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曖昧さ回避編集

  1. 製の硬貨のこと⇒本項で解説
  2. タロット小アルカナの一つ⇒小アルカナの項目を参照

概要編集

金で作られている硬貨の事であり銅貨銀貨などと比べて高い価値を有する硬貨である。


銀貨、銅貨にも言える事であるが現代では通貨というものが国々によって存在し、

紙幣というものが高額な通貨として流通しており硬貨はあまり高い価値を持っていないことが多い。

如かしながら昔は通貨といえば金貨、銀貨、銅貨などのように硬貨を用いるのが普通であった。


この理由としては異なる国では紙幣というものが紙屑同然となる事が多い為である。


一方で硬貨は元々金属で作られているため喩え他国のものであっても鋳つぶせば金属として価値を有する為、

別の国のものであっても相応の価値があったわけである。

近代になると、貿易相手国の規格に合わせて金純度や量目を合わせる例も増え始める。


現在でもインフレなどで紙幣が紙屑同然になる事が多いのを見れば上の例は納得出来ると思う。


の精練方法が発見されるまでは金貨は銀貨よりも価値が低かったが、

銀の精練方法が発見された後は金貨の方が価値が高くなり今ではかなり差が開いた、といえよう。


日々金の値段は変動しているが金は2023年秋時点でおよそ1gで1万円近くする為、

数gの金貨であったとしても純金であれば数万という価値になる事になる。


しかしながら金は純正であれば柔らかいため流通に不便であるため

大体の場合は銀やなどが10%ほど混ぜられることになる。


現代では金貨というものが製造される場合は極めて特殊な例であることが多く

金貨という価値の高い物の性質上本来の価値より高い金額で販売し低い額面であることが多い。


ファンタジーなどでは現役の通貨として登場する事が多い。

また、銀との自然合金であるエレクトラムの貨幣が登場するTRPGのゲームシステムも存在する。


史実の金銀比価編集

史実において金銀比価は以下の通りである。

『金貨1枚で銀貨が10枚』と言う時代も実際にあったが、貨幣制度の大整備の時期には記録が残り易く、尚且つ例示されている徳川家康やナポレオンの貨幣制度は半世紀以上に渡って維持された当時の実情に上手く合致した例である。

無論、金銀複本位制を取っているにも拘らず、実売価格が乖離していれば良貨が退蔵されて更に公定価格と実売価格の差が広がる事も有り得る。

1771年の英国でアイザック・ニュートンによるギニー金貨=21シリングと設定した際には、実売価格より金高銀安に設定した為に、イギリスに金が、フランスに銀が流れ、徳川家慶が天保一分銀を大増産した結果、金銀比価が金安銀高になり日米修好通商条約締結後に日本国内の金が大流出してしまったように実価格と公定価格を間違えた結果、経済混乱を引き起こした事例もある。


紀元79年のローマ帝国

ローマ帝国の地中海世界統一とネロ帝の属州宥和政策で物価が安定した時代の金銀比価が以下の通り。ネロによる貨幣流通量の増大に加え、中東のパルティア帝国との平和条約締結で外征が激減した時代で、ポンペイ遺跡から詳細な家計簿なども発掘されている。

ネロ・アウレウス金貨が量目7.3g、純度99%

ネロ・デナリウス銀貨が量目3.3g、純度94.5%

で金貨1枚が銀貨25枚で金銀比価は11。

デナリウス銀貨で安めの小麦8.6kgを購入可能で、成人男性の年間小麦消費量は350~400kgとされていたので、ネロ・アウレウス金貨2枚ぐらいが年間の主食代金ぐらいである。

正規の一般歩兵の年俸+退職金積み立てが225デナリウス。


紀元1605年の日本

徳川家康が江戸に幕府を開いて、組織的な金貨と銀貨の製造を発注し始めた頃の金銀比価が以下の通り。この時代は灰吹き法の改良やアマルガム抽出の拡大で、低品位鉱石からの金銀の抽出が容易になり、金銀比価が低かった中国への銀の輸出と金の輸入で日本とスペインには大量の金の流入が起きていた。

慶長小判初期型が量目17.8g、純度84.6%

慶長銀が純度80%

で慶長小判1枚が慶長銀50匁(=187.5g)で金銀比価は10。

当時は慶長銀10匁で成人男性の年間穀物消費量とされる米1石が買えたが、金銀の民間への流出量増大と食料流通の改善で10~15年で米一石が慶長銀30匁と3倍に米価が上昇。


