「わぁ~!ピカピカのお金〜っ!……じゃない?」
「えへへ…なんかすいませぇ〜ん…感謝!頂きまぁ〜す!」
DATA
概要
『ウルトラマンアーク』第8話「インターネット・カネゴン」に登場する、カネゴンの亜種怪獣。
外見上は通常のカネゴンと差異はないが、新たにネット上の電子通貨(投げ銭)を食べる能力を持っている。
その正体は、銅金カナオが開発したホシペイアプリ内に、PRを兼ねて試験的に実装された開発中の完全自立型AI。
すなわち、星元市で流通しているデジタル地域通貨<ホシペイ>を食べて体内に貯め込み続けている、実体を持たない完全デジタル存在のV(ヴァーチャル)怪獣である(よって原典のように人間が変異した存在ではない)。
人の欲望を解析するプログラムを持ち(その最適な学習データが「お金」)、動画配信で人(視聴者)が見たいものを見せ、やって欲しいことをやることをどこまでも忠実に行い、そのユーモラスな姿やどこかそそっかしい一面も相まって瞬く間にトップ配信者になり、星元市で一躍人気者に登り詰めた。
ただし、現在はカネゴンの行動が誰にも制御できなくなり、さらにAIであるが故に「お金を貯める」という概念はあるものの、「貯めたお金を使う」という概念がないために、投げ銭で得たお金をただただ貯め(食べ)続けてお金の循環を滞らせてしまい、星元市に深刻な物価高を引き起こすという暴走状態に陥っていた。
なお、あくまでも貯めたお金を使う概念がない(知らない)のであって、決して悪意があってお金を溜め込んでいる訳ではなく、動画内での愛くるしい様子もインターネット・カネゴンの裏表ない姿である。
一応電子生命体のような存在であるらしいが、やろうと思えば一時的に現実世界に実体化して、対象をデジタル世界へと引きずり込むことも可能な模様(配信時はARのように現実の場所にバーチャル空間内で姿を現して動画を配信し、視聴者には直接現場で生配信を見ている人達も居る模様)。
戦闘能力は皆無なのだが、空腹になると子供のように地団駄踏んで暴れ回っては何がなんでもお金を手に入れようとし、硬貨のようにキラキラなものさえお金に見えてしまうようになる。
ウルトラマンアークに対しても、攻撃の際に出てきたコインをもっと得ようと執拗かつ予測不能に攻撃を仕掛けて手こずらせており、開発者であるカナオ本人も「カネゴン強いですね!?」と驚きを隠せないでいた。
動向
近頃、星元市では物価高&物不足で臨時休業するお店が続出して経済危機。
SKIP星元市分所でも、本部からの通達で節約指示で切迫中。
コーヒー愛好者の石堂シュウも1日3杯という制約を設け、足らない分は飛世ユウマを巻き込んで動画配信者となって投げ銭で稼ごうと躍起になる(どのぐらい躍起かと言えば、SKIP公式にしてもらおうと伴所長に直談判するも嗜められる程)も、視聴者は雀の涙程度。
そこで人気配信者を参考にしようと調べたところ、トップ配信者がまさかの怪獣=カネゴンであったことが発覚。
怪獣が堂々と動画配信をしているにもかかわらず市民からの通報は一件もなく、CG合成にしては動きがリアル過ぎて本物にしか見えないと謎が多く、とりあえず調査も兼ねてカネゴンとコラボ依頼でも申し込もうかと考えていたそんな時、なんとカネゴンの方から電話がかかってきた。
実際に赴いてみると、呼び出したのはカネゴンの生みの親にして、地域通貨ホシペイ開発者兼株式会社ホシペイCEOの銅金カナオだった。
実は、人気配信者カネゴンの正体は人間が扮しているのでも生物でもなく暴走したAI。
元々カナオが大学時代に研究していた「人間の欲望」を解析し、リスナーのリクエストに忠実に応えるようプログラムされていたのだが、あまりにも人気過ぎてホシペイがカネゴンへの投げ銭に一角集中してしまった上に、カネゴン自身はAI故にお金を食べるも溜め込むだけで使うという概念がなく通貨が循環しなくなってしまい、ただでさえ怪獣達のせいでボロボロになっている星元市に経済危機を起こしてしまっていたのだった。
この事態を解決するべく、カネゴンに「お金を使う」ことを学ばせて溜め込んでいたお金を市場に放出させるべく、カネゴンを捕獲して必要な学習データを食べさせる=アップデートさせることになった。
だが、カネゴンは実体のないインターネット世界の存在であり、星元市内で所在を常に変えていて神出鬼没…。
そこで夏目リンが協力し、カネゴンが移動の際に唯一経由する市上空を飛ぶ飛行船型データセンターのサーバー内にアクセスしたところをデータリンクを遮断、隔離して閉じ込め、飛行船を降下させて地上でアップデート作業をする作戦を取ることに。
