お金とは
銀行券や硬貨、通帳の数字や小切手や手形や売掛金や買掛金など様々な形をとっているが
つまるところ債権と債務の関係を記録した、貸し借りの記録をお金という。
労働により賃金を得て居るのみの人はなかなか実感がわかないであろうが、その受取った給与は必ず誰かの借金によって生まれた物を受け取っており、国や企業、誰かの借金によって出来たものを受け取っているのである。
お金とは宛書きのないIOU(I OWE YOU:私はあなたに借りがある)借用書であると同時に債権書なのである。
手元にある通貨の発行者を見てほしい、
日本に住む人ならば紙幣には日本銀行券と書かれているだろうし硬貨ならば日本国政府が発行してるため日本国と刻印があるはずだ。
発行者にとっては債務、所持者にとっては債券という資産になる性質を持つ。
このお金とは何かというものを知る上で貸借対照表、バランスシートの貸方、借方とどちらに計上されているか、という視点はとても重要で、意外かもしれないが
日銀にとって発行した日本銀行券は借金であるし、
政府にとって発行した硬貨や国債は借金である。
その発行した借金同士を交換が完了すれば晴れてこの世にお金というものが流通する。
もちろん日本銀行券をチマチマと印刷していたのでは埒があかないので通常は日銀が国債を引き受けたら日銀の管理する政府口座に昔なら万年筆で、現代ならキーボードで金額を入力すればそれで完了である。これを俗に万年筆マネー。キーボードマネーという。
「お金を借ります、借りたいです」という意思に対して「お金を貸します」と銀行が与信を決定をして口座に記入した時が基本的にはお金が生まれる瞬間なのである。
銀行や証券会社や信用金庫のような与信ができる金融機関による与信だけでなく、企業同士の売掛金と買掛金のような貸借契約の締結も同じく、貸し借りが互いの帳簿に記された瞬間がお金の発生なのである。ゆえに手形もお金であるし、小切手もお金である。これも無からお金が生まれる瞬間である。
ちなみに街金やサラ金、闇金といったヤの付く自由業の方々がやってそうなノンバンクなどは元手が必要で手元にあるものを貸しているに過ぎない。この場合当然無からお金が発生していないのでそれらが貸してもマネーサプライが増えるというわけではない。
お金全体、マネーサプライ全体における紙幣の割合は多くの国で1〜2割程度に過ぎず、残りは口座の数字などの形のないものになっている。詳しくは日銀発表の資金循環統計をご確認いただきたい。
ちなみに日本銀行券は日本銀行の債務であるため、紙幣を持っていけば何かを要求できると思うかもしれないが、日銀に対して日本銀行券の債権能力を行使することは法律で認められていない。傷んだ紙幣の交換以外に、日銀に対して何かを要求することはできない。
なお、個人や一般法人では日本銀行に口座を作ることはできない。日銀に口座を持てるのは市中銀行や政府など限られた機関だけである。
国債との交換には日本において市中消化の原則というムツカシイものがあるので本項では割愛させていただくものの最終的に国債は日銀のような中央銀行と政府間で交換したり企業が銀行から借り入れをするとマネーサプライが増加することとなっている。
さらに言えば、お金が生まれる瞬間というならば、会計法第三章の第3節第4節、支出、支払の付近を確認してほしいのだが、政府が民間に対し公共事業を発注して納品が完了し政府小切手を書いて企業に手渡した瞬間のほうがタイミング的には早い。これに国債を事前に発行する必要すらない、国債はあとで発行し調節するものと考えてもらえたらよい。これも額面を書いた瞬間が万年筆マネーと言える。国債発行は政府の資金調達の手段ではない事が理解できただろうか。
そして市中消化の原則を割愛しておいてこの話をするのは申し訳ないが。国債の発行と引受けには民間と違い抵当や事業計画表などといった引き当てを全く必要としないので理論上は無限に国債を発行してプライマリーディーラーとして参加している銀行たちへ担当分の国債を押し付けることができるし中央銀行も無限に国債を引き受けお金を発行することができる。
引当が不要ということは、信用が無限でついでに支払い能力も無限なので、いつでも無限に借りていつでも返せるので、こと内債に限り政府や日銀の業務が滞り無く行われているならばデフォルトをすることはないし日銀総裁が国債の引受拒否したとか、日銀ネットが内部からサイバー攻撃されバックアップごとデータが消え業務停止したとか、ゴジラが現れ、日銀ごと内閣総辞職ビームを撃たれて書類も全て燃えたなどというテロでも起こらない限り不可能であるので、いくらでも国債を発行して債務をかかえても何も問題もないという事である。
