニメ本編では語られなかった詳細が記載された。
関連タグ
ギャオス、セルヴァム:群れをなして人を襲う等、どちらかといえばこちらに近い。
ミナミジサイチョウ:登場作品放送年にちょっとした話題になったリアル怪鳥。「千葉県に出没した巨大怪鳥」と劇中のラドン出現時と似たような報道がされたが、こちらは無害かつ1羽のみ。