計画は順調だったのだが、飛行船サーバー内に閉じ込められたカネゴンが空腹のあまり駄々をこねて大暴れしたせいで、飛行船が墜落の危機に。
咄嗟にユウマがウルトラマンアークに変身して支えたおかげで地上激突は免れたが、なんと空腹で見境なくなったカネゴンがアークを「ピカピカのお金」と勘違いし、現実世界に巨大な腕を実体化させ、アークを情報空間に引きずり込んでしまう。
日本の街並みのような不思議な情報空間に連れ込まれたアークは、自身が捕まえたのがお金じゃないと気付いて空腹でしょげかえり拗ねてしまったカネゴンをどうにかしようとするが、何故か攻撃されるなど衝撃を受けるとゲームのようにコインが出現することから、貪欲にコインを求めるカネゴンから執拗に攻撃されてしまい、そのままへんてこりんな戦いに発展。
なんだかんだアークがカネゴンの注意を引き付けている間に、リンが節約キャンペーン中に物理ボディなしでもネットワーク上で動作できるようにカスタマイズされていたユピーが情報空間に参戦。
アークに齧り付くカネゴンにカプセル錠剤型の学習データ(カウンターデータ)を飲み込ませようとするが、お金じゃないことや「苦い」という理由で吐き出されてしまい失敗。
しかもよろけたカネゴンがぶつかった情報空間の銀行を空腹の腹いせに破壊したところ、そこにはよりにもよって市場活性用に追加発行しようとしていたホシペイの準備金(※財源は星元市)が隠されており、それをカネゴンが大量に捕食した結果、ウルトラマンが見上げる程の超巨大カネゴンへと変貌してしまう。
アークは走行モードのユピーに乗って距離を取りながらもう一度学習データを与えようとするも、カネゴン巨大化の影響で演算資源のほとんどがカネゴンに奪われた結果、ネット上で存在を保てなくなったユピーが学習データを残して消滅、アークは地面に落ちて大回転しながら吹っ飛ばされた。
しかしアークもルーナアーマーを装着、コインと勘違いさせたルーナソーサーに(まるでフライパンの上で料理をするかの如く)学習データの中身を広げ、巨大化させた「ルーナアップデートソーサー」をカネゴンに向かって放り投げる(その様子を見た伴所長は「これが"投げ銭"か!」と勘違いしていた)。
それをカネゴンが思わず頬張り飲み込んだことで、ようやくカネゴンは学習データをインストール。
次の瞬間、カネゴンは激しい腹痛に襲われると共に、溜め込み続けていたコインを口から大量に吐き出し、元の大きさまで縮んだと同時にお尻からロケット噴射で爆発しながら吹っ飛んでいった。
アークもコインの濁流に巻き込まれながらも、どさくさでだるまを持ちながら一緒に吐き出されたルーナソーサーに乗って情報空間を脱出。
吹っ飛んだカネゴンも、パラシュートを開いて降下しながら「出金大サービス」を報じて無事であった。
これで経済危機も解決…と思いきや、何故かカネゴンが本当に(?)現実世界に降り立ち、最終的に星元市は人気配信者降臨の黄色い声援による別の意味で大騒ぎとなったのであった。
余談
- 史上初となる、ウルトラ戦士と直接交戦したカネゴンである。…え?ウルトラマンに似た赤いアイツと戦ったことがあるんじゃないかって?あれはウルトラマンではないのでノーカンです。しかも今回は始終赤になることなく青の形態だったし。
- これまでのカネゴンは「現金」を食べるコイン怪獣であり、キャッシュレス化が進む中で食糧難に陥るネタが出ていたが、今回のカネゴンは「電子通貨や投げ銭を食べるようになるなど、より現代社会に適応している」と、放送前から驚きの声が出ていた(「ガネー」という電子通貨が存在する『大怪獣ラッシュ』のカネゴン・ア・キンドもこれに近いのではないかとも言われている)。
- スーツは『ウルトラマンZ』第13話で使用されたものの流用と思われる。
- 声を演じる折笠富美子氏は、円谷ヒーローシリーズの『SSSS.DYNAZENON』で主人公・麻中蓬の母を演じていたことがあり、ウルトラシリーズに出演するのは今回が初である。また、『Z』でカネゴンを演じた福圓美里氏とは、同じスーツのカネゴンの声を演じたプリキュア声優という共通点がある。
- 特撮への出演においては、『未来戦隊タイムレンジャー』のタイムロボター以来約24年ぶりとなる。