紀元1803年のフランス帝国

ナポレオン・ボナパルトフランス皇帝に選出され、貨幣制度の大整備を行った時期の金銀比価が以下の通り。

ナポレオン金貨が量目6.45g、純度90%

1フラン銀貨が5g、純度90%

でナポレオン金貨が20フランとされたので、金銀比価は15.5。

当時、安物のパン3kgが1フラン程度で、1/20~1/10フランで成人3人分の一食のパンぐらい。

レ・ミゼラブルで表現されているフランス革命直前時期のジャン・ヴァルジャンの繁忙期(≒収入の多い季節)の日当が24スーで、ナポレオンの貨幣改革では1フラン=革命前の20スーになる様に調整をしたので、資格や特技の無い労働者にとっては20フラン金貨1枚≒月俸、1フラン銀貨1枚≒日当程度の感覚である(流石に扶養家族8人を抱えたジャン・ヴァルジャンは赤字家計に苦しんだ挙句に盗みと密猟を働いて投獄されたのだが)。1830年頃におけるマリウス・ポンメルシー男爵が年俸700フランで「新人弁護士をやっている貧乏貴族の一人暮らし」として何とかやっていけたので、月俸は凡そ金貨3枚弱である。

この金銀比価は1873年のフランスの金本位制への完全移行までラテン通貨同盟参加国のフランス、スイス、ベルギー、イタリアとラテン通貨同盟に合わせて通貨発行を調整していたオーストリアの各国によって何とか維持されてきた。


紀元1887年の大日本帝国

19世紀末になって電気精錬法が銅や亜鉛、鉛の精錬に多用されるようになり、その副産物として回収された結果、銀価格が暴落した時期の金銀比価が以下の通り

新10円金貨が量目8.3g、純度90%

1円銀貨が量目26.9g、純度90%

1円銀貨はこの時をもって正貨としての価値を失い、単なる銀塊扱いとなったが、この時点での金銀比価は32.4。

当時、60kg入りの米俵1俵(=0.4石)が4円程度。即ち、新10円金貨1枚で成人男性の主食の年間消費量平価に等しい。

逆に言うと、発電所の大規模建設と電気化学の大規模産業化が進まないと、此処までの金銀比価にはならないと考えられる。



金銀では比重が1.8倍以上も違うので、似た大きさの金貨と銀貨を比べると、「金貨1枚で銀貨20~30枚の価値」ぐらいになってしまう。

従って、「小型銀貨1枚が4~5人の核家族の大黒柱の日当なら小型金貨が月収」ぐらいの感覚で考えると割合現実的であり、「金貨1枚」の報酬は現代人で言う処の「単純労働者の1ヶ月分のボーナス」ぐらいである。



本位通貨としての金貨編集

金は地表における存在量が少なく、その比重の重さから安価な偽物を作ることが難しく、更に耐食性や展性に優れる(=錆びないし、叩いても潰れるだけで砕けない)ので、他の物品の価値を示す指標、即ち本位通貨として使われる事も多かった。

近代的な本位金貨は1803年におけるフランスのナポレオン金貨(90%純度の金による6.45g金貨)と1817年のイギリスのソブリン金貨(91.7%純度の金による7.98g金貨)を基にしている。

金本位制は「地金そのものに価値が有る金貨、若しくは金貨と交換が約束されている兌換券」が物の価格の基準になるので、物価の暴騰や貨幣の暴落が起き難い、外国に金貨を持って行っても金地金の公表価値で買い取って貰えるので外国人との取引に便利等のメリットもあるが、国が確保している金の量によって貨幣発行額が制限されるので、急激な経済成長状況では足枷になる事もある。

金本位制は第一次世界大戦で実質的に停止してしまっており、大量の軍費調達も日露戦争レベルまでなら兎も角、其れより規模の大きい戦争では金本位制は向いていない。

ならば、管理通貨制度が良いかと言うと、フランス革命時に大量に発行されたアッシニア紙幣が大暴落し、ナポレオンによるナポレオン金貨の発行とフランス銀行の設立で漸く貨幣の信用が回復した例や、アドルフ・ヒトラーの「子供を一人で買い物に行かせられない社会に戻してはならない」との演説(=暴落したドイツマルクでは子供が気軽に運べる量のお札では実用的な買い物が出来ない&金貨を持たせて買い物に行かせると強盗の餌食になる)で分かるように金の信頼性が効果的に働く状況も起り得る。