ここまで無限という言葉を使いすぎて概念バトルものみたいになっているが当然制約というものが一つだけある。憲法違反スレスレの旧態然とした現実に即していない財政法4条のことではない。
インフレ率の事である。
国が無限に“使える”からといって実際に無限に“使って”良いわけではない、国が野放図にお金を使えばセケンはインフレでとんでもないことになってしまう。と某議員は言う。
しかし、インフレで景気が過熱しすぎ羹になるからと、やけどを恐れて満足の行く予算策定ができないと、つまり十分使うことができなければ需要不足が発生し国民はその分デフレでメシを食いっぱぐれ額面分だけ飢えてしまう。
羹に懲りるのは勝手であるが、景気の吹冷まし過ぎはそれ以上の悪事である。
羹は文字通り熱い内が美味である。
デフレが悪化することを恐慌といい、松方デフレや世界恐慌時の他国のようにデフレを放置すれば人々は飢えて死人が出る。松方デフレは秩父事件のようなテロが各地で起きるほど悲惨な状況であったが、世界恐慌の時、日本は国債の直接引き受けにより公共事業および政府支出を拡大、他国は5年10年恐慌が続く中、日本は世界最速の1年という驚異的速度で脱出することができた。そしてその世界の貧しさ故に第二次世界大戦へと発展していくのだがそれはまた別の話。
インフレ・デフレとはGDPの前年比を表したものであるが、
GDP=GDEである。GDPは売上のことだが、売上の対面には必ず同額の支払いGDEがある。
国がお金を使いGDPが前年比を超えインフレギャップがあればインフレ。
国がお金を使い足りずGDPが前年比を下回りデフレギャップがあればデフレになる。
バカでも回避できるのがデフレで
コントロールが難しいのはインフレである。
インフレが絶対に良いものというわけではないが、
デフレは少なくともインフレより悪いものである。
とりあえずお金が無いと(少なくとも現代世界では)生きていくのは大変難しい。
日々の支払いに追われれば脳の思考リソースを常に奪われるデバフがかかり、独力で貧困から抜け出すというのは途方もなく難しいことなのである。
インドのサトウキビ農家を対象に貧乏な状態である収穫前の時とお金持ちな状態である収穫後の時の2回IQテストをした所試験結果に9~13ポイントほど差があったという。貧乏であるという事は、まるでブラック企業に勤めてサビ残徹夜をしたかのように常に頭がまわらないのだ。
「人は何故貧乏だと思う?もともと貧乏だからよ!」
ということである。
貧乏であるから貧乏になる。
一見トートロジーのように見えるも、その貧乏と貧乏の言葉の間には深い溝と距離と行間があり、とても悲しい現実である。
お金とはお金が動いたときに発生する価値を生むため、お金を受け渡しをしてモノやサービスを得たり作ったりして生活を豊かにするために存在しているのである。その取引の連鎖を市場といい、コモディティ、商品ごとに市場は別れており、野菜、魚、証券、株式、車、鉄鋼、マンガ、アニメ、ゲーム、等など多岐にわたりそれぞれが密接に絡み合っている。取引する回数が増加し市場規模の輪が拡大していけば行くほど生産や流通が効率化されて行きコストダウンの恩恵により我々の生活はより豊かになって行くのである。
もし世にお金が無ければ物物交換に頼らざるを得ず、漁師と農家の間でブリとトマトの交換は冬の魚と夏の野菜で交換が出来ずブリトマートが一生できなかったことであろう。貨幣経済の恩恵に感謝である。
「金よりも大切なものがある」と言われているが、本来は本当にその通りでありお金を払って得るものはお金よりも大切なものしか無いのである。
そう、“本来は”。
お金は価値保存の手段として存在するにもかかわらず、次第にその手段自体が目的となり、人々は物質的な価値よりもお金そのものを崇拝するようになる。
その価値の転倒が顕著に現れるデフレ状況下ではお金はいずれ価値が上がるであろうと我々は予想してしまうため手放しづらくなり、本来は人々の生活の質の向上や幸福を目的としていたはずの経済活動が、逆に人々をお金の奴隷に変えてしまい、お金よりも大切なものが徐々に消えて行き、大切なものを見失いやすい。
故に、それが理解できずお金の奴隷と成り果てた人々はこのお金欲しさに現実、フィクションを問わず、様々な事件が起こる。
殺人の動機で、最も多いのが金銭問題とも言われるくらいである。
お金の種類(単位)
