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概要

アイヌ民族言語で、日本語と同じく言語学上のルーツが不明で独自的に発展していったとされている。

明治時代以降に日本語のカタカナローマ字が使用されるようになるまでは文字が存在しなかった。

かつては現在の北海道千島列島樺太東北地方北部で広く使用されていたと考えられている。

例えば平安時代歌物語(和歌を中心とした短編物語集)である伊勢物語には、「夜も明けばきつにはめなでくたかけのまだきに鳴きてせなをやりつる」というが残されており、この「くた」は藤原為家などが著した注釈で「家」の意味となっている。

ところが家を「くた」と読む事例は方言を含めて古代日本語には存在しない可能性があり、この「くた」はアイヌ語の「コタン」(集落など)が転訛したものであるとする説もある。

方言の違いが大きく、現在もいわゆる共通語に相当するものが定められていない。

初学者には北海道の日高地方周辺のものが勧められる場合が多いようである。

近代以降アイヌの人々が暮らしていた地域は現在の日本ロシア領となり、両国の近現代国家としての同化・移住政策などの結果、現在はアイヌ語を第一言語とする話し手はごく僅かとされる。

ただし研究は進んでおり、録音記録や日本語・英語等での文字に変換した記録が比較的多く残されている。

近年はアイヌ語やその伝承文化の保護・振興運動が盛んであり、アイヌ民族をルーツに持たない人も含めた一般層向けの教室や講座も多く、様々な取り組みがなされている。

(北海道白老町国立アイヌ民族博物館の公式youtubeチャンネル)

また2010年代頃より『ゴールデンカムイ』などアイヌの登場する漫画アニメなどが流行し、日本国内外でアイヌ文化に関心を持つ若年層が増加。

Rera』(作詞作曲:だいすけP)のように、J-POP等にアイヌ語が取り入れられる様子も見受けられる。

発音

アイヌ語には日本語の濁音に当たる発音や、中国語韓国語の有気音・無気音に相当する子音がなく、日本語や韓国語に無い二重母音が存在する。

音節末が子音で終わることも多く、その場合以下の項目にあるような専用のカタカナが用いられる。

表記

現在はカタカナ表記が一般的で、日本語で殆どあるいは全く使われない表記も使用。

カ行の「ㇰ」、サ行の「ㇱ・ㇲ・セ゚」、タ行の「ㇳ・ツ゚・ト゚」、

ナ行の「ㇴ」、ハ行の「ㇵ・ㇶ・ㇷ・ㇸ・ㇹ・ㇷ゚」、

マ行の「ㇺ」、ラ行の「ㇻ・ㇼ・ㇽ・ㇾ・ㇿ」。

「ㇰ」は音節末の-k、「ㇱ・ㇲ」は音節末の-sで、発音の状況によって書き分けられる。

ただし現在では音節末の-sは専ら「ㇱ」と表記される事の方が多い。

「セ゚」はかつて「チェ」や「ツェ」に相当する発音を表していたが、現在では用いられず「チェ」と表記される。

タ行の「ㇳ」は音節末の-tを表すが、現在では「ッ」と表記される方が多くなっている(ただしこの場合、カ行の前の-kやパ行の前の-pも「ッ」と表記する事があるので注意が必要)。