様は、その社会に何方が適しているかだけで、一長一短と言うべきだろう。



恩賞としての金貨編集

金貨は恩賞としても多用された。

恩賞として最も価値が有るのは土地、即ち不動産だが、侵略戦争に成功したなら兎も角、迎撃戦だったり、思ったように土地を獲得出来なかったのに、恩賞を求める部下だけは居ると言う状況も起こりがちである。

その様な状況では、保管が容易で価値が高い金貨を恩賞として与えて慰撫した事例も多い。

上記のネロ・デナリウス銀貨や1フラン銀貨は一般兵士や核家族を抱える一般労働者の日当ぐらいの価値になる様に作られており、その20~25倍の価値を持つネロ・アウレウス金貨やナポレオン20フラン金貨は現代で言うと「1枚で月俸に匹敵するボーナス」と感覚的にも分かり易い設定で作られている。

長らく世界最大の金貨だった天正長大判や主力流通用の2倍の量目を有するナポレオン40フラン金貨等は恩賞や贈呈用に作られた特別製の金貨であり、そのような用途で作られた金貨は大きく見栄えが良いものが採用される。

この様な恩賞用金貨は一種の勲章としての役割も果たしており、家宝として保管されて流通に出た際も一般流通用途は異なる基準で実売価格を決められた。


古銭としての金貨の売買編集

古銭全般に言える事だが、昔に発行された金貨は特別な理由で再鋳造されるか、マリア・テレジア1ターラーの様に貨幣としての信用の高さから製造延長嘆願が来ない限りは再生産される事が無く、既に作られた物をコレクターが奪い合う状況になりがちである。

特に金貨は大事に扱われる事が多いので、古銭コレクターの主力収集対象となる。

此等の金貨は米国のNGC(Numismatic Guaranty Corporation)社とPCGS(Professional Coin Grading Service)社と言う専門の鑑定・評価会社で評価された上で取引される場合が多い。

評価は70段階になっており、60以上がMS=造幣局出荷状態(Mint state)、50以上58以下がAU=準未流通状態(About uncirculated)と判定される。

また、記念用や贈呈用に表面仕上げを念入りに施した金貨はPF(Proof)として更に価値が上がる。

この両社は

・摩耗で平らになっている部分が無ければMS

・最も盛り上がった部分が僅かに摩耗していればAU

・盛り上がっている部分が擦り切れていれば50未満

と割合、判断基準を明確にしている。

日本や欧州の古銭商は店独自の基準で判定している事も多いが、店によってNGC&PCGSより厳しかったり緩かったりで店其々である。

最悪、偽物を掴まされる事も有るので注意が必要(店側に悪意が無くとも、プロですら判別を間違う程高精度な偽物が紛れ込まされている事例が起こっており、NGCも公式ページで警告している)。

概ね

未使用品=造幣局出荷状態>準未流通状態>極美品(Extremely Fine)>美品(Very Fine)>並品(Fine)

と段階分けがされている事が多く、美品以下となると、残存枚数が少ない金貨でない限り地金に準じる価格で取引される事が多い。

逆に人気が有るデザイン、希少性、状態の良さが重なった金貨は金地金価値の10倍以上の価値が付く事も少なくない。

例えば、天正菱大判は70%純度の金167gで、2024年3月現在の地金価格だと130万円を超える程度だが、古銭としてなら1億円以上で取引される。

また、同じデザインでも、年号や造幣所によって非常に希少度が上がる例もある。

例えば、新5円金貨は3.75gの純金を含む金貨に過ぎず、高くとも50万円を超えることは稀だが、昭和五年(1930年)のものだけは製造された800万枚超が丸々回収されて溶かされてしまったので、外国人がお土産に持って帰った等で未使用状態で保管されていたものは1000万円ぐらいで取引される。



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関連タグ編集

硬貨 埋蔵金 金塊 銀貨

東京フレンドパークTBSの月曜夜のアトラクション番組、クリアすると貰えるもの。

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