日本政府は仮想通貨を通貨として認めないと判断したため、こちらの呼称が推奨される。
概要
英語では「Fungible Token」(直訳すると「代替可能トークン」)。
一般に通貨と言うと日本円やドル、ユーロなどのような「法定通貨」は国家による価値の保証がされている。これらに対して暗号資産は、特定の国家による価値の保証がないものである。
暗号資産の定義は、ヨーロッパ中央銀行は「未制御だが、特殊なバーチャルコミュニティで受け入れられた電子マネー」と定義しており、米国財務省金融犯罪取締ネットワークは「本物のお金」の対義語で、どの司法組織においても法定通貨としての価値を持たないものと定義している。
日本では新資金決済法で「物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」又は「不特定の者を相手方として相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」と定義している。かなり乱暴にまとめると「物を売ったり買ったり、サービスを受けたりする時の対価として使える物のうち、IT技術を用いるもの」となる。
電子マネーと同じではという意見もあるが、電子マネーはあくまでも法定通貨をデジタル情報に変えたものなので、暗号資産とは言い難い。
ちなみに暗号資産は特定国家による保証がないのが通例だが、「ペトロ」だけはベネズエラ政府が国内に埋蔵されている石油や天然ガスなどの資源を価値の裏付けとしており、実質特定国家による保証が為された暗号資産となっている。
資産としては珍しい形の石や美術品などにコレクターが資産価値を見出すような物である。
データ上で処理されていながら偽造(コピー)が不可能と言う特性上、自国通貨の信用が低い場合資産逃避などで流通する場合も有るが、現状では国家の裏付けがない事から法整備が追い付いておらず、山師的な話がゴロゴロ転がっている。
「通貨」としてはあまりに価値が安定せず、突然価値が何百分の一以下になったり、逆に何百倍にもなったりするので、通貨や資産というよりは投機の対象として見られる場合が多い。
あるいはお金持ちが愛好の象徴として作成・所有した上で、コミュニティを生成するために用いることもある(そのコミュニティ内の通貨として用いるため)。
そんな感じで怪しい存在と見做され続けていたが、2024年にドナルド・トランプが当選して以降、暗号資産を外貨準備高の一部として加えようという動きが世界各国で見られるようになり、社会的な存在感を増し始めている。
主な暗号資産
ビットコインが最も代表的な暗号資産で、ビットコイン以外の全ての暗号資産は「アルトコイン」と呼んで区別される。
入手方法
暗号資産は多くの場合一定時間ごとに発行され、それらはマイニングと呼ばれるハッシュ演算にてコンピューター技術を用い暗号を解いた者(採掘者;マイナー)に報酬として与えられる。
また暗号資産はブロックチェーンと呼ばれるネットワーク上の仮想台帳に暗号として記録され、取引の記録としての信頼性と偽造の困難性を保っている。
幾つか形式があるので絶対ではないが、これを改ざんするにはネットワーク上にマイニング参加しているpcの演算能力の総量の大多数を個人の支配下に置かねばならず、それほどの規模のマシンを所持しているのなら普通にマイニングを続行してもかなりの利益が出る為メリットデメリットが釣り合わないようになっている、しかし希にハッキングしブロックチェーンがハッキング前に巻き戻される事例も起きている。
採掘者以外が入手するにはまず暗号資産の取引所・販売所に口座を開き、法定通貨と交換する。やってることは外国為替取引と一緒である。
そして法定通貨と引き換えに入手した暗号資産は支払いに使用できる店舗で使うもよし、価値の変動を見てある程度値上がりしたタイミングで売り払って利益を得ても良い。
ただし多くの売買一回あたりに払う手数料とは別に、「スプレッド」がかかる。これはFXや株取引ではお馴染みの物で、「その時点の値段と実際に売買される時の価格の差」と説明されるが、その「価格の差」は取引のプラットフォームを提供する会社の収益になる。客側からすれば手数料となんら変わらない。「売買手数料無料」を謳いながら、スプレッドはガッツリと取っていく暗号資産取引所・販売所は非常に多いので、この点には注意が必要である。
また売却して法定通貨に戻した場合、利益の大きさによっては税金を払うことになる点も注意である(後述)。
またこの暗号資産取引所に問題が有った場合、国家の裏付けがなく法的な穴も多い暗号資産利用者は大きな問題を被る可能性が有る(先述したが暗号資産は現状通貨とは位置づけが異なり、法的な立ち位置も曖昧であるため、保護の仕組みが脆弱である)。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)
セントラルバンクデジタルカレンシー(Central Bank Digital Currency)の頭文字をつなげたもの。
デジタル通貨の中でも、国家の通貨の発行を担当する中央銀行によって発行されるデジタル通貨。別名中央銀行発行デジタル通貨。
簡単に言うと、米ドルや日本円をデジタル通貨にしたもの。
国家が管理する通貨をデジタル化したものであるが、このCBDCの最大の特徴として、銀行口座を作らずに通貨をやり取りできるというものがある。
通常、銀行口座を通すことで決済・送金・貯金を行うことのできる金銭のやり取りを、デジタル機器を通して行うことができるという利点がある反面、従来の経済の流れそのものを大きく変更する副作用があり、様々な問題を孕んでいる。
デジタル化が進む世界の中で、最も注目されている暗号資産であり、2022年2月をもって現在、中国でデジタル人民元が発行されている。ただしこれは現物の元の信用が低い(偽造の可能性が先進国より大きい)という背景がある点に注意が必要である。
日本では小規模野党の参政党が円のデジタル化を主張している(松田プラン)。
注意事項
流出・破綻リスクについて
現金の銀行預金でも全く起きない可能性が無いわけでは無いが、暗号資産は預金に比べると歴史が非常に浅い上に取り扱う企業や技術がまだ未熟なことが多いことから、流出が結構な頻度で発生している。
規模の大きい企業ならば全額保証してもらえる可能性があるが、必ずというわけではないため、信頼できるプラットフォームを選ぶことが重要となる。
基本的には一般的な証券会社同様、会社の資産と顧客の資産を分けて管理する「分別管理」が徹底されるが、海外ではこれがされずに会社が顧客の金を使い込み、顧客の莫大な暗号資産が露と消えてしまった事例もある(2022年米国FTX社の破綻)。
税金について
FX同様、暗号資産の売買による利益は雑所得扱いとなる。利益が年間数万円程度なら確定申告無しで税金を払わずに済む(ただし住民税の申告は必要)場合があるが、1億円もの利益をあげようものなら確定申告が必須の上、その半分以上を税金で持っていかれる。
そうしたことを知らずに使い込んでしまい、大儲けしたはずが一転して国税庁に追われる身になってしまう、というケースは跡を絶たないので、もし手を出される場合はよくよく注意されたい。
また海外の取引所における取引で利益を上げた場合は、法律や確定申告に必要な資料が煩雑となるため、難易度が跳ね上がる点にも注意が必要である。
創作における暗号資産
現状では投機対象として相場の乱高下が激しく、創作で出そうな事件が現実で起きている事や仕組みが極めて難解なことなどから取り扱いが難しく、ギャグ漫画やゴルゴ13で多少触れる程度である。