概要
アズダルコ科は白亜紀後期に生息していた翼竜類の分類群の一つ。白亜紀前期の地層からもアズダルコ科のものかもしれない脊椎が報告されている。アズダルコ科はいくつもの最大級の飛行動物の属を内包するが、猫程度の大きさの者も知られている。元々はプテラノドン科の下位分類群として1984年に設けられたもので、アズダルコ、ケツァルコアトルス、そしてアランボウルギアニアのみで構成されていた。彼らは翼竜類最後の生き残りで、世界中に分布し、大変成功したグループである。白亜紀の終わりと共に絶滅した。殆どの翼竜はアズダルコ科が滅ぶ前に既に滅んでいたと思われていたが、最近はプテラノドン類、ニクトサウルス類、タペジャラ類等いくつかのクレードはまだ生き残っていたことが分かっている。
特徴
アズダルコ科は長い脚と極めて長い首で特徴付けられる。アズダルコ科に分類される種の殆どはその長い頸椎によって同定されており、他の特徴はあまり分かっていない。 いくつかの属は非常に保存状態の良い骨格が知られている。チェージャンゴプテルスとケツァルコアトルスがそうである。アズダルコ科は頭も長く巨大で、槍のような嘴を持っている。アズダルコ科には主に2つのタイプがある。嘴が「短く深く鈍いもの」と「長く薄く鋭く尖るもの」である。これはアズダルコ類がスキマー(アジサシのように水面をかすめるように飛び、嘴だけ水中に入れて魚を獲る動物)だったことを示唆しているが、何名かの研究者たちはその考えに懐疑的である。アズダルコ科はスキムフィーディングに必要な適応を欠いており、寧ろコウノトリやジサイチョウのように地上を歩き回って餌を探すタイプの捕食者だったと指摘している。最大のアズダルコ科の一つハツェゴプテリクスは恐らく孵化直後や小型の恐竜等の小さな獲物を捕食していた。ハツェゴプテリクスは例外的に太く長い嘴を備えており、それを使って獲物を襲撃しながら、当時のトランシルバニアの生態系の頂点に君臨していたと思われる。他の典型的アズダルコ科の生態としてはアランカの嘴が参考になる。アランカはその顎の骨の形状から、恐らく貝やその他の硬い殻や甲羅を持つ獲物を嘴で突き壊して食べていたと考えられている。アズダルコ科は一般的に中型から大型の翼竜だった。最大のものは翼開長が10~12mと推定されている。しかしいくつかの小型種も最近発見されている。
分類
アズダルコ科は歯のない長い嘴から、元々プテラノドンと近縁のクレードと考えられていた。だが歯のあるクテノカスマ類 (クテノカスマやプテロダウストロのようなフィルターフィーダー)の方が形態的に近いと主張する者もいた。2017年現在では、トゥプクスアラやタペジャラのような翼竜がより近縁であるという考えが広くコンセンサスを得ている。