概要
アイヌ語で「蕗の葉の下の人」という意味を持つ、アイヌに伝わる小人族のこと。
「蕗の葉の下の人」と呼ばれるのは、蕗の葉で屋根を葺いた竪穴式住居に住んでいたためと言われている。また、彼らは人から常に身を隠して生活をしているとされている。
アイヌの伝説では「かつては双方の種族は友好的だったが、アイヌの側が無礼をしたため、コㇿポックㇽは北の海の彼方へ移ってしまった」と言われている。
近代になって、彼らは実在し、彼らこそアイヌと日本人の先祖であり先住民族だったとする説が一時期唱えられた。
アイヌの小人伝説は広く北海道・南千島・樺太に流布しており、名称はこれ以外にも、トィチセウンクㇽやトィチセコッチャカムィやトンチ(これらはみな「竪穴に住む人」の意)などと呼ばれることもある。
日本では佐藤さとる氏作の児童文学『コロボックル』シリーズが有名。
『冒険コロボックル』のタイトルでアニメ化もされており、この作品でコロボックルの存在を知った人も多いのでは?
ただし、同シリーズにおける「コロボックル」の呼称は交流を持った人間側が付けた呼称であり、彼らは実際には和人の神であるスクナヒコの末裔であると設定されている。
北海道東部には3世紀から13世紀にかけての、アイヌとも和人とも違った文化の遺跡が出土しており、これがコㇿポックㇽである可能性も考えられる。
この文化は北千島のアイヌの特徴と共通点があり、彼らがコㇿポックㇽの正体との説もある。
また、日本書紀にもそれらしき民族の記述がある。
なお、北海道には大型の蕗であるアキタブキ(高さ1〜2m)の中でも一際巨大なラワンブキ(螺湾蕗)という種が自生している。
ラワンブキは高さ2〜3mで茎の太さは10cmという巨大な蕗であり、巨大なものは高さ4mにも達するとされる。
要はこんな巨大な蕗がある土地において「蕗の下の人」と呼ばれた人々なのであり、実際はアイヌに比べて多少背が低い程度だったとも言われている。
表記について
コㇿポックㇽはアイヌ語での表記で、日本語表記ではコロポックルになる(アイヌ語は口頭伝承だけの原語で文字というものが無い。現代では表記に片仮名かローマ字が使われているが、日本語に無い発音があるため片仮名では表しきれず、アイヌ語用文字が幾つか作られた。「ㇿ」「ㇽ」がそれ)。
また、アイヌ語には「ポ」と「ボ」の音の区別が無く「コㇿボックㇽ」「コロボックル」とも書かれる。
関連タグ
イッスン:『大神』の登場キャラクター。豆粒並の小ささで、アマテラスに咥えられたり、口の中に含まれて唾液まみれになったり、サクヤやツヅラオの胸の谷間に飛び込んだりしている。
ナコルル:『サムライスピリッツ』シリーズの登場人物。コㇿポックㇽを思わせる精霊の姿で現れるエピソードが存在。
キングボックル:『帰ってきたウルトラマン』の登場怪獣。「原始地底人」の別名を持つ。名前が似ているだけで、コㇿポックㇽとは設定上の繋がりは無い。