生きるということ ───
生かされているということ ───
汗と涙と土にまみれた物語
概要
週刊少年サンデーで2011年の春から2019年冬まで連載された。単行本は「少年サンデーコミックス」より全15巻。コミックス発行部数は約1700万部であり、多くの若者を農業や畜産、酪農の世界に導いた作品である。
わけあって大蝦夷農業高校(通称・エゾノー)に入学した一般家庭出身の都会っ子・八軒勇吾が、初めて触れる農業に悪戦苦闘しつつ成長していく学園青春バラエティ。「勤労・協同・理不尽」を掲げるエゾノーで、基本はほのぼの、時々カオス、そして時に重い現実と向き合うなど、荒川ワールド全開。
作者は農家生まれの農業高校出身者であり、その旨は同作者の『百姓貴族』を参照。「農家の常識、世間の非常識」の数々は、漫画としてのやや大げさな表現はあるにしろ、描かれるエピソードの8割以上が事実。
笑いあり、涙あり、農業が抱える厳しい現実ありと、単なる青春漫画では終わらない、ユーモアと重みに溢れた内容となっている。
なお、タイトルの『銀の匙』は八軒が通う高校の、食堂のシンボルマークとして登場する。欧米では銀のスプーンは「幸福を招く」、「裕福な家に生まれてくる」という意味を表す。
同名タイトルの小説があるが、今のところ関連はない。
コミックは全15巻。
公式ガイドブック『大蝦夷農業高校 青春マニュアル』も2013年8月13日に刊行されている。
映像化
ノイタミナ枠にて1期(2013年7~9月)、2期(2014年1~3月)と分割2クールでアニメ化された。2013年8月には実写映画化が発表され、2014年春に公開された。
登場人物
主要人物
八軒勇吾(はちけん ゆうご)
新札幌中学出身の一年生。農業に関しては素人の主人公。クラスの実習班はA班。
御影アキ(みかげ あき)
清水第一中出身の女子。牧場の一人娘で、馬が大好き。所属クラスは1-D。
駒場一郎(こまば いちろう)
清水第一中出身の男子。牧場の長男。所属クラスは1-D。所属班はA。
相川進之介(あいかわ しんのすけ)
CV:島﨑信長
幕別東中出身の男子。所属クラスは1-D。所属班はA。
常盤恵次(ときわ けいじ)
中札内南中出身の男子。所属クラスは1-D。所属班はA。
稲田多摩子(いなだ たまこ)
(←通常時/トランスフォーム多摩子→)
帯広川西中央中出身の女子。所属クラスは1-D。所属班はA。
教師陣
中島先生
フルネームは中島美雪(なかじま よしゆき)。馬術部の顧問。
見た目が仏さんまんまという非常にインパクトの強い人。
物腰の柔らかい紳士だが、こと馬に関しては非常に真摯な考えを持つ。競馬も趣味で、たまの休日に教師から勝負師にジョブチェンジする。勝負をするときは単勝狙い。
畜産実習棟の管理責任者であり、それをいいことにチーズ工房の地下に貯蔵庫を勝手に設え、大量のチーズを熟成させている。ピザ会を機に吉野らに発見され、口止め料としてチーズを度々さらわれている。
校長先生
大蝦夷農業高校の校長。波平ヘアーの超小柄なおじさんで、入学式では壇上から顔が見えていなかった。あんまり小さいのでコロポックル扱いされるほど。
馬術部に自分の馬がいるらしい。
将来に夢も希望も持てないという八軒に事あるごとに助言し、彼が踏み出すきっかけを作っている。
富士先生
畜産の実習担当を務める女性教師。フルネームは富士一子。
キャップにサングラス、タンクトップにアーミー柄のスボンと、どことなく「軍曹」を思わせる。質実剛健な気質らしく、美人ながらもその威圧感は強い。動物を通じて訓戒を述べることもある。やたらと射的が上手い。物語中盤で教師を退職し、猟師に転職した。
ニワトリ先生
※イラスト右側
CV:西村朋紘
養鶏舎の管理を任されている男性教員。本名は白樺 樹(しらかば いつき)。
富士先生に負けず劣らず「軍曹」っぽい先生。「人間は家畜の奴隷!」と断言する一方で、労を惜しまなかった生徒に臨時で夕食をふるまうなど懐は深い。どこからともなく炊き立てご飯を携えて現れる謎めいた一面も。八軒の「ニワトリの産卵」コンプレックスを解消した人物でもある。
轟先生
※ご覧のイラストは間違っていません(某少佐ではありません)
CV:内海賢二
体育教師。本名は轟 剛(とどろき ごう)。
そのパワフルさは挽けい種相手に競り勝てるほど。というか、見た目といい担当声優といい…どう見てもあの作品のあの人そのまんま(これは公式ガイドブックでも先生が「酷似させました」と明言なさっている)。
中の人にとって今作は遺作。
その他の登場人物は銀の匙の登場人物一覧へ。
用語
物語の舞台となる高校。通称「エゾノー」。総合敷地面積が日本一というとてつもない規模の学校で、その外周だけでも20kmとハーフマラソン並みの距離を誇る。
