概要
ヒヒとトカゲをかけ合わせたような姿の陸棲二足歩行の怪獣で、猿のように長い四肢を持ち、二足歩行やナックルウォーク、柱を伝ってよじ登るなど非常に高い運動能力を誇る。性格は極めて凶暴で攻撃的。
全長21m。爬虫類的な皮膚に長い一本角と長い耳、そして背中や四肢の付け根、指に並んだ板状の鱗やトゲなど、ガバラやバラゴンにも通ずる特徴を有している。また、下顎が大きく発達し下前歯が上唇に当たっているからか、口元にちょび髭のようにも見える痕が付いている。
名前は額の青い模様が弓のように見えることに由来してヒンドゥー教の女神ヴィシュヌが使う武器である天の弓「シャランガ」からとられており、インド現地ではそのままシャランガと呼ばれている(サルンガ呼びが広まったのは、後にインタビューに答えた日本人(明言されてないがおそらく彼女)によるものらしい)。
大量の"紅塵"をコントロールする能力を持つ。サルンガの出現に伴い紅塵のフェーズが進行し、移動に合わせて紅塵も上昇。さらに操った紅塵を使って銃撃から身を守るなどの様子も見られる。
シヴァ共同事業体が管理しているインド北方ウパラの研究所の地下深くにあるアーキタイプ粒子で紅く染まった地底湖から突如として現れ、シャフトを伝って外に出ようとしたが、脱走寸前の所で源泉の防護壁が閉められ封じ込められた。
(ちなみにBBの台詞によると6年前にも出現したことがある模様。出現に関しては施設が保有している「シヴァ」という特異点の奪還を目論んで出現したという)
その後も頑強な防護壁に攻撃を加えながら暴れ続け、耐久に限界が来たためサルンガ鎮圧のために私兵部隊が駆けつけ再び防護壁が開けられた際に脱走を再開。部隊の攻撃をものともせずに壁や柱を飛び移りながらよじ登って今度こそ脱出しようとしたが、BBことベイラ・バーンが開発した「オーソゴナル・ダイアゴナライザー(O.D)」の試作品によって結晶化した紅塵に串刺し状態にされて身動きがとれなくなり、またしても封じ込められた。
……が、後に地下施設から紅塵ごと姿を消したことが判明。
数日後に地上からシヴァを狙うため施設に通じる洞窟と遺跡を抜けてウパラの町に出現。車を投げ飛ばすなどして暴れまわるが、駆けつけたBBの「実験」によって改良版オーソゴナルダイアゴナライザー搭載のミサイルを食らってまたしても周囲もろとも結晶化した紅塵に全身を串刺しにされて沈黙した……
……と思いきや数時間後に結晶が崩壊するとともに再び活動を開始。
全身にまだ結晶が突き刺さったままでもお構いなしに大量の紅塵を纏いながら再びシヴァに向かってゆっくりと歩き出した。
そして遂にウパラ研究所に帰還。ティルダによってまたしてもO.Dの砲撃を受けるが、何度も同じ攻撃を受けたからかそれを予期するように紅塵を回避させて威力を無効化させる。
そのまま角と手から電撃を放ちながら外側から研究所をこじ開け、ケーブルを伝ってシヴァの元へと降下。シヴァを奪還すべくそれを覆う機器に攻撃を仕掛ける(ここのシーンは多くがCGではなく作画で描かれていた)。
だが、東京でジェット・ジャガーPPがゴジラの熱線で散ると同時にオーソゴナル・ダイアゴナライザーの効果が発動したことでシヴァもろとも全身に無数の「青い結晶」が発生・貫通し、今度こそ完全に活動を停止した。
余談
Netflixのあらすじで公開されていた当初は"シャランガ"と表記されていたが、後に劇中字幕でも(シャランガと呼んでいても)"サルンガ"に修正された(ちなみに劇中で皮肉混じりに「サル」呼ばわりされてはいたが、サルンガと呼ばれたことは一度もなかった)。
スタッフオーディオコメンタリーによれば、シヴァを襲ったのは特異点を手に入れるため。
紅塵を生成できるのは特異点とゴジラのみであり、サルンガは紅塵を操作するだけのいわば二番手であり格下。特異点を手に入れてはじめてゴジラと同格になり、怪獣王の座をかけて戦える存在になっていたという。
『CGWORLD』6月号にて怪獣デザインを担当した山村氏のインタビューによると「一番デザインに苦労した怪獣」らしく、監督が最初に猿を描いてきたためそれをオリジナル怪獣にしようとしたが、猿は人間に近いためそのまま怪獣には出来ず、皮膚や口の開き方などに爬虫類の要素を混ぜ、その時にガバラとバラゴンのデザインを取り入れたという(ナックルウォークによる四足歩行が多いのは猿をモチーフにした名残)。
他にも監督の要望で猿のイメージが強い歯茎を剥き出しにする威嚇をさせたいためゲラダヒヒの骨格を参考にしつつ、同時に猿のイメージから逃げるために頭骨に長く独特な形状をしたサイの要素を混ぜることで手書きではやれないCGならではの怪獣を目指したという。全体を通して、「(奇抜なものが少なく、既存の動物をモチーフにしたものが多い)東宝怪獣に見えるデザイン」にするところが特に大変だった模様。
また、一見「猿みたいだからサルンガ」と適当に付けたような名前が偶然か意図的なミスリードかは不明ながらも上記の弓の名称と同じだったためたまたま眉の部分が弓なりに隆起してたためそこを青く着色して弓のような模様が出来たことが語られている。
『ゴジラ・フェス2021』でのインタビューにて、せっかくだから新怪獣1匹くらい入れてもいいんじゃないかとして、哺乳類モチーフの怪獣が手薄なのに加え日本がピンチになりそれを救うべくインドからありがたい御経を貰って帰ってくるような話だったこともあり猿がモチーフになったことが明かされた。
配信(テレビ放送)前の最初のPVからその存在が確認されていたが、当時はファンからもっぱらガバラやバラゴンのリメイク(特に体表とカラーリングがガバラ由来だったためもっぱら前者)と誤認されていた。怪獣デザインを担当した山森英司氏はインタビューにて「(怪獣のデザインに)歴代東宝怪獣をオマージュして取り入れたりしました。」とコメントしており、両者のデザインを取り入れた怪獣であることは予想されていたが、これが今作オリジナルの新怪獣だと判明した時は多くのファンに衝撃が走ることになった。
最終話では多くのシーンが手描きだったため、twitter上では「サクンガ」のあだ名がつけられた。
また、角が発光するのはバラゴンへの、電撃を放つシーンはガバラへのオマージュとも考えられるほか、ゴジラに匹敵するほどの強い生命力と能力から、ある「猿」の怪獣との関連性も疑われている(腕から電撃を放つ点も類似)。
後にニジゲンノモリの「ゴジラ迎撃作戦」にて開催されたゴジラS.Pコラボにて他の怪獣の設定画とともに公開されたサルンガの愛称がまさかの「インドにいるらしい怪獣」であった。