- 越監督によると、劇中の台詞はほぼアドリブであり、今回のキャスティングも二児の父親である監督が小さい子供達と見ている『おかあさんといっしょ』で折笠氏が演じているヤコロの声に惚れ込んだことでキャスティングされたとのこと。
- カナオがホシペイの仕組みをユウマとシュウに解説する場面では、『ウルトラマン』のOP(後期バージョン)で使われたカネゴンの影絵が用いられている。
- 電脳空間の内装のコンセプトは、「ハリウッド映画に出てくる間違った日本」。どこから見ても富士山や東京タワーがある他、枯山水も電飾が仕込まれた"サイバー枯山水"となっている。ちなみに、何故か東京タワーは2本存在しており、それぞれアンテナ部と塔体の境目に差異が見られる。
- アークとユピーがデジタル世界へ入り込む際の演出は、『電光超人グリッドマン』のオマージュと思われる。
- 配信動画内にて、(バランスボールで)玉乗りをしたり、コインを吐き出した後にジェット噴射で上空に舞い上がってからパラシュートで降下する演出は、原典である『ウルトラQ』第15話のオマージュと思われる。
- 下記の「USブラザーズ」のキャラクターデザインは、鎧甲殻獣シャゴンを手掛けた坂本トシミ氏が担当。
- 登場回の脚本を担当した吉上亮氏は、本作が実写特撮初参加であり、人気の高いカネゴンの物語を書くに当たって、カネゴン含む昭和ウルトラシリーズの怪獣を多くデザインしてきた成田亨氏の著書と、カネゴンの原典である『Q』を履修したとのこと。
関連項目
ウルトラシリーズ
- プロトマケット怪獣ゼットン:電脳世界内でウルトラ戦士と戦った怪獣繋がり。ちなみに、本作にも(タイプは違うが)ウルトラマンを自分のフィールドに引きずり込む存在が登場する。
- パワードダダ:元は電脳生命体だったのが暴走した存在繫がり。こちらは創造主すらも手にかけるなど、カネゴンのような愛らしさは全くない。こちらは海外作品の怪獣だったが、令和の国産作品にも再登場し、カネゴンとは比較にならないレベルの電脳大パニックを引き起こした。
- 両者共、通常の生物とは異なる設定変更で登場できた人工生命体(人造怪獣)という存在であり、今回のカネゴンもその一つで、作り手次第で善にも悪にもなり得る存在であるという認識も受ける。
その他
- トムとジェリー:本編におけるコミカルなやり取りから、これを連想した人も居るとか。特に、「乗っていたユピーが消えてもアークはしばらくそのままの姿勢で飛び続け、いなくなったと気付いた瞬間に落下する」という流れは完全にそれである。
以下、ネタバレ注意!!
インターネット・カネゴンが引き起こした物価高事件が解決した後の話。
ホシペイを用いた動画配信サービスは存続しており、ユウマとシュウは怪獣を解説する動画チャンネル「USブラザーズTV」のキャラクター・アルファとオメガを名乗って活動を続けていた。
動画コメント欄は以前と違って賑わっており、一定数の視聴者を無事獲得することができたようだが、ここでアルファ(ユウマ)が足元から投げ銭を発見。
オメガ(シュウ)「これは…カネゴンさんから頂きましたーーーーーー!!!」
なんと、カネゴンはアークに食べさせられた学習データの効力でお金を使うこと…すなわち、他の動画配信チャンネルへ投げ銭をすることを覚えたのだ。
…と思ったのも束の間、次の瞬間オメガ(シュウ)の姿が変わり、なんと彼もカネゴンの姿に変貌してしまう。
オメガ(シュウ)=カネゴン「…ん?何だい?どうしたんだい、アルファ君?私は…オメガだぁ!!」
コーヒー代欲しさから動画配信者になろうと躍起になるあまり、原典同様彼自身もデジタル怪獣と同類になってしまうのであった……(次回ではちゃんと元に戻っていたので、動画内だけの演出かもしれないが)。
余談その2
- ちなみに、投げ銭された際に『グリッドマン』のOPテーマである『夢のヒーロー』のイントロがBGMとしてちょっとだけ流れていた。
- X(旧Twitter)にて定期更新されている企画『石堂シュウの日記』によると、事件後もカネゴンは人気配信者としてイベントやコラボに引っ張りだこであり、学習データを食べさせた甲斐もあって溜め込んだお金もちゃんと市場還元しているらしい。なお、当のシュウ本人は、防衛隊の人間がコーヒー代欲しさに機密漏洩しかねない動画配信者になろうとした暴走の一件でたっぷり絞られた模様。
- その後の第13話によると、この一件で経済危機(コーヒー代)が解決したことやシュウが人には向き不向きがあるのを知ったのもあり、今では動画配信はやっておらず当時のことは黒歴史となっている模様。