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を主成分とする貨幣


概要編集

銀は砂金として回収出来る金と比べると、回収が難しく、鉛や水銀を使った抽出が必要になる。

従って、技術レベルが低い時代は金貨より高価だったが、地殻における存在量自体は金より多いので、抽出技術の進歩と共に値が下がって行った。

銀貨が使われると言う事は、相応の抽出技術を持った国である証拠と言える。

ヨーロッパでは古代ローマ時代にイスパニアやルーマニアの金山が掘り尽くされて以降は、金地金を安定して算出する事が出来ず、チェコやドイツ南部の銀山から採掘された銀が基軸通貨として使われた。


概ね

・古代ローマ時代:金1:銀11

・江戸時代初期:金1:銀10

ナポレオン帝政期:金1:銀15.5

日露戦争時代:金1:銀32

・2024年初期:金1:銀83

と電気精錬技術の確立で金に対する価値が劇的に低下した。


銀貨は秤量貨幣として使われる事も多く

・切り取って使う古代メソポタミアのコイル状の銀線

・鏨でカットして使う事を想定した日本の古丁銀

・中国の馬蹄銀

等が有名。

古代ギリシャでは小アジアのリディア王国やリディアを征服したアケネメス朝ペルシャのコイン製造技術が流入した事とアテネの独裁者ペイシストラトスが領内の銀山を大開発した事から、ドラクマ銀貨と言う計数銀貨が大量生産され、以降の西洋の基準となった。

逆に東洋では、日本で計数金貨が大量生産されるようになった後も、銀貨は秤量銀貨が主流であり、徳川家治が明和南鐐二朱銀を発行するまで、計数銀貨は作られなかった。

その計数銀貨も家治の頃は市場の純銀価格に若干の製造費用を上乗せした程度の価値に調整されていたが、家治の二代後の徳川家慶の時代には幕府の財政策の一環として市場の純銀価格の2倍以上の価値を付けた天保一分銀を大増産してしまい、開国後に経済混乱を引き起こす原因となってしまった。


古銭としての銀貨編集

現在は銀を主要流通通貨に採用している国は無いが、嘗ては銀貨は貨幣として広く流通していた。

また、国や権力者の威信をかけて作る貨幣には優秀なデザイナーが採用される場合が多かったので、銀貨には地金としての価値の他にも銀製の古美術品としての価値が含まれている場合が多い。

貯蓄用や恩賞用として大事に扱われる場合が多かった金貨と比べると、銀貨は流通で酷使されている場合が多く、未使用品(MS=造幣局出荷状態)や準未流通品(AU)には地金価格を遥かに超えた高値が付く事も珍しくない。

例えば、明治時代のコインデザイナーである加納夏雄の「龍と太陽」デザインの1円銀貨は27gの90%純度の銀で、2024年3月の地金価格は3000円程度に過ぎないが、未使用品レベルとなると1000ドル以上、日本円にすると15万円ぐらいが取引相場である。

加納夏雄より少し前の時代の英国のウィリアム・ワイオンがデザインしたヴィクトリア女王即位10周年記念のゴチック・クラウン銀貨に至っては一応は主力貿易決済用として作られた「龍と太陽」1円銀貨より更に製造数が少ないので、ほぼ同じ目方と多少上程度の純度にも拘らず、更に10倍の価値で取引されている。

従って、名匠がデザインした希少銀貨は偽物が多数作られている

金は比重が19以上あり、安価な地金の偽物を用意する事自体が難しく、溶かしても1g1万円ぐらいにはなるので(2024年初頭時点の価格)、まだしも判別し易く、尚且つ本物と同じ素材で作られていればそれなりの価値が有るので金銭的損害は少ないが、銀貨だと本物と同じ原材料を使ったとしても原材料価格の50倍もの値が付くので、偽物を売った際の利益は大きく、買った際の損失は大きい。

素材自体が銀の比重に似せた偽物だった際の被害は更に大きくなる。

法定通貨としての効力が切れた銀貨のレプリカを作って自分で愛玩したり、お芝居や遊びに使うだけなら趣味扱いとして許されるが、偽物を本物と偽って売った場合は立派な詐欺罪なので絶対にやってはいけない。

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