「ツ゚・ト゚」はどちらも「トゥ」に相当する発音を表すが、現在では「トゥ」と表記される方が多くなっている。

「ㇴ」はかつては音節末の-nを表わしていたが、現在では用いられず「ン」を用いる。

「ㇵ・ㇶ・ㇷ・ㇸ・ㇹ」は樺太方言にある音節末の-hを表わし、前の母音aiueoによる音色の違いをそれぞれ反映するのを書き分ける。

「ㇷ゚」は音節末の-p、「ㇺ」は音節末の-m、「ㇻ・ㇼ・ㇽ・ㇾ・ㇿ」は音節末の-rを表わし、前の母音aiueoによる音色の違いをそれぞれ反映するのを書き分ける。

文法

アイヌ語は人称変化が非常に大きく、動詞に一人称・二人称・三人称がある他に名詞にも一人称・二人称・三人称がある。

人称変化は語末変化だけではなく語頭にも接頭辞が付けられるが、接頭辞ではなく語末に接尾辞を付けられるパターンもある。

単数形と複数形も存在し、二人称複数形は相手を含むか含まないかで異なる形を取る。

また時制変化はなく、格変化も語形変化ではなく後置詞を用いる形となっている。

語順は、日本語と同様の「SOV」形式を基本とする。

物体そのものを表す「一般名詞」と、物体が行動の舞台になっているときに使う「場所名詞」が存在。

主なアイヌ語由来の日本語単語

主なアイヌ語の単語

体の部位

意味カナ表記綴り
サパSapa
オトㇷ゚Otop
ナンNan
キプトゥㇽ / キプツ゚ㇽ / キプト゚ㇽKiputur
レクッRekut
シㇰSik
キサㇻKisar
エトゥ / エツ゚ / エト゚Etu
パㇻPar
ニマㇰNimak
タㇷ゚スッTapsut
アムニンAmunin
テㇰTek
アㇱケペッAskepet
ペンラㇺPenram
乳房トットTotto
ホンHon
イッケウIkkew
オソㇿOsor
ケマKema
ウレUre

物品

意味カナ表記綴り
オㇷ゚Op
ハヨㇰペHayokpe
イコㇿIkor

自然

意味カナ表記綴り
太陽トカㇷ゚チュㇷ゚Tokapcup
クンネチュㇷ゚Kunnecup
ノチウNociw
レラRera
アㇷ゚トApto
ウパㇱUpas
ルヤンペRuyampe
ラヨチRayoci
アペApe
ヌイNuy
ワッカWakka
コンルKonru

場所

意味カナ表記綴り
チセCise
Ru
ルイカRuyka
天国カンナモシㇼKannamosir
地獄ポㇰナモシㇼPoknamosir
ペッPet
大川ポロペッPoro-pet
ト / トーTo
アトゥイ / アツ゚イ / アト゚イAtuy
トイToy
野原ヌㇷ゚Nup
草原ムントゥㇺMuntum
ニタイNitay
大森林ポロニタイPoro-nitay

植物

意味カナ表記綴り
Ni
シンリッSinrit
ハㇺHam
ノンノNonno
キナKina
果物ニカオㇷ゚Nikaop
雑草ムンMun
カブアタネAtane
ヨモギノヤNoya
ハスカップハㇱカㇷ゚Haskap
ジャガイモエモEmo
ニンジンフレアタネHureatane
キャベツカイペチKaypeci
カボチャカンポチャKampoca
オオウバユリトゥレㇷ゚Turep
トリカブトスㇽクSurku
コンブサㇱ / コンプSas / Kompu

生き物

意味カナ表記綴り
ウサギイセポIsepo
ウマウンマUmma
ウシペコPeko
ネコメコ / チャペMeko / Cape
イヌセタSeta
オオカミホㇿケウHorkew
シカユㇰYuk
ネズミエルㇺErum
コウモリカパㇷ゚Kapap
アザラシトゥカㇻ / ツ゚カㇻ / ト゚カㇻTukar
トドエタㇱペEtaspe
クジラフンペHumpe
カエルテㇾケイペTerkeype
チカㇷ゚Cikap
チェㇷ゚Cep
イトウチライ / オペライペ / トシリ / ヤヤッテチェㇷ゚Ciray / Operaype / Tosiri / Yayattecep
マスノスケケネウ / サキペKenew / Sakipe
オオバンヒザラガイムイMuy
キキㇼKikir
バッタパッタキPattaki
クモヤオㇱケㇷ゚Yaoskep

その他

意味カナ表記綴り
人間アイヌaynu
はいエーE
いいえソモSomo
こんにちはイラㇺカラㇷ゚テIramkarapte
ありがとうヒオイオイHioy'oy
どうもありがとうございますイヤイライケレIyayraykere
おやまあイヨハイIyohay

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