専攻は農業科学科、酪農科学科、食品科学科、農林土木工学科、森林科学科の五科。全寮制で、部活動への所属は必須。文化部はない。
農業体験に必要なすべてが揃っており、伊達や酔狂で総合面積がデカいわけではない。地味な雰囲気に反して大学並みの研究施設を保有しており、農地やこれら施設を希望者に貸すこともある、わりと自由な一面もある。
馬術部
八軒や御影らが所属する部活。部長は大川から依田(2年)へ、副部長は豊西(食品科3年)から八軒に引き継がれた。
馬の世話に休日なし、毎朝4時起きで厩舎へ向かい、ゴールデンウィーク等で学校が休みの日は部員が交替で世話をしなければならず、なかなかハードな部活。
大会にも参加し、依田や御影が好成績を残している。
ホルスタイン部
相川の所属する部活。乳牛・ホルスタインを愛し、最上級のホルスタインを育てることを至上命題とするエゾコーきってのキワモノ部活。活動は実践的で有意義らしいが、いかんせん所属する先輩たちが人間の女性に興味を失くした生粋のホルスタインマニアであるため、キワモノ臭が半端ないことになっている。その情熱ゆえにホルスタインの交配や受精卵の核移植など、非常に高度で専門的な知識を有しており、かなりのインテリ集団でもある。
アニメ『銀の匙 Silver Spoon』
2013年1月16日、フジテレビのノイタミナ枠でのアニメ化が決定。同年7月から9月まで第1部が放送され、2014年1月からは第2部が放送されている。フジテレビにおける第1部放送開始(2013年7月11日)の1週間前の2013年7月5日、第2部の放送が発表。
ノイタミナ枠で農業というと『もやしもん』もそうだった。つくづく農業やご飯と縁の深い枠である。
今回のアニメ化に当たり、制作陣はエンディングなどで、モデルとなった場所の探訪、いわゆる「聖地巡礼」を控えるよう注意を呼びかけている。作品の題材が酪農や農業であるため、部外者の行動で人間と動物の両方にとって衛生上の問題が起こる危険性があるためである。
それでも行きたいのなら正式な見学届けを出すか、入学のつもりで行くしかない!
各話リスト
第1期 | 放映期間(2013年7月~9月) | 第2期 | 放映期間(2014年1月~3月) |
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話数 | サブタイトル | 話数 | サブタイトル |
第1話 | エゾノーへ、ようこそ | 第1話 | 八軒、副部長になる |
第2話 | 八軒、馬に乗る | 第2話 | 八軒、副ぶちょーを拾う |
第3話 | 八軒、豚丼と出会う | 第3話 | 八軒、高く跳ぶ |
第4話 | 八軒、ピザを焼く | 第4話 | 南九条、あらわる |
第5話 | 八軒、脱走する | 第5話 | 八軒、大わらわ |
第6話 | 八軒、御影家に行く | 第6話 | 御影、奮闘す |
第7話 | 八軒、ギガファームへ | 第7話 | 駒場、マウンドに立つ |
第8話 | 八軒、大失態を演じる | 第8話 | 八軒、咆える |
第9話 | 八軒、豚丼に迷う | 第9話 | 最後の牛乳 |
第10話 | 八軒、豚丼と別れる | 第10話 | 夢 |
第11話 | 走り出せ、八軒 | 第11話 | 何度でも |
スタッフ
主題歌
第1期
- OPテーマ
『Kiss you』
歌:miwa
- EDテーマ
『Hello Especially』
歌:スキマスイッチ
第2期
- OPテーマ
『LIFE』
歌:フジファブリック
- EDテーマ
『オトノナルホウヘ→』
連載の停滞について
連載中期から荒川弘の家庭事情(両親の入院、夫・息子の難病の罹患、など)により、連載速度が停滞し、2年生以降のエピソードが大幅に短縮化されている(特に二年次が駆け足で、ダイジェストのような形になってしまった)。
本来ならもっと取り上げておきたいエピソードもあったことは想像に難くないものの、諸般の事情によって週刊連載が厳しくなり、終盤がかなり駆け足で年月が過ぎているのが惜しいところである。
それでもストーリーの矛盾や不足する点が全くないため、「必要な設定を必要なだけ作る」荒川本人の制作方針が功を奏したともいえる。
関連イラスト
関連タグ
雑誌・作者 | 週刊少年サンデー 荒川弘 |
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カテゴリー | 農業 学園 |
users入り | 銀の匙100users入り→銀の匙500users入り→銀の匙1000users入り→銀の匙5000users入り |
表記揺れ | 銀匙 silverspoon |
その他 | 2013年夏アニメ 2014年冬アニメ 銀の匙の登場人物一覧 |