日本円:日本のお金。一昔前は円より下の単位の銭も使われていたが、第二次世界大戦終結後は円以外の硬貨・貨幣はほぼなくなった。
戦後しばらくは、ドッジ・ラインと呼ばれるドルに対する固定相場が設定されていた為、人気のある通貨だった。
現状でも、信頼度はUSドルに次ぐ2番目と言われており、変動相場制を導入しているがプラザ合意以降は$1≒¥90~140あたりを行ったり来たりしている。
米ドル:単に「ドル」というと、この米国ドルを指す。OPECの石油の決済を独占している事から国をまたいだ決済によく使われており、基本通貨として通じる地域もある。
UKパウンド:通貨の意味で「ポンド」とした場合大抵イギリスのお金を指す。なお「ポンド」はUSイングリッシュで本来は「パウンド」の方が近いらしい。為替レート変動値が凄まじく一瞬にして大富豪にも大貧民にもなれる、通称「悪魔の通貨」。折を見てユーロに統一する動きもあったが、イギリスのEU離脱で白紙状態となった。
ユーロ:ヨーロッパで使われるお金。ヨーロッパにもともとあった通貨をいくつも廃して設定されたが、前途はかなり多難。米ドルほどではないが、ユーロ圏外でも通じる地域はかなり多い。
ジンバブエドル:ケツ拭く紙にもなりゃしない(廃止済)ジンバブエは旧イギリス植民地でありCFAフランの影響下ではない。
ルーブル:ロシア連邦のお金。ソ連時代も同じ呼び方をしていたが、冷戦崩壊後は東欧での基軸通貨としての地位を失いロシアローカルな通貨となっていた。しかし現在は信頼性云々よりもおそらく日本人の大半が途方に暮れるのがその呼び方の慣例。
人民元:中華人民共和国のお金。中国では「人民幣」と表記する。正確には「圓」(円と同字)であり、お札にも「圓」or「圆」と書いてある。ちなみに台湾のニュー台湾ドル、韓国・北朝鮮のウォン、モンゴルもトゥグルグも漢字表記すると「圓」であり、東アジア諸国はお金の単位として「圓」(円)という単位を共有していると言える。なお人民元の状況は……「偽札が大量に出回っているっていうか売られてる」の情報があり信頼度がない、この為GDP2位に浮上しても「まだ$ベースでは日本抜いてねぇだろ」と言われる原因になっている。
台湾ドル:台湾の通貨
ウォン:公式為替レートでは1USドル≒130北朝鮮ウォンで、なんと韓国ウォンの約10倍の価値がある!! ……のだが現実は非常に厳しく、実は固定レートで実態とは乖離しており、現実の取引は主に闇為替で行われ1USドル≒8500北朝鮮ウォン(韓国ウォンの約1/8倍の価値)という状況とのこと。
米:米ドルではなく米。昔の日本の通貨、大人1人が1食1合×3食×1年間で食べるお米の量を1石と数える。2.5俵で1石。1俵60キロ。
キープ:古代インカ帝国における縄の結び目のこと、租税管理や国勢調査などの統計記述に用いられキプカマヨク(結縄司)という役職の役人が会計や統計管理を担い、色や結び目の距離、数、大きさ、形、ねじれ方等によって情報を記録することでその結び目が通貨の役割をしていた。
通話時間:アフリカでは携帯電話の従量課金制の通話時間が通貨としてやり取りされることがある
チョコパイ:北朝鮮軍部内ではチョコパイが通貨として通用してる
クウェート・ディナール:クウェートの通貨。USドルに対し最も価値が高い通貨である。
※「通貨」の一覧も参照。
お金の雑学
現存最古のお金…貝殻
現存最古の鋳造貨幣…エレクトロン貨(紀元前7世紀)
日本最古の貨幣…和同開珎(8世紀初頭) ※異説もある。
側面にギザギザのある10円玉…昭和26年~昭和33年に製造された10円玉。レアもん。50年以上経た現在も流通中。
別名・表記ゆれ
関連タグ
管理通貨制度:第二次世界大戦後にアメリカをメインに金本位制度や銀本位制度にうってかわり、国家が貨幣の流通量を調整してお金の価値を変動させているシステム。
藩札:江戸時代に戦国時代の軍資金集めから遠のいて平和が続き、封建社会の支配層の生活の贅沢化による出費増大対策に紙幣を発行しているが、当時から〝紙切れで取り引き〟に批判側や反対者(「管理通貨制度」をイメージできないか都合悪く受け入れないか)は幾人かいたらしい。
ただし、江戸時代当時から市場の現場を理解に限界の現れで、元手のかからない藩札の乱発行でインフレで悪影響も発生したらしい。(なお、一般的には世界初の紙幣そのものは支那大陸発祥の10世紀の北宋時代で作られた「交子」だと思われる。)
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