概要
過去に栄えた人などが、自身の持っているお金の一部を埋めて隠したとされるもののこと。
あるかどうかも疑わしいものの代表例ではあるが、果てしないロマンを求めて探す人もいる。
代表例は徳川埋蔵金、山下財宝、M資金、海賊キッドの財宝、ナチスの黄金列車など。
なお、そもそも埋める必要があるのかという根本的な問題があるため、土の中に埋めてあるということはまずない。
財宝を隠す場合、(近代以降なら)何らかの有価証券に換えておいたり、金庫に入れておいたりするという発想が普通であり、通常は土に埋めようなどとは思わない。
それに、トラックのない時代に遠くの原野まで持ち運ぶのも危険であり(運搬途中で敵軍や山賊、野盗などに出くわす可能性が大)、加えて運搬費用も膨大なものになる。
仮に埋めるとしても、持ち運ばずにもともと財宝のあった土地に埋めた方がはるかに安全である(事実、かつて城や砦があった場所の土中から埋蔵金や財宝などが見つかった例は珍しくない)。
旧日本軍が終戦時に、貴金属などを海に沈めて隠したがGHQに発見されて引き揚げられてしまったなど、「隠そうとして失敗した」事例もあるためにこの手の伝説を補強してしまっている。
もしも発見したら?
何らかの形で埋蔵金を発見・発掘した場合、その埋蔵金は誰のものになるの?と疑問が湧くだろう。
実は、埋蔵金はそのルーツ・発見した場所・発見者と埋蔵金の関係などによって大きく変わるのである。
まず、日本国内で埋蔵金が発見された場合は概ね埋蔵金の所有者不明が多く遺失物、つまり落し物や拾い物扱いとなるのでまずは最寄りの警察署に届けないといけない。
また、その発見地の所有者が発見者と異なる場合は概ね土地所有者と発見者で折半になるという。
とはいえ、埋蔵金や財宝が見つかった途端、今まで何の関心も示していなかった土地の所有者や、胡散臭い「埋蔵金所有者の(自称)子孫」が何人も名乗り出てきて収拾がつかなくなるのはよくある話で、最悪の場合盗掘したとして発見者が訴えられることもある。
さらに、見つかった埋蔵金が歴史的文化価値がある場合は、文化庁の調査を経てから価値の内の何パーセントかが政府や市町村の行政から報酬として出る場合もあるが、こういう代物の場合、大抵は国や政府などによって大部分を「合法的に」持っていかれてしまう。
例えば、徳川埋蔵金の場合は徳川幕府の財産扱いで現在の日本政府のものになり、さらに歴史的文化財にもなるので必ず文化庁の調査が入る。
そのため、大抵の場合発見者の手元に多くは残らないし、仮に残ったとしても調査やら鑑定やらで長い時間が必要で、これも返還まで待たなければならない。
このように、見つけた埋蔵金の文化的価値が高ければ高いほど国や政府に「持っていかれる」割合は高くなり、さらに民事的にも前述の埋蔵金発見場所の所有者や埋蔵金の所有者の(自称)子孫との折衝もあるため、政府や行政から謝礼として支払われる報酬も割に合わないケースが多い(ものによってはタダ働き同然、という結果が待っていることもありうる)。
つまり、かいつまんで言えば「今までなにもしてくれなかった国や政府、その他有象無象などが、埋蔵金を見つけた途端に急に眼の色を変えてしゃしゃり出てくる」ということであり、果たして埋蔵金を発見してウハウハ……なのかは、結局はお上の判断次第なのである。
上記を総合的にまとめると「埋蔵金探しが儲かるとは思わないほうが良い」ということが、おそらくは最も現実的かつ無難な結論になるといえる。
上述の通り、仮に埋蔵金を発見したとしてもその後あちこちから(合法的に)分捕られ、費用対効果を考えると満足のいく報酬が得られないどころか赤字…はまだ良いほうで、最悪所有権をめぐって裁判沙汰になることもあるときては、割に合わない話なのは火を見るよりも明らかだろう。
事実、こうした埋蔵金探しをしている人の多くは一攫千金を狙う貧乏人などではなく、金とコネのあるお金持ちであることがほとんどであり、仮にそうでない場合も、大抵金持ちのスポンサーが背後にいることがほとんどである。
なお、これは埋蔵金に限った話ではなく、沈没船の財宝といった宝探し全般に言えることでもある。