「うん、それがいい。」
声:永井一郎(初代)(1969年10月5日~2014年2月9日)→茶風林(二代目)(2014年2月16日~)
概要
『サザエさん』に登場するキャラクター。磯野家の大黒柱で、3姉弟の父。
現代の感覚ではかなり老けて見えるが、年齢はまだ54歳。しかし当時の殆どの企業は55歳定年制であるため、連載時だと来年から年金が貰える年齢だったりする。原作では明治生まれであった。
誕生日は9月14日で、唯一誕生日が明確に分かっている人物である。
ハゲ頭の天辺に一本毛が特徴。
マスオが義父の波平を利用して蛍を説明したことがある。「いいかい こっちがお尻なんだわかる!?」
九州の福岡出身であるが、アニメ版では九州弁を使った描写が一度もない。しかし、原作では「火鉢にあたりよるから」と一度だけ九州弁を使ったシーンがある。
趣味は晩酌、囲碁(初段位)、盆栽(かなり詳しい)、釣り(下手の横好き)、俳句(かなり悩む)、書(上手)、ゴルフ(うまくない)、骨董品の収集(見る目が無い)、長唄、料理(時々手を出す)など多彩である。
アニメ版では、一家の長としての貫禄がある頑固親父。
「ばっかも~ん!」と叫んで子どもたちを黙らせる「昭和のカミナリ親父」のテンプレとして描かれている。
失敗・悪戯・醜態などを犯すカツオ、サザエ、ノリスケに対し、「けしからん!」「いい加減にせんか!」と怒鳴るのはアニメでよく見られるワンシーン。 だが孫であるタラオ・大甥にあたるイクラには大変甘い。家族以外を怒鳴ったことは数回。後は丸めこまれる内弁慶。
また、子供達のそそっかしい短所は間違い無く彼からの遺伝である。
原作では逆に威厳のない父親として描かれており、家族を叱るシーンもあまり多くない。たまにサザエやカツオを叱った時もやりこめられるという「いじられキャラ」としてのピリッとしない描写が目立つ。
例えば、カツオが学校の宿題で「『遺書』ってどう書くの?」と波平に訪ねたとき、波平がカツオの身を案じて「勉強はその辺でいい、友達と遊んでおいで」と送り出すシーンもある。無論、これは学校の宿題をやりたくなかったカツオが一計を案じた策である。
ある時には新聞で非行少年の記事を読んでからは、子供には愛を与えねばとカツオの頭にキスをしたり爪を切ってあげたりして当の本人から気持ち悪がられるシーンもあった。
またある時には「カツオくんは父さんがいた方がいい?」と聞いたところ、カツオは「当たり前さ」という。波平は思っていた通りの返答があったとほくそ笑むがカツオは「片親だと就職の時不利だからね」と言い波平はげんなりさせられたのであった。
しかし、二人の間にもホロリとさせるエピソードがある。父の日であったが波平とカツオは口喧嘩をしてしまう。波平はそのまま会社に出勤し帰途につくが足が鈍り、結局行きつけのおでんの屋台で晩酌する。お勘定をしようとしたところおでん屋のオヤジから「今日のお代は坊ちゃんから父の日だってことでいただいてあります」と聞かされ、感動して泣いてしまったという。
なお、原作ではサザエからは連載初期には「パパ」と呼ばれていた。しかし、ある時サザエに「パパはやめろ!」と注意して以来その呼び名はなくなった。
原作では太平洋戦争中に日本軍に徴兵されたのは確からしい事が判明している。おそらくは若年期に徴兵検査を受け、徴兵可能と見られていた故に、戦争末期に徴兵されたものと思われる(妻・フネには『南方の戦友と再会した』という方便で飲み歩いていることを悟られているが)。また、戦時下の厳しい食料事情に苦しんだ経験からか、芋類の類に露骨までに不快感を顕にするなど、食料品にトラウマを抱えている様子を見せた。ただし、その時に出された芋はワカメが遠足で掘ってきたものだったため、その様子にショックを受けたワカメに大泣きされ、流石に気まずかったらしく、婿共々にその場を白々しくも取り繕い、自己保身を図る場面が見られた。(ワカメは原作では戦後育ちで、戦中の記憶を持っていないために、父と義兄の態度が理解できなかった)
