概要
読んで字の如く、「等しい価値を有するものを相互に交換すること」を意味する経済用語。
主に買い物がこれにあたり、例えば「1000円の品物を買う」事は「1000円の価値がある貨幣と、1000円の価値のある商品を等価交換する」と言い換える事ができる。
元々はマルクスの『資本論』で説かれた概念であるようだが、この本については結構批判も多い。物凄くややこしいので、興味がある人は詳しく調べてみてください。
現在の日本では、主に建築業界で使われる専門用語としての用例が多い。
地主が土地を用意し、業者がその上に建物を建てた際、それぞれの出費の割合に応じて所有権を得る、と言う物。
実際にそのまま名義を共有する場合もあれば、一方がもう一方の権利を買い取って所有する場合もある。
また、パチンコ・パチスロにおける専門用語としても存在する。
これは借りたメダルや玉の価値が常に変わらないと言う物で、例えばメダルが「1枚20円」だった場合、50枚のメダルを借りるのに1000円かかり、50枚のメダルを返却する時に1000円貰える、といった具合。
ただし現在は、不景気やら風営法やらの事情で等価交換を採用している店はほとんど存在しない。例えば、1000円払えば50枚借りられるけれど、1000円もらうには55枚を返さなければならないという5.5枚交換などの法則がある。
例外
通貨が機能していない世界やあまり機能していない場所・世界設定においては物々交換が行われる場合もある。人類の大半が滅びた世紀末(ポストアポカリプス)な世界など
『鋼の錬金術師』における等価交換
荒川弘の漫画『鋼の錬金術師』に登場する用語。
錬成の前後で物質の量は変わらないという、錬金術の基本原則の事。
現実世界における「質量保存の法則」や「エネルギー保存の法則」などに近い。
現在、ネットのオタクの間で「等価交換」と言われると、だいたいの人はこの用例で使用している場合が多い。
パロディイラストなども多く見られる。
このように有名な用語で、作中においては重要な要素であるが、錬金術=等価交換の原則はあくまで『鋼の錬金術師』のオリジナル設定である事に注意。
あまりに人気が出てしまったため、この作品以外でも「錬金術は等価交換」と勘違いする読者、酷い物では「等価交換ではないのに錬金術と名乗るのはおかしい」と言った誤った批判をする読者も少なからず存在した。
実際には、前述したようにあくまで経済学用語である。そして何より、現実の錬金術は等価交換ではない。
そもそも「錬金術」と言う文字から分かるように、本来この技術は卑金属から金を生み出すための研究であった。つまり、当時の錬金術士達はむしろ等価交換を否定するために研究を続けていたのである。
まあその錬金術から派生して化学が生まれ、それによって質量保存の法則などが発見されたので、全く無関係と言う訳ではないが。
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『百姓貴族』における等価交換
命の等価交換 ~親父殿と家畜~
同作者のエッセイ漫画『百姓貴族』では、「親父殿(作中に度々登場する、作者の父親)が大事故寸前の危険な自動車運転をした際、先程まで元気だった牛が1頭突然死した」「交通事故の後遺症(前述の話とは別の部分で事故に遭った際のもの)で親父殿が危険な状態になったが、牛が1頭死んだとともに親父殿も回復した」という話が出ている。
また身代わりで家畜死んだ!!!
人命と引き換えに家畜が息絶えたという、何とも言えぬ実例である。
荒川弘「うちの牛60頭くらいいるから、あと60回死なないぞあの親父…。」
ただ『百姓貴族』65頭目において、ついに荒川農園は酪農をやめてしまい乳牛を手放したため、今後も命の等価交換が行われる事になるのかは未知数である。あるいは万が一、親父殿に何かが起こった時、その等価交換の犠牲になるのはもしかしたら…………。
ネタの等価交換
また『百姓貴族』では新書館の取材で小学館の漫画のネタを拾い、小学館の取材で『百姓貴族』のネタを拾った話を披露した。奇しくも両社ともにローマ字表記の頭文字はSであり、そして両社ともに社名は「館」で終わる(つまり伏せ字やイニシャルトークなどで略称表記にすると次第によっては両社ともにS館ないしはS○館と表現される事になる)。荒川はこれを「等価交換」と称した。先生何やってんすか。
担当イシイ「新書館の取材でS○館の取材をする下衆!」
漫画家荒川「等価交換だからセーフ!」
担当イシイ「新書館の取材(出費)なんだから新書館の仕事をしようよ!(逆もまた然り)」
ちなみにこのエピソードは『百姓貴族』のアニメ版でもしっかりアニメ化された(第6話)のだが、等価交換を主張する荒川の目と仕草が、ものの見事にエドワード・エルリックになっていた(上述のように原作にもある表現であるが、原作では小ネタとしてアッサリ流せるように軽く出されている程度で、アニメ版のようなガッツリとした濃い扱いはしていない)。