原作版とアニメ版でのキャラクター性の違いは、端的に言えばアニメ版が波平を「原作が昔の漫画なので、みんなが思い浮かぶ”古臭い”父親のイメージ」にわかりやすくカリカチュアライズしたためである。しかし、原作の波平は実際のところは「連載されていたその時代における、”最新の”父親のイメージ」の集合体であり、家族の中で情けない様子を見せる場面が多いのも、戦後になって父親の立ち位置がガラリと変わっていった社会の変化が反映されている。
また、アニメ版の初期はノイローゼ気味な面が多かった。アニメ版第一回の「お父さんはノイローゼ」ではぎっくり腰でぶっ倒れ、かなり気落ちして食欲がなく、おまけに目も充実しているのをサザエに「ガンの症状とぴったり!」と言われ病院に行くシーンがある(その後医者に「大丈夫!あんた生命線長いもの!」と励まされていた)。
こういった経緯もあってか、頑固で保守的なイメージとは裏腹になかなかのお洒落さんでもある。仕事以外では数種類の和服を中心に品よく着こなし、洋装でも時折ハンチング帽を被り、なんとジーンズをはいたことも。通勤時はかつてのホワイトカラーの必需品であったソフト帽を被っている。
こうしたお洒落好きな面は娘のサザエにもしっかりうけつがれており、あの髪型もその一例(連載開始時比較的裕福な家庭の女子の間で流行った髪型)。
しかし、ミニスカートを履いた妻のフネやタイツ(現代でいうレギンススタイルと思われる)を履いた来客の女性を見て失神する描写がある事から、体型の出る女性のファッションへの耐性は無い模様。
カツオがある旅館の養子にと望まれた時には泣いて止めるなど、親子の愛情は人一倍強い。
身長は178cmと記載されることもあるが、公式にはそのような設定はない(また、フネと並んでいる様子などを見るととてもそうは見えない)。
原作では連載初期の役職は「局長」であったがいつの間にか平社員に降格していた。アニメでは山川商事の課長と、かなり出世している。ご立派。
ちなみに、年収は手取りで900~1200万円(総額1100~1500万円)。
兄弟に双子の兄の磯野海平(カツオ・サザエ・ワカメの伯父)と妹の波野なぎえ(ノリスケの母)がいる。
ちなみに波平を初めとした東京・世田谷の磯野家は分家にあたる。
あまり知られていないが、フネと結婚した若い頃は髪がフサフサでメガネをかけていなかったためワカメはある時目にした若い頃の波平の写真が同一人物と信じられず、フネは波平と再婚したと思い込んでしまっていた。
よく「『サザエさん』の制作された時代背景から、今どきの同年代に比べて老けて見える」と言われがちだが、54歳ならこの程度は珍しくはない(フネも同じことが言える)。頭に関しては男のハゲはだいたい30代までに始まる(男性ホルモンが要因なので、更年期を過ぎた後にハゲ出す人は逆に珍しい)。また遺伝の要素も強く、双子の兄弟も同じハゲ方をしているので遺伝性は濃厚である。
余談
長年波平を演じた永井氏の急逝だったため、永井氏の死後に最初に行われた収録現場では波平役が空席のままで行われた為かカツオを演じた冨永みーなが思わず号泣してしまった出来事があり、サザエを演じた加藤みどりが見かねて叱咤激励する事態になっていたという。
そして急遽、抜擢された茶風林氏はその回では最後に波平を演じたという。
実は原作初期は波平自体に名前が設定されていなかったとされている。波平の名前はアニメ化の際に付いたとも言われている。アニメよりも前に実写映画が世に出されていたが、波平にあたる人物のクレジットは「父親」だった。フネも「母親」とのみ表記されていた。
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全自動卵割り機:ある意味彼を語る上で欠かせないネタ。